畑野智美のレビュー一覧

  • 消えない月
    先が気になって一気読みしてしまった。素敵な恋の始まりから一転すぐに暗雲が立ち込める。

    ストーカーされる側とする側の両者の視点で綴られるのでお互いの感情の揺れ動きや価値観が分かってとても良い。ストーカーについて理解を深めるためにもこの本はおすすめできる。

    人はいろんな一面を持つから付き合ってみたら...続きを読む
  • 大人になったら、
    三十五歳の誕生日を迎えたメイ。「いつから彼氏いないんですか?」「何が目標なんですか?」――失礼な後輩に憤慨しつつも、カフェの副店長として働く日々はそれなりに充実している。毎日同じメニューを頼むお客さんも、そんな日常の一部だったのだけど……。

    恋愛部分は、読んでいてややむず痒くなったが、前向きな気持...続きを読む
  • タイムマシンでは、行けない明日
    「ふたつの星とタイムマシン」を読んですぐにこちらも。
    人間関係もしっかり頭に入った状態だったので、面白さが倍増した気分。
    変えたい過去があったとしても、タイムマシンを使ってしまったらパラドックスが起こってしまうんだよな…。過去に戻ろうとする光二にハラハラしながら読み進めた。
    前作からの登場人物も綺麗...続きを読む
  • 家と庭
    下北沢に住む、4姉弟妹の物語。
    この設定だけでもかなり好き。
    家庭って家と庭だったんだな〜と改めて認識。

    女姉妹に囲まれて暮す弟、望目線で話は進んでいく。
    居心地の良い街、実家で暮らし、目的も何もなかった望は、姉妹や幼馴染の決断に影響を受け、望みを持つようになっていく。

    家族とはいえ、考えている...続きを読む
  • 消えない月
    読み出すと止まらず、2日で読み終えました。
    もうちょっとどんでん返しがあっても良かったと思います。
    2人の目線で描かれていくので、どんでん返ししにくい展開だったかな。
    井上夢人のラバー・ソウルみたいな展開かと思いきや、ストレートな感じでした。
  • タイムマシンでは、行けない明日
    「ふたつの星とタイムマシン」は散漫として面白くなかったのだが、この作品のための序曲(準備)だったんだな。
    巷によくあるタイムトラベルが現実をひん曲げてしまう危険を孕むというものでなく、パラレルワールドで話を膨らませていた。そして平沼教授が校舎の窓から祭りに賑わう人々を見て、「SNSを通すことで一人で...続きを読む
  • 神さまを待っている
    同い年の主人公、真面目に生きているのに仕事に巡り会えず転落の一途を辿る。無職、ホームレス、ありえないことだと思っているけど、自分もそうなる可能性がゼロではない怖さをリアルに感じた。
    もう社会人4年目なのに、いまだに働きたくないって毎日思ってて、でも、仕事があるってありがたいことなのかもしれない。
  • 神さまを待っている
    リアルすぎて胸が苦しくなった。主人公に近しい生活をしている友人を知ってるからこそ、身近に感じられいつ自分がその立場になるか想像するだけで怖くなる。こんなに恵まれた豊かな国なのに貧困は本当に身近にあるということをもっと知って欲しいし行政はもっと親身になって考えて欲しい(もちろん全てのところとは思わない...続きを読む
  • 若葉荘の暮らし
    コロナの頃って、本当に世界が変わったと思った物でした。
    楽しく読めたけど、物語というよりは政治経済と言うか、ルポを読んでるみたいな、作家さんの考えを読んでる気がしました。つまらなかったとかでは無くて。
    作中に黒い何かが通り過ぎる、みたいなくだりがあるけど、結局何かわからなかったなぁ。そう言うものなん...続きを読む
  • 水槽の中
    青春っていいなぁと思いました。
    高校生ならではの日常が心温まるものでした。
    ぜひとも、続編をみたい!
  • ふたつの星とタイムマシン
    はじめは子ども向けのような話だなと思ってましたが、30ページ程度の中にあれだけの面白さを詰めて、さらにどこかで話や登場人物が繋がっているという仕掛けもあり、読み終えた時には、タイムマシンに乗ってたどり着いたような気分でした。
    どれも不思議な話でしたが、あったらいいなと思うものばかりで、たくさんの夢を...続きを読む
  • タイムマシンでは、行けない明日
    読んでる間中、悲しさと寂しさが体にまとわりつくように、周りを漂っているような気分だった。

    コミカルな描写や、会話もあるのだけどそれを感じさせない、主人公の平沼先生、長谷川さん、魚住さん、丹羽君のご両親、いろんな登場人物の悲しさが溢れている。

    特に丹羽君のお父さんの気持ちが辛かった。痛いほど気持ち...続きを読む
  • 神さまを待っている
    とてもリアルな内容だった。今まで自分が関わってこなかった、これなかった体験を鮮明に描いており、この本を読んでよかったとすごく思えた。水越の苦労が、本当に本当に報われて欲しい
  • 神さまを待っている
    自分がかつてOLだったとき、友人の結婚式に出席した時、時を遡って、自分が主人公の愛になったみたいにどんどん物語に引き込まれていって、あっという間に読んでしまった。
    途中で、お金があるうちにアルバイトするとか、もっと方法があっただろうにと思わなくはなかった。
    愛が友人に相談して惨めになりたくないとか、...続きを読む
  • 消えない月
    ストーカーをする人の心理って考えたこともなかったけれど、自分の言動に少しも違和感を感じないどころか、むしろそれが自分にとっても相手にとっても良いことだと脳内変換されてしまうのが恐怖すぎた。だけど実際こういう人が沢山いるんだろうね、見た目じゃ分からないんだろうな。
    映画化してほしいと個人的には思った
  • 水槽の中
    緩やかなペースで進むのがより高校生ぽく感じた。何か特別な事が起こるわけではないが、高校生の日常そのものだった。高校卒業して10年以上も経ったが、何でもない思い出が一つ一つ鮮明に蘇って胸がギュッと苦しくなった。あの頃も青春してるな〜と思う事もあったが、大人になってからの方があの頃は尊かったなとしみじみ...続きを読む
  • タイムマシンでは、行けない明日
    物理的な説明は不明ながら、ボーイミーツガールの切なさとパラレルワールドの不思議さがいい具合にミックスされてとても面白かった。井神教授の深い愛に包まれた研究室、いい雰囲気でした。
  • 神さまを待っている
    26歳の女性が派遣の満期で職を失い、失業手当の受給期間を過ぎても仕事は決まらず、お金がなくなり家賃が払えなくなって漫画喫茶に寝泊まりするようになる。
    怠けていたわけでも、贅沢や浪費をしていたわけでもなく、真面目に働いて慎ましく暮らしていただけなのに。でも、これが現実。
    主人公は四年制大学を卒業してい...続きを読む
  • 水槽の中
    桜並木の坂道を上がると正門が見える。
    海辺の町の、海の見える高校で、同じクラスの遥とマーリン、バンちゃんとアルトの4人の一年間を綴った物語。
    バンちゃんとアルトは、考古学部員の男子。
    派手な子や目立つ子もいるけれど、いじめのない良いクラスメートたちに囲まれて、何か特別なことがあるわけでもないけれど、...続きを読む
  • タイムマシンでは、行けない明日
    たとえ運命の岐路が違ったとしても、人はいつかは会うべき人に出会うという人生の恵みをSFならではの仕掛けで表現した佳作。
    プロットに瑕疵があるとすれば、時間旅行に執着して研究者にまでなる主人公がパラレルワールドの陥穽に思い至らずに猪突猛進する序盤の展開は明白な矛盾だが、「恋愛」小説を成立させるために敢...続きを読む