辻村七子のレビュー一覧
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ネタバレ宝石商リチャード氏の謎鑑定シリーズ14冊目、完結が近付くことを感じさせる第3部の3冊目です。
前作、硝子の仮面舞踏会のラストで登場したヨアキムは、どうやら事情があってジェフリーの元から逃亡してきたらしく、しばらく正義たちの暮らす横浜のマンションで居候をすることに。英語しか話せないヨアキムとの距離をおそるおそる探りながらの交流、中華街に現れるようになった少し変わった占い師、みのるから見た正義とリチャードの関係と、真鈴が正義に向ける気持ちについて、様々な状況が入り乱れて、みのるは自分と周りの人のことを知らず知らずにつなげたり、考えを深めたりしていく。ようやく母親とも面会を果たし、一つ自分の中 -
購入済み
やはり面白い
第3部に入ったところで、しばらく読むのをやめていた。買ったまま積読状態だったのだが、風邪で寝込んだのを期に再び読み始めたら一気に3冊読了。やはり面白い!
ここへ来て宝石との絡みは少なめだが人と人の関係(リチャードと正義のみならず)を描く方に物語がシフトしているように感じた。
もちろん今まだだってそれぞれの宝石に絡めて人々の心の綾が描かれていたのだけれど。
思春期真っ只中の子供たちの悩みはともかく、良い大人たちである2組のカップルのややこしい悩みっぷりはどうなの?と思いつつも、考えてみれば彼らですら30前後のまあ青年…?と言っても良いお年頃なので仕方ないよねと、彼らの世代をはるかに超えてしまっ -
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ネタバレ大学生の正義(せいぎ)は酔っ払いにからまれている外国人を助け、彼が宝石商だと知り、サファイアの指輪の鑑別を依頼します。その指輪にはある事情があり ―― 。
外国人の宝石商リチャードはものずこい美形で日本語も堪能です。正義は名のごとく正義感溢れる好青年ですが、少し天然気味で誤解を受けそうなキャラ。
正義がリチャードの宝石商でバイトをすることになり、宝石にまつわる様々な出来事を目にしていくというお話。
二人の出会いの指輪のお話。正義の祖母が戦後の生活苦の時に掏摸で生計を立てていて、ある日若い女性から掏った指輪が女性の未来を変えてしまったという話なのですが、ずっと後悔したままだった祖母とそんな祖 -
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一部と二部の背後にあった物語プラス、二部が終わったあとの短い物語。
ジェフリーとヨアキム、大変だったんだな。と、ジェフリーが頑張りすぎていて、読んでいてかなりしんどい。そのぶん、これからヨアキムと幸せになって欲しいと、深く深く思った。
宝石商リチャードシリーズを読んでいると
「美しい」
という一言では言い表せない、たくさんの「美しい」ものが出てくる。
何人もの人が関わり合う中で、摩擦あり、肯定があり、反発があり、諦念がある。互いに愛し合っていても、正確に伝えられるかわからないし、正しく受け取れるかわからない。
違う人なのだから、すれ違って当たり前で、喧嘩することだってあるだろう。許せ -
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今回の物語の舞台は、香港!
といっても、第二部が開始した頃から、各国各地域を回っているので、香港に止まらないのだが。
世界を飛び回る、それは甘い憧れだが言葉の壁、文化の壁という中で決して見た目よりも甘くはないことも知る。
だが、正義がぶつかったのは、日本だ。
彼の母国。彼が育った国。故郷。
日本人なら気づいているだろう、自分が生まれ育った国が、和を持って尊しと言いながらその和から外れるものには容赦しない国であることを。
それでも、そこに自分の根がある。
どこの国も内実は変わらない。
そこまで行かなくても、日々の暮らしの中で、私たちはぶつかる。
その時に、こんな言葉と出会えたら。
「あなたの胸