【感想・ネタバレ】神さまを待っているのレビュー

あらすじ

誰にも「助けて」と言えない。
圧倒的リアリティで描かれる貧困女子の現実。

文房具メーカーで派遣社員として働く26歳の水越愛。
会社の業績悪化で派遣切りに遭い、失業保険を受けながら求職活動をするが
どこにも採用されない。アパートの更新料や家賃、住民税、そして食費…
あっという間にホームレスになった愛は、漫画喫茶に寝泊まりしながら
日雇いの仕事を始め、前の生活に戻ることを目指していたが、次第に
価値観、自己認識が揺らぎ始める。
同じ境遇の女性たち、「出会い喫茶」に来る客との交流。
生きるために「ワリキリ=売春」をやるべきなのか。
ここまで追いこまれたのは、自己責任なのだろうか。


大学に進学し、勉強や就活に励み、まじめに勤めていた女性が
またたくまに貧困に呑み込まれていき、抜け出せなくなる。
著者自らの体験をもとに描いた「貧困女子」長篇小説。

解説は 俳優・佐久間由衣

※この電子書籍は2018年10月に文藝春秋より刊行された単行本の文庫版を底本としています。

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Posted by ブクログ

派遣切りに遭い、職と家を失った愛が行き着く先は__圧倒的リアリティで描かれる貧困女子の現実。何をしようにもお金が足りない。取り上げられるように希望や気力を失い、次第に揺らいでゆく価値観。私ならと考えずにはいられない...神さまはいるのだろうか。

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2025年02月19日

Posted by ブクログ

ネタバレ

話が進むにつれ内容が重くて辛すぎて途中で読むのを辞めようか正直考えた。
しかし最後まで読んで大正解だった。

愛のホームレスになってからの苦悩や、「貧困というのは、お金がないことではない。頼れる人がいないことだ」という本書の肝となるフレーズから、自分には頼れる存在がいることのありがたみを感じた。

また、愛が途中相手のことを信じられなくなってしまう場面では、過去の自分と重なって少し辛くなった瞬間があった。しかし、相手を信頼することも大事で、相手に信頼される人に自分はなりたいと思えるきっかけになった。

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2024年11月13日

Posted by ブクログ

仕事を失ってから、あっという間に世の闇に接することになる主人公のじわじわとした転落の姿がリアルすぎる。普通に暮らしていたはずなのに、少し外れたところ(それでも日常に背中合わせなくらい近い距離)には闇がぱっくり口を開けて主人公を待っている。

読み始めた時にはポジティブな印象を持っていたタイトルも、意味がわかった時にはあっと驚くとともにヒリヒリした気持ちになってしまった。でも、これ以上にこの作品を代表するタイトルもないと思う。

フィクションでありながら貫かれるリアリティこそが、このお話を圧倒的に刺さるものにしている。
読んでみて辛い気持ちになったけれど、読めてよかった一冊。強烈で痛切な読後感を残していった。

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2024年08月30日

Posted by ブクログ

早く雨宮くんに頼るてか電話取って相談したら良いのにー、、、

主人公の子はお母さん早く亡くなって可哀想ではあるけど、ちょっと無知?てか頑張る方向間違ってる、、、

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2024年06月20日

Posted by ブクログ

秋に買ってたのか、こんな長く寝かせていたとは、1番最初に読むやつだって自分しっかりしろよと。私小説、ノンフィクションを読んでる感じしかしない、何故こんなになったかよりも、よくも戻ってこられた方が感想です。半年間の出来事で、自分からしたら短い時間としか思えないけど、感情がなくなってお金を貯める為に生きてるって就職とか考える事も出来ない所まだった。ケイスケなんか屑に暴力も込みで良い顔して生きてる屑に見つかって残念、もっと屑がいただろうな。雨宮に神谷にたくさん居たんだね。ナギを心配するまともな神経があったよ。

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2023年11月05日

Posted by ブクログ

ひょんなことから転がり落ちていった女性の話。
何かが違えば、何か間違えてしまったら自分もこうなってしまうんじゃないかと怖かった。

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2023年08月20日

Posted by ブクログ

ホームレスになってしまった26歳の女性の半年のお話。
そうとは知らずにタイトル買いしたら大いに当たり、一気読みでした!
お金がないって苦しい、だけどそれ以上に頼れる人が居ないことはもっと苦しい。
その人はその人なりの「神さま」を探してる。
雨宮と千鶴のお話はとてもタイムリー笑笑
この作者の本はまだ買ってあるから今から読むのが楽しみー!

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2023年06月12日

Posted by ブクログ

ネタバレ

とても現実的で、すごく考えさせられた。
読むと止まらなくなり、話に夢中になった。

「貧困というのは、お金がないことではない。頼れる人がいないことだ。」という言葉がとても心に残った。本当にその通りだと思った。

漫画喫茶で暮らすくらし、出会い喫茶でお金を得て生きる、身体を売る。そんなことは遠い世界のように感じるけどそれは今もどこかで起こっていることで他人事ではないと思った。

途中、どうなるかと思ったけど最後には愛が救われて良かった。


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2回目(2021年1月22日)
「頭のいい人ばかりが得する世の中ではなく、自分ではどうすることも出来ない人を守るために、法律や制度はあるべきだ。」という言葉が印象に残った。

「愛と勇気だけが友達さ」というところが1回目に読んだ時には何とも思わなかったけど今回は名前にも仕掛けがあったとは思わなかった。

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2022年11月18日

Posted by ブクログ

自分とは無関係の世界であって欲しいけれど、知っておくべき世界ではあるなと思った。日本の社会的問題を知ることができ、出会えて良かった一冊です。

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2022年11月10日

購入済み

少しでも気になったら

読むべき一冊

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2021年12月16日

Posted by ブクログ

読み進めていくうちにどんどん引き込まれた。と、同時に胸が締め付けられる思いだった。「貧困というのは、お金がないことではない。頼れる人がいないことだ」という台詞が印象的で、私も人を頼って、また頼られて生きていけるような関係を築きたいなと思った。貧困女子をエンタメとして消費してはいけない問題だと実感した

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2025年12月02日

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ネタバレ

派遣切りにあった愛がホームレスに至るまで。ひとつひとつが不幸な出来事ではあるが愛の選択の積み重ね、全てそっちじゃない方を選んでいる。今の世の中は確かにこうなってる。でも愛には雨宮がいた。こんなに親身になってくれる人が、そうそういる訳はないのに、助けても言えない。でも貧困って思考もおかしくなってしまうほど、正常ではないんだろうな。通常でも小難しく書かれた役所の書類はわからないのに…
愛には神様がいたけど、大多数の人には現れない。この本は2019年の本だけど今ならもっと神様はいないかも。手を差し伸べる余裕がなくなってる。厳しい現実。

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2025年06月18日

Posted by ブクログ

グロいな、と思ってしまった。
希望が見えては失われていく過程をさまざまな状況で見せつけてくる。就活生なので「私もこうなるのか…?」とヒヤヒヤしながら読んでいた。

けど、私にはいざという時に助けを求められる家族がいる。この物語は「頼れる人がいない状況が貧困だ」ということを伝えたいのだと思う。その視点で見ると、私が貧困になる確率は低いから安心してしまった。いや、安心していいのだと思うけれど。

愛が夜職を軽蔑しない考え方は私は賛成できないかな。この本が執筆された頃は死なないための手段の一つとして夜職があったのだと思う。世間も夜職への批判はありつつ「生きるためには」と思っている部分もあったと思う。
けど、私は夜職は軽蔑してしまうな。夜職はキラキラ、女の子の憧れ!みたいなイメージがSNSにあるけれども、いやいや昼職の人の方が断然まともだろ、と思う。

愛は、夜職を正義とは思っていないけれども軽蔑してはいけないと思っている立場。のわりに、最後の方でキャバクラと聞いて えっ となっているので、この本を通して著者が夜職について何を伝えたいのかがいまいち掴めなかった。

全体的にはインパクトがあるわけではないけど、じわじわと追い詰められていくイメージ。

とてもいい本なんだと思う。ただ、リアルすぎてしんどかった(笑)そしてしんどいやめてくれーと思いながらもページをめくってしまう。
1日で1冊読み切ったのは小学生ぶり。面白かった。

ケイスケが胸糞だったな。ぶん殴ってやりてぇ。きな粉とか食ってむせてろトイレットペーパー短く取ってしまってけつ拭くときに指まで汚れてろ

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2025年02月01日

Posted by ブクログ

愛と同じくホームレスになっても身体は売りたくないと思っているけど、作中で愛がなかなかワリキリに踏み込まない時は「なぜこんなに躊躇っているのか」と思ってしまったので私はきっと貫き通せるものが何もないんだと思った。
同時に身体を売ってお金を得ることの重さが分かっていないなと痛感した。
派遣切りからホームレスに至るのが転落のピークと思っていたけど、そこから更にじわじわ追いつめられていく様子はくるしかった。

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2025年01月20日

Posted by ブクログ


あんまり読んだことないジャンル
30代の貧困の話。
仕事も家もなくて漫画喫茶で寝泊まり。色んな方法で稼ぐ。
こういう世界もあるんだよなぁと勉強になった。何故かすごい引き込まれた。今読めてよかった。そう思う。

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2024年11月30日

Posted by ブクログ

文房具メーカーで真面目に働いていた水越愛は派遣切りに合い、ホームレスへと転落してしまう
じりじりと愛が切迫していくようすがリアルで、現代の貧困女子の実情に迫っていると思った
私も若いころ、俗にいうブラック企業で働いていて、どれだけ残業しても手当てがつかず、手取りが本当に低くて……毎日鬱々としている時期があった
あの時、退職して実家に少し帰ったけれど…もしその時誰にも頼れなかったら私も愛のようになっていたと思う
すぐ隣にいる人たちの話であるし、自分がいつその立場になるかは誰も分からない
色々考えさせられる話でした!読めてよかった
現実には雨宮くんは簡単に現れてくれないけど、誰も彼も自分だけの神さまを待っているんだと思う
最後は明るい方向で終わって良かった~これからの愛が健やかであってほしい

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2024年06月09日

Posted by ブクログ

同い年の主人公、真面目に生きているのに仕事に巡り会えず転落の一途を辿る。無職、ホームレス、ありえないことだと思っているけど、自分もそうなる可能性がゼロではない怖さをリアルに感じた。
もう社会人4年目なのに、いまだに働きたくないって毎日思ってて、でも、仕事があるってありがたいことなのかもしれない。

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2023年12月21日

Posted by ブクログ

リアルすぎて胸が苦しくなった。主人公に近しい生活をしている友人を知ってるからこそ、身近に感じられいつ自分がその立場になるか想像するだけで怖くなる。こんなに恵まれた豊かな国なのに貧困は本当に身近にあるということをもっと知って欲しいし行政はもっと親身になって考えて欲しい(もちろん全てのところとは思わないが)と思った。

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2023年12月20日

Posted by ブクログ

とてもリアルな内容だった。今まで自分が関わってこなかった、これなかった体験を鮮明に描いており、この本を読んでよかったとすごく思えた。水越の苦労が、本当に本当に報われて欲しい

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2023年12月04日

Posted by ブクログ

自分がかつてOLだったとき、友人の結婚式に出席した時、時を遡って、自分が主人公の愛になったみたいにどんどん物語に引き込まれていって、あっという間に読んでしまった。
途中で、お金があるうちにアルバイトするとか、もっと方法があっただろうにと思わなくはなかった。
愛が友人に相談して惨めになりたくないとか、そんな気持ちが邪魔して、気がついたらホームレスになっていた、ということなのだろう。
たくさん無くしたことはあったけど、雨宮に見つけてもらえて良かった
雨宮、時には暑すぎるけど、人生の中で1人はそんな子に出会えたら、心強いよねと思った。
結局、愛を救ってくれた神様は、雨宮であり、千鶴であり、上谷であり。
神様ってすぐ近くにいるんだなと思った。

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2023年11月17日

Posted by ブクログ

26歳の女性が派遣の満期で職を失い、失業手当の受給期間を過ぎても仕事は決まらず、お金がなくなり家賃が払えなくなって漫画喫茶に寝泊まりするようになる。
怠けていたわけでも、贅沢や浪費をしていたわけでもなく、真面目に働いて慎ましく暮らしていただけなのに。でも、これが現実。
主人公は四年制大学を卒業している。派遣や日雇いでの事務仕事だって人並み程度の能力があることは描写されている。
日本は、普通の人が普通に働いて普通に生活することができない国になってしまったんだな。
頼れる実家があるかないか、それが全ての運命の分かれ道になっている。
実家、就職、人脈ガチャ…全てが運ゲー。


終盤に出てきたCEOが「字が汚いのは努力を放棄した人だ。ある程度の努力で字は綺麗に書けるはずだ」と力説していたのが、また胸に刺さった。
字が汚いのがますますコンプレックスになってしまった。

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2023年10月25日

Posted by ブクログ

2年ぶりの再読。テーマは貧困。
すごく引き込まれる内容だった。面白かった。
主人公である水越愛の苦しい状況を応援したいという猛烈な想いと、テーマが決して他人事ではないという緊張感があったことが没頭できた理由だと思う。

登場人物に、2児のシングルマザーであるミサという人物が出てくる。
彼女は、出会い喫茶で、「茶飯」ではなく「ワリキリ」をして生計を立てている。そこまでしないと家族を養っていけないのが、読んでいてとても苦しかった。生活保護を申請しようにも、学歴のないミサに対し、市役所の人が怒ったような、責める態度になるという。おまけに彼女には発達障害があって、制度のことなんてなおさら理解できない。
こんな状況でも、必死に生きているのかと思うと、とても心が痛い。
結果的にミサの行方はわからなくなってしまったが、その後どうなったのかすごく気になるところだ。

貧困は、お金がないことではなく、頼れる人がいないということ。
貧困で苦しい状況である人たち、特に若い人たちに、少しでも過ごしやすく安全に暮らせる世界をつくっていかなくてはいけない。

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2023年09月12日

Posted by ブクログ

しんどかったー…。何度も何度も、途中で本を閉じて深呼吸が必要だった。

私もブラック企業で働いたり、つまずいたりしたせいで、精神・物質両面で貧困を味わった時期が長かった。20代の頃って、楽しいし体力もあるけど、何だか貧しかった記憶がつきまとう。
その頃を思い出すには、十分すぎる心理描写だった。ほんとにリアル…。

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2023年08月16日

Posted by ブクログ

派遣切りをきっかけに、住む家を失い、出会い喫茶で男性を待つようになった26才の愛。ワリキリ=売春には抵抗がある。なぜなら、PCが使えて事務仕事ができる自分は、そっちにいかなくてもやっていけるから──
私の家族は仲良しではないにしても、これまでの人生を支え、認めてくれる、ありがたい存在です。親無しに生まれてくる子などいないのに、すべての子どもが親に護られるわけではないという、普段は意識しないことを改めて思い知りました。政治や行政は護られていない子どもや、かつて護られていない子どもだった人を護るために、知恵を絞り、お金を使って欲しいです。
愛やナギのその後の物語を心に思い描いていますが、想像力が足りな過ぎて情けない。雨宮くん目線の物語も読んでみたいです。

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2022年10月31日

Posted by ブクログ

ネタバレ

水越愛
大学を卒業して三ヵ月が経った頃、文房具を開発している会社に派遣された。三年経過し、社員登用が無理だと伝えられた。家賃を払えなくなり、漫画喫茶に寝泊まりする。

雨宮
愛と高校、大学でも一緒だった。区役所の福祉課に勤めている。

マユ
愛と同じように漫画喫茶で寝泊まりしている。

サチ
出会い喫茶で会った女性。

勇気
愛の父親の愛人の子。腹違いの弟。

仁藤
ボランティアスタッフ。大学院で社会学を学んでいる。

ナギ
シネコンの入り口の前によくいる女の子。

ルキア
サチの息子。

キララ
サチの娘。

山本由美
高校一年、二年の時に同じクラス。

ケイスケ
出会い喫茶の常連。

川瀬千鶴
雨宮の彼女。上司。

上谷
農業支援の会社のCEO。

和泉
農業支援の会社の社員。

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2024年11月19日

Posted by ブクログ

本人も気付かないうちに少しずつ余裕を失っていく様が痛々しくも、苦しくもありました。そして実際にこのような生活を送る若者は、決して珍しい存在ではないのだろうとも思います。
夜の世界に足を踏み入れざるを得なかった人たちの物語としては、結末が少し美しすぎるようにも感じてしまいましたが…。若者の貧困に焦点を当てた作品としては読みやすく、人にもおすすめ出来る一冊です。

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2024年07月24日

Posted by ブクログ

これは私には微妙でした。設定や展開が作りものじみていて、主人公の行動があまりにも焦ったい。エンディングもいかにも取ってつけたようでちぐに感じました。広く問題提起するために小説の形をとったのかも知れませんが、小説で読む内容ではないと思います。

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2024年05月25日

Posted by ブクログ

若年の貧困がそんなに遠い出来事ではないのだなと感じ、不満はあれど仕事があって、衣食住が毎日あることの有り難みが身にしみた。主人公が貧困に陥りながらも同じ状況の女の子たちを何とかしたいと思うところが
まだプライドを捨てられず、人を高みから見ていてる部分に些か苛立ちを覚え、それよりも何とか今の状況から脱却したいと自分勝手に思っていてくれた方がスッキリする。

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2024年02月09日

Posted by ブクログ

貧困女子の話。
知ったフリをいつまでもしてるな。
特定の職業に焦点を当てることは、
自分が社会から排除されてる気分になるからとかいう理由で全然自分自身言及できないのがすごく嫌になる。

誰しも貧困になる可能性はある。私も含めて。
お金がないじゃない、頼れる人がいなくなるのを貧困と呼ぶのなら、その人が真面目が故に陥ってしまうんだろう。
だけど生きるって自己責任ではないよなぁ〜〜。
これからも日本で生きていたいから日本よ、
みんなに優しくなってくれよ〜。

個人的にはホームレスのインタビューをする女子大生の描き方がリアルで、ざわざわした。

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2023年08月02日

Posted by ブクログ

人生ままならない主人公を通して、女性の貧困について色々考えさせられるお話。
私が今の暮らしをできているのは、単に勉強が出来たからとかそういうことではなく私が育った環境とかも大きく影響しているのだなぁ……と、当たり前のことに気付かされた感じ。。

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2023年07月02日

Posted by ブクログ


貧困。
わかっていたつもりだったけど、こんなにも簡単に人は貧困に転がり落ちてしまうのか。

派遣社員として文具メーカに務めて3年。順調に進んでいた正社員登用の話は会社の業績悪化に伴い急に打ち切られ。新しく正社員の道を探すも難航し、そのうち貯金がつき、家賃が払えなくなり、あっという間にホームレスに。
日雇いバイトでは毎日冷たいパンしか食べられず、漫画喫茶で出会った女の子に“出会い喫茶”を教えられ、茶飯で日銭を稼ぐ。
ワリキリは、しない。



主人公の愛の他にもたくさんの貧困女子たちがでてくる。
雨宮のような親切な友人に恵まれず、それぞれの闇を抱えて身体を売る少女たち。

彼女たちに一晩の眠る場所を提供する人達は、決して神さまなんかではない。
そうして彼女たちは社会のセーフティネットからすり抜けていく。



「助けて」と言えること。
最悪の状況になる前に踏みとどまること。

できる人から見ればごくごく簡単なことに見える。少しくらいみっともなくても、少しくらい分からないことがあっても、餓死するよりはマシだろう、と思う。なんでこうなる前に「助けて」と言わなかった?と思う。

でも、それができない人達がいる、ということを私たちは想像しなければならない。

貧困は、お金がないということではなくて、頼れる人がいないということ。

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2023年01月31日

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