【感想・ネタバレ】宝石商リチャード氏の謎鑑定 エトランジェの宝箱のレビュー

あらすじ

2019年に刊行された公式ファンブック『エトランジェの宝石箱(ジュエリー・ボックス)』に収録されていたすべての短編に加え、本作『エトランジェの宝箱(トレジャー・ボックス)』ではその後に発表された数々の短編・中編を収録したファン必携の一冊! 書き下ろし作品『ソレア』や第二部と第三部の間の出来事を描いた中編『overture 海の見える町』、「忘れじのK」シリーズとのコラボ短編『フィレンツェの休日』など、珠玉の全52作品を4つのパートに分けて収録!
【収録作品一覧】
case.1 エトランジェの宝石箱
クレオパトラの真珠/クンツ博士とモルガン/繋ぐクリソプレーズ/宝石箱/曇天のアイオライト/アイデンティティ/プレイ・オブ・カラー/ムーンストーンの慈愛/ふりかえればタイガーアイ/ムーンケーキの季節/空港にて/空漠のセレスタイト/ボールペンかティッシュか/おいしいレシピ/ハーキマーダイヤモンドの夢/お祝いに寄す/鎌倉仏教紀行/新時代/スーツの話/ラーメンの話/サンタ襲来/リチャード先生のお料理教室/コロンボの書店/サリーダ/スリランカ中田日記/オペラびいき/いつかのバースデー 中田正義編/こだわりラーメンなかたや列伝 ―波乱万丈商売敵編―/Mother/色眼鏡/捨てられない男/おつかれさまの話/つきのひかり/They (never) dance alone/Joy to the World/Noel/無理チャードさん/祭りの日
case.2 フィレンツェの休日
case.3 overture 海の見える町
case.4 エトランジェの宝箱
オイスターの憂鬱/きらきら星たちのパーティ/プディングとプリン/いつかオペラ座で/美しい人 ―いつかのバースデー―/あなたに祝福を ―いつかのバースデー―/いつかの六月二十八日/オジェルダノワとライール/20××年のアスコット/ファルーカ/アレグリアス/ソレア

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コミュニケーションに感動

本編15巻という長い旅路を完結まで並走してきた。だからこそ、この外伝『エトランジェの宝箱(トレジャー・ボックス)』は、単なる番外編ではなく、リチャードと正義が紡いできた時間の「結晶」として胸に響く。
「メラビアンの法則」を文面で超越する筆力には心を射抜かれる。
コミュニケーションにおいて言語情報はわずか7%と言われる。しかし、辻村七子氏の文章はその「残り93%」である視覚や聴覚の情報を、読者の脳内に直接流し込んでくる。
宝石の輝き、風の温度、リチャードのわずかな視線や仕草。
本来なら「見なければわからない」はずの、作中にも出てくるが、リチャードと正義のやり取り、ノンバーバルな情報が、言葉の選び方ひとつで、まるで目の前で起きているかのようなリアリティを持って迫ってくる。作者の言葉選びは、緻密で妥協のない美しさに満ちている。
スリランカを離れ、新天地へと向かう章。作者は、最後の最後まで地名を明かさない。
夜間の外出を危ぶむ必要はない、たくさんの十字架の並ぶ墓地、歴史ある洋館レストラン、ローズガーデン、汽笛の音、コンテナをつるすクレーン……。正義の隣を歩きながら、異国のようでもあり、どこか懐かしくもある風景を五感で追いかけることになる。
そして最後に現れる、海をまっすぐに横切る、天国へ続くような白い橋。横浜ベイブリッジ。
「今日から俺の暮らす街だ」という一言で締めくくられる。本当に綺麗な描写と表現、私はこの章が特に好きだ。
一つ一つの章が本編と繋がり、正義、リチャード、そして彼らに関わってきた家族や親友たちの成長を、この一冊で改めて噛み締めることができる。雪広うたこ氏による表紙・挿絵によっての二人の表情や服装の移り変わりが、物語の深まりを一層雄弁に物語っている。視覚的にも彼らの変化を愛おしく感じさせてくれる。

もう一度、あの始まりの場所『銀座 エトランジェ』から彼らの物語を読み直そうと思う。

宝石商リチャード氏の謎鑑定 順番

宝石商リチャード氏の謎鑑定

エメラルドは踊る

天使のアクアマリン

導きのラピスラズリ

祝福のペリドット

転生のタンザナイト

紅宝石(ルビー)の女王と裏切りの海

夏の庭と黄金(ドール)の愛

邂逅の珊瑚(サーンウー)

ほう久遠の琥珀

輝きのかけら

少年と螺鈿箪笥

ガラスの仮面舞踏会

再会のインコンパラブル

比翼のマグル・ガル

エトランジェの宝箱(トレジャー・ボックス)

#感動する #カッコいい #深い

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2026年02月26日

Posted by ブクログ

ネタバレ

「サンタ襲来」や「リチャード先生のお料理教室」が特に好き。
「新時代」という話は、クラシックのあの曲にまつわる話かな、と想像していたが、違った。(よく考えたら、クラシックの曲は「新世界」だった。)タンザナイト期間の話だった。それにしても、迷惑・申し訳ない・ごめんなさい、と口にするたびに課題図書三冊って……。まあ、気を使わなくていい、というリチャードなりの配慮だろうな。
「スリランカ中田日記」という話も好き。ブログのコメント欄が面白い。きっと、イギー(正義)の知り合いなんだろうなあとわかるコメントだった。ハンドルネームも凝っている。ただ、Ilovestonesさんしか名前の由来が想像できなかった。でも、リチャード、谷本さん、シャウルさん、下村さん、ヴィンスさん、中田さん、はいると思う。

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2026年02月20日

Posted by ブクログ

『〜宝石箱』の内容も入った盛りだくさんの短編集。
お腹いっぱい、というくらいに楽しめました。
しかし、個人的に残念だったのが書き下ろしの『ソレア』。これは中田正義の親友の下村晴良の話なのですが、読んでいてずーっと不安でした。そしてこうなるのか…そうだよね…そうなんだろうね…。と、ちょっと辛かったので、できれば一番最後じゃなくて、最後から2番目くらいに置いて欲しかったなぁと思いました。その場合、最後にどの話を置いて欲しいかと言うと、『貴方に祝福をーいつかのバースデーー』がいいかな。皆のハッピーバースデーソングで終われたら、きっと気分はもう少し良い余韻で終われたかもしれないです。
でも、どの話も楽しく読めました。完結おめでとうございます!

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2025年12月10日

Posted by ブクログ

ネタバレ

まず、分厚さにびっくり。
読み進めて行くごとに、リチャードと正義が親密になっていくのも、楽しく読めた。
最後の晴良とヘンリーの話も、よかった。晴良がいい人っていうか、人間ができていて。
それぞれの話が、いつ何に付いていたかなどの表記がなかったのが残念だった。

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2025年11月26日

Posted by ブクログ

ボリュームのある短編集。
大人な正義をずっと読んでたので、大学生時代がとても懐かしかった。
また、本編読み返してみたくなった。
フィレンツェの休日に出てくる2人が気になる。
他の作品なのかな?

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2025年11月25日

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