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時空を超えて必ず出会う運命だった。
光二は、ロケット発射台のある南の島で育った高校生。いつか自分もロケットの研究をしたいと勉強に勤しむ一方、密かに同級生の長谷川葵に思いを寄せていた。
平沼は、仙台の大学の時空間の研究室で教授をしていた。過去を一切語らない彼を、周囲は不思議に思う。33歳の平沼を教授に抜擢したのは、齢90近くと噂される井神前教授だ。二人の間には誰にも言えない秘密があった。
別の人生を生きていると思っていたあらゆる人物達が一本の線上に連なる。時空を超えても人は出会うべき人と出会うようにできている。運命を信じたくなる物語。
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Posted by ブクログ
SFの形をした恋愛小説であり青春小説。以前から読みたかった本なのだが、7年を経て文庫化されたので、早速購入して読んでみた。もう一冊関連する短篇集も購入したのだが、そちらのレビューは後で。
タイトルからもわかるように、タイムトラベル物。タイムトラベル物は、現在と過去の行き来が描かれ、そこがこんがらがるので苦手という方も多い。しかし、切ない系のストーリーが好きな方にはおすすめだ。「夏への扉(R・A・ハインライン)」、「美亜に贈る真珠(梶尾真治)」等の名作が多々ある。
事故で亡くなった女の子を救うため、過去へ向かう男(元少年)というありがちな展開ではある。そこからが… なのだ。時空を超えて絡み合う運命の赤い糸かよ。切なすぎるなあ。これは「名作」と言ってよい作品です。
Posted by ブクログ
2023/03/19
宇宙に関する研究をして宇宙開発に携わりたいと思っていた丹羽光二は過去に好きだった長谷川さんという女性を不慮の交通事故で亡くしてしまう。
やがて大学の研究室で以前の研究室の主である井が神先生という人からタイムマシンのカギを引き継いだという人からタイムマシンの存在について知ることになる。
長谷川さんを亡くした過去を変えたいと思い、タイムマシンでその過去に戻ると、過去は違ったものになっていったのだが、もう一つの世界では丹羽光二自身が死んでしまうことになってしまう。
それを側から見ていた未来の丹羽光二は、その後その世界にとどまったまま平沼先生という教授として研究室にいることになる。
SF恋愛小説みたいなジャンルになるのかよく分からないのですが、もう一冊ある「ふたつの星とタイムマシン」という短編小説を読むとこの話がさらに面白く読めるのではないかと思います。
運命で決まっている人との出会いは世界線が変わってもいずれは出会う運命にあるのだけれどどんな形で出会うことになるのかは分からないけど確実に存在するとも思えるんじゃない?と考えちゃうような本です。
Posted by ブクログ
畑野さんご自身がこの作品は文庫化されないと思うと言われていたので、最近文庫化されたのが嬉しかったです。
タイムマシンというとSF的な要素満載かと思うけど、そうでもなくて、登場人物の心情が丁寧に描かれすぎていて読んでいて苦しくなるくらいでした。そして相変わらず作中の登場人物を甘やかさない、だけど最後に希望を抱かせてくれるすごく読後感の良い作品でした。みんな幸せになってほしいと心から願ってしまいます。
個人的には魚住さんが大好きになりました。
人と人との出会いは奇跡のように見えて、最初から決められているのかもしれない。
あと、「ふたつの星とタイムマシン」をもう一度読み直さないと。
Posted by ブクログ
面白かったな。最近タイムマシンものをよく読んでいるんだけど、これはその中ではドラゴンボール的な時間枝が増えるタイプの物語。タイムパラドクスやタイムマシンの仕組みについてめちゃくちゃ知りたいのに、それを横に置いておいても物語が良かったよ。全く辻褄がよくわからないんだけど、心打たれた。
ただ、そのからくりがこの物語の本質じゃないんだな。この物語は捻くれた主人公が気持ちを通わせられた相手を一瞬で失うんだが、それによりこいつはそれ以外の人たちと自分をも蔑ろにする。先輩の魚住さん、ヒロインになったかもしれない存在すら蔑ろにする。その後彼は罰なのかの如く時間の迷子になる。タイムトラベル漂流者、遭難者になる。これが罰なのか救いなのかはわからないが、そこで彼は少しずつ確実に救われていくんだな。悲しい再生の物語なんだ。
主人公はあることから過去に戻りたくてタイムマシンの研究を始めるんだけど、その彼の前にあっさりとタイムマシンが現れる。そして、その説明は誰もしてくれない。どういう理屈なのかも、どうやって作ったのかも。主人公は過去で、過去の自分が死ぬことを目の当たりにする。でも主人公の存在は消えたりしない。既に連続性がないのか? どういうことだ? これはラストで少し他のタイムトラベラーが出てきて明かされるんだが、ただ考えてみるとこれもおかしくて、主人公が戻った9年前の時間枝には既に誰か他のタイムトラベラーが未来から来ていてロケットの破壊を防ぐんだけど、これはどういうことなんだよ。主人公は普通(?)に9年前に戻っただけなのに、どうしてそこは既に自分の9年前の過去じゃないんだろう? つまりこのタイムマシンは既に過去や未来に移動する際に自分の時間枝じゃないところを狙いすらする、ってことでしょう? もうこれはカオスすぎて理解が追いつかないし、その解説もされない。とにかくタイムパラドクスが発生するんだ、時間枝が分岐してしまったんだと言うのはわかるんだが、恣意的すぎると思う。
なので、この物語ではタイムマシンはあくまで舞台を作る装置でしかない。鮮やかなまでにタイムマシンを設定に落とし込んだ面白いアプローチ。冒頭部分を読んで素人くさい文章に一瞬驚いたが、読み終わる頃にはしっかり面白かった。まあ救いはないんだけどね。時間を漂流して主人公はそのままなんだけどね。タイムマシンの出てくる物語の中では異色だと思うし面白かった。
Posted by ブクログ
「ふたつの星とタイムマシン」は散漫として面白くなかったのだが、この作品のための序曲(準備)だったんだな。
巷によくあるタイムトラベルが現実をひん曲げてしまう危険を孕むというものでなく、パラレルワールドで話を膨らませていた。そして平沼教授が校舎の窓から祭りに賑わう人々を見て、「SNSを通すことで一人でいることも大事だが、その自分を肯定して寂しいことに慣れないでほしい」と呟く。まさに現在、そして未来に、人との触れ合い、繋がりの大事さを訴えて、体温を感じる関係が必要と警鐘を鳴らしている。時空を超えてスッキリするような解決はないのだが、それぞれの異なる世界での立ち位置をそれぞれが確立していく。
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