畑野智美のレビュー一覧
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依里(ヨリ)は、結婚間近の恋人を、バス事故で亡くしてからうまく眠れない。
彼が亡くなった、それだけでもショックなのに、知らない女性と、いるはずのない場所で事故にあったとしたらなおさらだ。
人生は喪失と再生の繰り返しだ。
両親の意見を、恋人の意見を聞き入れながら生きてきた依里に対して、それは軽いモラハラでは・・・と指摘されて、初めて自覚する。
その部分を読んで初めて、ああそうか、と、そういう考え方もあるのねと思ったのです。
昭和の人間なんて、多かれ少なかれそういう環境だったのではないか。
大げさにすることでもないのではないか。
時代が違うといえば、それだけのこと。でも、時代に合わせていろいろアップデートも必要なのがイマドキ。
ご本人が寝具店勤務経験者ということで、寝具にもとても詳しい記述がありました。
寝具って、自分に合っているかなんて改めて考えることは少ない。
こんなもんかなぁと思いながら、長年が過ぎていく。
人間関係も同じようなものだと気づかされる内容です。
本当に自分の意思が反映されている人生なのか、自分の人生を自分で選ぶ。
今一度振り返ってみるのもいいかもしれません。 -
Posted by ブクログ
ネチネチ陰湿ストーカー気質のワイも真っ青の最恐ストーカー小説でした。
ストーカーの被害者目線だけではなく、加害者目線からも描かれるのが面白い。
解説も自身がストーカー被害に遭ったことで、被害者支援のNPO法人を立ち上げた小早川明子さんがされている。
解説を合わせて読むと、この小説は加害者の心情がかなりリアルに描かれているんだと感じた。
「被害者が加害者から逃げるための努力をするように、加害者も同じように、あるいは被害者以上に、被害者に接触するための努力をする。努力する者に運は味方をする。努力が間違っているものだとしても。」といったニュアンスのことが本編で描かれており、ここが一番ゾッとした。
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ネタバレ性的マイノリティの人たちの話
恋愛感情が沸かない、沸きすぎる、女の子だけど女の子が好き等、様々な人が織りなす物語
理解を示していきたいと思わされる一方で、コトリちゃんとの居酒屋での会話がかなり考えさせられた
多様性を理解している→その上で女装している男性は気持ち悪い→それは普通の自分にコンプレックスがあるから→ゲイの友達を新しいアクセサリーのように考えている人もいる
コトリちゃんを性的マイノリティではない人(=多くの読者)の立場としておくことで、より話が面白くなってました
一方で、ストーリーというよりは、様々な性的マイノリティ紹介資料になっていた印象
分かりやすくはあるので、ジェンダーの授業や社内研修で使えそう
あとみんな顔がそこそこ良い設定だったのが、なんだかな(例えば恋愛感情が沸かない人の多くの悩みは、モテ無いだけかもっていう葛藤だと思う)
せっかく小説なので、読んでいるあなたの中で、登場人物を全員いけてない見た目で想像して読んでみてほしい。また違った感想を抱ける作品だと感じた -
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人が心から安心できることは永遠にないのではないか。
結婚しても独身でも、稼いでいても稼いでいなくても。
心の持ちようとかよく聞くし、私もそう思っていたけれど、そう思いたいだけなのかもしれない。
SNSでは、独身だけど幸せだし人生満喫してます!のような投稿を見かけるけど、本当でもあり、全部が本当でもないような気がする。
だからといって全てが不幸でもない。
既婚者も独身も子持ちも子なしも、違う種類の罪悪感があって、各々気を遣いあいながら生きている気がする。
結局どんな肩書きであっても、不安はついてくるし、それを受け止めて生きていくしかない。
自分に刷り込まれてきた思い込みを、ひとつずつ解いていった先に幸せがあるのだと思った。 -
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14歳の子達の心の揺らぎがこと細かに描かれているお話しだと思いました。
14歳…大人でもなく子供でもない難しい年齢。
今は情報過多の時代だから普通の自分がなんかつまらなく思てしまうのかな?
このくらいの子が万引きとかのスリルを味わうということはどの時代にもあったのかもしれないけれど、最後の方で友達のお兄さんが
『オレたちの時は駅前のスーパー潰しそうになったからほどほどにしろよ』
と、笑いながら言ったのには誰もがやること…みたいなニュアンスがあって空恐ろしくなりました。
中学生、高校生が教室という狭い空間に数十人も詰め込まれて自由がない。
だから刺激を求めがちなのかもしれないね。
けれど、逆に考えれば社会の荒波から守られている部分もあると思う。
でも、そんなことはその年代を生きている時はわからないのよね。
複雑な感情で考えが行ったり来たり…その様子がよくわかりました。
↓こんな文がありました。
これを読み、すごく毎日気を遣って生きているのだろうな…と感心?してしまいました。
目立っている人に従い、自分の立場以上に注目されないようにする。クラスのバランスを崩してはいけない。自分の役割を考え、それにふさわしい振る舞いをする。やりたいことも、やりたくないことも、周りを見てから決める。みんなの感情が作り出す空気を読み取らなくてはいけない。
(Word)
万引きしたかったわけじゃない。おもしろそうなことがしたかっただけだ。(中略)万引きに参加することは二度とない。それでいいのに、なんだかつまらない。
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“美味しいおやつが食べたくなる”ようなものではなく、おやつを通して気持ちや人生の揺らぎを描いたアンソロジーだった。
作中のおやつは、ただ甘いものではなく、それぞれの登場人物が踏ん張るための“小さな支え”や“カンフル剤”として描かれていた。
自分らしく生きる道を見つけるきっかけになったり、本と一緒に孤独や空腹を埋める青春の思い出になったり、懐かしい味が安心へ繋がったり。
特に4話目の子育ての話は、自分ではない誰かの人生に関わり続けることの大変さが強く伝わってきた。
迷ったり悩んだりしながらも、その子自身を信じていくしかない。
だからこそ、ほんの少し息をつける“おやつの時間”が必要なんだろうなと思った。
複雑な感情を呼び起こすものだったとしても、それで踏ん張れるなら、その人にとって大切な支えなんだと思う。
5話目では、選択することの難しさが描かれていたけれど、周りの雑音や不安があっても、自分が本当にやりたいことを素直に選びたいし、きっと選べるんだと思えた。
海外児童文学のエピソードと一緒に語られるおやつも素敵で、ただ「美味しそう」だけでは終わらない余韻があった。
まっすぐな道だけが正解じゃなくて、遠回りでも、自分の目指す場所へ向かおうとしているなら、それはちゃんと人生と向き合っていることなんだと思わせてくれる作品たち。
帯にあったようにおやつはまさに“今日を乗り切る力をくれる”ものだった。 -
Posted by ブクログ
なんだかんだ言っても不倫なんてろくな
もんじゃない、何で不倫をするんだろうと
思っていたんですが、スリルや刺激を求める
ためなんて言われたら勝手にしてくれと
作品の趣旨と違う感想を持った島本理生さんの
「楽園の代わりのカッサータ」。
受けた恩というか優しさって相手が
思っている以上に大きなものだし
その優しさを自然とできる彼・・・素敵だ
と思った織守きょうやさんの
「ファースト・アンド・オンリー」。
両親を亡くした悲しみから救い出してくれた
瀬戸内の島でいっしょに暮らす叔父との
素敵な時間とジャムに心ひかれた友井羊さんの
「春とマーマレード」。アイドルって見た目の
華やかさとは裏腹に大変な職業だと思った
畑野智美さんの「アンパッサン」。
子供ってなんだかんだ言ってもその子の
ペースで大人になっていくそして親は
成長した子供のことも認識するけどまだまだ
心配が尽きないって感じた伝わった
名取佐和子さんの「ドーナツ息子」。
有りがちなが言葉だけど、「何かをするのに
早いも遅いもない。ただ、始めるだけさ」
がほんとにそうだよねと心に刺さった
伊吹有喜さんの「ストロベリーの歌」。
どの話も面白かったけど、個人的には
「ファースト・アンド・オンリー」と
「ドーナツ息子」が面白かったかな。