畑野智美のレビュー一覧

  • アサイラム

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    いじめ、DV、犯罪、ハラスメントの被害に遭って心が壊れた人が行政の支援を受けて暮らす架空の街を舞台に、性加害に遭いこの街に来たスミレの回復の過程を描く物語。

    人の心って壊れやすく、ひとたび壊れたらなかなか修復していかないものなんだなとしみじみ思う。
    この街は街全体が「避難所」。ある意味理想のサンクチュアリ。徹底したルールの下に、経済的な不安もなく安心して暮らせる街は被害者に優しく、ともすればずっとここにとどまりたくなるだろう。それは決していいことではないと思う。
    だからこそ、外に出て生きていくことを選択した雪下君を応援したいし、ここで自分を変えることに苦痛を覚える留美ちゃんの気持ちもわかる。

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    2025年04月21日
  • ふたつの星とタイムマシン

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    ペア小説の1冊。
    どちらを先に読んでもよいらしいので、発刊が先行した本書から。

    近未来の設定ではないのに、超能力やタイムマシン、家庭用本格ロボットなどが出てくる7話の連作短篇集。

    不思議な現象を目の前にしても、全否定したり、驚き過ぎて失神したり(笑)というような描写はなく、登場人物たちは「まぁ、あるかもね」とスッと受け止めている。
    もしや、私の今いる時代のパラレルワールドの話?と想像しながら読んだ。

    登場人物のリンクもしているだろうと期待しながら、ペアのもう1冊へ進もう!

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    2025年04月21日
  • 海の見える街

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    「大人のための恋愛小説」という見出しはしっくりこなかった。すごく狭いコミュニティでの話だから盛り上がったんだろうなという、どちらかというと学生の延長上の恋愛に感じた。

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    2025年04月19日
  • 消えない月

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    ストーカー被害者・加害者、両方の視点で交互にストーリーが進むので、両者の心情が見える。

    ストーカーの考え方が想像を超えていた。自分は当然のことをしていると思っていて、ストーカーしている自覚がない。だからストーカーなんだろうけど…

    主人公(被害者)は自分にも非がある、周りの大切な人に迷惑掛けるくらいなら自分が我慢すればいいと自罰的な考えに傾倒してて、読んでてイライラしてしまった部分がある。
    だけど、自分がストーカーされたら、そういう考えに囚われてしまうのかな…

    それにしたって、主人公は周りからの扱われ方?に対して鈍感すぎないか?

    タイトルもストーカーのことを端的に表していて秀逸。

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    2025年04月17日
  • 世界のすべて

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    アセクシャル・アロマンティックの性的自認を持つ青年が主人公。
    アセクシャル・アロマンティックという人たちがいるというのは、昔、NHKドラマ「恋せぬふたり」で初めて聞いた。
    今は性的嗜好を自認してカミングアウトして生きていく人もいる中で、この物語の鳴海優輝はアセクシャル・アロマンティックを自認しつつもカミングアウトせずに生きている。
    生きづらさを感じながらも、同じように何かを抱えている人が集まる「喫茶店ブルー」で働きながら、少しずつ自分の居場所を作ろうとする。

    職場にもジェンダーの人がいるし、以前読んだ「正欲」も性的嗜好がテーマの話だった。
    人は十人十色だから、少数のカテゴリーに仕分けするほう

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    2025年04月17日
  • 国道沿いのファミレス

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    大手外食チェーンに就職した主人公の男性『ユキ』。ある店で働くうちにアルバイト女子高生に手を出したとSNSに嘘を書かれ、会社の処分として故郷である地方都市のファミレス店舗に左遷される。
    そこでユキは家族、友達、恋人…自分と向き合っていく物語だ。

    外食レストランでのアルバイト経験は僕もあるが、アルバイトのシフト問題、社員とアルバイトの意識の違い、キッチンとホール、アルバイト同士の恋愛…様々な描写が何だか懐かしかった。

    『セックスをした』という描写がやたら多く、個人的には不要だったなあ。

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    2025年04月17日
  • アサイラム

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    ネタバレ

    シェルターのような役割を担う架空の街が舞台となっている。
    いじめ、虐待、DV、ネグレクト、性暴力。さまざまな要因で深く傷を負っていたり、精神的に弱っていたりする住人たちが、行政やのサポートや助けを受けながら、自分の身に起こったことをゆっくり癒やしていく過程が描かれる。
    登場人物の一人一人が、それぞれ自分なりの方法で過去と向き合っていく描写がとてもていねいだった。

    主人公である真野スミレは7年前、大学の同じサークルだった男子から一方的な好意を寄せられていた。
    やがて留学することになった彼を送りだすために開かれたお別れ会の後で、彼は友人の協力でまんまとスミレの家に上がり込み、そして同意なくスミレ

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    2025年04月14日
  • 消えない月

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    ネタバレ

    救いない現実を突きつけられるラストのため、⭐︎3。筆者の見事な文才やストーカーへの見聞が広がる点はもっと⭐︎を、と思うが、気持ちが悪くて2度は読めない。
    筆者の描きだす、基準となる価値観が異なれば、人によって真実や正義はこうも違うのか、と唸る巧妙な見事な書き振りは見どころだとおもう。
    松原ストーカーは、サクラが女が、自分に逆らってはいけない、それが立派な女になる事などという戯言が、世界の基準。絶対お断りしたいが、離れる事は悪事だと断罪してくる。周囲にこういうモラハラ気質が居て、恥ずかしくないのか?と思うが、全く悪いなど思っちゃいないんだろう、と確信した一冊であった。

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    2025年04月09日
  • アサイラム

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    辛かった。

    アサイラムは避難所を意味する。

    困難な状況にある人をケアする目的で行政が創り上げた街。
    この街では性加害に遭った人やいじめ、DVを経験した人達が生活する。

    文中に何度か宗教という言葉が登場するが、そんな空気感があった。

    最も辛く感じたのは、性加害に遭った人への心無い言葉。

    自分を責める当事者に追い打ちを掛ける言葉の数々。
    責められるべきは加害者だ。
    仮に自業自得だと思ったとしても声に出す必要などない。

    居場所があることは心の支えになる。

    だがアサイラムが無くても安心して生きていける社会になって欲しいと心から願う。

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    2025年04月09日
  • 世界のすべて

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    性的マイノリティ、恋愛感情そのものがない、などいろんな人がいるのは理解できる、できるというか、人はそれぞれでそんな人もいるんだなーと
    ストーリーは淡々としていて、息を潜めている感じが、ブルーという喫茶店の雰囲気と勝手にリンクした
    水族館、いや、深海みたいな潜水してる感じ?
    鳴海の周りは良い人が多くてよかった

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    2025年04月06日
  • 消えない月

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    ストーカーの執着が凄まじい。
    独りよがりで自分に都合が良いように物事を捉えている様子が本当に怖かった。
    人間の怖さを感じた。

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    2025年04月02日
  • 世界のすべて

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    全体的に面白かった 話自体が鳴海みたいな色だった
    人と話すときに自分の前提ってやっぱり怖いなぁとも思った
    欲を言えばコトリはもう少し絡んで欲しかった

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    2025年03月23日
  • 世界のすべて

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    5年間務めた会社を辞め、街の小さな喫茶店「ブルー」で
    アルバイトをする鳴海優輝。「ブルー」には秘密を
    抱えた人々が集まってくる。秘密に向き合う鳴海にも、
    周りに言えない想いがあった。

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    2025年04月29日
  • 消えない月

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    後味の悪さが印象に残った。

    「ヨルノヒカリ」がとてもよかったので
    畑野智美さん2冊目にこの作品を読んだのだが…

    序盤から早くもストーカーの話になって
    読んでる途中から嫌な気持ちになったけど
    読みやすく そしてどう解決してくれるかって思ってどんどん読めた。
    終盤では
    「絶対に来るでしょ 松原…」
    とヒヤヒヤしつつ
    「なんて隙を与えるさくら!」と歯痒い気持ちだった。
    スカッと終わってくれたら救われた…

    さくらの中途半端さにもモヤモヤして
    応援する気持ちより、何で?と思う点が多い。
    主人公への若干の 共感のなさが後味の悪さに繋がるし
    被害者の甘さと加害者の歪んだ正義感が際立ち、
    そういう意味

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    2025年01月26日
  • 海の見える街

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    海辺の街で繰り広げられる大人の青春という感じ。何歳でもやっぱり人は人と出会って関わっていくことで変化して、幸せを掴むのだと思った。

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    2025年01月21日
  • 大人になったら、

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    30代独身で抱える同世代への想いや焦燥感、将来の自分に対する漠然とした不安などが描かれていて、当時自分には言語化できなかった思いが詰まっていて共感する点も多かった。

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    2025年01月11日
  • 消えない月

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    被害者の恐怖と加害者の執着
    ストーカー被害の闇を両側の視点から抉る傑作イヤミス!
    と紹介されているけれど、ミステリーなのかな?
    嫌な気分で終わるけど それにしてはラスト加害者側の心情や家庭に寄り添いすぎたのではと思います
    ストーカー小説としては なかなかの鳥肌モノ
    ストーカー化する元交際相手の成立しない会話、
    自分本位の思考
    ただ、好きなのだ、束縛したいという感情と表裏一体でもしかしたら誰しも落ちいる精神状態なのかもとも思う
    この小説のストーカーは、異常ですけど

    語り部を被害者加害者両側から
    感情のすれ違いを興味深く恐ろしく読みました

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    2025年01月10日
  • 感情8号線

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    みんな他人が幸せに見えて、自分は不幸だと思ってる。改めて、他人から見て幸せかどうかではなく、自分が幸せかどうかを考えて生きていくことが大事だと思った。

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    2025年01月03日
  • 感情8号線

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    ネタバレ

    真希
    二年前からほぼ毎日餃子を包んでいる。荻窪の餃子屋のアルバイト。三年前の三月から働き始めた。二十三歳。中央線沿いの西荻窪のワンルームアパートに住んでいる。最初に会った時からずっと、貫ちゃんがすき。静岡の短大を卒業して、三年前に役者になるため東京に出てきた。公太と付き合っている。

    麻夕
    餃子屋のアルバイト。二十三歳。去年の春に大学を卒業して、先週までの約一年間は家事手伝いという名目の無職だった。田園調布の実家に住んでいる。貫ちゃんの舞台を見て、貫ちゃんが働いている餃子屋でアルバイトを始めた。

    貫ちゃん
    餃子屋のアルバイト。二十三歳。風呂なしトイレ共同の西荻窪のアパートに住んでいる。高校を

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    2024年11月20日
  • 神さまを待っている

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    ネタバレ

    水越愛
    大学を卒業して三ヵ月が経った頃、文房具を開発している会社に派遣された。三年経過し、社員登用が無理だと伝えられた。家賃を払えなくなり、漫画喫茶に寝泊まりする。

    雨宮
    愛と高校、大学でも一緒だった。区役所の福祉課に勤めている。

    マユ
    愛と同じように漫画喫茶で寝泊まりしている。

    サチ
    出会い喫茶で会った女性。

    勇気
    愛の父親の愛人の子。腹違いの弟。

    仁藤
    ボランティアスタッフ。大学院で社会学を学んでいる。

    ナギ
    シネコンの入り口の前によくいる女の子。

    ルキア
    サチの息子。

    キララ
    サチの娘。

    山本由美
    高校一年、二年の時に同じクラス。

    ケイスケ
    出会い喫茶の常連。

    川瀬

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    2024年11月19日