海堂尊のレビュー一覧
-
『ジーン・ワルツ』と同じ時間軸で山咲みどり視点で語られる。歳時記と共にゆったり時間が流れている感じが心地良い。みどりのような丁寧な暮らし憧れるなぁ。伸一郎との手紙のやり取りが多いのも書簡集好きには嬉しい。
前作のラストで語られた理恵の所業の理由が判明するが、感情が伴わないのでやはり納得できない。...続きを読むPosted by ブクログ -
妊娠に至るまで、そして母子共に健康に産まれてくるまでに様々な障害があり、妊娠・出産がどれほど奇跡的なことかを思い出させてくれる1冊。初読時は理恵がひたすら怖い女性に思えたが、今回は産婦人科医療のために奮闘する危なげな女性の印象に変わった。曾根崎パパと薫くん、山咲さんも登場していたのにキャラがはっき...続きを読むPosted by ブクログ
-
中高生向けらしく非常に読みやすい。ヨシタケさんのイラストも可愛らしい。あの可愛かったアツシ少年がすっかり瑞人みたいになっていて、中盤までずっとアツシと瑞人を勘違いして読んでしまっていた。お調子者の薫が周りの狡い大人におだてられ翻弄されるが、最後にちゃんと自分の非を認め謝罪する潔さに成長を感じた。パ...続きを読むPosted by ブクログ
-
前作に引き続き、コロナ禍で桜宮サーガの面々がどう関わっていたかというお話
前作以上に政治のグダグダ加減が描かれている
実際の出来事の経緯を説明しているだけで、創作の要素はそんなにないかも
政治判断の裏側には私利私欲に塗れた呆れた理由があったというのが創作要素だろうけど
でも、実際にそんな損得勘定が...続きを読むPosted by ブクログ -
田口・白鳥シリーズ
ってか、このシリーズは完結って前に言ってなかったけ?
今までより作品内でクロスオーバーがされていて
田口視点の桜宮、速水の極北、彦根の梁山泊のエピソードが程よく入り混じっている
要は、コロナ禍を桜宮サーガで描いた作品
ただ、年代も2020とリアルと一致させているけど、作品内の...続きを読むPosted by ブクログ -
北里柴三郎と森林太郎(鴎外)を対比させた歴史小説。
著者の日本の歴史小説は初めてだと思います。
(海外の歴史小説ではゲバラ系がありましたが)
コロナ二部作はイマイチでしたが、本作は力作、習作と思います。
物語としては柴里パーツと森パーツに分かれている構成です。
柴里パーツは史伝的な叙述なのに対し森...続きを読むPosted by ブクログ -
バチスタシリーズの短編集。これまでの登場人物の個性が断片的に見とれた。
特に本のタイトルにもなっている「氷獄」ではそれぞれの人間性や考え、信念に基づいた「正義」の交錯が描かれており、非常に面白かった。
医療と司法の関係については今後の展開に期待できそう。Posted by ブクログ -
前作では浪速を舞台に新型インフルエンザ騒動を描きつつ、今作ではその後のワクチン製造が肝となる。コロナ前とそれ以降では印象が変わる作品だが、ベースにある「桜宮サーガ」の集大成と言える位置付けにある本作はエンタメ性も十分。過去から現在へ、北に南に海外に、行ったり来たり、孤軍奮闘する医翼主義者の彦根先生。...続きを読むPosted by ブクログ
-
バチスタ裁判と東城大に関連する短編集です。
主要メンバが揃い踏みで楽しく読めました。
やっぱり白鳥のロジカルは群を抜いてますね。物語が加速して厚みが増します。
そして新章幕開けの感もあり、これからの田口白鳥ペアの活躍が楽しみになってきました。Posted by ブクログ -
官僚は国家の歯車との例えがあるが、近代国家の体をなす前の明治期に、巨大な歯車となって近代国家の体裁を整えていった俊英たちの物語。コロナ禍の今読むと、二人が志したことの重要性がよくわかる。同じ道を目指しながら、軍務と恋に翻弄され、行政官として権威にこだわるあまり、真実から遠ざかり、文学者にならざるを得...続きを読むPosted by ブクログ
-
海堂氏が新境地で青春学園ものを書いたのかと思いきや、こんな形で過去の作品と繋がっていたとは驚きました。軽さの中に若者に人生の本質を問う厳しさを織り交ぜるところは河野裕氏のシリーズを彷彿させます。
賛否両論あるようですが、未来の医療技術が直面する可能性がある倫理的な命題に真っ向から取り組んだことが素晴...続きを読むPosted by ブクログ -
第3巻はこれまてで一番物語として、また人物伝として興味深く読むことができた。
事実の列挙中心から人の成長が中心の内容に変わったからだろうか。
それはともかく、アメリカの横暴さは読んでいて胸が悪くなる。世界の警察を自認して、一見すると善人のような言動をしながら裏側では自国の利益しか求めていないところは...続きを読むPosted by ブクログ -
海堂作品は、流石にそれは・・!?と思うほどの設定やウルトラCが散りばめられているにも関わらず、ぐいぐい引き込まれてしまうのがいつもながらすごい。これぞエンタメ。Posted by ブクログ
-
北里柴三郎についてはまったく詳しくなくて、細菌学者ということと慶應医学部の創設者ってことしか知らなかった。この海堂先生による史伝は、鴎外のものから類推するとかなりの変化球に思えるので、この一冊で「こういう人だったんだ」とは判断できそうもない。ここで海堂先生が注目しているのは研究者としてよりも医政を確...続きを読むPosted by ブクログ
-
桜宮サーガの中短編集。「黎明」は死なせる医療を取り上げる。「治療法はないから、いろいろなことを試すのは、医療資源の無駄遣いになる」(88頁)。何も治療をせず、死ぬのを待つだけにする。患者の希望をなくし、早く死なせてしまう。
これに違和感を抱いた患者家族は民間感覚を持っている。「多様な選択肢の中から...続きを読むPosted by ブクログ -
解説を読んで、国家的な出来事は史実ながら、ゲバラ個人のエピソードの多くがフィクションだと知って驚いた。
でも、却って当時の南米の混乱が活き活きと描かれているし、また歴史上の人物に人格を与えることができたおかげで下手をしたら退屈な近代史になる可能性がある物語を興味深いものに変えられていると思う。
それ...続きを読むPosted by ブクログ -
分厚くて読み進められるか不安だったが、ややこしい時代背景を、北里については客観的視点から、鴎外については、''ぼく"という一人称で、主観的視点からよく描いている。2人は同じ時代に生きたものの、文献上絡みはあまり残っていないとのことだが、おそらく実際こうだったのでは?と素直に思えた。育った環境も大いに...続きを読むPosted by ブクログ
-
2022.04.17
プラックペアンからの3部作の最後。ラストは切なすぎないか。
世良の成長の物語。このあと、どんな過程を経て極北シリーズの世良になったのだろう。
高階が出来上がった過程も垣間見える。
Posted by ブクログ -
コロナ黙示録は読んでいてつまらなかったが、これは興味深く読めた。人の命の現場に置いて、政治的な理由で物事が曲げられてしまう状況への海堂さんの怒りは、この作品を読めば理解できると思う。ただ怒りに任せて作品を書いても、その怒りに同調しない限り不快感が増すだけだ。この作品は上手くそれを回避しているから読め...続きを読むPosted by ブクログ