畑野智美のレビュー一覧
-
Posted by ブクログ
貧困。
わかっていたつもりだったけど、こんなにも簡単に人は貧困に転がり落ちてしまうのか。
派遣社員として文具メーカに務めて3年。順調に進んでいた正社員登用の話は会社の業績悪化に伴い急に打ち切られ。新しく正社員の道を探すも難航し、そのうち貯金がつき、家賃が払えなくなり、あっという間にホームレスに。
日雇いバイトでは毎日冷たいパンしか食べられず、漫画喫茶で出会った女の子に“出会い喫茶”を教えられ、茶飯で日銭を稼ぐ。
ワリキリは、しない。
*
主人公の愛の他にもたくさんの貧困女子たちがでてくる。
雨宮のような親切な友人に恵まれず、それぞれの闇を抱えて身体を売る少女たち。
彼女たちに一晩の眠 -
Posted by ブクログ
ネタバレp144「自分が止まっている時ほど、違う速度で動く誰かのことを思い出し、不思議な感覚に襲われる。」
p204「平気で親に心配をかけられるようなら、そっちの方が子供だよ」
p263「お父さんとお母さんの間には、もう愛情はないのかもしれない。ただ、夫婦なんてどこもそんなものよ。情で繋がるの」
p269「彼女がいると、そういう嫌になっちゃうようなことを誤魔化すことができる。自分以外の誰かのためにとがんばっていると、それだけで立派な人になれたような気になる。それが気のせいであっても、それでいいんだと思う。自分自身なんていくら見つめても、何も出てこない。」
p281「嘘偽りなく好きだと思ってくれる人とだ -
Posted by ブクログ
タイムマシンが有ったらどうするか?未来を見てみたい?過去に行ってみたい?僕は断然過去に行ってみたいです。あまり未来を知りたいとは思わないかな。
タイムマシンを使う事によって、自分の居る世界が変わってしまい、元居た世界に戻れなくなってしまった主人公。うざったいと思っていた現実も、実はかけがえのない唯一のものだったという事に気が付いた時には、今いる世界で生きて行くしかないと悟るのでありました。
結構複雑で、最後まで読んでもよく分からない事ばかりだったのですが、これ続編だったんですね。そういう事はどっかに書いておいておくれよお・・・。結構面白かったのに消化不良になってしまった・・・。前作読まねば。。 -
Posted by ブクログ
畑野智美の作品を読むのは、『夏のバスプール』と『ふたつの星とタイムマシン』に続いて3作目。
それで気づいたのだが、私は著者の文章と、構築する世界、醸し出す雰囲気が好きだ。
『夏のバスプール』はストーリーも面白かった。
『ふたつの星とタイムマシン』はやや淡々としていた印象があったが、それでもどこか引き込まれた。
3作とも恋愛小説だが、どれも味が少しずつ違う。
本作も例にもれずやわらかい雰囲気を持っている。
ただ、ストーリーにはうまく入り込めなかった感じがある。
それは、春香がやってきたことによって、彼女を含む4人の男女が変わっていく物語なのだが、あまり春香を好きになれなかったことに起因する。 -
Posted by ブクログ
ネタバレこれはどうやって最後締めるのかなと思ってたら、ラストに盛大な「???」。
誰だよとツッコミつつ、まあ考えられるのは事故の加害者娘かな・・・と、もう一度読み直してその名前を捜索して確認。
無事謎は解けたわけだけど、最後に彼女が登場するのが少々唐突に感じた。途中もうちょっと匂わせちゃ駄目なもの?
名前が変わって、歳を重ねて姿が変わったとしても、自分だとわかる人がいる。
理屈じゃなくて通じるものがあるんだなと、長谷川さんや父親の姿を見て思った。
斉藤もわかるかな。彼のリアクションが大いに気になるところ。大騒ぎして、大泣きしそう。
私的にはもっと主人公が、長谷川さんだけじゃなくて両親とも交流すれ