あらすじ
大学生の時に友人からの性暴力にあったスミレ。
限界に達した心を抱え、困難な状況にある人たちをケアする街に辿り着く――。
『消えない月』『神さまを待っている』『若葉荘の暮らし』、
現代女性の寄る辺なさに真摯に向き合い、そっと軽くする――著者最新作!
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「それぞれに過去はあって、これからどう生きていくのか悩んで、
闘っていることはわかるから、気にせずに自分のことだけ考えていればいいの」
大学生の頃、自分のことを好きだという友人から性暴力を受けたスミレ。
忌まわしい記憶を胸中に押し込めながら社会人として過ごしていたが、久しぶりに会った女友達から、
彼が当時のことを美しい思い出として吹聴していたことを聞いて、何もできなくなってしまう。
行政がケアを目的に作り上げた街で暮らすことになり、
いじめや虐待など、暴力を受けてきた人々と関わりながら、自分はどう生きていくのか、模索していくが――。
人の心は、あまりにも繊細で複雑だ。
痛みと再生を真っ向からとらえた物語。
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Posted by ブクログ
被害って難しいなと思った。
難しい、という曖昧でざっくりとした言葉で括って良いものではないけど、同じ被害に遭っても感じ方は人それぞれだし、被害者が悪いなんてことはないという前提で、被害者だから善人ってわけでもないんだなと。
そして、性被害という言葉で加害者の存在が薄くなってるのもたしかに、と感じた。
車で事故に遭ったと聞いたら轢いた人と轢かれた人どっちも想像するけど、性被害に遭ったと聞くと、何となく被害者のイメージの方が大きい気がする。
被害や登場人物の心情がリアルで、途中辛くて何度か手を止めてしまった。
被害の傷が癒えてもなくなることは決してなくて、ふとした瞬間に思い出して、忘れていたことが嘘のようにまた痛み出してしまう。
それでも、この街のように、前を向ける場所や出会いがあれば良いな。
Posted by ブクログ
アサイラム(asylum)とは、英語で「避難所」や「保護施設」といった意味を持つ言葉である。
様々な加害行為を受けた心に傷を負った被害者が安心して暮らせる街を税金で賄っている。この世界は、彼女たちの理想郷だなと感じた。
様々な問題から、現状だと実現は難しいと思う。
しかし、私も、アサイラムのような避難所のような居場所を見つけたいなと思った。
Posted by ブクログ
2025/05/03予約 24
アサイラムとは避難所、保護、亡命などの意味。
心に傷を負った被害者が安心して暮らせる街を
税金で賄っている。税金の使い道として理解してもらいにくいとは思うが刑務所は莫大な税金で運営されている。そう思えば被害者は自力で立ち直れというのは公平ではない。考え方のひとつとして、なるほどと思った。ただ体の傷を負った人、病を得た人の事も考えたいと思う。働きたいけど働けない、そして福祉からもこぼれ落ちる人は必ずいる。全ての人に同じように、と思うが言うは易しなんだろう。理想郷ではある、そんな国になればいいな。
Posted by ブクログ
大学時代にサークルのメンバーから性加害を受けたスミレ。それに蓋をして頑張って日々の生活を送って居たのに、その加害者がその事を良い思い出の様に話して居た事を知り、心が壊れてしまう。
辿り着いた場所は、行政が心のケアを必要としている人達を支援する街で…
誰もが傷を抱えている街で、苦しみから立ちあがろうともがく様子が痛々しく、そんな簡単に癒えるものではないのが現状でした。
加害者が自分のした事に気づかず、青春の一ページの様に語るのが許せませんでした。スミレの謝ってきたら許さなくてはいけないと言う言葉が重かったです。
スミレもその街をいつか出ていくのかと思いましたが、そこに止まり支援する側に就こうとするのは前向きになれて良かったです。