あらすじ
帝華大学医学部の曾根崎理恵助教は、顕微鏡下体外受精のエキスパート。彼女の上司である清川吾郎准教授もその才を認めていた。理恵は、大学での研究のほか、閉院間近のマリアクリニックで五人の妊婦を診ている。年齢も境遇も異なる女たちは、それぞれに深刻な事情を抱えていた――。生命の意味と尊厳、そして代理母出産という人類最大の難問に挑む、新世紀の医学エンターテインメント。※【電子版あとがき】をはじめ、ストーリー上の出来事が一目でわかる【桜宮年表】や【作品相関図】、小説・ノンフィクション作品の【海堂尊・全著作リスト】、小説作品の【「桜宮サーガ」年代順リスト】など数々の電子版特典を巻末に収録!
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曾根崎理恵助教は、顕微鏡下体外受精のが専門。理恵は、閉院間近のマリアクリニックでそれぞれ事情を抱えている五人の妊婦を診ている‥。代理母出産という重いテーマだけど、単純に妊娠から出産まで、何事もなく生まれることができるのは奇跡‥読み終えてそう思えました。おすすめの作品です。
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不妊治療をテーマにした作品。
途中から代理母の問題をはらんでいるのだな…と読めるのだけれど、落としどころが全くわからない。
「因果律はすべての事象が明らかになった時には、あるべき場所に還っていくものなのね」
作品中何度か登場するセリフですが、最後の最後に事象が明らかになった時、主人公の敷いてきた伏線に空恐ろしさを感じます。
ちょっと前に読んだ同作者の『医学のたまご』の登場人物と繋がってきます。彼の作品は、登場人物がシンクロしているなぁ。
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講義のシーンは難しくてよくわかんないところもいっぱいあったけど、物語として面白かった。
特に、出産のシーンとかは、またたく間にみんながお産にせかされて、読んでるだけなのに、大丈夫か?とどきどきしてしまった(笑)
いままで人間があたかも普通のように遺伝子を繋いできたっていうのは、本当はものすごく複雑で、ものすごくいろいろな経緯があって、初めて健康な子供が生まれるなんて、驚くべきことなんだなって思った。
この本では、体外受精や代理母出産がメインになっているけれど、出産と子供について、最先端の医学に対して、現在の法律が追いついていないことを残念に思う。
この本では、官僚批判がものすごいけど、ここまで批判しないまでも、もっと根本的な少子化問題に目を向けて欲しいと思う。
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少子化の現代、とても重要なテーマと作品であると思いました。
子供を持つのか?
持ちたいのか?
持てるのか?
女性なら一度は考えるテーマです。
もっと早く出会いたかったな。
Posted by ブクログ
2010/7/3 メトロ書店御影クラッセ店にて購入。
2017/5/15〜5/17
1年ぶりの海堂作品。本作は桜宮を離れて東京が舞台。産婦人科医療、不妊治療、代理母の問題などと合わせて、厚労省による医局制度破壊の問題まで、海堂節が炸裂する。難しい問題を一級のエンターテイメントに仕上げる構想力に脱帽である。何度か書いたことがあるが、海堂さんと森博嗣さんは同じ理系の人間として、大変ジェラシーを感じてしまう作家さんだ。クール・ウィッチこと曾根崎理恵、カッコいいなぁ。マドンナ・ヴェルデが本作の続編にあたるみたい
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地方の産婦人科医療を取り巻く問題や、昨今の不妊治療を巡る賛否などを織り込んで、ミステリー仕立てに仕上げていてさすが。
導入部はあまり入り込めなかったが、読み進めていくうちに導入で読んだ内容が効いてきて、人物造形にも入り込めて、面白く読めるようになった。特に後半はさながらドラマを観ているかのようでリアリティがあった。
出産や妊娠との向き合い方も、妊婦そして子の父となる男性それぞれだなぁ...という当たり前のこともまた感じた。
解説に書かれていた『マドンナ・ヴェルデ』も読みたい!海堂作品は、作品同士で設定や登場人物の関連性が感じられるのも好きなところ。
Posted by ブクログ
東京の帝華大学医学部助教、理恵は顕微鏡下体外受精のエキスパート。
彼女は、女医であり研究者であり、大学で発生学の講義を担当している。
ここで、妊娠とは、発生とは、出産とは、といった産婦人科医として必要で、一般人にも重要な知識を理解できるように講義する。
そして、非常勤で閉院近い産婦人科医で妊婦の診察を続ける。最後の患者は、5人。それぞれ妊娠出産に課題があり、妊婦とともにその状況を考えてしまう。
主題は、代理母出産となっています。
医学的には可能となった代理母出産の倫理的社会的な課題を提示していきます。
母親は、誰なのか。
誰の子供であるか。
彼女は、体外受精からの代理母出産を医療として認識しています。それだけでなく、生まれてくるすべての子供の医療福祉の根幹を作ろうと地道な準備をしていきます。現状の医療制度に一石を投じます。
ジーンは、遺伝子。小説も螺旋に絡みながら、なかなか読ませる医療小説でした。
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不妊治療をテーマとして1人の産婦人科医師と周囲の医療関係者や患者らが織りなす人間模様。
実際の医療問題に類似する内容を入れ込んだこと、日本の産婦人科医療の現状や国の政策を入れた事でメッセージ性の強い作品になっている。事実、現在私が住んでいる地域でも民間の産婦人科病院は分娩を取り扱わず妊婦健診のみ診察のセミオープンシステムのみ、もしくは移行といった話を聞くようになった。
生命の神秘と科学の進歩。それに倫理的な問題が絡むと完全な終着点はあり得ない。
ジャンヌダルク的な主人公で大変面白かったが、今回現場側に偏った作品なので、官僚側から見た作品があれば読んでみたい。
あー、やっぱり
著者の「医学のたまご」を読んで、本書を読むことに決めました。
発売当時に読んでいたはずで、物語の骨格は記憶にありました。でもクールウィッチにしてやられました。コテンパンに。
ジェンダーフリーの世の中、「女性」である人は、より共感し考えさせられるのではないでしょうか。
マドンナ・ヴェルデをこの後読みます。
Posted by ブクログ
妊娠に至るまで、そして母子共に健康に産まれてくるまでに様々な障害があり、妊娠・出産がどれほど奇跡的なことかを思い出させてくれる1冊。初読時は理恵がひたすら怖い女性に思えたが、今回は産婦人科医療のために奮闘する危なげな女性の印象に変わった。曾根崎パパと薫くん、山咲さんも登場していたのにキャラがはっきりわからなかったので、『医学のたまご』ではノーマークだったな。無脳症の胎児の出産シーンは涙が出る。端折られているのか、登場する5人の妊婦さんがみんなつわりがなさそうなの羨ましすぎる。
Posted by ブクログ
読み終わりました。
そうですねぇ。。。
東城大とは違って帝華大が出てくる話で
「極北クレイマー」の三枝先生や
「輝天炎上」でさらっと出て来た
三枝茉莉亜先生など
直近で読んだ人物が関係してくるとあって
しっかり読み進めました
とは言っても、不妊治療・体外受精・代理母出産
など凡人にはなかなか難しかった作品ですね
今後、また出てくるのかな?
Posted by ブクログ
親から子へ伝えられる遺伝子はDNA配列で、それは、A、T、G、Dの四文字。その塩基の三つの組
あわせが一種類のアミノ酸を指定する。
つまり、生命の基本ビートは三拍子、ワルツなのだ。 (文中より)
* * *
体外受精のエキスパート曾根崎理恵は試験管の中で、採取した卵子と精子の結合の実験をしてい
る。
彼女はアルバイト先のマリア・クリニックの地下実験室でひそかに受精卵を育てる研究をしているのだ。
彼女は、厚労省に一目置かれている国内でも有数の大学で講義を受け持ち、主に学生には人類の
発生学を教えている。
閉院間際のマリア・クリニックには最後の5人の患者がいて、それぞれがさまざまな重い問題を抱えている。
若すぎて育てられないという未成年の夫婦、なんども不妊治療をしてやっと妊娠できたが予断を
ゆるさない人。
仕事との折りあいに悩んで出産を決められない人。55歳の高齢で多胎妊娠がみとめられたひと
(代理母出産が疑われている)心配した一人はついに流産してしまった。
曾根崎理恵は既婚者だが夫は外国で暮らしていて、将来二人で家庭を続けていく見通しはなく
離婚の話が具体的に進んでいる。
彼女は同じ大学の、産科婦人科学会に属する、優秀な上司の清川教授の手で密かに、子宮と卵巣
摘出の手術を受けていた。
55歳の多胎児の母親は無事出産するのか。
肺がん末期の院長の閉院後の決断は。
僻地の産婦人科医療に献身していた、院長の一人息子が、一万人に一例という難産で患者を死な
せて逮捕されている。
法に従わずに人工授精、代理母を擁護する理恵の本心は。
* * *
少子化が社会問題になっている中で、産婦人科医師、産婦人科病院の患者離れが増加している。
医師不足で、地方の病院、医院は閉院が続いている。
お産は病気ではないという厚労省の見解の元で、危険なお産に立ち会う医師たちの姿勢と、
問解決策を模索する姿が、現場の医師である作者から、伝わってくる。
それは命を生み出す発生学を選んだ曾根崎理恵の姿勢によく現れている、最後の授業に、出産誕
生の神秘を講義すると、学生から大きな拍手が沸く。
現在の行政のあり方は、生まれて育っている子供には育児手当を出すが、これから生まれる命に
は保険も使えない、毎月の検診費用もままならない世帯では、検診率は半分に満たないと何かの
新聞で読んだ。
少子化を憂うまえに、安心して子供の生める社会態勢が望まれる。
この本は小さな力であっても多くの人に読まれ、今産婦人科医の抱えている問題、そして「欲し
くても生めない人」「生めるのに生まない人」「生みたくないひと」それぞれに対する社会の理
解を深めなくてはならないと深く感じた。
Posted by ブクログ
数年前に「マドンナ・ヴェルデ」を読んで、本作品もいつか読んでみたいと思っていた。
同じ事象を不妊治療に携わる医師理恵の視点と、その母で理恵の子供を代理出産するみどりの視点から描いた話。
「マドンナ・ヴェルデ」の話の方が柔らかい感じで好きだ。
Posted by ブクログ
本来先日読んだ「マドンナ・ウェルデ」の前に読むべきだったお話 (^o^)
順序は逆になりましたが、読みましたよ。成程そういうお話だったのですね。
美貌の産婦人科医・曾根崎理恵―通称:冷徹な魔女(クール・ウイッチ)
人工授精のエキスパートである彼女が、産婦人科医療の最先端で、したたかに戦う姿を描いたお話。壊滅的な地方の産婦人科医療の現状、不妊治療、人工授精、奇形、現在の産婦人科医療の暗い部分に光をあてて、健康に生まれて来ることが如何にすごい事かを知らされる。
「お産は赤ちゃんも母体も安全に生まれるのが当然だとみんな思ってる。
でも、そんなのは思い違い。
そうした風に感じられるのは、これまでの産婦人科医療が懸命に努力をしてきたから。」
そうなんだ!我が子も妻も健康なことに感謝です
「マドンナ・ウェルデ」のメインテーマには一切置触れることなく、最後のかくし球として判明する驚愕の事実!次作「マドンナ・ウェルデ」はそのことを描いた作品だったのか。。。
例によって、私は知りませんでしたが映画にもなってました。
菅野美穂主演
どこまでが医療で、どこまでが人間に許される行為なのか。
強烈なキャラクターが魅せる最先端医療ミステリー!
人工授精のエキスパートである彼女のもとにそれぞれの事情を抱える五人の女が集まった。
神の領域を脅かす生殖医療と、人の手が及ばぬ遺伝子の悪戯がせめぎあう。
『チーム・バチスタの栄光』を越えるドラマティックな衝撃があなたを襲う!
って、作品
Posted by ブクログ
*****
帝華大学医学部に属し、不妊治療を専門とする曾根崎理恵は大学で学生に発生学を教え、研究のかたわら、週一回非常勤としてマリアクリニックで診療を行っている。
閉院間近のマリアクリニックが抱える患者は五人。
年齢や境遇が違う彼女たちの出産、それぞれを待ち構える試練。
彼女たち、そして、生命、地域医療を脅かす問題に真摯に向かう理恵。
そんな中、彼女をよく知る清川准教授はとある噂を耳にし…。
*****
『チーム・バチスタ』シリーズも少しずつ読んでいますが、舞台はつながっているけれど、こちらには白鳥&田口コンビは出てこない。
映画化ということもあって、気になっていた作品。
生命倫理、代理母出産、地域医療、産婦人科医療の抱える問題。
テーマを挙げると、重い。
これから生まれてくる、新しい命を支えてくれているお医者様、そしてその患者となりうる私たちの危機へとつながることだ。
出てくる妊婦さんは、みんな自分の子供を無事に産みたい、当たり前の願い、でも、それが叶うことは当たり前じゃない。
私も大人になって、赤ちゃんを授かること、授かった後、お腹の中で育て無事出産の日を迎えること、五体満足で生まれてきてくれること、それらが易くはないことを知った。
小さい頃はそんなこと、分からなかった。
理恵も言っていたように、“奇跡”なのだ。
勿論、海堂さんの小説らしく、エンタテイメントある物語として、ドキドキもハラハラも、そして、胸にぐっとくるシーンも、ある。
登場人物たちも魅力的。
清川先生はカッコイイし、屋敷教授のキャラクタも外せない。
学生たちと理恵のやりとりも好きだった。
マリアクリニック院長である茉莉亜先生の迫力。
母になったことで妊婦たちが理恵を驚かせるくらいの強さを見せたりと今回の物語における重要な5人の妊婦のそれぞれの道程からも目が離せない。
そして、一番大きな秘密と企みを抱えた“クール・ウィッチ(冷徹な魔女)”、曾根崎理恵。
恐ろしさすら感じる彼女の医療への、そして、自分の望みへの意志、想いに、息を呑む。
強く、冷静であるだけではない部分も描かれているが、突き進む様はクール・ウィッチ…まさに。
女性としては未経験とはいえ、共感できる部分もやはりあり…この作品は男性が読んだらどう感じるのでしょう??
ちょっと気になる。
Posted by ブクログ
前半と後半で曽根崎医師の見え方が真逆になると言うの珍しい展開。
代理出産や産婦人科医の訴訟など当時の事件に怒りをぶつけた作品なのかな。
極北クレイマーに出てきた三枝医師の母親登場。
海堂作品は色々なところに他の作品の人物が登場してくるので、上手いなーと思う。
Posted by ブクログ
海堂氏は人物を描くのが巧いのだと思う。
それぞれのキャラクターが非常に分かりやすく描かれている。
代理出産、産婦人科の医療の現状を描きつつエンターテイメントにするあたり流石である。
Posted by ブクログ
帝華大学医学部の曾根崎理恵助教は、顕微鏡下体外受精のエキスパート。理恵は、大学での研究のほか、閉院間近のマリアクリニックで五人の妊婦を診ている。年齢も境遇も異なる女たちは、それぞれに深刻な事情を抱えていた。生命の意味と尊厳、そして代理母出産という人類最大の難問に挑む、新世紀の医学エンターテインメント。
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【要約】理恵は帝華大学産婦人科医で、現行の出産制度に疑問を抱き、上司の清川から反感を買っている。彼女のバイト先の病院は、5人の妊婦の出産を最後に閉院が決定しており、それぞれの妊婦が深刻な事情を抱えている。また、理恵は日本で認められていない代理出産に関与していることが告発され、事態はさらに複雑化する。
【感想】日本の医療行政や医療、医学に関する問題を問いかけるメッセージ性が強く、出産をめぐる医師と妊婦の思いをシンプルに描いている。しかし、緊迫感に満ちた場面が随所にあり、主人公・理恵が組織の反発を受けながらも自身の信念を貫く姿には感銘を受ける。
現代の出産においては夫の立ち会いや積極的な関与が増えている為、やや時代の違いを感じた。
Posted by ブクログ
久しぶりの海堂尊である。
実は私は海堂尊の著書はあまり好きではないんだなぁ。
しかし奥様はけっこう気に入っており、本棚に何冊も並んでいるので、積読書が無くなってる現在、相談して読んでみた。
産婦人科医が主人公となり、不妊治療とか代理母出産等に絡めて厚生省のまずい施策や大学病院の圧力により思った治療ができないとか。
そういった内容。
面白いしテンポもいいんだけど、あぁ海堂尊だなぁと思ってしまう。
というか結局ミステリー小説ってのが私にはあまり合ってないんだろうな。
もう前になるんだけど映画にもなってたんですね。知らんかったけど。
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これは「極北クレイマー」のその後。産婦人科領域は萎んでいく。地方医療は特に。加えて本書では、一人の女医が医学生に講義するように、人が子を産むということの現実を突きつける。この講義、面白かったです。クールウィッチなんて言われてたけど、妊婦さんの決断には結構感情揺さぶられてて、なんかよかった。彼女も一人の女なのだ。そんな彼女が操る「遺伝子の円舞曲」は、果たして心から称賛されるものなのか?彼女はどこまで行くのだろうか。
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定華大学医学部の曾根崎 理恵助教授は、顕微鏡下体外受精のエキスパート。
彼女は、大学勤務のほか、閉院間近のマリアクリニックで、5人の妊婦を見ていた。
それぞれ異なる事情を抱える5人の女性たち。
果たして、無事、出産まで漕ぎ着けるのか。
そして、曾根崎助教授には、壮大なカラクリが、、、
代理母出産に挑むメディカル・ミステリー。
さすがに、最後の展開は見抜けませんでした。
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5人の妊婦の背景。そして顕微鏡受精のエキスパート産婦人科医の理恵。彼女をどうにか引きずり下ろしたい大学教授。理恵が何かを隠してるいることにハラハラしてしまう。ネタバレはできないけど、狂気を垣間見た気がした。
赤ちゃん、母親、中絶、障害、父親、育てる。命を生むリアルを突きつけられるので、自分自身の生々しい感情が読んでいて浮き彫りになる。特にグッときたのは、ヤンキー20歳ユミが院長先生に言った言葉。「あたしがタクを可愛いと思えなかったら、そのときはバアちゃんがタクを殺してくれる?」隣にはタクのためにユミが買ったぬいぐるみ。母親としての気持ちが芽生えたユミの成長と美しさに思わず泣きそうになった。
母親、父親、そして出産の常識に対して真っ向から勝負してる作品。命の現場は、エネルギーに満ちている。
Posted by ブクログ
小説として物語の内容や
最後の結末への展開は面白いとは思います。
でも個人的に、主人公の曾根崎理恵の医療行為は
決して許されることではない犯罪レベルの話なのにそれが曾根崎理恵の個人的考え方から美化されてしまっている結末がとても嫌でした。
フェアとか言いながら本人は分かってやってるからいいのかもしれないけど、それを知らずにいる荒木夫妻や、勝手に知らない間に父親になってるかもしれない清川先生がとても可哀想に思いました。
そして、物語の中で曾根崎理恵が“冷徹な魔女(クール・ウィッチ)”と呼ばれていることに最後の彼女の行為を読み終えた時、ぴったりだと思いました。
Posted by ブクログ
もう少し清川吾郎が曽根崎の行動を客観的に分析する立場なら、より中立的な観点から読めだと思う。産科医療の問題と、代理母の問題が少し混同されていて、曽根崎の急進的思想がどちらの背景から生まれたのかが混沌としてる
Posted by ブクログ
『チームバチスタ』シリーズを生んだ海堂尊による、
産婦人科と代理母出産に対する問題提起を含んだ小説。
北海道極北市で産婦人科医である三枝久広が
一人の妊婦の術中死により逮捕された事件が産婦人科医療に大きな衝撃を与えてから半年後、
帝華大学医学部産婦人科学教室の女医・曾根崎理恵は発生学講師の傍ら、
週一回非常勤の医師として産婦人科医院、マリアクリニックに勤務していた。
三枝久広の母、茉莉亜が院長を務めるマリアクリニックは先の逮捕事件の煽り受けた上に、
茉莉亜が末期の肺癌に侵された事により閉院が既定路線となり、
理恵はその最後の患者である5人の妊婦達と関わっていく。
一方、理恵の同僚の准教授・清川吾郎は理恵が代理母出産に手を出したという不穏な噂を聞きつけるが。。。
曾根崎理恵があまりにも無敵過ぎて、ある種の清々しさは感じるものの
少し人間的な温かさに欠けるかな…とも感じた。
理恵は理想も高く、それを実行する力もある。
そして実際にラストでは自らの信念のもと、壮大な計画を実行に移すのだが
それに利用された形になった清川がやや滑稽な役どころになってしまったのが少々残念。
それと、他の物語とのリンクと思わしき箇所がいくつか見られるのだが、
その全てを理解出来ないのが少し悔しい。
その『他の物語』を全て読めば良いのだろうが…。
また、海堂尊の物語に登場する人物として
「何でもお見通しなスーパーマン」が必ず存在する気がする。(今回は主人公の理恵)
ややマンネリと言えなくもない。
とはいえ、やはりそのテンポの良さと先が読みたくなる物語の展開の仕方はとても上手いし、
提起された問題についても考えさせられる良書であるのは間違いない。