畑野智美のレビュー一覧
-
Posted by ブクログ
40歳以上・独身女性のみのシェアハウス。コロナ禍で飲食店のアルバイト店員をしていたミチルは生活費を抑えるためシェアハウスに入居する。
そこには事情がありながらも自立して生きる女性達がいた。一緒に食べ、時には交流し、でもあっさりとした付き合い。
ミチルは人と出会い、環境が変わる中でひとつの決意をする。
シェアハウスの暮らしの描写がとてもよい。清潔でちょっと副菜もらったり、百円でハイボールを購入したり。人たちもよい。自分もシェアハウスに入居したかのような体験ができます。
明るくワイワイシェアハウスではないけど、落ち着いた清々しい物語。瀬尾まいこ先生や小川糸先生を好む方に良さそうです。 -
Posted by ブクログ
漫画家の藤波夏帆は、『月収十五万円、六畳一間で夢をかなえる』でデビューして以来、節約・ライフスタイルエッセイを中心に、そこそこの人気を保ってきた。だが38歳を前に、これまでの作品で伝えてきたメッセージや世間でのイメージ、そして脚本家の彼氏との間にズレを感じ始める。自分が本当に描きたいものは、何だろう。新連載に向けて始めた取材と観察は、やがて夏帆の生活にも波を起こし始め・・・。
最初エッセイなのか?と思いながら読むくらいにはわりとありそうな話かつ、ご都合主義がない結構苦い展開である。おいおい、この年齢の女子を捕まえておいてそれはないだろう・・・というくらい彼氏がひどい。私ならもう無理すぎて秒で別れる選択しかない。でもこういう長年阿吽の呼吸で、しかも自分からアタックしたようなパターンだと、なかなか別れる踏ん切りがつかないものだというのもよく分かる。読んでいてゔっとなる場面がいくつもあって30-40代の女にはリアルすぎる。最後はここで終わりなの?というわりとあっさりな感じだが、だらだら彼氏と続いたり編集者さんと恋愛関係に持ち込まなかったのは良かった。 -
Posted by ブクログ
なんか直樹の死に関わるあれこれやその後の成り行きが今やってるドラマに似ているなと。
まず、依里が大学卒業後、留学も就職もしなかったことが彼女の主体性のなさを物語ってる。彼に合わせ、彼のためにだけ生きたから、失った時に何も残らなかった。そんな彼女が、少しずつ“自分”がやりたいことを優先させていこうとする過程が描かれる。
また自分を無くしそうで、一度は離れた高橋と本の終わりでは行き違ったけど、webで公開された続編でその先の選択を見られてよかった。
依里の再生物語としてだけではなく、自ら寝具店勤務経験者だという作者の知識が生きた、自分に合った寝具の選び方など役にたつ知識も満載で面白かった。
枕難民の私、マットレスにも問題あるのでは?と寝具売り場に行きたくなってる。
-
Posted by ブクログ
----------------------------------
あの人と過ごす
何気ない「おやつ」の時間が、
今日を乗り切る力をくれる。
おいしいものを愛する作家陣が贈る、
心とおなかの空腹をあたたかく満たす連作短編集。
----------------------------------
好きな作家さんが多く参加されていて購入しました。
これもかなり前に読んだので記憶が曖昧ですが。
ぱらぱらページをめくると少しずつ思い出してきました。
島本理生さんの「楽園の代わりのカッサータ」が好きでした。
議員と不倫という不毛なことと、
切ないけどなんか爽やかな部分もあって。
他の作品も同級生や親子等で、
忘れられない瞬間と食べ物が。
読後が良いアンソロジーでした。 -
Posted by ブクログ
ネタバレ少し前に読み終わった作品。
登場人物やあらすじなど少しうろ覚えになってしまっているけど、覚えている限りで感想を書く。
大きな展開はなくても、色々なライフステージにいる家族、友達、恋人、同僚の登場によってそれぞれにとっての"幸せ"の定義や苦悩を感じ、感情移入してしまった
30代後半、まさに自分のこれまでの人生を振り返って答え合わせをする時期なのかな
方向転換をするには少し勇気がいる、だからといって目を背けていたら何も変わらない。それをまざまざと見せられて、これから30代後半を迎える私は少しザワザワする気持ちになった。
《印象に残っているところ》
・主人公ー夏帆、漫画家(イラストレーター)、30代後半、長女、美人
美人なのに嫌味がなくて聡明な印象。妹がいて、妹の言動に迷惑したり、困惑したり、イライラすることがあってもそれを態度に出さず、距離も取らず、困っているときはいつも助けてあげるところ、とにかくしっかり者の長女というイメージ。
自分の描きたいものではなく、ターゲットやどんなイラストを求められているかを冷静に分析して、それに応える形で絵を描く仕事をこなすところ、理想と現実を切り分けて考えられる、とても賢い人。その分析は正しく、自分の稼ぎだけで生きていける、自分の生活を丁寧に組み立てているところも、私が理想だと思う30代後半の大人の女性。
・夏帆と妹の関係
ザ・出版社勤務です!の育児しない系男との結婚でほとんどワンオペ育児を強いられている妹。
自分がイライラしていると、姉が独り身であることを非難することでストレスを発散している。夏帆の心に浮かんだ「しきりに結婚を勧めるけど、あなたはそんな夫と結婚して本当の幸せを手に入れたの?ワンオペで家事も育児もできない夫なのに?(意訳)」のような言葉に痛快!もっとやれ!と思ったけど、絶対に言葉にしないのが夏帆。お姉ちゃんって生きづらいのね。
末っ子でやりたい放題していた私、客観的に自分を見ているようで恥ずかしくなった。実兄たち、こんな妹をありがとうね。
・女友達の変遷
夏帆の日常に女友達があまり登場しないのが妙にリアルで。親友はバツイチになってから病んで性格が変わってしまうし、定期的に会っているといえばやはり妹。そんな妹もワンオペ家事育児で大変そうで、夏帆自身も"幸せ"の定義が分からなくなってくるのが分かる。
『女性は同じライフステージにいる人としか友人関係を維持できない』という言葉は、悔しいけど的を射ていると思う。ライフステージが違うのに関係を維持できている場合は、どちらかまたは両方が相当に神経をすり減らして、気を遣ってなんとか維持しているのではないかと思う。
そうまでして維持するべきか、それともお互いのためにそっと距離を離していくのか(自然に)
、それもその人の考え方によるよね。
夏帆は妹といると苦しい気持ちになることの方が多そうだから距離を取っても良いのでは、と思いながら読んでいた。
・ヨシくんと別れられない夏帆!
何年も付き合って、結婚や子供の話をすると、気まずい感じになってしまい、それ以来お互いにその話題を避けている、そんな状態で何年もダラダラ付き合っている状態→やめとけそんな男!
夏帆の仕事が順調だったり同僚(男)の話題を出すと不機嫌になる→やめとけそんな男!!
過去に夏帆が作った「フルーツと食べ物の組み合わせが嫌い」と言っておきながら、若い女と浮気。若い女の作ったフルーツのカプレーゼ(だったっけ)は食べてるっぽくて→やめとけそんな男!!!
浮気した時点でもう絶対にアウトなのに、最初は許そうとしてしまう夏帆、どうして、どうしてなの、、と思いながらも年齢や重ねてきた時間を考えると離れられない・別れ話を切り出すのも体力がいるのかな、と考えたりした。
まともな恋愛経験がない私がこんなこと言うのもあれだけど、美人な人って意外と恋愛に苦労している気がする。なんでなんだろう、顔が良いと内面も知らずに安易な男がすぐに寄ってくるのか。まぁ残念ながらそっち側の苦悩が分かることはないのだけど(泣いてない)。
・貝塚くんと付き合わないの凄い!
正直に言うとパフェのクリームを口につけているところからおばさん(私)、メロかったです。仕事を支えてくれる健気な年下男子、最高じゃない?
ヴィラでキスされたときも告白されたときも、曖昧な態度を取らずにちゃんと断っているところ、夏帆って本当に誠実だと思う。これも美人故なのかな〜真のモテ女という感じ、尊敬します。私ならグラッと来てそのまま受け入れてしまいそうだよ、てかみんなそうじゃないんですか??
《メモ》
この作品を読んで、30代の女性の悩みって本っっ当に多種多様なんだなと改めて考えさせられた。
私は既婚・子持ちだから妹の気持ちに少しだけ共感する部分もあったけど、それでも環境や生活の仕方が違えば悩みは全然変わってくる。
バリキャリにはバリキャリの、独身には独身の悩みがある。でもそれを一括りにしてはいけなくて、その中でも、その人によってさらに分岐していく。だからこそ人の悩みを簡単にカテゴライズして「分かる」なんて共感するのは失礼にあたるよな、と感じた。
全ての悩みがもうある程度どうでも良くなって、どんな人とも仲良くなれるようなおばあちゃんになりたいな〜
でもきっとおばあちゃんにはおばあちゃんの悩みがあるのよね…(沼)
大切なのは、優先順位を間違えないこと。仕事なら仕事、趣味なら趣味に生きて全然良い!
でも夏帆のように自分を犠牲にして人に尽くすってやっぱり人生を消費しているような気がしてしまった。
自立しているし生活の基盤も自分で整えられる夏帆が、もっと自分を大切にして自由に生きられる世の中でありますように。