畑野智美のレビュー一覧
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加害に遭った人たちの街が本当にあるのかと思って思わずネット検索してしまった。実在はしないよう。世の中にこういうコミュニティがあってもいいと思う反面、コミュニティ内で全てが完結してしまうのもこわい。
当事者にならないと本当の辛さはわからないけれど、自分がニ次加害を無意識に加えないように、自分の物差しを常に疑うようにしたい。
自分が我慢すればいいみたいな風潮はやっぱり無くなってほしいし、自分自身もやらないようにしていこうと思う。
読みながらあっちこっち思考が飛んで、色んなことを考えさせてくれる本。というより、考えざるを得ない状態になってしまう。 -
Posted by ブクログ
35歳独身の都内カフェ店員(副店長)、彼氏無しのメイが主人公。社員として飲食チェーン店に勤めているが、将来の展望があるような、ないような宙ぶらりんの状況。若い人に『目標は何ですか?』と詰められるが、答えるほどの何かの目標を持っているわけでもない。何となくわかるなあ。
僕も流通業の会社には入ったが、『店長になりたいか?』『将来は何になりたいの?』と聞かれても明確な答えは自分に無かった。『僕は○○屋です(でした)』と明確に答えられる人をある意味では羨ましく思った。
メイは同級生、元カレ、同じ店の同僚、常連さん…いろんな人に囲まれながら毎日を過ごし、店長試験をいろんな人の協力で4度目でやっと受か -
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ネタバレ大学時代にサークルのメンバーから性加害を受けたスミレ。それに蓋をして頑張って日々の生活を送って居たのに、その加害者がその事を良い思い出の様に話して居た事を知り、心が壊れてしまう。
辿り着いた場所は、行政が心のケアを必要としている人達を支援する街で…
誰もが傷を抱えている街で、苦しみから立ちあがろうともがく様子が痛々しく、そんな簡単に癒えるものではないのが現状でした。
加害者が自分のした事に気づかず、青春の一ページの様に語るのが許せませんでした。スミレの謝ってきたら許さなくてはいけないと言う言葉が重かったです。
スミレもその街をいつか出ていくのかと思いましたが、そこに止まり支援する側に就こ -
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感想
お互いに何処か足りないところがある、そんな二人が偶然にも出会うことってあるんだなぁ。家族にも色々な形がある。
あらすじ
夜野光は、成瀬という親友の家族に支えられて生きてきた。アパートが取り壊しになるということで住み込みの仕事を探していた。
これまで通りレストランの仕事だと思っていたが、そこは手芸店だった。手芸店は木綿子という七歳上の女性が暮らす家だった。
木綿子は、男性と付き合ったことがなく、ひかりは普通の生活をしたことがなかった。
二人はお互いを大事に思いつつ、恋愛には興味がない。一般常識では一緒にいるために恋人や性的な理由づけが必要なのか?二人は自分たちだけの関係を模索する -
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主人公がタイムマシンを使い過去に行ったことで未来の世界が変わってしまう物語。あらすじだけ文字にするとよくありそうなSF物語である。けれど、日常にフォーカスされた話であるからこそ、たったひとりの人間の行動が世の中の出来事に大きく反映されているのだと納得できる。
誰かに影響を与えていない人なんて、この世にいない。一本早い電車に乗る乗らない、コンビニで寄り道をするしない、たったひとりの選択で未来の世界が変わってくる。そう考えると、自分が生きていることにすら責任が伴うように思えてくる。
だけど、重く考え過ぎず生きたい。というより考えなくても、どんな世界線で生きたとしても、出会うべき人とは必然的に出 -
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特に盛り上がりがあるわけでもないが、飽きずに最後まで読み続けることができた。文章も読みやすかった。
多様性を認めながら、「恋」とはこういうものという一般論にこだわりすぎている気がする。しかもひかりと木綿子の2人とも。「恋」の形も人それぞれでいいじゃん、と思うのだが、他のことは「人それぞれ」と思えているのに、どうして「恋」だけはそう思えないのだろう。やはり「典型的な恋」をしてみたい気持ちが人間にはあるのかな。映画で漫画でドラマで小説で「恋とはこういうもの」と刷り込まれてしまっているから。
岡村孝子の歌に「幸せなんて言葉があるからそれとわからずに思い出ばかり作るのね」という歌詞があるが、「恋」 -
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料理が上手なひかりくん(28)と、手芸用品店を営むゆうこさん(35)。夫婦でもない、恋人でもない、家族でもない、二人だけがわかる微妙な関係が描かれているのが良かったと思います。同時に、貧困や多様性のことも絡めていて素晴らしい作品でした。
一緒に食事をして、お茶を飲んで、働いて、お客さまと話して、お風呂に入って、寝る。
二人がしているそんな生活が羨ましいなと思いました。
料理ができたり、裁縫ができたりと、モノを作るってとても素敵なことだと改めて思いました。
ゆうこさんの『まわりのものが自分の人生をつくってくれている』という言葉は、非常にグッときました。
この本を読んだボクは、小学生の頃の -
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ネタバレ恋愛小説は苦手なのに35歳独身というワードに惹かれて購入。結果、読んでよかった。両頬を思い切り平手打ちされたあと、背中を思い切り叩かれる気分。
最初の方は主人公メイちゃんの環境に共感とイライラに襲われ(父親はずっと最低だし新入社員も最初は超いけすかない!)ぐあああああってなってたけど、ページをめくる手は止まらなかった。文章がうまいというより共感力で読ませる感じ。
メイちゃんの等身大の悩みとか、その中でも自分にできる一歩を踏み出す勇気とか、踏み出しすぎて逆に爆死する痛さとか、も~~~~~ぜんぶわかるわかるわかるってなった。
あとみっちゃんが幼馴染の男の子の結婚に号泣した気持ちも痛いほどわかった。 -
Posted by ブクログ
とても優しく静かな物語だと思いました。
周囲からの、こうあるべきという、幸せになってほしい願いと、自分のそれが違うものだったら。
多様性が叫ばれる時代。お互いを認めましょう、とは言え、現実は今まで生きてきた社会の中で得た価値観が誰にもあるから、難しい。本当のところは本人しかわからない。だから、認めようとしてくれている人が側に居ることは、とても心強く重要だと思う。
2人が、不器用ながら相手に寄り添い、理解しようとするところに胸を打たれ、木綿子が、光を待っていたところはホロリときました。心を開けれる人はなかなか居ない。おじいちゃんや成瀬君、良い人ばかり。
人と同じでないことで悩むのは、大なり小なり