辻村七子のレビュー一覧
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Posted by ブクログ
本作ではリチャードの過去があらわになる。
師との出会い、母親や家庭教師など、実家の話など…優しさであったり、考えられないくらいの苦しみであったり、それらが今のリチャードを形作っていることがよくわかる。
人は皆過去を元に作られていく。
優しさも賢さもそしてそれを総括した「美しさ」も。
「挑むシトルリン」は叶わない恋の物語だ。
いうことは簡単だが言わないことはその何十倍も苦しく、自分を律しなければならない。
そして、自分が思うほど相手は自分を思ってはくれないこともある。
だが、相手が生きる世界を、相手が大切にしている世界を愛することはできる。
愛とは、人間とは、なんと複雑なのだろう!
「ジルコ -
Posted by ブクログ
ネタバレ僕幕2ですね。
学がないので、「オネーギン」がロシア作家の小説だと読むまで知りませんでした。タイトルに出てるのだから調べろって話なんですが。
しかし、このタイミングでロシアの小説を主軸に据えるとはチャレンジャーだなぁと思ったのですが、読み進めていったら、現実と同じ世界線だと気づきました。
そして、このタイミングだからこそ、先生は書いたのだなと。そのメッセージはしっかりと物語を通して伝わりました。
物語は残り続ける。忘れてはならないのだと問い続けるために。
重たいテーマを混ぜながらも、お話の筋道自体はいたって快活で、汗と忍耐と努力の青春バディものって感じですね。
今回から登場した未来哉くん、最