畑野智美のレビュー一覧
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ネタバレシェルターのような役割を担う架空の街が舞台となっている。
いじめ、虐待、DV、ネグレクト、性暴力。さまざまな要因で深く傷を負っていたり、精神的に弱っていたりする住人たちが、行政やのサポートや助けを受けながら、自分の身に起こったことをゆっくり癒やしていく過程が描かれる。
登場人物の一人一人が、それぞれ自分なりの方法で過去と向き合っていく描写がとてもていねいだった。
主人公である真野スミレは7年前、大学の同じサークルだった男子から一方的な好意を寄せられていた。
やがて留学することになった彼を送りだすために開かれたお別れ会の後で、彼は友人の協力でまんまとスミレの家に上がり込み、そして同意なくスミレのからだを踏み躙った。
それを青春の1ページだと表現したり、もう何年も前のことでしょと言ったり、同じような経験はみんなしてるよと簡単に宥めたりするスミレの周囲の人間には呆れてしまったが、現実でも案外そんな人が多いのかもしれない。
「多くの人が言っていたし、わたしも自分は性被害に遭ったと思っていました。けれど、それでは、そこには被害者しかいないみたいに聞こえます。加害者はいるのですが、顔が失われていくように感じるんです。被ると遭うで、意味も重なっている。他のことでは、あまり使わない表現です。交通事故に遭ったといえば、被害者であることはわかる。詐欺に遭ったとかも同じです。そこに先に存在していたのは加害行為や性暴力であって、被害ではないのに、性被害に遭ったとばかり言われる。これは、被害者を閉じこめる言葉だという気がします」
スミレのこの解釈は、性暴力がいかに軽く扱われているかを言い当てているのではないかな。
「加害者がいたから、全てが起きたのであって、被害者が起こしたわけではない」。
タイトルの“アサイラム”とは、避難所や保護、亡命という意味をもつらしい。
人々が安心しておだやかに暮らせるそんな街が、現実にもあるといいなと思った。選択権は、常に本人だけにある、と確信していられるような場所が。 -
Posted by ブクログ
ネタバレ救いない現実を突きつけられるラストのため、⭐︎3。筆者の見事な文才やストーカーへの見聞が広がる点はもっと⭐︎を、と思うが、気持ちが悪くて2度は読めない。
筆者の描きだす、基準となる価値観が異なれば、人によって真実や正義はこうも違うのか、と唸る巧妙な見事な書き振りは見どころだとおもう。
松原ストーカーは、サクラが女が、自分に逆らってはいけない、それが立派な女になる事などという戯言が、世界の基準。絶対お断りしたいが、離れる事は悪事だと断罪してくる。周囲にこういうモラハラ気質が居て、恥ずかしくないのか?と思うが、全く悪いなど思っちゃいないんだろう、と確信した一冊であった。 -
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後味の悪さが印象に残った。
「ヨルノヒカリ」がとてもよかったので
畑野智美さん2冊目にこの作品を読んだのだが…
序盤から早くもストーカーの話になって
読んでる途中から嫌な気持ちになったけど
読みやすく そしてどう解決してくれるかって思ってどんどん読めた。
終盤では
「絶対に来るでしょ 松原…」
とヒヤヒヤしつつ
「なんて隙を与えるさくら!」と歯痒い気持ちだった。
スカッと終わってくれたら救われた…
さくらの中途半端さにもモヤモヤして
応援する気持ちより、何で?と思う点が多い。
主人公への若干の 共感のなさが後味の悪さに繋がるし
被害者の甘さと加害者の歪んだ正義感が際立ち、
そういう意味では うまい設定なのかもと感じた。
ストーカーの心理や
対処法の知識が得られたことは 読んだ甲斐があった。
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ネタバレ真希
二年前からほぼ毎日餃子を包んでいる。荻窪の餃子屋のアルバイト。三年前の三月から働き始めた。二十三歳。中央線沿いの西荻窪のワンルームアパートに住んでいる。最初に会った時からずっと、貫ちゃんがすき。静岡の短大を卒業して、三年前に役者になるため東京に出てきた。公太と付き合っている。
麻夕
餃子屋のアルバイト。二十三歳。去年の春に大学を卒業して、先週までの約一年間は家事手伝いという名目の無職だった。田園調布の実家に住んでいる。貫ちゃんの舞台を見て、貫ちゃんが働いている餃子屋でアルバイトを始めた。
貫ちゃん
餃子屋のアルバイト。二十三歳。風呂なしトイレ共同の西荻窪のアパートに住んでいる。高校を卒業してすぐ、真希より二年前に山形から上京して役者を目指している。劇団を主宰している恋人のミクがいる。が、別れた、劇団員。
坂本芙美
真希の十歳上のいとこ。結婚してから二子玉川の高級なマンションに住んでいる。専業主婦で子どもが二人いる。夫が里奈と不倫関係であることに気付いている。
ミク
貫ちゃんの元彼女。二年前から付き合っている。劇団を主宰していて、真希より三歳上。新宿のデパートの中にあるインテリアショップでアルバイトしている。阿佐ヶ谷に住んでいる。
公太
二十歳。真希と付き合っている。貫ちゃんが所属する劇団の後輩。大学生。
翔太
芙美の長男。もうすぐ小学二年生。
ヒナ
芙美の娘。翔太の妹。
小山貴志
絵梨の恋人。不動産会社社員。
絵梨
大学を卒業してからずっと同じインテリアショップでバイトしている。ミク、亜実と同い年。貴志と付き合い始めてもうすぐ二年が経つ。貴志が住んである八幡山のマンションに一緒に住むようになった。貴志からDVを受けている。
木村亜実
インテリアショップで働いている。結婚が決まっている彼氏がいるから社員になる気はないと言っていたが、いつの間にか登用試験を受けて、四月から社員になる。大学を卒業してフリーターになったばかりの頃、高層マンションのモデルルームの受付をやっていた時に和也と知り合い、結婚する。
結城和也
不動産会社勤務。貴志と同じ会社で働いている。幹部候補。亜実と結婚した。
川島佑樹
亜美の高校の同級生。高校二年生になる前の春休みから一ヶ月半だけ付き合っていた。
坂本
和也の上司。二子玉川に住んでいる。芙美の夫。里奈と不倫関係。
中西里奈
坂本の部下。三十歳。上野毛の1LDKに住んでいる。和也とは同期入社で同じ部署で働いている。坂本と不倫をしていた。麻夕は学生の時に仲が良かった友達の妹。
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ネタバレ水越愛
大学を卒業して三ヵ月が経った頃、文房具を開発している会社に派遣された。三年経過し、社員登用が無理だと伝えられた。家賃を払えなくなり、漫画喫茶に寝泊まりする。
雨宮
愛と高校、大学でも一緒だった。区役所の福祉課に勤めている。
マユ
愛と同じように漫画喫茶で寝泊まりしている。
サチ
出会い喫茶で会った女性。
勇気
愛の父親の愛人の子。腹違いの弟。
仁藤
ボランティアスタッフ。大学院で社会学を学んでいる。
ナギ
シネコンの入り口の前によくいる女の子。
ルキア
サチの息子。
キララ
サチの娘。
山本由美
高校一年、二年の時に同じクラス。
ケイスケ
出会い喫茶の常連。
川瀬千鶴
雨宮の彼女。上司。
上谷
農業支援の会社のCEO。
和泉
農業支援の会社の社員。 -
Posted by ブクログ
ネタバレこの作者の本を読むのは3冊目。他が柔らかい印象だったので、理系ベースの硬めの話だなぁと思った。
初恋の女の子を救おうと過去を変えてしまって、元の世界に戻れなくなった男性が主人公。
ラストは、この世界線では会ったことのない村上さんが彼にとっての出会うべくして出会う1人だったということ?
それぞれの時間軸で出会うキャラクターは魅力的で、だからこそ違う時間軸での孤独が引き立つ。
面白くないわけではないけど、せっかくタイムマシンが出てくるけどわくわくする展開ではないし、感動的というのも違う。
長谷川さんの死を堺に人間的な成長を止めてしまった彼の成長物語なのかな。