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Posted by ブクログ
3月に読んだ「南部芸能事務所」の続編。単行本は1年の間があったようだけど、来月にはシリーズ4作目が単行本で出ているからだろう、2ヶ月続けての登場。
前作で“溝口新城”が初舞台を踏んだところからの続き。
新城が初めて貰ったギャラの500円玉を見つめてあれこれ考えたり、溝口のことを好きな鹿島さんがカフェを辞めて事務所のバイトになったり、そんな話を読んでいると、何だかありきたりの話になっちゃたなぁという感じだったのだけど、野島が再び原点を見つける話や、中野がバイトする映画館に勤める古淵さんの話や、長沼に去られて目が覚めた川崎の話には、自分の好きなことをしながら生きたい働きたいという理想と世の中そんなに甘くはないということがせめぎ合い、今更ながらに働くことの意味について考えさせられる。
『何がしたいとか、どうなりたいとか考えられる気持ちが、私にはない。平均的に、みんなから遅れずに、就職できれば、それで良かった』なんて古淵の科白、我が身に返してみれば自分が無事に会社生活を送れてきたのは単に幸運だっただけであることが良く知れる。会社生活に悩む息子を持つ身としては尚更に…。
肝心の“溝口新城”については周辺の人のエピソードを通じて語られるだけだが、終章、『コンビになるっていうことは、お互いに人生を預け合うってことなの』という溝口の母や『適当に決めた名前を二人で適当じゃなくしていくのよ。ダサい名前を二人でかっこ良くしていくのよ』という社長の言葉に背を押され、漸くコンビ名が決定する。
母や社長や先輩とのやり取りがひとつずつ積み重なって二人の成長に繋がる様が心地良く、よその事務所に所属する有望若手コンビの登場もあって、これから続くお話に期待を持たせる。
『こんな人生になるはずじゃなかったって思ったことある?』って、そりゃあ、大概の人はそういう感じなのだろうけど、『あるわよ。何回も。でも、いいの。それ以上の人生を送らせてもらったから』と言えるようになれるといいね。
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