畑野智美のレビュー一覧
-
Posted by ブクログ
202511/面白かったけど、表紙絵からうける印象よりは淡々としてるかんじ。舞台がコロナ渦ということで全体的にうっすらどんより重苦しさがあり、主人公が明るく元気な "いかにもTHEヒロイン" なタイプではないので、好みがわかれそうな作品。勇気もらえる人もいると思うけど、都合いいシェアハウスも同居人も勤め先も現実にはないし…と不安増す読後感も否めない。まーそれでも踏ん張って進むしかないんだけどね!
印象的だった文章↓
P240:年収200万円でも幸せに暮らせるみたいな本や雑誌の特集はたくさんある。 ささいな喜びを重ねていければ 十分だと考え 多くの女性が諦めてしまっていた けれど その生活は簡単に破綻してしまう。 -
Posted by ブクログ
令和版LGBTQの教科書
面白い・面白くない ではなくて
今の時代の風潮がよくわかるから
全世代に“体感”の意味で読んでほしいと思った。
(以下本のレビューではなく体験談と感想)
自分のセクシュアルについて考える
私はもしかしたら、恋愛というものを勘違いしていたかもしれない。
「あいつ、お前のこと好きらしいよ」と聞くと、
なんとも言えない気まずさに苛まれ、苦い気持ちになったのを覚えている。
私のことが好きなのか、そう思った瞬間、接待しなくちゃいけない気持ちになるからだ。
優しくされたから好きになるという経験がなくて、
なんなら少し意地悪な男の子の方が好きで、
恋を錯覚していたようにも思える。
だけど、その人のことで頭がいっぱいになったり、
目で追ったり、集団の中ですぐに見つけられてしまうという点では正常に脳がバグっていたと思うので
恋という感情については
わかっているようでわからないとい結論がでた。
恋人や好きな人ができても
大好きにはなるけど嫉妬や独占欲って感情があまりわからない。デミロマンティックという言葉には親近感を持ったけれど、価値観なのかセクシュアルなのか。その違いってなんなのか。まだまだわからないことだらけ。
時代的にもセクシュアルな話は相手が話すまで無理には聞かないのが安全策。
でも聞いてくれたから言えたって場合もある。
踏み込まない行為って賞賛されるけど、逆説的に踏み込むことが求められている世の中でもあると思う。私たちは孤独すぎるから。 -
Posted by ブクログ
小さな洋食屋でアルバイト店員をしていたミチル(40代を迎えたばかり)がコロナ禍で家賃の安い家に移ることを余儀なくされ、40歳以上の独身女性専用のシェアハウス「若葉荘」に住むことになったところから始まるお話。
コロナ禍の世の中で、そうした年齢のそうした境遇の女性の心理が細やかに描かれているように思えるが、時々晴れ間はさすものの、基本的にはドンヨリとした話が続く。『悩んでいても、悩んでいなくても、語る』ミチルさんの理屈っぽさにもやや閉口で、いい話だと思うのだが今ひとつお話に乗り切れず。
若葉荘での人間関係にはホッとするところがあるが、ああしたシステムの中で人間関係に軋轢なく暮らしていける展開はいささか楽観的にも感じるところはあり。まあ、作家さんがコロナ禍を不安に生きていた時に『「こういうアパートがあればいい」と、想像を膨らませた』ということなので、そういうことなのだろうが。
女性の貧困の理由が選択肢の多さにあって、男性の貧困の原因は選択肢の少なさ、という見方は面白く。『本来は、政治がどうにかしていくべきことなのだろう。けれど、それを期待できるような国ではないことも、分かっている』というのがなんとも…。 -
Posted by ブクログ
ネタバレ今回も多様性の話。ポリアモリー、見た目の性と心の性が違うこと、恋愛感情を持つということ、遠い存在に持つ感情。誰にでも話せる話じゃないし、全員が理解してくれるわけじゃない。私も私で自分自身を理解していないのかもしれないなぁと思った。
気になった言葉。
差別されたくないし、自分も差別しないように心掛けていても、全てを平等に見ることは難しい。
苦手だからと何かを排除することは、自分が受けてきた差別と同じだとも感じた。
知識を得て、言葉を知り、客観的に自分を考え、少しでも楽に生きていける道を探している。
最後の一文が、私が読書をしたい理由なのかもしれないと思った。 -
Posted by ブクログ
アサイラム=避難所という意味らしい。アラブの国のご挨拶かと勘違いしていた。
街全体が避難所になっているこの場所では、性加害や虐待に遭った人々が暮らす。
過去に何があったか、お互いに話す必要はない。仕事も体調をみながら自由に休める。金銭的な公的サポートもある。理想的な場所にみえるけど、どこか宗教的な雰囲気もあって…できることならお世話になりたくないなと思った。
なるほどと思った表現は、性被害≒性加害。
加害者がいることで被害者が生まれるというのはその通り。だから、「性加害に遭った」という表現なのだと。日本では加害者がばかりが優遇されていると感じてるので、アサイラムほどまでいかないまでも、もう少し被害者が守られるといいなと思う。 -
Posted by ブクログ
なんだか不思議なお話で、漂う哀愁が素敵な一冊だった。
気持ちを伝える前に事故死した初恋の人。その後タイムマシンと巡り合い、過去に戻り彼女を救おうとする主人公。しかし、その行動によって未来は思わぬ方向に変化していく…という物語。
最初は何が何だかわからなくて読むのにエネルギーが要ったが、読み進めるにつれて主人公の置かれている状況がわかってくる。
タイムマシンで初恋の人を救うためにがむしゃらに奮闘すると思いきや、ゆっくりと流されるような日々が送られていく。
突き抜けた感じはないのだけれど、じわりじわりと作品の世界観に浸っていき、主人公の初恋の人への愛情や切望、抱えている哀愁や孤独が伝わってくる。
読後の余韻が心地よい。
☆3.5