松永美穂のレビュー一覧

  • その子どもはなぜ、おかゆのなかで煮えているのか

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    「幸せって、もっと違うものだと思っていた」

    衝撃的なタイトルに惹かれて手に取った。サーカスの家庭に生まれた俳優、作家のヴェテラニーの自伝的小説である。

    ヴェテラニーは1962年にルーマニアで生まれ、5歳の時にチェウシェスク政権を逃れて家族で亡命。サーカス芸人の両親、姉、おばさんの5人で各地を転々とする。暴力的で粗野な父親とエキセントリックな母親。父親は我々の基準で言えば性的にも異常者である。母親は金持ちになることを夢見て確信的な言い方をするがそれはどれもズレている。学校にも行かずそうした環境で育ったヴェテラニーの社会は我々の生きる社会とは全然違うのである。

    両親もおそらくそういう環境で育

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    2026年08月23日
  • 車輪の下で

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    ネタバレ

    中学校の教科書でお馴染みとなった『少年の日の思い出』を書いたヘルマン・ヘッセの、代表作のひとつ。

    描写がとにかく美しい!
    私もこんなふうに文章をうまく扱えるようになりたい。

    ハンスが機械工になる道を選んだのはアウグストがいたからな気がした。
    思い出が別れを告げてくるところが切ない。ハンスがそれに気づかないところも。

    他者の思いに翻弄される少年だった印象です。
    彼も別の選択肢はあったのだろうか。

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    2026年08月23日
  • 朗読者(新潮文庫)

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    全3部構成

    第1部、15歳の少年が、21歳年上の女性に惹かれる
    本を朗読し、愛し合い、ともに横たわる

    ​第2部、第3部は、物語の趣がガラリと変わる

    ​隠された秘密と戦争の影
    努力すればするほど大きく傾いていく運命の秤

    ​魂まで刻まれた恋の歯車と、交錯する罪の記憶

    読み進める度に様々なテーマが
    浮き彫りとなり、名作たる所以を深く味わえた

    その結末は、とても言葉では言い表せない


    「辛い結末に終わった人間関係は
     全て辛い体験に分類されてしまうのか?」
    思索を促す問いに
    過ぎ去った日々を追想せずにはいられなかった

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    2026年08月14日
  • アルプスの少女ハイジ

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    たわいもない物語といえばそうかもしれない。でもとにかく心が洗われるのだ。主人公のハイジ、まさに純粋無垢。こんな素晴らしい子供がいたら周りの大人も皆変わっていくだろう。頑なだったお爺さんが典型。もともと素晴らしい人だったのかもしれないが、ハイジと暮らし始めてすぐに変わっていく。
    しかしこのあとハイジが大人になったらどうなるのか。お医者さんをずっと見守っていくわけにはいかないと思うのだが。夢を破るような物語を作者は書くわけにはいかなかったのであろう。
    この物語をスイスで読む。マインフェルトへは行けなかったが、ハイジの住むような村はこうだろうと思わせるようなところがいっぱいある。素晴らしい。

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    2026年07月31日
  • モモ(絵本版)

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    久しぶりに絵本を読みました。短い文章の中にも自分に対する問いはたくさんあり、かなり考えさせられる内容だった。今度はちゃんと原文を読んでみたいと思う。

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    2026年07月20日
  • 別れの色彩

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    朝井リョウさん推薦本。
    (朝井リョウに最近傾倒しすぎている…けど未知の文学や作家さんに出会えたりするのでやはり推し作家が1人でもいると世界が拡がって楽しい有難い)
    めちゃくちゃ良かった………
    ドイツの作家さん。ドイツって無骨でビジネスライクな印象で、こんなにも繊細で柔らかな筆致の書き手がいるんだなぁ、いや翻訳家さんの底力か?と思いながらするする読み進められた。
    千早茜さんに似てるなぁ、なんて思っていたら

    「ミヒャエルとの再会後、帰宅したザビーネはペンダントのついた金の鎖をアクセサリー用の箱にしまった。しかし、ミヒャエルの死後、それを取り出して、毎日身につけている。」
    ↑この文章を読んで、以前

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    2026年07月08日
  • 朗読者(新潮文庫)

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    ようやく読み終えた。ナチス時代、母親ほどの年の差のある女性と15歳の少年との大人の恋愛、と戦後のナチスの犯罪を裁くところ、戦中派親世代と戦後派との戦争の向き合い方、戦争責任の認識の差をもう一方の軸とした社会派の恋愛小説。作者が真摯に第三帝国(ナチス時代)のドイツ人の行為を背景に本の持つ力を著してます。いい読書体験でした。
     なんで死ななければならなかったのか。長期に亘るに服役を全うし、字も読めるようになり、本を読み新たな世界を獲得可能に世界は広がったのに。ミヒャエルは法律家がために世の中を達観して俯瞰してみるように、ハンナに対しても直接的な愛情を表現できなかったのではないだろうか。ハンナが亡く

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    2026年06月28日
  • 車輪の下で

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    簡単に言ってしまえば自伝的悲劇なんだとは思うが、ヘッセ自身の幼少期は悪いことばかりってわけではなかったのだろうなと思う。
    ハンスの育った町や神学校、工場といった舞台と、それらで関わってゆく人物たち。今作では彼らについては基本的には冷ややかな視線で描写されているが、そんな冷笑的な中にも田舎の素朴な美しさであったり、(結果的にハンスを追い込むきっかけとなったが)学問の奥深さや知識を得ることの喜び、一筋縄ではいかない同級生たちの個性や“ノリ”、労働者階級のガサツながらも誇らしい一面をもっている気風だったりと、どのステージでも魅力的な要素も忘れられていない。
    物語は悲劇を辿るが、これが創作でなかったら

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    2026年05月14日
  • その子どもはなぜ、おかゆのなかで煮えているのか

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    大傑作。悲痛な物語。反復。そして、子どもはほしくない。そして、子どもはほしくない。そして、子どもはほしくない。そして、子どもはほしくない。そして、子どもはほしくない。そして、子どもはほしくない。そして、子どもはほしくない。

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    2026年05月08日
  • 朗読者(新潮文庫)

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    めっちゃ面白かった。最初は歳の差恋愛の、表現が妙にリアルな小説かと思ったが、後半はドイツの人々が戦争の過去をどう捉えているかという難しいテーマになった。前半でハンナとの恋愛を詳細に書くことで、後半のハンナの裁判の時の主人公の苦悩が想像しやすくなっていた。前半がきちんと後半に対して役割を果たしている。

    ハンナの力強い姿の描写から、スーザンボイルのような外見を想像して読んでいた。

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    2026年05月03日
  • 朗読者(新潮文庫)

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    映画の方を先に見て、ずっと読みたかった作品です。
    少年時代の年上の女性との濃密な恋愛、そして突然の幕切れ。
    相手のハンナは、魅力的であり、エキセントリックなところありで、主人公ミヒャエルの心に一生住み続ける。
    ミヒャエルのハンナへの想いは、「純愛」という綺麗で単純な言葉では表せられない複雑なもので、物語の底を流れ続けるが、この作品はこの恋愛話だけが主眼ではないように思えた。
    本作は、ホロコーストという重い題材を扱っているが、読みにくさはなく、中盤のミヒャエルとハンナの衝撃の再会からは、(結末を知ってはいたが)先が読みたくて仕方ない衝動に駆られた。
    ドイツの戦後世代の抱えるジレンマも勉強になりま

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    2026年04月30日
  • モモ(絵本版)

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    ✾モモ(絵本版)
    ✾文:ミヒャエル・エンデ
     訳:松永美穂氏
     絵:シモーナ・チェッカレッリ
    ✾光文社

    ーーーーーー

    “時間とは、いのちだからです。そして、いのちは心にやどっているのです。”

    時間の大切さ。

    “小さなモモがだれよりも得意だったのは、ほかの人の話を聞くことでした。
    ほんとうによく話を聞けるのは、ごくわずかな人だけです。”

    聴くことの大切さ。

    この絵本には、
    大切にすることが詰まってる。

    ーーーーーー

    モモのように素敵な少女に出逢い。

    そして、モモのような素敵な人になりたいんだ。

    絵本版の美しいモモの世界を味わいましょう✧

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    2026年01月07日
  • 文庫で読む100年の文学

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    世界から60冊、日本から40冊。識者が選んだ100年の文学作品。文庫本で入手可能かという視点が面白い。
    読んだことのある作品があまりに少数なのがなんとも寂しい。さすがに全作は無理でも本書を参考に何冊か挑戦してみたい。
    新聞の連載が母体で書き下ろしを加えたもの。

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    2025年12月25日
  • その子どもはなぜ、おかゆのなかで煮えているのか

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    お父さんは道化師、お母さんは髪で高いところにぶら下がる曲芸師、お姉ちゃんはフリークス。ルーマニアから西ドイツへ亡命したサーカス団一家の末っ子の目から見た世界を感覚まるごと体験させられるような、痛く苦しいジュヴナイル。


    正直に言って、読むのが辛かった。一章一章は断章的かつぷつんぷつんと途切れがちな文体で、文字量でみれば短く軽い作品なのだけれど、読みながら、そして読み終えてから心に溜まるものはとても重い。それから解説を読み、この重みを受け止め苦みを噛み締めていくのが読者の使命だと思った。
    サーカスは非日常の象徴だ。私も子どものころから『ダレン・シャン』にはじまり、アンジェラ・カーターの『夜ごと

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    2025年12月22日
  • 朗読者(新潮文庫)

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    ドイツ文学です。
    原題はドイツ語で「朗読する男」だったのが、英語訳で出版された時に「The Reader」というタイトルがつけられて、そのまま日本語版では「朗読者」となっています。

    読み終えて思うのは、悲しみでもなく、怒りでもなく、もちろん感動でもなく、この複雑な気持ちをどう表現したら良いのか困っています。

    これは、個人の意思ではどうすることもできなかった過去の戦争犯罪に巻き込まれてしまった個人が、その人生を狂わされてしまった悲劇の小説だと思います。

    物語の前半は、15歳の主人公ミヒャエル・バーグが、ある出来事をきっかけに、母親と言ってもおかしくないほど年上の独身女性36歳のハンナ・シュ

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    2025年12月10日
  • モモ(絵本版)

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    ドイツの作家、エンデの児童文学の絵本版。
    原作の一部も絵本にしたようなので、原作の全てではないですが、絵本版では、人の話を聞くこと大切さが詰まっています。話し上手より聞き上手、そうありたいと思いますが、なかなか難しい。優しさの詰まったお話。

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    2025年10月12日
  • モモ(絵本版)

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    とてつもない余韻がのこる作品★ 本当に読めてよかった!
    中学からいままでがむしゃらに突っ走ってきた。 
    それでいいと思ってたけど...... まず1日のうち朝すこしもの思いにふけるようにしてみよう。 
     聞き上手になる、これもやってみよう。 
    まわりの自慢合戦や負の感情に押しつぶされそうな10歳にぜひ読んでほしい。
     中高生はこの絵本版をきっかけに小説へ。 
    わたしもつぎは小説を読みたい。

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    2025年05月15日
  • アルプスの少女ハイジ

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    ネタバレ

    アルプスの大自然への愛に満ちた作品。アルプスとハイジは人に生きる力を与え、みんな明るく幸せになっていく。
    偏屈とうわさされるおじいさんがハイジに激甘すぎて偏屈さのかけらもなくて笑った。ハイジは天真爛漫で、アルプスと人を愛している。都会にいるときずっとペーターのおばあさんのためにパンを貯め込むの愛おしすぎる。
    現代的なイラストが満載でハイジがめちゃ可愛く描かれている。

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    2025年02月13日
  • アルプスの少女ハイジ

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    19世紀に書かれた小説。アニメのオープニング、断片的なシーンは覚えているが全体のストーリーは全く記憶していなかったのだが、原作の面白さを聞いて読んでみた。病弱なクララが山の生活で健康を取り戻していくというハイライトだけでなく、偏屈なお爺さんが再びコミュニティの一員となっていくなど、大人になっても人は変わることができるというストーリー。一貫して勤勉を美徳とするプロテスタント的な価値観が書かれている。篤い信仰は金銭的にも報われるというオチもあり。ハッピーエンドになるとわかっていて読めるので良い娯楽だった。

    ーーーー

    19世紀のスイスは既に中立国となっていたが、お爺さんは若い頃には傭兵として出稼

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    2025年01月22日
  • モモ(絵本版)

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    ミヒャエル・エンデ「モモ」の絵本版。
    とてもきれいであたたかい。
    この本の存在を知ったことがうれしい。

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    2025年01月10日