辻村七子のレビュー一覧
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第一部、完・結!
大丈夫、第二部はすでに始まっている。
正義の苦しい過去と彼の毒親が登場する。
正義はどれだけ苦しんできたんだろう。
彼は法律上は大人であっても、まだ学生、また「子供」なのだ。
正義の父親はDV親父でギャンブラー、父親であることだけを傘に、金を実の息子からせびる。
正義は大好きな大切な人たちを苦しめたくなくて、心配をかけさせたくなくて、何もいわなかった。
だけど隠すのが下手だから、バレてしまうのだ。
それで良いんだよ、頼ってよ。
次の言葉は、虐待サバイバーたちに当てた著者からのメッセージと思う。
「人間は、日々、思い悩み、苦しむものですが、あなたは明るい道を選び続けた。
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5つの物語とエピローグからなる。
第3シリーズ2冊目、通算13冊目。
今回の主な舞台も横浜。
28歳になった中田正義に加え、中1の男の子二人、女の子一人が加わって、物語は思春期の心をも描いていく。
モデルをしている真鈴はクラスの中では浮いている。
それは仕事が忙しいからで、決して同級生を見下しているわけではないのだが、はっきり物を言う性格が彼女を苦しめているようだ。
一方、みのるはみのるで問題を抱えた母親に育てられたのと、生来の性格もあり、自分に自信がない。
大人からすればもどかしく、また、そんなことで、と思うこともあるが、彼、彼女らは中学1年生。
子供なのだ。
羨ましく、そして物語を安心 -
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シリーズ第2部完結!
結末に、「わあああ」と心の中でうめいた。
大切な人に心が伝わる瞬間は、奇跡というしかなくて、共に歩もうとするその瞬間は、かけがえのない、まさに宝石の輝き。
さて、本作では絶えず二人に試練を与えてきたオクタヴィア嬢と対峙する。
大切な人は欲しくない、そう考える少女の心を溶かすのは難しい。
大切な人が先に逝ってしまったから。
ちっぽけな自分を守るために死んでしまったから。
この意固地な人間…どこかでみたことがある…そうだ、『鬼滅の刃』霞柱、時透無一郎だ…
「あなたがいた『せい』ではなく、あなたがいて『くれた』から」(218頁)
これは誰かのために、自分のために、生きようと -
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シリーズ第3部!
第3部では、正義が日本に戻ってくる!
今回のメインとなる人物は、中学1年の霧江みのるという男の子。
横浜市の公立中学校に通うみのるの元へ、正義がやってくる。
みのるは正義のことを知らない。
正義は自身のことをみのるの親戚、という。…どういうこと??
本作ではいわゆる「宝石」ではなく、螺鈿細工が登場する。表紙のイラストは、まさに螺鈿細工!
精神疾患を持つ母、生死不明の父。曲がりなりにも裕福とは言えない暮らし。
そこに登場する正義は、さながらあしながおじさん。
言葉にできない怒りなのか、悲しみなのか、胸に広がるもやもや。
それを受け止め、心の奥底にあった「愛してほしい」「大切に -
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第二部が終了し、登場人物たち一人一人にスポットライトを当てたスピンオフ短編集。
理科教師、谷本先生。
たまたま今読んでいる『め組の大吾』のヒロインも理科の先生だったな…。
好きなものに邁進できる谷本先生はかっこいい。
自分のやりたいことがあるのに周りを気にして自分の気持ちを押しつぶすな、は、心に刺さる。
大人になっても、それは同じ。
「悪魔を憐れむ歌」は、ジェフとヨアキムの物語。
二人が互いを大切に思うまで。
幸せの形は人それぞれ、とはいうけれど、みんなどこか歪で、だからその歪な箇所が互いを傷つけてしまうことがある。
それを少しずつ整えていくのが、人と人とのつながり、愛というものなのだろう