海堂尊のレビュー一覧
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『極北クレイマー』の続篇という感じである。が、所謂「桜宮サーガ」の様々な人物が登場する群像劇風な雰囲気も色濃いと思う。作中人物達は「色々と在った来し方」を半ば振り返りながら、新たに踏み出して行こうとするような様相を見せる。そんな様が北海道の架空の街を舞台に展開している。
極北市は終に財政破綻に至ってしまい、閉鎖已む無しとされた市民病院が存続というようなことになった中、世良医師が新任の院長として登場していた。世良院長の下、極北市民病院は極々限られたスタッフで新たな体制を築いて活動に勤しんでいた。今中は極北市民病院での仕事を続けている。医師は世良院長の他は今中だけで、今中は副院長兼外科部長というこ -
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題名に在る「極北」は、作中の北海道に在る架空の都市の名である。色々と「暗示的?」な内容が込められた、興味深い小説であると思った。本作も所謂「桜宮サーガ」の範囲ではある。少し知られた“関係者”が現れる、または存在が示唆されるという描写は在るが、寧ろ本作なりの作中人物達の物語に纏まっている感である。
本作は、極北市民病院にやって来た医師の今中が主要視点人物となっている。今中が不在な部分では視点人物が適宜切り替わる。実在した事件を参照にしたような出来事、実際の出来事を参照に少し戯画的に描写される様子等が折り重ねられて行くのだが、状況の中に身を投じた今中が少し踏み出そうとするような物語でもあるかもしれ -
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東海地方の架空の街、東城大学と大学病院の在る桜宮市で展開するシリーズの作品である。ドンドン拡がる世界が描かれた様々な作品を「桜宮サーガ」というように呼ぶ場合が在るようだ。本作もそのシリーズの一作である。本作も、所謂「バチスタ」のシリーズ各作品のずっと以前ということになる時代を背景としている。「バチスタ」のシリーズに登場する作中人物達の往時という様子が判るという面も在る。
『ブラックペアン1988』が在り、続篇の『ブレイズメス1990』が在って、更に本作である。本作に関しては、「続篇」というよりも、『ブレイズメス1990』が「上巻」で、それを受けた「下巻」というような感じもする。
本作も、東城大 -
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所謂「桜宮サーガ」には、少し時間を遡った時期の物語も在る。なかなかに興味深く読んだ。
『チーム・バチスタの栄光』を出発点としながら展開するシリーズである訳だが、本作はあのシリーズで描かれている時代から概ね20年遡った、1988年頃という時代が描かれる。「バチスタ」のシリーズに多彩な作中人物達が登場するが、そういう人達の一部が「当時の様子」で登場している。
「人気シリーズの作中人物達の過去」という意味で面白いが、そこに留まらないのでもないと思う。「1988年のとある大学病院」を舞台に、カリスマ教授が君臨する外科が在って、他所の名門大学からやって来て新しい技術の普及を訴える講師、物凄い技術を誇る少 -
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「桜宮サーガ」という呼び方も在るらしい。東海地方の架空の街、東城大学と大学病院の在る桜宮市で展開するシリーズの作品である。所謂「バチスタ」のシリーズ各作品の間隙というような期間に生じた出来事を描く物語で凄く面白い。「バチスタ」のシリーズで御馴染な顔触れも登場している。そして本作の主要な作中人物達が在る訳だが、逆に彼らも「バチスタ」のシリーズ各作品に登場する。そういう具合に“ワールド”が拡がっている様が面白い。
本作は概ね主人公ということになる天馬大吉の目線で綴られる。一部、天馬大吉が居ない場面で、別な視点人物で綴られている箇所も在る。「僕」と天馬大吉の一人称での語りも多く在る。思いも掛けず、天 -
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完全にドラマに影響されての再読。
この本が出版されて読んだ当時やはり自分も「バチスタ」より「ブラックぺアン」の方が面白い!と思った1人。
ドラマが始まりそういえばブラックぺアンの原作面白かったよなぁ〜続編読んでないしこれは最初から読み直しか…と本屋へ走った!
やはり面白い!
渡海先生が出てくるまではのらりくらりと読んでいたものの、渡海先生出現と共にストーリーが一気に面白くなりテンポも良くなる。
きっとこのキャラですね!
登場人物達のキャラ立ちがこの本の魅力でもあると勝手に思っている。
渡海先生の出現後、各登場人物の魅力が際立ってきて読んでいてとても面白い。
それぞれの魅力のぶつかり合いがなん -
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興味深く読んだ小説に「続篇」が存在すると知れば、その作品にも興味が湧く場合が多い。本作はそういう「続篇」ということになる。
本作には、前々作、前作の内容を踏まえた事項も在るとは思うが、各々が独立作品なので、各々に愉しく読むことが叶うと思う。
2020年頃の様子を基礎とした『コロナ黙示録』、2021年頃の様子を基礎とした『コロナ狂騒録』と続き、更にその後となる2022年6月頃からの様子が描かれているのが本作ということになる。3作について知り、3作続けて読んだ。そうやって読んで思った。「巷の様子は何?こういうので善いのか??」という程度の湧き起る何かに、作者は衝き動かされるかのように次々と作品を綴 -
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九州在住で、
当時あの場で何が起きていたのか
もっと知りたいと思い母から借りた本。
あの日は大学合格発表から数日後で
現在は私も医療従事者ですが
あの日、自ら被災しながらも奮闘した方々に
頭が下がる思いです。
検死にあたった歯科医師、
心のケアに向き合った心療内科医
等々、どのストーリーも
あの日私がテレビを通して
俯瞰したものなのかと思うと
無力さや自己嫌悪を感じます。
特に3章の福島県双葉郡の記録では
原発事故による影響が詳細に記されており、
岩手や宮城とはまた異なった
被災者の苦悩について知ることができました。
私は“同感”はできませんが、
この1冊を通して、あの日の実際を
少し