畑野智美のレビュー一覧
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婚約中の彼を事故で喪い、しかも彼が年上の既婚女性と共にいたということで眠れなくなった女性が、デパートの寝具売場で働くことになります。
読んでいくうちに、自分に合った枕、マットレス、掛布団って、熟睡するために大切なんだなと改めて思いました。著者が以前寝具店店員だったこともあって、寝具の選択はその人の頭の大きさや体型などと関わりがあることなど、詳しく書かれていました。
小説では、わかりやすいセクハラとパワハラ、そしてわかりにくいモラハラについても書かれていました。人を愛することは、その人の気に入るようにすることではないと気づかされました。
悲しみと共に過ごし、語り合い、向き合い、そして自分を生きようと変わってきた女性。卵焼きを、しょっぱいのから甘いのへ変えた場面が印象的でした。選ばれるのではなく、自分で選ぶ生き方が、やはりいいですね。
小説の内容とは別に、言われてみれば確かに宇宙の片すみで眠っているなぁと思うと、読者の私はちょっと楽しくなりました。
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Posted by ブクログ
「アサイラム」とは
避難所や保護、亡命という意味。
物語は、いじめやDV、性被害などで
心や身体に傷を受けた人たちが住む街に
大学生の頃に性被害を受け、癒えない傷を持つ
真野スミレ。
そんな彼女が働く雑貨で同じくそれぞれに
傷がある人たちとともに過ごしていく日々が
丁寧に描かれた作品になってます。
畑野さんの作品の好きなところは、
キャラクターの感情面を繊細描写している部分です
傷ついて別の場所て過ごしていても
人と人が関わる中では何かしらの問題や悩みが
出てきます。
そういう時に他者重視の考えではなくて
時には自分のことを大切にすることも必要なんだと
感じました。
物語に出てくるキャラクターは決して
それぞれが都合のいいようなハッピーエンドを
迎えているわけではないですが、
それでも、その人たちは自分の意思で決めて
進んでいく姿が眩しく見えました。
スミレも自分が受けた性被害を直視できずに
いましたが、カウンセリングや同じく
心に傷を持つ人たちと関わる中で
少しずつ前を向いて進んでいく姿が
心に残りました。
本の中で、自分も知らない誰かに嘘か事実か
わからない情報を疑いもせずに受け取り
誰かを傷つけているのでは?という内容に
人は被害者にも加害者にも簡単に
なってしまう恐れがあるんだなと思いました。
本の中での癒しは、
本のタイトルと同じ名前のレストランの料理が
とても美味しそうで、そしてその描写の時は
出てくるキャラクターが、穏やかな気持ちに
なっているので、美味しい料理の力って
すごいなぁーと思いました(^ ^)
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Posted by ブクログ
自分の日頃のおこないを振り返ってしまいますね。今までもたくさん傷つき、傷つけてきたであろう過去までも振り返ってしまいます。ツラい。
本作は、性加害(あえて性加害と言います)にあった主人公スミレが行政の支援によって支えられている市に住んでいます。
昔からの住人もいますが、虐待やいじめなど様々な被害者の方々が移り住んできていて、傷つかないためのルールのもとに暮らしています。
むやみやたらに相手の過去を聞かない。
その場にいない人の話はしない。など、当たり前であるような、でも実はそれでコミュニケーションをとることが普通になってしまっているような、うー、考えさせられる。
人は怖い。他人と関わらなければ、平和に穏やかに暮らせるのに。生きるって難しい。 -
Posted by ブクログ
加害行為により傷ついたひとたちの再生への話です。深く考えさせられるため、読後感はかなり重めです。
被害者への支援の必要性が、今になってやっとクローズアップされてきたように思います。その究極系とも言えるのが、作中に登場する街です。行政がここまで取り組むことは十中八九ないので、実現することはないのでしょうが。。
この話の中で難しいと感じたのが、二次的な加害行為についてです。性加害では特に、そんなの大した事ないしいつまで引きずっているの、と言ってしまいそうになる自分に気付きました。被害者をただただ追い詰めてしまう言葉です。
街でのルールとして、他者に深入りしない、噂話をしない等がありました。それはすなわち、それらの行為が二次的な加害行為になりやすいということだと思います。誰も傷つけることなく生きていきたいものですが、少なくとも不用意な一言をなくす努力を続けていきたいと思います。 -
Posted by ブクログ
今から数年前、コロナ全盛期だったころの話。飲食店でアルバイトをしている主人公は、経済的に余裕が無くなってきたという理由で、女性限定のシェアハウスに移り住むことになる。そこに住む個性的な人々との関わり合いの中で、主人公の気持ちも少しずつ変化していくといった内容です。
読んで率直に感じたことは、コロナ全盛期は大変だったなということです。正しいかどうか分からない情報に惑わされて、心身ともに意味もなく疲れていたと思います。自粛ムードもすごく、コロナを出した店がすごく叩かれていたことも思い出します。
世の中が不透明で、先がどうなるか分からないというのは、コロナが流行る前も後も同じことではありますが、よりそれを感じさせる出来事であったというのは間違いありません。しかし、先がどうなるか分からないからこそ、自分のやりたいことをやることであったり、他の物事に振り回されない「信頼できる自分」を持つことが重要なんだと思います。