畑野智美のレビュー一覧

  • アサイラム

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    2026/05/08(金)

    アサイラム:避難所や保護、亡命という意味。精神的に弱っている人や住む場所のない子どもたちの他に、障害のために生活に困難のある人や高齢者の保護施設こと。

    結構重い話だった。
    雪下くんの過去に関しては、環境が劣悪すぎて浮世離れしているなと感じたけれど、実際に同じような家庭はあるだろうと考えると残酷だなと思った。
    被害者が受けるダメージは自分が遭ってからでないと理解できない層が一定数いる。遭っていたとしても、理解できない人は本当に哀れだと思う。スミレの大学時代の友人の話は一理あるようなないようなという感じだった。言いたいことは分からんでもないけど、絶対に被害者を前にして言うことではない。
    行政がケアを目的に作り上げたこの街は、ある意味では理想郷なのかも。言葉は悪いけれども、地獄とも捉えられそう。
    守られた空間で心身ともに回復すること自体は良いことだろうけど、回復したその先に待っているのは天国か地獄か?
    一生その街にいて凪のような日々を過ごすことが本人にとって最善なのだろうか。街を出たらそれはそれでこれまでの生活とのギャップに苦しみそう。
    途中よく分からない文章もいくつかあって?が浮かんだ。
    最後は急に終わってしまってびっくりした。電子書籍で読んでいたから余計そう感じたのかもしれないが、えここで終わり?!って戸惑った。まじで急やった。

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    2026年05月08日
  • やるせない昼下がりのご褒美

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    ご褒美シリーズを読むのは2作目。
    美味しいおやつを大切な人と食べるひと時は幸せ。悲しいことをちょっと忘れられたり、元気をもらえたり…
    お気に入りは友井羊さんの「春とマーマレード」。物語自体も良かったし、マーマレードって柑橘類のどれを使うかで味が変わるんだと知って試してみたくなった。手作りマーマレードが美味しそう。
    そして、伊吹有喜さんの「ストロベリーの歌」は「なでしこ物語」シリーズのスピンオフだった。まさかここで読めると思っていなかったので、びっくり。

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    2026年05月06日
  • 世界のすべて

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    誰しも少なからず秘密や不安を抱えて生きている。「普通」に翻弄され、焦り、不安を抱えて。理解しようなんておこがましい。でも、当たり前だと思わない感覚を大切にしたいと思える一冊。

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    2026年05月03日
  • 宇宙の片すみで眠る方法

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    ネタバレ

    百貨店勤務経験があるので、その当たりの細かな描写は懐かしさを感じた。
    よその売場に仲の良い人ができる人間関係は羨ましい。

    今思っていることをもう少しお客様に伝えないと
    理由がわからないと納得いくものもいかないのではなかろうか。
    正しいことを言っていても相手が受け入れる気がないと意味がなくて
    結局合わない安い枕を買って本人が納得するなら
    接客業として微妙なところだなと思う。

    謝罪の席でパフェは頼まないにしろ、飲めなくて一切飲まないものを
    頼むのは勿体ないし、お店にも悪いと思うのだが。
    同じ接客業をしているのにそういうところは気にならないのかな。

    女性でもっている職場なのに何故か男性が軽視してくること
    実際本当によくあるが、あれは一体何なのだろうか。
    本当に不愉快になる。
    自分でサクサクできる女性はモテないというのも、そういう傾向があると思うが
    本当に、なんなのだろうなあれは。

    スマホのデータなんて削除してしまえるし、
    何を持って『削除した痕跡はない』と思えたのだろう。
    怪しいデータがなくても結局は削除しただけではと思って
    疑いが晴れない気がするし、だったら見ても仕方ない気がする。

    北斗くんは良い子だなと思う。
    髙橋さんも悪い人ではないと思うが、何故結ばれることになったかは
    個人的にはピンとこなかった。

    嫌なマネージャーから離れて働きやすい職場に行けて
    お客様もついてきてくださるのは
    とても嬉しい話だなと思う。

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    2026年05月02日
  • やるせない昼下がりのご褒美

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    『ファースト・アンド・オンリー』『春とマーマレード』『ストロベリーの歌』が印象に残った。
    題名と中の小説の印象が違うけどやるせない昼下がりに未来への希望を持たせるということか。

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    2026年04月30日
  • 世界のすべて

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    女装趣味、恋人が何人もいないと自分を保てない、正欲無し、恋愛不要、同性愛⋯様々な問題と一緒にどう生きていくか。
    カフェブルーを通して少しずつ視野が広がる美しさがあった。
    コトリ意外メンタルが一定してるのが印象的。

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    2026年04月29日
  • 14歳までの犯罪

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    ネタバレ

    14歳の少年少女たちの犯罪についてのお話。
    自分が学生の頃もあったな、と思うような、一言で何かが崩れる感覚とか自分の行動がずれたらそれだけで仲間はずれにされそうな感覚、自分が周りから見られたい感覚、表面上は仲良くしてるけど本当は仲良くない感覚、あの人と仲良くしたいけどそうしたら自分の今の関係が壊れる感覚。今思えばなんでそんなことを気にしていたんだろう、と感じるが、中学生だった当時はそれだけで自分の居場所がなくなるように感じられて。この本はなんとも言えないむず痒い感覚を言語化するのが上手いなと感じた。悪いことでもその時は楽しくてやってしまう、そのあとから後悔してモヤモヤするけどまたやってしまう。子供だけなのかそうじゃないのか、わからないけど読んでいて自分も人に言えないようなそんなことしてたかなーと思い出させられる本だった。

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    2026年04月28日
  • 宇宙の片すみで眠る方法

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    恋人を事故でなくした女性が寝具売り場で働くお話。

     いわゆるお仕事小説に、死別した恋人へのこだわりと決別があり、恋愛未満のような恋愛のようなものもあり、社会における女性の立場の低さを訴える要素も含んでいて、なんていうかこう「AIに生成させたらこうなるかもなってくらい、絵に描いたような”女性向け小説”やな」と思いました。

     文章はとても読みやすく飽きることはない。話の進展もするすると心地よかったです。結末に近づくにつれ「おいおい主人公、眠いこと言い出したなあ」と私は冷めていきましたが、感情移入して読めた人にとっては割と爽やかでいい感じだったのかもなと思います。私は「なんのかんの言ってゆるいなァ」などと思ってしまい、それがこの中でしきりに言われる「女を分かれない男」ってことなんだろうなとも思いつつ。

     近藤史恵好きな人ならドンピシャハマると思います。私にとっては、作品自体がつまらないというよりそういうパターン的なものにお腹いっぱいになっちゃっているためもう一つ刺さらないのでした。

     ただ、セクハラやパワハラがクソわかり易いゴミマネージャーにその役を背負わせてゴミ箱に放り込んでいたことと対象的に、「モラハラ」については、単純に加害者だけの罪として終わらせず、自身もまたそれに迎合しようとしていた部分があったことを振り返り、そんな自分自身を変えようと一歩を踏み出した、その点についてはとても素敵でした。

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    2026年04月27日
  • 14歳までの犯罪

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    ネタバレ

    中学生の娘がいる為、気になって手に取りました。
    読後、一体何を読まされていたんだろう…という気持ちになってしまいました。
    いじめや万引きなど、ありがたいことに私の人生では身近にはなかったので、その気軽さにゾッとしました。
    人間関係のあれこれはあるあるだよなーと思いつつ、主人公の子がさっぱりとした性格でうじうじ悩まないところに好感を覚えました。
    思春期の面倒くさいところが思う存分に描かれています。

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    2026年04月25日
  • アサイラム

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    大学時代に友人から性暴力に遭ったスミレ。
    その後社会人として過ごしていたが、あるきっかけで心のケアをするために行政が作り上げた街で暮らすことに。
    虐待やいじめなど暴力を受けてきた人々と関わりながら生き方を模索していく…。

    タイトルの「アサイラム」は避難所、保護、亡命という意味だそうです。
    あらすじから重たい内容だと覚悟していましたが、主人公に共感出来ない部分もあって全体的に水面を浮いている様な息苦しさがありました。
    加害行為に遭った人は普通の生活を送ることさえ努力しなければならず、十分なケアを受けることも被害を忘れることもできない。それが今の日本の社会なんだと身につまされました。
    どう生きていくのか決定権は自分にあっても、人の言葉に簡単に左右されて壊されていく姿はフィクションと思えず胸が痛かったです。

    友人からの善意のつもりのアドバイスや、悪気のない一言によるセカンドレイプに自分は言う側になっていないか、無意識に加害者になっていないか考えさせられました。
    本人は何年も苦しんでいるのに、周りの「こんなことで」、「昔のことなのに」という軽い認識は、物理的な加害よりもさらに罪深いと思います。

    アサイラムの様な街が正しいのかはわからないけど、心を傷付けるのも、傷ついた心を癒すのも人との繋がりなんだ感じました。
    同じ性被害という括りの中でも人によって家庭環境も心の回復方法も違うのだから、失敗や後悔を繰り返して相手と向き合っていくしかない。
    こういうお話で無理にハッピーエンドにせず、主人公たちの将来を応援したいと思える終わり方でよかったです。

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    2026年04月24日
  • やるせない昼下がりのご褒美

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    織守きょうやの「ファースト・アンド・オンリー」好きです。このくらいの恋愛が素敵です。これ以外は普通のお話でした。

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    2026年04月19日
  • 宇宙の片すみで眠る方法

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    寝具を新調したくなるお話し。話全体としてはいい意味で刺激的な抑揚には欠けるのだけれど、人の心の繊細な部分を捉える描写は流石畑野さん。

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    2026年04月17日
  • やるせない昼下がりのご褒美

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    「ファースト・アンド・オンリー」が良かった。なでし子物語のスピンオフ「ストロベリーの歌」に出会えてラッキー!

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    2026年04月14日
  • やるせない昼下がりのご褒美

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    落ち込んだ気持ちにおやつがご褒美となる、そんな6人の作家さんのアンソロジー。
    おやつっていいよね!と思わされる。
    淡々とした同級生と踊り場で食べるおやつの話、
    両親を亡くした中学生の女の子がマーマレードジャムに癒される話がとても良かった!

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    2026年04月10日
  • やるせない昼下がりのご褒美

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    みんな何かを抱えて生きている。
    どうしようもないけれど…悩んだりしながらも生活していくわけで、それでもいつの間にか状況は変化していくのだと。
    そのときのご褒美は、きっといつまでも心に残るものなのかもしれない。
    どの作品も作家の特徴がよく出ている。

    「楽園の代わりのカッサータ」島本理生〜妻子ある相手と伊豆の山奥のホテルで。

    「ファースト・アンド・オンリー」織守きょうや〜忘れられない同級生と屋上前の踊り場でお弁当。

    「春とマーマレード」友井羊〜果樹が生い茂る瀬戸内海の島で叔父と。

    「アンパッサン」畑野智美〜卒業するメンバーと取り組む最後の仕事で。

    「ドーナツ息子」名取佐和子〜幼い日の息子との思い出が詰まったドーナツショップで。

    「ストロベリーの歌」伊吹有喜〜憧れの女性たちとのイチゴ尽くしのピクニックで。


    なかでも「ファースト・アンド・オンリー」の言葉少ないけど思いやりのある関くんが良かった。


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    2026年04月08日
  • 14歳までの犯罪

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    中学生のとき私は万引きもいじめも暴力もしていないが、この小説を読むと、なぜか懐かしいと感じてしまった。うまく言い表せないけれど、私が中学生の頃に感じていたモヤモヤと、似ている気がした。物語に入り込んで、読後もずっとモヤモヤしてしまった。

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    2026年03月31日
  • 若葉荘の暮らし

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    人は不安や悩みを抱えながら生きていて、それを誰かに打ち明けられる人もいれば、そうでない人もいる。ということに改めて気づいた。そんな中でも、みんなに安心できる居場所があればいいなと思う。
    自分はまだ20代で先のことを深く考えたことはないけど、登場人物が抱えている不安や悩みは身近な感じがして、共感する部分もあった。
    色んな人の人生を覗かせてもらったような1冊だった。

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    2026年03月29日
  • 世界のすべて

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    誰も一人で傷つかない、優しすぎる「多様性」の教科書。

    ​カフェ店員の鳴海くんが、店を訪れる客たちとの交流を通じて「世界の多様性」を学んでいく物語。アロマンティック、アセクシャル、ポリアモリーにフィクトセクシュアル……。今の時代、LGBTQという言葉だけでは括りきれない、グラデーション豊かな「個」の在り方が丁寧に描かれます。

    ​知らない言葉も多かったですが、それらを知識として「押し付ける」のではなく、あくまで日常に存在する「特別ではない隣人」として提示する姿勢には非常に好感が持てました。まさに令和の多様性の教科書、といった趣です。

    ​ただ、登場人物全員が「いい人」すぎて、まるで最近のテレビ番組を見ているような感覚に。刺激はなく、誰も傷つかない。RADWIMPSなら「誰も一人で傷つかないように地球を丸くしたんだろう」と歌詞にしそうなほど、全方位に配慮された丸い世界観。
    ​学びとしては非常に有意義ですが、一冊の「小説」として心が激しく揺さぶられたかと言えば、答えは否。価値観を押し付けず、「何かあったら話を聞くよ」とそっと寄り添うことが大切です。

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    2026年03月29日
  • 大人になったら、

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    ネタバレ

    表紙の可愛さに惹かれ、さらにあらすじを見て他人事とは思えず読んでみた

    メイちゃんたちよりも10歳若いけどメイちゃんと自分を重ねて読んでいたので、ところどころ自分のコンプレックスが刺さってうるせーよ!と言いたくなるところもあったけど、逆にみっちゃんや杉本くんの自己肯定感とかそれゆえのコンプレックスとかに共感できるところもあった

    ラストは文章は美しかったけど、うーん、そうなるんだって感じ
    奇跡感が否めなくて、うまく言えないけど小説を感じてしまった

    10年後また読んでみたい
    今はメイちゃんに共感してるけど、もし独身だったら羽鳥先生に出会えたことを妬ましいと思ったりするのかな

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    2026年05月10日
  • 宇宙の片すみで眠る方法

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    ネタバレ

    睡眠と寝具のこと、勉強になった。

    相手の気持ちを察しやすい人が陥りやすい、かつての天秤が傾いたような関係がだんだん明らかになる様子は読者への大きな問い。

    好きな人によく思われたい、好かれたいと思うのはとても自然なこと。
    かといって、一方的に相手に合わせたり、相手の希望に沿うように振る舞うのは違う。
    依里は婚約者の直樹が事故で死んだことによりそのことに思い至る。
    相手の気持ちや好みを察した上で、自分がどうしたいのかを選ぶことができるのが一番いい。

    転居して職場も変わった依里が、再び立ち上がって新しい自分で、新しい関係を作っていけるかもしれない、と感じさせる最後、よかった。

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    2026年03月25日