【感想・ネタバレ】アサイラムのレビュー

あらすじ

大学生の時に友人からの性暴力にあったスミレ。
限界に達した心を抱え、困難な状況にある人たちをケアする街に辿り着く――。

『消えない月』『神さまを待っている』『若葉荘の暮らし』、
現代女性の寄る辺なさに真摯に向き合い、そっと軽くする――著者最新作!

===
「それぞれに過去はあって、これからどう生きていくのか悩んで、
闘っていることはわかるから、気にせずに自分のことだけ考えていればいいの」

大学生の頃、自分のことを好きだという友人から性暴力を受けたスミレ。
忌まわしい記憶を胸中に押し込めながら社会人として過ごしていたが、久しぶりに会った女友達から、
彼が当時のことを美しい思い出として吹聴していたことを聞いて、何もできなくなってしまう。
行政がケアを目的に作り上げた街で暮らすことになり、
いじめや虐待など、暴力を受けてきた人々と関わりながら、自分はどう生きていくのか、模索していくが――。

人の心は、あまりにも繊細で複雑だ。
痛みと再生を真っ向からとらえた物語。

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感情タグBEST3

Posted by ブクログ

見えない傷を抱えている人は時間と受け入れと治癒に時間がかかる
見えないからこそ厄介で調子が悪くなると一気に穴に落ちてしまう
アサイラムで過ごして少しずつ前へ向く彼らがこれから少しでも安寧な日を過ごせるように祈りたい

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2025年10月12日

Posted by ブクログ

心に傷を負った人たちの街。優しくて穏やかで、でも少しだけ息苦しさもあって。
面談で、加害者側の視点で事件を語った被害者に対して担当者がかけた言葉「あなたはあなたが見たことを信じればいい。そしてそれを話せるようになってください」に、ハッとした。自分視点で物事を語るのは、主観的であまり良くないことのように思えてしまうけど、そんなことはないのかもしれない。

すごくがんばっていて、がんばりすぎて周囲から心配されていて、その心配の通りくじけてしまった留美ちゃんを見ていて寄り添うことの難しさを痛感した。留美ちゃんが街を出た後どうなったのかわからないままなのが気がかりだけど、人生ってそういうものだから。畑野さんの作品はいつも、人と人の関わりは人生のほんの通過点だと教えてくれる。
雪下くんが街を出て行ったのはどんなに前向きな旅立ちであっても寂しさが大きくて。
いつか、元気で再開してほしいな。

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2025年07月05日

Posted by ブクログ

ネタバレ

アサイラム(asylum)とは、英語で「避難所」や「保護施設」といった意味を持つ言葉である。

様々な加害行為を受けた心に傷を負った被害者が安心して暮らせる街を税金で賄っている。この世界は、彼女たちの理想郷だなと感じた。

様々な問題から、現状だと実現は難しいと思う。
しかし、私も、アサイラムのような避難所のような居場所を見つけたいなと思った。

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2025年06月18日

Posted by ブクログ

こんな街が現実にもあったらいいのに。
「そんなこと」と言われても、それを嫌だと感じたなら、それは「被害」でいい。

社会的には相手を慮るのも大事かもしれないけど
自分を一番大切にできる生き方をしたい。

もっとキツイかなと思ったけど
比較的マイルドな濃度で読みやすかった。

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2025年06月15日

Posted by ブクログ

「優しさ」の基準や価値観が同じだったので、安心して読むことができた。

情景の描写が綺麗で、見たことない街並みが頭の中に浮かび上がってくるようだった。

本当にアサイラムが存在していたら良いのになと思う。

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2025年04月25日

Posted by ブクログ

心に傷を負った人々が暮らす街、アサイラム。
大学時代に同じサークルの男性から、同意のない性加害を受けたスミレはその街で暮らすようになる。
心に傷を負った人々が暮らす街、なんて重たいのだろう。

この街に住む雪下くんはとても幼く見えたが、スミレと変わりない年齢だった。
生育環境が特異だったので、雪下くんは電車に乗ったことがない。
ひとりで出かけられない。
親は愛情から、彼を一人で行動させなかったのだ。

登場人物は少なくはなかったが、一番心にの響いたのは雪下くんだった。

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2025年11月30日

Posted by ブクログ

「アサイラム」とは
避難所や保護、亡命という意味。

物語は、いじめやDV、性被害などで
心や身体に傷を受けた人たちが住む街に
大学生の頃に性被害を受け、癒えない傷を持つ
真野スミレ。

そんな彼女が働く雑貨で同じくそれぞれに
傷がある人たちとともに過ごしていく日々が
丁寧に描かれた作品になってます

畑野さんの作品の好きなところは、
キャラクターの感情面を繊細描写している部分です

傷ついて別の場所て過ごしていても
人と人が関わる中では何かしらの問題や悩みが
出てきます。
そういう時に他者重視の考えではなくて
時には自分のことを大切にすることも必要なんだと
感じました。

物語に出てくるキャラクターは決して
それぞれが都合のいいようなハッピーエンドを
迎えているわけではないですが、
それでも、その人たちは自分の意思で決めて
進んでいく姿が眩しく見えました。

スミレも自分が受けた性被害を直視できずに
いましたが、カウンセリングや同じく
心に傷を持つ人たちと関わる中で
少しずつ前を向いて進んでいく姿が
心に残りました。

本の中で、自分も知らない誰かに嘘か事実か
わからない情報を疑いもせずに受け取り
誰かを傷つけているのでは?という内容に
人は被害者にも加害者にも簡単に
なってしまう恐れがあるんだなと思いました。

本の中での癒しは、
本のタイトルと同じ名前のレストランの料理が
とても美味しそうで、そしてその描写の時は
出てくるキャラクターが、穏やかな気持ちに
なっているので、美味しい料理の力って
すごいなぁーと思いました(^ ^)

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2025年11月26日

Posted by ブクログ

内容はとても重いのに
アサイラムの生活が静かでだいぶ好みでした。
心に傷を持った人たちで暮らしていくなんて
理想的かも。私も住みたい。

性被害ではなく性加害、
言葉一つとっても違うものですね。

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2025年11月05日

Posted by ブクログ

自分の日頃のおこないを振り返ってしまいますね。今までもたくさん傷つき、傷つけてきたであろう過去までも振り返ってしまいます。ツラい。

本作は、性加害(あえて性加害と言います)にあった主人公スミレが行政の支援によって支えられている市に住んでいます。
昔からの住人もいますが、虐待やいじめなど様々な被害者の方々が移り住んできていて、傷つかないためのルールのもとに暮らしています。
むやみやたらに相手の過去を聞かない。
その場にいない人の話はしない。など、当たり前であるような、でも実はそれでコミュニケーションをとることが普通になってしまっているような、うー、考えさせられる。
人は怖い。他人と関わらなければ、平和に穏やかに暮らせるのに。生きるって難しい。

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2025年10月08日

Posted by ブクログ

加害行為により傷ついたひとたちの再生への話です。深く考えさせられるため、読後感はかなり重めです。
被害者への支援の必要性が、今になってやっとクローズアップされてきたように思います。その究極系とも言えるのが、作中に登場する街です。行政がここまで取り組むことは十中八九ないので、実現することはないのでしょうが。。
この話の中で難しいと感じたのが、二次的な加害行為についてです。性加害では特に、そんなの大した事ないしいつまで引きずっているの、と言ってしまいそうになる自分に気付きました。被害者をただただ追い詰めてしまう言葉です。
街でのルールとして、他者に深入りしない、噂話をしない等がありました。それはすなわち、それらの行為が二次的な加害行為になりやすいということだと思います。誰も傷つけることなく生きていきたいものですが、少なくとも不用意な一言をなくす努力を続けていきたいと思います。

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2025年09月19日

Posted by ブクログ

性加害、いじめ、虐待、DVなどの被害者のために作られた街のお話です。
こんな街が現実にあったら救われる人は多いんじゃないかな…というか、現実がこの街みたいに優しい世界だったらいいのになぁと思います。
日本にはまだまだ性加害やいじめなどの完全に犯罪なのに犯罪となかなか認定されず被害者が泣き寝入りするしかない事件が山ほどあって、本当に暗澹たる気持ちになります。
被害を受けて仕事を辞めざるを得なくなったり、転校したり、なぜいつも被害者ばかりがこんなに苦しまなければならないのか…。

主人公のスミレは大学時代に同じサークルの男性からの性加害に遭います。数年後サークル同窓会で、同じサークル仲間が全員そのことを知っていたことを知ります。更に、サークル仲間たちは、その事件を男性側の片思いが成就した甘い恋愛事だと思っていたと知り、強いショックを受け仕事に行けなくなります。

友人女性から「みんなが(そういう体験が)あること」「気にしすぎ」「自意識過剰」などと言われるのが最悪のセカンドレイプで…。
でも、セクハラや性暴力を容認し、女性の人権をないがしろにする社会にその友人も順応させられてるんだよなぁ。

被害者たちの街で心と身体を回復させ社会に復帰するのにも、当然その人その人でハードルは異なる。
スミレのまわりにはスミレと同じ性加害の被害者もいるが、同じような経験をしていても、人それぞれにバックボーンは異なる。スミレのように比較的良好な親子関係で学歴が高く仕事ができる女性もいれば、中卒で家族仲が悪く彼氏の家を転々としていたような女性もいる。
人によっては辛い経験を乗り越えるのではなく、被害を無化して以前と同じような環境に戻ろうとする人もいる。
なんで?と思ってしまうが、本人には避難する原因となった被害の他にも周りが気づかないようなコンプレックスやトラウマがあって、優しくて正しいこの街で疎外感を深めてしまうこともある。

被害者の救済や社会復帰は本当に難しいものだと思いますが、主人公がなんとか前向きに新しいことに挑戦するラストに少し希望がありました。

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2025年08月16日

Posted by ブクログ

こんな町が現実にあればいいのに。批判はあっても行政の支援は必要だと思う。自分が家族や友人だったら何ができただろうか。

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2025年08月10日

Posted by ブクログ

ネタバレ

2025/05/03予約 24
アサイラムとは避難所、保護、亡命などの意味。
心に傷を負った被害者が安心して暮らせる街を
税金で賄っている。税金の使い道として理解してもらいにくいとは思うが刑務所は莫大な税金で運営されている。そう思えば被害者は自力で立ち直れというのは公平ではない。考え方のひとつとして、なるほどと思った。ただ体の傷を負った人、病を得た人の事も考えたいと思う。働きたいけど働けない、そして福祉からもこぼれ落ちる人は必ずいる。全ての人に同じように、と思うが言うは易しなんだろう。理想郷ではある、そんな国になればいいな。

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2025年06月15日

Posted by ブクログ

いじめや何らかの犯罪被害者が避難して庇護下で生活できるという架空の街。本人だけではなく家族で住むことができる。
被害者ではなく「加害行為に遭った」という表現に違和感があったが読み進めるとなるほどと思えた。
加害者は刑務所や更生施設で税金によって暮らしているのに被害者にはそのような制度がないのは確かに矛盾している。
犯罪被害者でなくても心を壊してしまう人が増えている昨今このようなコミュニティが必要だと感じた。

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2025年06月01日

Posted by ブクログ

ちょっとSFっていうか不思議な話だった。
なんか心がゾワゾワする。ずっと闇って感じだった。
留美ちゃんみたいな結末の子がこの作者さんの本にでてくることに驚いた

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2025年05月15日

Posted by ブクログ

加害に遭った人たちの街が本当にあるのかと思って思わずネット検索してしまった。実在はしないよう。世の中にこういうコミュニティがあってもいいと思う反面、コミュニティ内で全てが完結してしまうのもこわい。

当事者にならないと本当の辛さはわからないけれど、自分がニ次加害を無意識に加えないように、自分の物差しを常に疑うようにしたい。
自分が我慢すればいいみたいな風潮はやっぱり無くなってほしいし、自分自身もやらないようにしていこうと思う。

読みながらあっちこっち思考が飛んで、色んなことを考えさせてくれる本。というより、考えざるを得ない状態になってしまう。

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2025年05月06日

Posted by ブクログ

他の方の感想で「この作者は登場人物たちを甘やかさない」とあったが、読んでいて確かにその通りだなと感じた。

何らかの加害にあった被害者たちが前と全く同じように生きていくことは難しく、人生の再構築を行わなければならい辛さがある。

皆幸せになってほしいけど…実際には遠くで、あるいは近くで見守り/見守られながら祈ることしかできないのがもどかしい。

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2025年04月29日

Posted by ブクログ

ネタバレ

大学時代にサークルのメンバーから性加害を受けたスミレ。それに蓋をして頑張って日々の生活を送って居たのに、その加害者がその事を良い思い出の様に話して居た事を知り、心が壊れてしまう。
辿り着いた場所は、行政が心のケアを必要としている人達を支援する街で…

誰もが傷を抱えている街で、苦しみから立ちあがろうともがく様子が痛々しく、そんな簡単に癒えるものではないのが現状でした。

加害者が自分のした事に気づかず、青春の一ページの様に語るのが許せませんでした。スミレの謝ってきたら許さなくてはいけないと言う言葉が重かったです。

スミレもその街をいつか出ていくのかと思いましたが、そこに止まり支援する側に就こうとするのは前向きになれて良かったです。

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2025年04月26日

Posted by ブクログ

P73
〈ここは、被害者のための街だ〉
傷ついた人たちが住む。
独自のルールがあり、セキュリティも厳しい。
ある意味、安全に暮らすことができる街だ。
ここに住む多くの人は
計り知れない痛みを抱えている。

行政が管理し、不自由なく生活することができる。
見えないバリアで守られている。
読んでいてそう感じたが
どこに住もうが傷が浅くなることはない。

慎重に、街の住人に寄り添うように
畑野さんは、心を砕いて書かれたんだということが伝わってきた。
タイトルも装丁も素敵で、気持ちの籠った一冊。

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2025年04月20日

Posted by ブクログ

読んでて苦しくなった。
大なり小なり日々暴力にさらされても、なんとか我慢して、順応することが良しとされる、そんな世界に確かに私たちは生きてるんだということをこれでもかというほど見せつけられた気分。
そして悲しいのが、自分もその鈍感さゆえに、人を傷つけてきただろうことにも思い至ってしまうことだ。

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2025年03月25日

Posted by ブクログ

登場人物の複雑な心境が細かく描写されていて分かりやすかった。主人公の気持ちとリンクするように、物語が進むにつれて描写が鮮明になっていっていたのが個人的に好きだった。

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2025年10月21日

Posted by ブクログ

アサイラム=避難所という意味らしい。アラブの国のご挨拶かと勘違いしていた。
街全体が避難所になっているこの場所では、性加害や虐待に遭った人々が暮らす。
過去に何があったか、お互いに話す必要はない。仕事も体調をみながら自由に休める。金銭的な公的サポートもある。理想的な場所にみえるけど、どこか宗教的な雰囲気もあって…できることならお世話になりたくないなと思った。
なるほどと思った表現は、性被害≒性加害。
加害者がいることで被害者が生まれるというのはその通り。だから、「性加害に遭った」という表現なのだと。日本では加害者がばかりが優遇されていると感じてるので、アサイラムほどまでいかないまでも、もう少し被害者が守られるといいなと思う。

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2025年08月24日

Posted by ブクログ

優しいってやっぱり優柔不断ということだと感じてしまった。気を遣って、相手にあわせることばかりしなくてもいいのに。

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2025年07月16日

Posted by ブクログ

タイトルの意味通りの物語。
現実にこの物語の舞台となる街は存在してるのか?と考えてしまう程度にはリアリティはあります。恐らくそこに集う人々が現在の社会が形成する歪みの被害者だから。
しかしながら最近の著者の物語はデリケートかカテゴリーかつピンポイント的に誰かに発信されてる気がします。

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2025年06月04日

Posted by ブクログ

 アサイラムとは避難所のような意味合いがあるらしい。主人公のスミレは大学生の頃に受けた性暴力により、仕事を辞めざるおえない状況に陥ってしまう…。そんなスミレがたどり着いたのが、性暴力のみならずDVや虐待、いじめなどの被害者を集め心のケアを受けられる地域だった。被害者同士やカウンセラーとのつながりを得ることになったスミレは…。

 罪を犯した人には刑務所がある、でも被害を受けて心に傷を受けた人たちの救済の場は?って考えるとないんですよね…!この作品では、被害者の心の負担を最小限にできるよう行政サービスを行き届かせています。実際にあったらどうだろう?とか、ちょっと考えちゃいました。こんな地域があったなら、いけないこととは思いつつも偏見の目で見ちゃう気がします。

 被害を受ける人がいなくなれば、それが一番いいことなんだと思います。それに必要なことはなんだろう?教育かな…??被害を未然に防げるシステムとかもいいかも…!いずれにしても、この作品は、読んでいてキツイ作品でした。

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2025年05月11日

Posted by ブクログ

7年前に性加害にあったことが少しずつメンタルを壊していく。その生きづらさが丁寧に描かれている。加害者の自己中心の暴力、時には善意や正義に読み替えられていることの不条理。
この被害者に寄り添ったコミュニティ、税金の無駄遣いではないし、実際にあれば本当に素晴らしいと思う。

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2025年05月02日

Posted by ブクログ

こういう街あるのかな?と調べたくなるほど、個人的にはとてもいい税金の使い道で、いいなと思ったけども。そこまで直接的な表現がなかったので読みやすかった。留美ちゃんが…気になる。元気じゃなくてもいいから、生きていてほしい

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2025年04月22日

Posted by ブクログ

いじめ、DV、犯罪、ハラスメントの被害に遭って心が壊れた人が行政の支援を受けて暮らす架空の街を舞台に、性加害に遭いこの街に来たスミレの回復の過程を描く物語。

人の心って壊れやすく、ひとたび壊れたらなかなか修復していかないものなんだなとしみじみ思う。
この街は街全体が「避難所」。ある意味理想のサンクチュアリ。徹底したルールの下に、経済的な不安もなく安心して暮らせる街は被害者に優しく、ともすればずっとここにとどまりたくなるだろう。それは決していいことではないと思う。
だからこそ、外に出て生きていくことを選択した雪下君を応援したいし、ここで自分を変えることに苦痛を覚える留美ちゃんの気持ちもわかる。

一方スミレ。他者の気持ちを優先しすぎるあまり、必要以上に傷ついて、その人を断罪する。こういう思考過程の“繊細な人”が本当に苦手。
エレベーターのエピソードを男性優位の象徴のように取り立てるのも違う気がする。さっさと乗り込まないから先を越されただけじゃんって思うけど。

登場人物で一番好感を持てたのは役所の新川さん。彼の方が心壊れそうだと思うんだけど、被害者ヅラしないで冷静に任務を全うしようとする姿がいい。

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2025年04月21日

Posted by ブクログ

ネタバレ

シェルターのような役割を担う架空の街が舞台となっている。
いじめ、虐待、DV、ネグレクト、性暴力。さまざまな要因で深く傷を負っていたり、精神的に弱っていたりする住人たちが、行政やのサポートや助けを受けながら、自分の身に起こったことをゆっくり癒やしていく過程が描かれる。
登場人物の一人一人が、それぞれ自分なりの方法で過去と向き合っていく描写がとてもていねいだった。

主人公である真野スミレは7年前、大学の同じサークルだった男子から一方的な好意を寄せられていた。
やがて留学することになった彼を送りだすために開かれたお別れ会の後で、彼は友人の協力でまんまとスミレの家に上がり込み、そして同意なくスミレのからだを踏み躙った。
それを青春の1ページだと表現したり、もう何年の前のことでしょと言ったり、同じようなことはみんなあるよと簡単に宥めたりするスミレの周囲の人間には呆れてしまったが、現実でも案外そんな人が多いのかもしれない。

「多くの人が言っていたし、わたしも自分は性被害に遭ったと思っていました。けれど、それでは、そこには被害者しかいないみたいに聞こえます。加害者はいるのですが、顔が失われていくように感じるんです。被ると遭うで、意味も重なっている。他のことでは、あまり使わない表現です。交通事故に遭ったといえば、被害者であることはわかる。詐欺に遭ったとかも同じです。そこに先に存在していたのは加害行為や性暴力であって、被害ではないのに、性被害に遭ったとばかり言われる。これは、被害者を閉じこめる言葉だという気がします」

スミレのこの解釈は、性暴力がいかに軽く扱われているかを言い当てているのではないかな。「加害者がいたから、全てが起きたのであって、被害者が起こしたわけではない」。

タイトルの“アサイラム”とは、避難所や保護、亡命という意味をもつらしい。
人々が安心しておだやかに暮らせるそんな街が、現実にもあるといいなと思った。選択権は、常に本人だけにある、と確信していられるような場所が。

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2025年04月14日

Posted by ブクログ

辛かった。

アサイラムは避難所を意味する。

困難な状況にある人をケアする目的で行政が創り上げた街。
この街では性加害に遭った人やいじめ、DVを経験した人達が生活する。

文中に何度か宗教という言葉が登場するが、そんな空気感があった。

最も辛く感じたのは、性加害に遭った人への心無い言葉。

自分を責める当事者に追い打ちを掛ける言葉の数々。
責められるべきは加害者だ。
仮に自業自得だと思ったとしても声に出す必要などない。

居場所があることは心の支えになる。

だがアサイラムが無くても安心して生きていける社会になって欲しいと心から願う。

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2025年04月09日

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