松永美穂のレビュー一覧
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ネタバレ【この本を一言でいうと】
心に染みる系の本
【きっかけ】
この本を読もうと思った理由は本屋の児童書コーナーで小説モモを良く見かけるのでいつか読んでみたいとずっと思っていたが、その前に絵本でどんな感じの内容か知りたかったから。
【読んでみて】
絵が綺麗でびっくりした。
絵本の割には文字量が多いとは思うが、何回も読み聞かせをしたくなるような教訓本?のように感じた。以下のベっぽの引用のところが、事がぐっと心に響いた。
小説モモも読んでみたい。
【好きな絵本の引用】
「一度にその道路全部のことを
考えちゃいけないんだ。わかるかい?
ただ、次の一歩、次の息、次にほうきで
はくことだけを、考える。 -
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ハンス。少年。繊細。秀才。小さな町で一番の神童。神学校に入り、自由奔放で怠け者の友人(ヘルマン)ができると、次第に勉学から遠ざかっていく。将来を期待され、ちやほやされてきたハンスだったが、徐々に周囲の態度は冷たくなる。ハンスはしだいに精神を病み、学校を退学。父親の紹介で機械工の仕事につく。ハンスは機械工の仲間と酒を飲んだ帰りに川に落ち、人知れず闇の中を流れていく。ヘルマン・ヘッセHesse『車輪の下』1906
〇ヘルマン・ハイルナー。ハンスの同級生。詩を作る。自由奔放。
〇エンマ。ハンスが想いを寄せる女の子。
〇フライク。靴屋の男。親方。信心深い。勉強ばかりするなとハンスをさとす。
2人の罪 -
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ネタバレ思いやりのない少年ハイルナーに出会ったことが、ハンスの不幸の始まりだった。ハンスの取り柄は優等生であることだ。それは周りから褒められる美点であり、自尊心と成長心を持たせて、ハンスの思春期の芯となる大事なものだった。しかし、それをハイルナーはずかずかとハンスの心に入り込み、思わせぶりな態度でハンスに友達として依存させる。そして、勉強の邪魔までしてくる。人を見下し、迷惑をかけるハイルナーは友達ではない。もし友達であれば、当然、持つべき友達への興味や思いやりを持っているはずだ。だが、ハイルナーにはそれがない。周りの大人たちも、優等生であるハンスが優等生でなくなったことに対して辛辣だ。機械工としての仕
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どこまでが自伝で、どこまで妄想なのか創作なのか、よくわからない不思議な世界に連れ込まれる。
元靴職人と揶揄されるチャウシェスク政権下のルーマニアでの悲惨な生活は繰り返し語られ、豊かな生活を求めて西側に脱出しても旅回りサーカスの一員であるロマでは難民の暮らししかできない。
にもかかわらずルーマニアに残った親戚縁者からは西側で富裕な生活をしていると信じ込まれて繰り返し支援を求められる。
父母は離婚し、映画スターになる夢も実現しない。
という陰々滅々な世界が延々と続いて、後半では少々うんざりする。
この本の訳者あとがきで驚いたのは、韓国文学の紹介で八面六臂の活躍をされている斉藤真理子さんが翻訳され -
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ネタバレアルプスの住むおじいさんと暮らす事になったハイジ。山での暮らしは、ペーター一家との出会いや大自然の風景など、感動がいっぱいで楽しい日々だった。ところが、ある日突然、都会のお屋敷に連れていかれてしまって…。
かわいいハイジの物語が読めて嬉しいです!ただ、アニメのイメージが強いため、アニメの方がしっくりきました。前半はだいたい原作に忠実にアニメ化されていますが、後半はアニメならではのオリジナルストーリーがあったり、原作の内容が変更されていたり…。特に、クララの車椅子を壊した人物が、原作ではペーターだったのがショックでした。ヤキモチが原因で壊したようですが…。アニメでは、クララが車椅子を取りに行こう -
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ひと目見ていま読むべき作品だと手に取って読んだものの、衝撃すぎてなかなか感想がまとまらなかった。
抽象画を言葉にしたらこうなるのではないかという、散文詩のような形式でつづられていくのは、時代と、場所と、家族に翻弄された一人の少女の内側からの視点。
読んでいる方が、おかゆの中で煮られているような感覚を覚えていく。
どこからどこまでが作者の投影なのかはわからないものの、まだ若くして亡くなられたということにどこか納得してしまった。
キャンバスに叩きつけるような言葉を吐き出す感性の持ち主が、このような世界で生きていかざるをえなかった人生の激しさを思わずにいられなかった。 -
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社会主義国ルーマニアから亡命してきた一家。
ロクデナシでピエロの父。曲芸師の母。父に溺愛され、その関係は家族を超えている姉。そして踊り子の私の一家が、放浪生活をしながらサーカスで何とかお金を稼いでいく。
作者のアグラヤ・ヴァテラニーは39歳で亡くなっており、本作は37歳のときに出版された作品。
作者自身がルーマニア生まれで5歳のときに亡命して、77年にスイスのチューリッヒに定住するまでサーカスの興行をしながら生活していたらしい。
余白が多く、作品自体とても短い。だが、読むのは結構苦しかった。
タイトルからすでに何だこれ、となるのだが常に不穏な気配がずっと張りついている作品で、ときには禍々し -
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感想。ベルンハルト・シュリンクは「朗読者」の著者。そんな事忘れていたけれど。9つの短編集なんだけれどどの話も年老いた人々が何かしらの「別れ」に遭遇した時の話。亡くなった人に対するもの、随分昔に別れた恋人にまた出会うもの、ご近所の幼い頃から見守り続けていた少女の死にで会うもの。そんな別れの時に脳裏に浮かぶのは思い出で、その思い出も明るさがあるだけではなく、後ろめたさや自己欺瞞、焦燥、そんな向き合いたくないものをちょっぴり混ぜ合わせながらつらつらと脳は過去を浮かび上がらせる。そんな別れの一つ一つが身に染みるのは私もそんな歳に近づいていっているのがわかっているからなのだろう。