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Posted by ブクログ
これはとても楽しく読めた。
高2になった始業式から始まる、遥とマーリン、バンちゃんとアルト、4人の一年。
いじめもスクールカーストもない、むしろ動画配信が発覚して処分を受けそうになったクラスメイトを全員で慮るようなクラスが描かれ、今の世の中にはあり得ないかも知れないが、読むのがしんどくなるような内容の本もある中で、こういう物語に出会うと心が安らぐ。
クラス分け、部活紹介、憧れの先輩、学食、帰り道でのお喋り、期末テスト、夏休みの海の家、文化祭の準備、就学旅行での告白、球技大会、卒業式…。
川西さんの動画配信発覚以外は特別なことは何も起こらないが、かつて通り過ぎてきたことばかりの描写に大昔の高校2年生の頃を思い出した。
思えば、男子ばかりのクラス(私の高校は男3:女1の割合だった)の1年生でもなく、もちろん受験のための授業ばかりの3年生でもなく、2年生の時が一番楽しかったもんな。
『陸上とは違う何かがしたいと思っていたのに、何もできなかった』という遥に『違う何かしてたじゃん』と返すマーリンだったが、全く同感。
志望校目指して勉強したり、友達とダラダラしたり、まあ、色々悩みはあったと思うが、待ち受ける未来に対しておしなべて希望のほうが勝っていた時代が懐かしい。
そんな中、学校をサボって行った水族館をきっかけに、川西さんの事件を経て大きくなっていく、遥の中に芽生えたアルトに対する微妙な想い。
これもまた、高校の頃ってこんな感じだったなあと思い返す。
じれったいような、自分の気持ちを持て余すような気持ちが丁寧に描かれていて、とても好い。
花火大会でのこともありがちで、分かっていてもお互いちゃんとした対応が取れないんだよね。
雪の中、海が見えるベンチでの会話がとても切なかった。
Posted by ブクログ
2022/04/07
畑野さんの描く青春系の小説が好きで、文庫化するのを待ってました!
アルト、マーリン、バンちゃん、遥の4人が送る高校生活が描かれていて、ごくごく普通に4人の高校生、特に遥を中心として物語が進んでいきます。そこには一年の中で大半の人が経験しているであろう高校の行事のことや、恋愛についてのあれやこれやもあったりして「青春」という要素がギュッと豪華に詰め込まれているような感じです。
あとがきの方も書いてましたが、大体の小説には山場となる出来事があったり、それを軸として物語が展開していく柱となるものがあったりする中、水槽の中では、特にこれといって大きな出来事や中心となる描写は無く、普通に高校生が高校生活を送る様子が描かれていて、逆に一般的なものをここまで読者を引き込むように描くことができるのは凄い…的な内容にとても共感しました。
この本を読むことで自分の高校時代などを思い出し、理想的な高校生活像として自分を投影しながらこの小説を読むと、もう一度あの頃に戻ったような気分になれると思います。
Posted by ブクログ
畑野智美さんの『水槽の中』を読みました。
読み終わったあと、しばらくぼんやりと自分の高校時代を思い出してしまった。
この物語に描かれているのは、同じ高校に通う遥、マーリン、バンちゃん、アルトの4人の1年間。友情、恋愛、勉強、そしてなんとなく見え隠れする将来の不安……。誰にでもある、でも二度と戻らない特別な高校2年生の日々です。
ドラマチックな大事件が起きるわけではありません。むしろ、どこにでもある「平熱の日々」。でも、だからこそ彼らの心の機微がダイナミックに伝わってきて、胸がギュッとなる。
「水槽の中」というタイトルが、まさにあの頃の、世界のすべてだった狭くて透明な空間を象徴しているようで、なんとも引き込まれました。
大人になって忘れていた、あの頃のヒリヒリした空気感に浸りたい人におすすめしたい一冊です。
Posted by ブクログ
桜並木の坂道を上がると正門が見える。
海辺の町の、海の見える高校で、同じクラスの遥とマーリン、バンちゃんとアルトの4人の一年間を綴った物語。
バンちゃんとアルトは、考古学部員の男子。
派手な子や目立つ子もいるけれど、いじめのない良いクラスメートたちに囲まれて、何か特別なことがあるわけでもないけれど、読んでいて何故かわくわくしてくる。
これが青春ていうやつかなぁ。
高ニのあの頃の初々しい思い出の数々。
大人の恋愛の一歩手前のような、切なくて胸がキュンとなった恋も、かけがえのない友情も、何もかもがぎゅっと詰め込まれていて、記憶の断片として、いつまでもいつまでも大事にしておきたい。
ひかりに反射してきらめく水槽をイメージさせるような「水槽の中」というタイトルが本当に素敵です。
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