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Posted by ブクログ
医療系のSFと思ったら… <ブラックジャック>と<蟹工船>と<攻殻機動隊>だった。
気候変動で、海面が上昇した24世紀の世界が舞台。世界は、超巨大混合企業HAに事実上支配されていた。社会の階層化が進み、教育や医療へのアクセスが困難な地域も多くあった。そんな中でも、偏屈で風采が上がらない博士(ドクター)は、助手のロボットマリアⅡとオンボロのクリニック船で移動しながら、人々の診療を続けていた。
本書はSFマガジンに連載されていた4編を加筆修正し、書下ろし1編を加えて単行本したもの。最初の2編は、<ブラックジャック>を彷彿させられた。伝説の名医と助手のコンビだし。と思ったら、次はSF版「蟹工船」だ。そして、4編目は博士とマリアⅡの過去に迫るもの。ラストにほうで、ピンときた読者もいるはず。そして最後の書下ろしで、博士とマリアの過去と正体を明らかされる。「ゴースト」が宿る。
最近はラノベを除き、珍しくなったイラスト付きの文庫本
Posted by ブクログ
SFと構えず、肩の力を抜いていい作品。チョコシューみたいに何も考えずにサクサクいけて、気づいたら手が空っぽの袋を探っている……、そんな読み心地。
難しい用語、漢字、医療や機械に関する詳しい説明はないので、中高生でも読みやすいかと思う。ページ数も優しめ。カバーの印象のまま入っても大丈夫。
実はSFマガジンでお見かけして、読もうと思っていた本の一つ。
連作短編の構成で5話、そのうち3話は独立したお話として読めるので、その点でも手に取りやすいかもしれない。SF要素は薄いので、苦手な人でも読める……と思う。
海面上昇で陸地が極端に減った世界が舞台。とはいえ海の描写は少なく、内容も表現も、基本的にそこまでハードなものはない。ディストピアではあるが、設定も複雑ではなく、割とふんわりめ。救いがなかったり、やたらと酷い目に遭う話はないので、安心して読んでいただける。むしろ童話的かも。
対象の年齢層が低めに設定されているのか、全体的に若い登場人物が多く、文章全体の密度は低い。特に3話目まではその傾向が強いかな? どの話も、人の執着や人間性が話の中心にある気がするが、アクの強い人物はいない感じ。
フラットな気持ちで読み進めてしまい、なにが自分に刺さらないのか……と考えて、突然気づいた。
この作品は、とても親切で、全て説明してくれる。それはゲームのマップが、敵の姿も含めて全て見えているようなものだ。見通しのいい、足元の安全性が保証された浜辺を歩いているような、ストレスのなさ。あまりに整備された道。これが私には刺さらなかったのだろうと思う。
ただ、短編と思えば、見通しがいいほうが小説としてはいいのかもしれない。処理する情報が少ない、読むのが楽、というのは結構重要だったりする。
特に、読み手が疲れている時は。
セルセおじさんが、かわいそ可愛い。
ほとんどの生き物にとって、死ねないことは可哀想なことでしかないのに、それを求める人は多いよね。
マリアの話は、彼女の性格が出ていて割と好きだ。なので後半の2話は、心地良い風がカーテンを揺らすのを眺めるような、穏やかな気持ちで読めた。
あとがきを読むと、この小説に漂う童話的な空気の理由が分かる。
何をもってそれを人と定義するか、という疑問がつきまとうのはSFの常だけど、この作品はそんなに深く考えず、さらっと読むのがいい気がする。
他者を人だと定義するのは人だし、幸せを定義するのも結局は人だ。窮屈な価値観を脱ぐ瞬間があってもいいだろう。
読後感は、まるで青空の下、無風の海の上をゴムボートで、なんの不安も衒いもなく、ぷかぷか浮かぶよう。
Posted by ブクログ
舞台は24世紀の地球。
地球温暖化の進行で海に覆われたディストピア。
二本の煙突から煙を上げる小型船。
中に乗っているのは
一人のドクターと円柱形の医療用ロボット。
1話目を読んだ感触として、
ブラックジャックみたいな短編集かな、と思ったのだけれど、
“見返り”が明言されず有耶無耶になっていたり、
委託を受けて大企業の下請けのような役割をしたり、
どうにも一貫性を感じない作品集だった。
そしてラストの5話目のエピソードが強すぎて、
この5話目のアイデアを1冊にまとめるためだけに
前の4つのエピソードが足されただけのように感じた。
1冊の作品としてはちぐはぐな印象が拭えなかった。
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