辻村七子のレビュー一覧
-
購入済み
コミュニケーションに感動
本編15巻という長い旅路を完結まで並走してきた。だからこそ、この外伝『エトランジェの宝箱(トレジャー・ボックス)』は、単なる番外編ではなく、リチャードと正義が紡いできた時間の「結晶」として胸に響く。
「メラビアンの法則」を文面で超越する筆力には心を射抜かれる。
コミュニケーションにおいて言語情報はわずか7%と言われる。しかし、辻村七子氏の文章はその「残り93%」である視覚や聴覚の情報を、読者の脳内に直接流し込んでくる。
宝石の輝き、風の温度、リチャードのわずかな視線や仕草。
本来なら「見なければわからない」はずの、作中にも出てくるが、リチャードと正義のやり取り、ノンバーバルな情報が、言葉の選び -
Posted by ブクログ
ネタバレ「さよならとカブスボタン」
なんというか、呆気なかった。やっぱり、生前にどんな事をしていようが、死ぬ時は死ぬし呆気ないんだなと思った。
みのるくんからすれば、正義の電話しているセリフは訳わからないよな。かと言って、一から説明するのもなあ……。難しい。
「告白とペンダント」
真鈴が正義に告白。すごいなあ。私だったら、フラれるのがわかっているから絶対にできない。正義もちゃんと向き合っているのが流石だと思う。こういう人だからこそ好かれるんだろう。
最後、正義と兄弟、大丈夫だろうか? きっと兄弟は守ったんだろうが、正義が轢かれてないことを願う。
「セレスタイトは歌う」
正義が車にはねられ -
Posted by ブクログ
ネタバレ「サンタ襲来」や「リチャード先生のお料理教室」が特に好き。
「新時代」という話は、クラシックのあの曲にまつわる話かな、と想像していたが、違った。(よく考えたら、クラシックの曲は「新世界」だった。)タンザナイト期間の話だった。それにしても、迷惑・申し訳ない・ごめんなさい、と口にするたびに課題図書三冊って……。まあ、気を使わなくていい、というリチャードなりの配慮だろうな。
「スリランカ中田日記」という話も好き。ブログのコメント欄が面白い。きっと、イギー(正義)の知り合いなんだろうなあとわかるコメントだった。ハンドルネームも凝っている。ただ、Ilovestonesさんしか名前の由来が想像できなかった -
Posted by ブクログ
ネタバレ完結記念の短編集。これまでの短編を改題したりしてきたようだが、正義とリチャードの話は相変わらず正義がリチャードに見惚れて褒め称えているだけという感じ。一部完結編後なので、正義は世界中を飛び回っているようで、スリランカが舞台の話は風俗や風景がよく描かれている。他の国に関してはイマイチだが、空港での描写や異国への旅立ちの心情は秀逸。みのるが出てくる話に関しては、リチャードのみのるへの褒め称えが異常で、気持ち悪い。みのるは本当に小学生みたいだ。作者は男性同士の関係については心情表現といい秀逸であるが、子供や女性の描き方がイマイチで、特に女性は傲慢だったり品がなかったり、頭が足りないと思わせるのが多い
-
ネタバレ 購入済み
言葉の輝き
この作品の最大の魅力は、二人の対照的な「言葉」にあると感じた。
感情をそのままストレートにぶつける正義の「真っ直ぐな言葉」と、美しい比喩を幾重にも重ね、多くの語彙で真実を包み込むリチャードの「饒舌な言葉」。
特に痺れたのは、ロイヤルミルクティーを巡るリチャードの台詞。「これが本物のロイヤルミルクティーです。後は本物ではない」――。
自分の認めたものへの強いこだわり、そして、それ以外は鮮やかに切り捨てる、そのイギリス人らしい誇りと美学!作者の卓越した言語センスを感じる。
コミック版の美しい作画によって、その言葉を発するリチャードの表情がさらに説得力を増しており、読んでいるこちらも背 -
Posted by ブクログ
医療系のSFと思ったら… <ブラックジャック>と<蟹工船>と<攻殻機動隊>だった。
気候変動で、海面が上昇した24世紀の世界が舞台。世界は、超巨大混合企業HAに事実上支配されていた。社会の階層化が進み、教育や医療へのアクセスが困難な地域も多くあった。そんな中でも、偏屈で風采が上がらない博士(ドクター)は、助手のロボットマリアⅡとオンボロのクリニック船で移動しながら、人々の診療を続けていた。
本書はSFマガジンに連載されていた4編を加筆修正し、書下ろし1編を加えて単行本したもの。最初の2編は、<ブラックジャック>を彷彿させられた。伝説の名医と助手のコンビだし。と思ったら、次はSF版「