畑野智美のレビュー一覧
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ネタバレ話が進むにつれ、ゆるやかに変化していく登場人物たちの心情が、軽やかなテンポ感と穏やかでやさしい風景描写と共に描かれているのが印象的だった。
本田、日野さん、松田、この3人の変化のきっかけとなった春香自身が一番、この街に来て変わったのだと感じた。
私たち読者の目に最初に映った春香は、こんなにも愛らしい女の子だっただろうか。
『みんなに優しくていいから、ほんの少しだけわたしを特別にしてほしい。』
海が見えるこの街で 4人が迎える明日が、少しでもあたたかいものであればいいなと思う。
(『金魚すくい』で発熱した本田がかなりツボで好き) -
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光は家族というものがわからない。
木綿子は恋というものがわからない。
自分が「普通」とは違うということに悩む2人が、小さな一歩を踏み出すまでの9か月間を描くヒューマンドラマ。
物語は主人公の2人、光と木綿子の視点で交互に描かれていく。
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大型台風が町を襲ったその日、強風で飛ばされた物干し竿がアパートの部屋の窓ガラスに突き刺さった。たちまち吹き込む雨風。
6畳ひと間の部屋が居場所もないほど水びたしになっていくのを見て、光は隣の駅近くにある健康ランドへの避難を決めた。
駅に向かいながら、光はこれからの身の振り方を考える。
働いていたレストランの閉店まで1か -
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ネタバレ同じ作者の「ふたつの星とタイムマシン」と併せて読むと面白い、みたいなことが書いてあったのだが、そちらは7年前に読んでいて、内容については全く印象に残っておらず。
その時のレビューを見ても『口当たりはいいけど何となく物足らず』と書いてあったが、まあ、これはこれとして読んでみよう。
2016年から偽札を持ってタイムマシンで1962年に行き三島由紀夫の新刊を買う仙台の大学教授・平沼が描かれた後、ロケットの打ち上げが行われる島に住む高校生・丹羽光二と、彼の気になる同級生・長谷川葵の2003年秋の日常が描かれていく。
光二と葵の初めてのデートの日、葵が交通事故に遭い帰らぬ人になるが、光二は大学生になり -
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SFの形をした恋愛小説であり青春小説。以前から読みたかった本なのだが、7年を経て文庫化されたので、早速購入して読んでみた。もう一冊関連する短篇集も購入したのだが、そちらのレビューは後で。
タイトルからもわかるように、タイムトラベル物。タイムトラベル物は、現在と過去の行き来が描かれ、そこがこんがらがるので苦手という方も多い。しかし、切ない系のストーリーが好きな方にはおすすめだ。「夏への扉(R・A・ハインライン)」、「美亜に贈る真珠(梶尾真治)」等の名作が多々ある。
事故で亡くなった女の子を救うため、過去へ向かう男(元少年)というありがちな展開ではある。そこからが… なのだ。時空を超え -
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これはとても楽しく読めた。
高2になった始業式から始まる、遥とマーリン、バンちゃんとアルト、4人の一年。
いじめもスクールカーストもない、むしろ動画配信が発覚して処分を受けそうになったクラスメイトを全員で慮るようなクラスが描かれ、今の世の中にはあり得ないかも知れないが、読むのがしんどくなるような内容の本もある中で、こういう物語に出会うと心が安らぐ。
クラス分け、部活紹介、憧れの先輩、学食、帰り道でのお喋り、期末テスト、夏休みの海の家、文化祭の準備、就学旅行での告白、球技大会、卒業式…。
川西さんの動画配信発覚以外は特別なことは何も起こらないが、かつて通り過ぎてきたことばかりの描写に大昔の高 -
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2023/03/19
宇宙に関する研究をして宇宙開発に携わりたいと思っていた丹羽光二は過去に好きだった長谷川さんという女性を不慮の交通事故で亡くしてしまう。
やがて大学の研究室で以前の研究室の主である井が神先生という人からタイムマシンのカギを引き継いだという人からタイムマシンの存在について知ることになる。
長谷川さんを亡くした過去を変えたいと思い、タイムマシンでその過去に戻ると、過去は違ったものになっていったのだが、もう一つの世界では丹羽光二自身が死んでしまうことになってしまう。
それを側から見ていた未来の丹羽光二は、その後その世界にとどまったまま平沼先生という教授として研究室にいることになる