松永美穂のレビュー一覧
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オルガというポーランド系ドイツ人女性の人生を、第一部では主人公にして物語られ、次に彼女と親しくなった「ぼく」がその後のオルガとのかかわりを描き、第三部で、オルガ自身の書簡によって彼女の心の声を聴くことができます。戻ってはこない恋人にあてた手紙を、オルガの本当の人生を垣間見るよう気持ちで、主人公と共に次々と封を切って読みました。貧しい農村の生まれでありながら、誰にも頼らず一人で生き、第二次世界大戦を得ても自分の信念を曲げずに強く生きた女性。なんて強い人なんでしょう。最後の書簡ですべての謎が解ける仕組みに引き込まれて、飽きることなく読めました。心に残る作品です。
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中学生の頃に母親がこの本を買い与えてくれ(訳者が異なりヘッセ翻訳者として高名な高橋氏であったが)、読んだのが初めての記憶。しかし読んでいる途中は主人公のハンスがかわいそうでならなかった。その感想は今も変わっていない。
好き嫌い関係なく、そしてなんの疑問も持たない(持てない)子供に勉強をさせるのが本当に正しい教育の姿なのだろうか…
私自身も親からの期待を裏切れずに過ごした塾漬けの毎日に嫌気がさし、勉強嫌いになってしまった人間だからそう思うのかもしれない。
やはり今でも読んでいて辛い物語で、結果的にヘルマン・ヘッセという素晴らしい作家を10年以上も遠ざけてしまうことになったのは残念でならない。少な -
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ネタバレ‹内密紹介より›
周囲の期待を一身に背負い猛勉強の末、神学校に合格したハンス。しかし厳しい学校生活になじめず、学業からも落ちこぼれ、故郷で機械工として新たな人生を始める……。地方出身の一人の優等生が、思春期の孤独と苦しみの果てに破滅へと至る姿を描いたヘッセの自伝的物語。
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受験に耐え抜き、エリート学校に進学したハンス。
そして神学校での勉強についていくために必死で勉強をつづけましたが、次第に無理がたたって精神的な不調をきたすようになります。
現在で言えば「学校不適応」ということになるのでしょうか。
時代が時代であったためか、学校側の支援も保護者の理解も得られず、追い込まれてゆくハンス -
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タイトル買い。
帯に、
「あるときからエレベーターに乗るたびに、「5階」が「誤解」と聞こえるようになってしまった。同僚に打ち明けると、その人は心配そうにわたしの顔を見つめ、「それは病気です。翻訳者がかかる病気ですね」と言って降りていった……。」
とあって、わたしは翻訳家でもなんでもないけど、
会社のエレベーターが「5階です」というのが
いつも「誤解です」にきこえて笑いそうになってしまうので
あ、おんなじこと思ってる人がいる、と思って買ったのでした。
ただ、うしろ帯に「留学」のことが書かれていたので、そのときの話を中心にしたエッセイかと思ったら、そうでもなく、そこはちょっと期待と違った点 -
Posted by ブクログ
翻訳者がいてくれるから、外国語の小説が読める。いつもありがたく思っております。
その有難い人がエッセイをお書きになりました。
翻訳者でありドイツ文学の研究者でありW大学の教育者であり、八面六臂の活躍ながら、奔走し時に学務に翻弄されているさまが、親近感のわくところで(笑)
学生が連れて行ってくれるから、普通の中高年女性にはしづらい経験もできたり、翻訳者としての覚えがめでたかったから著者本人とコンタクトが取れたりと、研究一本やりでないから広がったり深まったりする人生の味もある。そんなエピソードのあれこれに、禍福はあざなえる縄であり、人間万事塞翁が馬だなあと思います。