畑野智美のレビュー一覧
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SFの形をした恋愛小説であり青春小説。以前から読みたかった本なのだが、7年を経て文庫化されたので、早速購入して読んでみた。もう一冊関連する短篇集も購入したのだが、そちらのレビューは後で。
タイトルからもわかるように、タイムトラベル物。タイムトラベル物は、現在と過去の行き来が描かれ、そこがこんがらがるので苦手という方も多い。しかし、切ない系のストーリーが好きな方にはおすすめだ。「夏への扉(R・A・ハインライン)」、「美亜に贈る真珠(梶尾真治)」等の名作が多々ある。
事故で亡くなった女の子を救うため、過去へ向かう男(元少年)というありがちな展開ではある。そこからが… なのだ。時空を超え -
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これはとても楽しく読めた。
高2になった始業式から始まる、遥とマーリン、バンちゃんとアルト、4人の一年。
いじめもスクールカーストもない、むしろ動画配信が発覚して処分を受けそうになったクラスメイトを全員で慮るようなクラスが描かれ、今の世の中にはあり得ないかも知れないが、読むのがしんどくなるような内容の本もある中で、こういう物語に出会うと心が安らぐ。
クラス分け、部活紹介、憧れの先輩、学食、帰り道でのお喋り、期末テスト、夏休みの海の家、文化祭の準備、就学旅行での告白、球技大会、卒業式…。
川西さんの動画配信発覚以外は特別なことは何も起こらないが、かつて通り過ぎてきたことばかりの描写に大昔の高 -
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2023/03/19
宇宙に関する研究をして宇宙開発に携わりたいと思っていた丹羽光二は過去に好きだった長谷川さんという女性を不慮の交通事故で亡くしてしまう。
やがて大学の研究室で以前の研究室の主である井が神先生という人からタイムマシンのカギを引き継いだという人からタイムマシンの存在について知ることになる。
長谷川さんを亡くした過去を変えたいと思い、タイムマシンでその過去に戻ると、過去は違ったものになっていったのだが、もう一つの世界では丹羽光二自身が死んでしまうことになってしまう。
それを側から見ていた未来の丹羽光二は、その後その世界にとどまったまま平沼先生という教授として研究室にいることになる -
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畑野さんご自身がこの作品は文庫化されないと思うと言われていたので、最近文庫化されたのが嬉しかったです。
タイムマシンというとSF的な要素満載かと思うけど、そうでもなくて、登場人物の心情が丁寧に描かれすぎていて読んでいて苦しくなるくらいでした。そして相変わらず作中の登場人物を甘やかさない、だけど最後に希望を抱かせてくれるすごく読後感の良い作品でした。みんな幸せになってほしいと心から願ってしまいます。
個人的には魚住さんが大好きになりました。
人と人との出会いは奇跡のように見えて、最初から決められているのかもしれない。
あと、「ふたつの星とタイムマシン」をもう一度読み直さないと。 -
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ネタバレとても現実的で、すごく考えさせられた。
読むと止まらなくなり、話に夢中になった。
「貧困というのは、お金がないことではない。頼れる人がいないことだ。」という言葉がとても心に残った。本当にその通りだと思った。
漫画喫茶で暮らすくらし、出会い喫茶でお金を得て生きる、身体を売る。そんなことは遠い世界のように感じるけどそれは今もどこかで起こっていることで他人事ではないと思った。
途中、どうなるかと思ったけど最後には愛が救われて良かった。
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2回目(2021年1月22日)
「頭のいい人ばかりが得する世の中で -
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2022/04/07
畑野さんの描く青春系の小説が好きで、文庫化するのを待ってました!
アルト、マーリン、バンちゃん、遥の4人が送る高校生活が描かれていて、ごくごく普通に4人の高校生、特に遥を中心として物語が進んでいきます。そこには一年の中で大半の人が経験しているであろう高校の行事のことや、恋愛についてのあれやこれやもあったりして「青春」という要素がギュッと豪華に詰め込まれているような感じです。
あとがきの方も書いてましたが、大体の小説には山場となる出来事があったり、それを軸として物語が展開していく柱となるものがあったりする中、水槽の中では、特にこれといって大きな出来事や中心となる描写は無く、