松永美穂のレビュー一覧

  • オルガ

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    愛のそばには必ず喪失があるのだろうか、と考えずにはいられなかった。そして人を存分に愛するのに、なんて人生は短いのだろうと、我が身を振り返ってしまった。人生の秋を感じさせる物語。『朗読者』も大好きだが、この作品も大好きだ。

    帝国主義のもと男たちが振りまわされる大義名分や歴史的偉業。それらは人間としてみな平等に享受すべきささやかな幸福と真反対の方向にあるのを、一人の女性オルガは見抜いている。彼女は両親、恋人、声を失う。でもとても豊かな人。
    私の祖母くらいの女の人に、きっと「オルガ」は多かっただろう。

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    2021年09月14日
  • 才女の運命

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    伝記が出ているレベルの偉人の裏にいた、才女たちの生涯を静かな筆致で描いた本。まず、”偉人”になっている男性(ドストエフスキー、マルクス、アインシュタイン・・・)の方は知っていたが、その妻、また妻やその他女性とどう接していたかに関しては全く知らなったことに気付かされた。才気あふれる彼女たちの記録(日記、手紙など)は少ないが、著者の調査によってあぶりだされた才女たちの人生は、あくまで”偉人”たる男性を支えるサポーター役に収まらせようとする圧力によって潰されてしまっていた。また多産によって気力が吸い取られているケースも多い。
    このあたりの描写は、なぜか結婚すると「主人と奥さん」という言葉で描写される

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    2021年04月25日
  • 朗読者(新潮文庫)

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    本を好きな方、読まない方、朗読をする人、朗読が好きな人、老若男女。
    誰もが1度読んで欲しい!20年前の作品ですが、古さを感じません。
    ただ、面白いとか、いい話とか、単純か言葉が当てはまらない本だと思う。
    なんとも言えない読書感。後半は涙なしでは、読めませんでした。

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    2021年04月19日
  • オルガ

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    『オルガは一九五〇年代の初めにあちこち走り回って、失われた書類や破壊された記録を見つ出し、プロイセンでかつて勤めた国民学校教師として、自分に権利のあったちょっとした年金をもらえるようになった。それからは、ぼくたちの家でだけ、縫い物をするようになった』―『第一部』

    ドイツの起こした戦争を背景に物語を描くベルンハルト・シュリンクは多くを語らないことで善悪の色彩を物語に鮮明に付さないままに描く。戦争の悲惨さを敢えて正面から描写しないことは、市井の人々にとっての戦争が如何なるものであったかを深く語り得る大きな力なのだが、時として戦争そのものを直視するのを避けるように描かれるのには何か良からぬ思想を肯

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    2021年03月10日
  • みずうみ/三色すみれ/人形使いのポーレ

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    今年、様々な書評で見かけた一冊。

    クリスマスキャロルに匹敵するような、心が暖かくなる物語。
    まず、表題の「みずうみ」。これは、自分の初恋回顧のお話。言ってしまえばそれだけなのだけれど何故かみずみずしさと切なさと、それからちょっぴりの後悔とが心を惹き付けます。色鮮やかな情景が目の前に広がるような繊細で素敵な文章です。

    「人形使いのポーレ」
    人形使い。なかなか身近な職人ではないが何故かまるで身近でお話を見ているような臨場感がある。時代の流れは残酷ではあるが身近な人を大切に思う心は美しく、そんな心を持ち続けたいと思わされる。

    過去に読んだ古典文学の中でも、かなり心捕まれた一冊。

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    2020年12月22日
  • オルガ

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    ネタバレ

    19世期から20世紀の激動のドイツを生きたひとりの女性オルガ。
    身分や性別、戦争によって翻弄されながらも常に姿勢を正して毅然と生きる彼女の半生が淡々と語られる第一部。
    中年になった彼女が裁縫師として雇われた牧師一家の末息子「ぼく」によって、晩年のオルガについて語られる第二部。
    そして第三部は書簡小説。1913年から1971年までにオルガが書き残した手紙によって全てが明かされて行く。

    私のうすっぺらな言語能力ではこの物語の素晴らしさは到底伝えきれないから、ひとつだけ。
    気丈で、賢く、自分を貫いて生きた強いオルガが望んでいた幸せのささやかさを知って胸が苦しかった。

    堪えきれず嗚咽した箇所を、外

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    2020年08月20日
  • オルガ

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    楽しみにしていた本作。

    他作にも通ずる、一人で生きざるを得なかった女性が身につけた強さ、裏にある葛藤が描かれていた。

    私のペラペラな感想なんてどうでもよいので、人類全員に読んでもらいたいと読後の余韻の中で思う。

    訳も良い。

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    2020年08月20日
  • 車輪の下で

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    ネタバレ

    ハンスが死を支えに生きるとき、そして冷たい水の中で帰らぬ人となったとき、安堵した。無慈悲に回る車輪の轟音のふもとで生きるには、彼の心は小鳥の雛のように柔らかくはかなすぎた。人生にピリオドをあっさりと打てる人もいるけれど、そうでない人もたくさんいる。小鳥の心の周りを頑丈な鎧で固めたり、小鳥の心に知らん顔して、新たな大人の理性をインストールしたりして生きてる人をたくさんしっている。私の中のハンスは、ぼんやり遠いうつろな目をして日曜日の終焉に絶望している。

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    2020年07月05日
  • オルガ

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    両親の死で祖母に愛なく育てられたオルガと金持ちの農場主の息子ヘルベルト.二人の友情が愛に育つ純愛と大きな物への果てしない欲望,探検,侵略,戦争.困難な時代を逞しく愛しながら生き抜いたオルガの記録.オルガの時代や流行にとらわれない真実を見つめて揺るがない生き方は素晴らしい.オルガから届くことのなかった手紙で構成された第3部によって露わになる真実に驚かされ,二人の間に流れていた珠玉の情愛に感動した.

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    2020年06月28日
  • オルガ

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    偉大なるドイツの幻影を追い求め、若くして北の果てに消えた恋人。彼を想い続けながら、激動の時代を力強く生き抜いた一人の女性。残された手紙が明らかにする彼女の秘められた激情、秘密、死の真相。ささやかな幸福を追い求めながらも男の従属物となることを拒み続けた彼女の心の叫びが静かに胸を打つ逸品。

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    2020年06月13日
  • 車輪の下で

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    昔大学生のころだったと思いますが。。
    そのころに付き合っていた人に紹介してもらった
    と思う本。
    そのころは読まなかったのですが。
    その時にこの本を読んでいれば、どう思って
    どうなっていたのか?
    もういまとなっては、そんなに重くは受け止めることは
    ないですが。
    やはり、自分のことを考えてしまう内容だったと思います。
    だれでもある感情だとは思いますが。

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    2018年08月29日
  • アルプスの少女ハイジ

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    ・ハイジがゼーゼマン家にいるときに、アルプスに住むおじいさんとペーターの一家との思いがすごく分かるところがおすすめです。
    ・さいごのほうで、ハイジが家に帰って、クララもついてきて、クララはあるけなかったのに、あるけるようになったところがおすすめです。
    ・さいごにクララがあるくれんしゅうをして、あるけるようになったところが、おすすめのポイントです。

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    2018年02月06日
  • マルテの手記

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    死から生。視ることと書くこと。愛することと愛されること。愛されたくないこと。

    いろいろ言葉は知ってるけど、今回は何も言いたくないです。多分言葉にしちゃったら、言葉の外にある思いまで閉じ込めちゃうからかな(某ゲーム四天王風に笑)。
    でもこれだけは言わせてください。マルテ、マジグレートです!

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    2015年06月19日
  • その子どもはなぜ、おかゆのなかで煮えているのか

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    とても不思議な作品。さぞ翻訳が難しかっただろうと拝察する。
    サーカス団を転々としつつ生きていく子どもを描く。東西冷戦など歴史的背景も勉強したくなる。

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    2026年01月24日
  • モモ(絵本版)

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    あの有名なモモの絵本版。絵がとても美しい。

    モモという名前の少女が野外劇場で暮らしながら、そこに来る人々の話に耳を傾け一緒に時を過ごす。
    モモは人の話を聞く時に何かをたずねたり、口を挟むことなく、ただそこにすわって、注意深く、熱心に話を聞いているだけだった。モモからそうやって受容され続けることで、大人も子どもも動物までもみんな元気になっていく。そして自分が大切な唯一無二の存在だと気づく。モモはカウンセラーのような存在だと思いました。

    時間に追われSNSが流行るこの世の中、こうやって大切な誰かの横に座ってじっくり耳を傾ける時間こそ尊く豊かなものだと教えてくれます。子どもたちにとってのモモで在

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    2026年01月11日
  • モモ(絵本版)

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    MOEのランキングから

    思ってたのと少し違うかったけど(あの有名なシーンが絵本で見たかったの)これもこれでよかった!何より絵が素敵!

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    2026年01月09日
  • モモ(絵本版)

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    とにかく絵がキレイ
    物語は原作のほんの一部。読み聞かせてあげて「もっと読みたくなったら、こっちがあるよ」って原作を進めてあげたい。
    ゆっくり時間をかけて、読み聞かせてあげたいな

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    2025年12月31日
  • パパラギ~南海の島の村長ツイアヴィのスピーチ~

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    南の島の村長の名を借りたわかりやすい現代批判の書
    訳者あとがきにある通り、著者はナチズムに傾倒しました
    それはたまたまではなく、ナチスも文明批判をし、良き時代に回帰しようと提唱していました
    過去を理想化するとこのような危険に陥りやすいのです
    過去は、絶対的なリーダーが民衆を支配していました
    今までの悪かったことも都合よく良いことに変えられます

    とはいえ、未来はまったく手さぐりで、良くなるか悪くなるかなんてなってみないとわからない意外な落とし穴があったりするものです
    宇宙ロケットの開発のようねものです
    改革は怖いものなのです
    待って待って、ほんとうにそれでいいの? と問いかけることも必要です

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    2025年12月25日
  • その子どもはなぜ、おかゆのなかで煮えているのか

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    刺激的なタイトルが気になってずっと読みたかったもの。作者の自伝的小説とのこと。作者はサーカスの踊り子の少女として登場する。内容は結構心を抉られるような個所もあるのだが、語り口が淡々としていてするすると読めてしまうのが怖い。作者は39歳の若さで入水自殺したとのこと。生前唯一発表されたのがこの小説。

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    2025年12月17日
  • その子どもはなぜ、おかゆのなかで煮えているのか

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    するすると読める。その読み心地とは裏腹に、文章が心に絡みついて離れない。
    余白が、「わたし」の叫びを表す太字が。
    「わたし」は幼年期を過ぎ、少女になり、思春期を迎える。とても危うい時代。「わたし」の周りの世界は残酷で、不確かで、風が吹けば飛んでいってしまいそうだ。
    少女の語り口は明るくて、それでいて不安を常に抱えている。私は「わたし」の世界から目が離せない。

    とても良い作品だった。また月日を経て再読したい。
    世界中すべての子どもたちが、「子どもがなぜおかゆの中で煮えているのか」を忘れられる世界であってほしい。

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    2025年12月04日