松永美穂のレビュー一覧
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ネタバレ主人公はほぼ全員男性だったが、読み進めるにつれて、それを意識させられる本だなと思った。もし女性目線の「別れの色彩」だったら、これほど昔の恋人や妻を振り返り、そこに湿っぽさを感じることはないように思ったけれど、どうなのだろう。
短編にも関わらず、どれも人生がきゅっと凝縮されているところはすごいと思った。
お気に入りは、自分のせいで障害者となった弟を持つ姉とその姉に恋をしていた主人公が再会する「姉弟の音楽」、夫婦で自殺した兄と兄ともてなかった繋がりに折り合いをつけようとする弟の心境を描いた「ダニエル・マイブラザー」。
(幼少期、病弱だったゆえに親戚の家に預けられていた兄。「クリスは別れを告げなければならないものをきっぱりと置いてくることによってのみ、それを克服できたのかもしれない」という弟の考察が興味深かった)。 -
Posted by ブクログ
どこまでも美しい言葉のリズム
美しい中に痛みを感じる表現
1905年に書かれた作品を今わたしは読んでいる…
100年以上前の言葉に 今の私の心が震えている…
“車輪”という言葉に 絶望と希望が込められているのだろうか…
少年の心の成長の繊細な描写が描き出されている
時に車輪を追い抜き 追い越され 下敷きになりながらも
ヘッセ自身の人生を体現させてくれる
ラストはまるで映画を観終わったかのように
すーっと私の前から物語が消えていく…
心に残る映画を観たあとの
少しずつこちら側の世界に戻ってくるような感じがした…
もしも この作品を読みなおす機会があるならば…
間接照明がほんのり灯る中で ウイスキーを飲みながら
ヘッセの世界を堪能してみたいかもしれない… -
Posted by ブクログ
偉人や天才と呼ばれた男性たちの傍らで様々な形でstruggleした女性の生涯が各20頁程で綴られ、読みやすい。
タイトルから想像される通り、「女性として」の困難だけでなく、ユダヤ系の生まれであったことによる難しさを背負わされた人物も多く、重たい。
丁度正月に放送された某人気ドラマのSPでざっくり夫婦間の子育てにおける分担や福利厚生に関するネタを取り上げているところ反発意見も少なくないことなど受け、現代においても本著で多くの女性たちが虐げられる「固定観念」は根深く残っているなと。シャルロッテ・ベーレント=コリントの章ラストで付される苦言にはスカッとするが、成長を求められているのはあるいちカテゴリの人間ではなく、我々一人一人と捉えるべきかなと思う。 -
Posted by ブクログ
オルガというポーランド系ドイツ人女性の人生を、第一部では主人公にして物語られ、次に彼女と親しくなった「ぼく」がその後のオルガとのかかわりを描き、第三部で、オルガ自身の書簡によって彼女の心の声を聴くことができます。戻ってはこない恋人にあてた手紙を、オルガの本当の人生を垣間見るよう気持ちで、主人公と共に次々と封を切って読みました。貧しい農村の生まれでありながら、誰にも頼らず一人で生き、第二次世界大戦を得ても自分の信念を曲げずに強く生きた女性。なんて強い人なんでしょう。最後の書簡ですべての謎が解ける仕組みに引き込まれて、飽きることなく読めました。心に残る作品です。
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Posted by ブクログ
中学生の頃に母親がこの本を買い与えてくれ(訳者が異なりヘッセ翻訳者として高名な高橋氏であったが)、読んだのが初めての記憶。しかし読んでいる途中は主人公のハンスがかわいそうでならなかった。その感想は今も変わっていない。
好き嫌い関係なく、そしてなんの疑問も持たない(持てない)子供に勉強をさせるのが本当に正しい教育の姿なのだろうか…
私自身も親からの期待を裏切れずに過ごした塾漬けの毎日に嫌気がさし、勉強嫌いになってしまった人間だからそう思うのかもしれない。
やはり今でも読んでいて辛い物語で、結果的にヘルマン・ヘッセという素晴らしい作家を10年以上も遠ざけてしまうことになったのは残念でならない。少なくとも本書はヘッセ諸作の中で、中学生に読ませる本ではないのではないか。親が子供に与える本の大切さはもっと認知されてしかるべき問題だと思う。 -
Posted by ブクログ
ネタバレ‹内密紹介より›
周囲の期待を一身に背負い猛勉強の末、神学校に合格したハンス。しかし厳しい学校生活になじめず、学業からも落ちこぼれ、故郷で機械工として新たな人生を始める……。地方出身の一人の優等生が、思春期の孤独と苦しみの果てに破滅へと至る姿を描いたヘッセの自伝的物語。
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受験に耐え抜き、エリート学校に進学したハンス。
そして神学校での勉強についていくために必死で勉強をつづけましたが、次第に無理がたたって精神的な不調をきたすようになります。
現在で言えば「学校不適応」ということになるのでしょうか。
時代が時代であったためか、学校側の支援も保護者の理解も得られず、追い込まれてゆくハンスはついに学校を退学して「機械工」として社会復帰を目指します。
ホワイトカラーとして社会のトップ層として人生を送るつもりだったのに、今までの努力(余暇、青春を犠牲にしてきたのに)が水の泡となったことを感じつつ、新たな環境に適応しようと努力してきましたが、そこでも「今までの価値観」との差に悩み続けるハンス。
進学校の中学生・高校生には少し「厳しい」小説になるかもしれません。
推薦する生徒を選ぶ作品では、とも思います。
教職員としては読んでおいてよかった作品だと感じます。