松永美穂のレビュー一覧

  • モモ(絵本版)

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    モモはタイトルは知っていても今まで読んだことなくてこの絵本が初めて。
    まず絵がいい。丁寧で空気を感じる。
    話は、ものすごく聞き上手のモモという少女の話なのは分かるんだけど、結局なんなのか読み取れなかった。

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    2025年11月22日
  • その子どもはなぜ、おかゆのなかで煮えているのか

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    ふしぎな書物。まるでわたしが主人公になったみたい。
    父さんと母さんと姉さんと、ほかの人たち。
    ところどころ、絶叫したり、余白をもたせたり、繰り返したり。
    少女の肉声が絶えず語りかけてくるようだった。

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    2025年11月12日
  • その子どもはなぜ、おかゆのなかで煮えているのか

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    どれが実体験でどれが小説なのかは分からないけれど、小説であって欲しいところが全て実体験のような気がする。両親がルーマニアを出たことは良かったのかも知れない。ずっと不幸の霧の中を生き抜いていくわけだけど、一度も食べるものがないとか衣服靴がないなどの描写はない。とはいえ食料や衣服があれば幸せかといえば、おおむねそうではあるけれど絶対ではない。
    ルーマニアからの避難民、サーカスで各国を転々とする毎日。これだけでも子供にとって安心出来る場所はない。その上に母親が死と隣り合わせの曲芸を毎日やっているとなると子供が不安定な精神状態になるのは当たり前。その様子はロリコンだけでなく全ての男達にとって好都合だったことだろう。
    子供は欲しくないと書き続けられたページ。
    後にも自身を処女だと断言しているが父親がスカートの中に手を入れる描写があまりにもリアル。(性犯罪者の反応というのはどれも似たり寄ったりですね。まるで苦労してようやく代償を得たような。喜びではなく当然、むしろ少し足りないとで言いたげなあの表情。)
    息苦しい。逃げようとした先は更なる深み。男も女も誰も信用なんてできない。勿論両親も自分も。

    あとがきによれば原作は文字が大きくなっているそう。(日本語版ではただの太文字)
    ページ数を考慮して太字で妥協したんだろうけど、そこは大文字で印刷しないと作者の叫び声が聞こえなくなってしまう。

    決して小説の中の彼女が世界で一番不幸なわけではない。毎日の食事や水に欠く人達、幼くしてテロリストやカルトに誘拐された人達、事故病気、重い障害に苦しむ人達。彼女のおかゆをぬるま湯だ甘えだと言い切れる人達は世界に数億人はいるだろう。だが想像するだけで十分におそろしい。
    一生涯のうちここは安全だこの時間は安心だと思えるものがないのだから。
    私は日本以外の国に生まれたらおそらく早々に殺されてバラバラにされ臓器として世界に散っているだろう。人間の善意には天井があるけれど(しかも低い)底なしですよね。悪意は。人間の得意分野だから。

    周りの男達は勿論実の母親でさえも、誰も私を愛していない。まさにタイトル通り。

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    2025年10月26日
  • 別れの色彩

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     何かの書評での紹介を見て興味を持って読み始めた。短編集だが、言葉が極めて多い、読み続けるのに難儀する類の本だった。様々な人と人との出会いや別れが描かれていているが、日常の細々した出来事というより、季節の流れや長い歴史を持つ小都市の街並みを背景として描きながら、ひたすら回顧したり思索したりする話だった。人物が抱える困難な状況や哀しみも、複雑で一筋縄ではいかないものばかりだった。ヨーロッパやアメリカの小都市の街並みや郊外の自然に馴染みがないのでイメージが膨らまないというのは、鑑賞する上で障害になった。また、なかなかアイロニカルな展開や結末が、新鮮だが共感しづらく、普段読む日本の短編集と違っていて、重厚な石造りの街の乾いた空気感を彷彿とさせる小説だった。

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    2025年09月27日
  • その子どもはなぜ、おかゆのなかで煮えているのか

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    サーカス団に入って移動している移民家族。その娘のどこか危うい成長。ゆるやかに、あるいは突然に崩れる文体が彼女の精神状態のようで目が離せなせずひりひりする。

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    2025年07月19日
  • モモ(絵本版)

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    ネタバレ

    【この本を一言でいうと】
    心に染みる系の本

    【きっかけ】
    この本を読もうと思った理由は本屋の児童書コーナーで小説モモを良く見かけるのでいつか読んでみたいとずっと思っていたが、その前に絵本でどんな感じの内容か知りたかったから。

    【読んでみて】
    絵が綺麗でびっくりした。
    絵本の割には文字量が多いとは思うが、何回も読み聞かせをしたくなるような教訓本?のように感じた。以下のベっぽの引用のところが、事がぐっと心に響いた。
    小説モモも読んでみたい。


    【好きな絵本の引用】
    「一度にその道路全部のことを
    考えちゃいけないんだ。わかるかい?
    ただ、次の一歩、次の息、次にほうきで
    はくことだけを、考える。
    それをくりかえすんだ。
    そうすれば楽しくなってくるし、
    仕事もうまくいくんだよ」。

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    2025年06月15日
  • 車輪の下で

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    ハンス。少年。繊細。秀才。小さな町で一番の神童。神学校に入り、自由奔放で怠け者の友人(ヘルマン)ができると、次第に勉学から遠ざかっていく。将来を期待され、ちやほやされてきたハンスだったが、徐々に周囲の態度は冷たくなる。ハンスはしだいに精神を病み、学校を退学。父親の紹介で機械工の仕事につく。ハンスは機械工の仲間と酒を飲んだ帰りに川に落ち、人知れず闇の中を流れていく。ヘルマン・ヘッセHesse『車輪の下』1906
    〇ヘルマン・ハイルナー。ハンスの同級生。詩を作る。自由奔放。
    〇エンマ。ハンスが想いを寄せる女の子。
    〇フライク。靴屋の男。親方。信心深い。勉強ばかりするなとハンスをさとす。

    2人の罪人のうち、1人は墓場の前で悔い改め、もう1人はそうしなかった。友人に選ぶなら、悔い改めなかった方だ。彼は自分の道を最後まで歩み、最後になって、それまで彼を助けて来た悪魔と手を切ったりしない▼ある人間を憎むとき、私たちは自分自身の中に巣くっている何かをその人間の像の中で憎んでいる。自分自身の中にないものは、私たちを興奮させはしない▼鳥は卵から無理に出ようとする。卵は世界だ。生まれようとする者は、ひとつの世界を破壊しなければならない。ヘルマン・ヘッセHesse『デミアン』1919
    〇マックス・デミアン。救済者。善と悪の両極。アプラクサス(古代の神・神的なものと悪魔的なものの結合)。男性的であり女性的。
    ●フランツ・クローマー。悪。
    〇ベアトリーチェ。清楚な乙女。
    〇エヴァ。母性。
    〇エミール・シンクレア。10歳。

    マルテ。男。28歳。作家。病弱。神経過敏。孤独。パリの街での経験、幼少時代の回想を通じて、死と愛について考える▼パリでの経験。鉛筆を差し出す白髪の老女。神経疾患の老人。車を引き野菜を売る盲目の男。病んだ医学生。表情がない丸顔の娘。包帯ぐるぐるの人▼幼少時代。苦しんで死んだ祖父と父。机の下の赤鉛筆をおうとしゃがむと向かいの壁から痩せた大きな手がのびてくる。取れなくなった仮面▼愛されるとは亡びること、愛するとは亡びないこと。ライナー・リルケ『マルテの手記』1910 ※オーストリア

    ++++++++

    トニオ。内気。詩が好き。夢見がち。芸術家になるべく、修行を積むが、卑俗なものへの憧れを捨てきれない。トマス・マンMann『トニオ・クレーゲル』1903

    アシェンバッハ。男。50代。理性と禁欲を重んずる芸術家。ドイツの田舎の別荘に閉じこもって仕事。人生に疲れ、仕事にも行き詰まったため、異国の地ヴェネツィアで過ごすことに。そこでタドゥツィオ(=タッジオ)という少年(14歳)に出会い、ギリシア彫刻のように美しい少年の姿に陶酔していく。少年の美しい姿を精神的なものに移し替えたいと願う▼ヴェネツィアにコレラが蔓延しはじめる。アシェンバッハは酒池肉林の夢を見る。老いて醜いの自らの姿(肉体)に吐き気を催す。アシェンバッハは少年に気に入られようと若作りの化粧をする。空気は湿って重く、腐敗の臭いに満ちている。アシェンバッハは美しい少年を追い求めながら海辺で息絶える。トマス・マンMann『ヴェニスに死す』1912
    ※プラトン「パイドロス」。美は魂が真実の世界(イデア界)を思い出すきっかけになる。
    ※理性と衝動の緊張関係が人間

    ハンス・カストルプ。23歳。ハンブルク出身。大学を卒業したばかり。病気のいとこを見舞いに、スイスの山にある療養所にやって来た。死と病気の空気が支配する「魔の山」。3週間後、ハンスは体調を崩し、肺浸潤と診断され、「魔の山」の客ではなく、住人になってしまう。時間のない生活、心配も希望もない生活、停滞していながら、うわべだけは活発に見える放縦な生活、死んだ生活。「悪魔が権力を掌握して、支配権を宣言した、悪魔の名は鈍感だった」。気づけば7年が過ぎている。しかし、ある日、第1次大戦がはじまり、ハンスは目が覚め、熱狂に身を投じる。「死は自由・冒険・無形式・快楽、理性は死の前に立つと滑稽に見える、死を克服するのは愛だけ、理性ではなく愛が善良な思想を生み出す」。トマス・マンMann『魔の山』1924
    ※ベルクホーフ。スイスの山にある療養所(サナトリウム)の名前。保養地ダヴォス(毎年ダヴォス会議が開かれる場所)。
    〇ヨアヒム。ハンスのいとこ。スイスの山の療養所で静養。生真面目。退所して軍人になるも、再び入所。病死。
    〇クロコフスキー。医者。
    〇セテムブリーニ。イタリアの文学者。人文主義。人間の尊厳。啓蒙。理性。真理。
    〇ナフタ。教授。冷笑。共産主義。神秘主義。自然は人間のためにある。セテムブリーニと思想的に対立。セテムブリーニと決闘の末、自分の頭を銃で撃って自殺。
    〇ショーシャ。女。妖艶。だらしない。ハンスが恋を打ち明ける。
    〇ベーベルコーン。ショーシャの愛人。楽観。理想。富豪。豪快。本能。酒飲み。自殺。
    ◆死・病気への興味は、生への興味の一形態にほかならない。
    ◆馬鹿にも様々な種類があって、利口は馬鹿のうちのあまり感心しない一種である。
    ※シューベルト「菩提樹」

    他人の感情生活に想像力を働かせる。察知する。トマス・マンMann『若いヨゼフ』

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    ピーチャム。男。ロンドンの裏町ソーホー区で、ホームレスたちを利用して商売をしている。ピーチャムの愛娘ポリーが、窃盗団の男メッキーと結婚してしまう。ピーチャムは怒り心頭、娘を奪った男メッキーを逮捕・処刑に追い込もうとするが、張りぼての馬に乗った女王の使者が現れ、メッキーに恩赦を与え、メッキーを貴族に列する。ベルトルト・ブレヒトBrecht『三文オペラ』1928 ※ジョン・ゲイ「乞食オペラ」(1728)が元。
    ※銀行の設立に比べれば、銀行強盗なんぞ大したことはない▼街角に立ってる腕のない人を見ると、えらく心を動かされて、10ペンスを恵んでやる気持ちになる。しかし、二度目に見ると、5ペンスに減り、三度目には警察に引き渡してしまう。

    アンドレア「英雄のいない国は不幸だ」、ガリレオ「英雄を必要とする国が不幸なのだ」。ベルトルト・ブレヒトBrecht『ガリレイの生涯』1939

    純粋な信念の人、宗教に夢中になる人、世界を変革・改善しようとする人。高い志にもかかわらず、自分でも嫌っている殺戮と惨禍を引き起こすのはこういう人たちである。シュテファン・ツヴァイクZweig『ジョゼフ・フーシェ―ある政治的人間の肖像』1930

    ヨーゼフ・ロートRoth『聖なる酔っぱらいの伝説』1939

    第二次世界大戦の前夜。ナチスからパリへと逃れてきた避難民たちの生活。エーリッヒ・レマルク『凱旋門』1946

    オスカル。3歳のとき転落事故を起こして成長を止める。言葉を一切しゃべらず、ブリキの太鼓をたたくのが日課。特技はかん高い声で声でガラスを粉砕すること。第二次大戦では、小人の前線慰問団の一員として戦地をまわる。父がソ連兵に射殺され、再び成長することを決意。その後、殺人事件の容疑者として逮捕され、精神病院に収容されるが、2年後、真犯人が見つかり釈放。ギュンター・グラスGrass『ブリキの太鼓』1959

    灰色の紳士。時間貯蓄銀行の外交員。人々に時間の無駄になることを止めさせ、時間を貯蓄するよう勧める。行きつけの飲み屋に行くのは時間の無駄。インコを世話するのも時間の無駄。本を読むのも無駄。友人に会ったり、母親とおしゃべりしたり、恋人に会いに行くのも時間の無駄。時間を1分でも節約。ただ節約・貯蓄した時間はその人の手元には残らず、奪われてしまう。時間を節約をしているつもりで、時間を失っている。時間どろぼう▼時間の節約に取り憑かれた人々はあくせく生きるようになり、人間らしさを失っていく。くたびれて、不機嫌、怒りっぽく、落ち着きがない。とげとげしい目つき。生活は画一的で冷たい▼モモは時間が貯蔵されている倉庫を見つけ出し、時間どろぼうを退治。人々に心豊かな生活が戻る。ミヒャエル・エンデEnde『モモ』1973
    〇モモ。女の子。黒髪。巻き毛。特技は人の話を聞くこと。犬や猫、コオロギ、ヒキガエルにも耳を傾ける。木々のざわめく風にも耳をかたむける。自然体。廃墟になった小さな円形劇場に住んでいる。
    〇カシオペイア。カメ。歩みが遅い。せかせかしない。灰色の男たちからモモを助ける。予知能力。
    〇マイスター・ホラ。時をつかさどる。時間の国。
    ※現代社会と人間

    ミヒャエル。15歳。少年。36歳の女ハンナと恋仲。文盲のハンナはミヒャエルに会うたびに「本を朗読してほしい」と言う。朗読し、シャワーを浴び、愛し合う。しかし、ある日、ハンナは突然、姿を消す▼数年後、大学(法学部)に進学したミヒャエル。大学の授業でアウシュヴィッツ強制収容所の裁判を聴講。なんと、そこには被告人として法廷に立つハンナの姿。ハンナは強制収容所の看守をしていた過去があり、罪に問われていた。ハンナに無期懲役の判決が下り、刑務所に収監される▼ミヒャエルは文盲のハンナのために文学作品を朗読した声をカセットテープに録音し、ハンナに送り続ける。18年が経過、ハンナは恩赦が認められ、出所することに。ミヒャエルは出所後に住む家などを準備。出所日の前日、刑務所を訪問して、ハンナに再会。ハンナは老人のような外見で、老人のような匂いがする。声は若いときのままだ。出所日の朝、ハンナは首を吊って死ぬ。ベルンハルト・シュリンク『朗読者』1995

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    2025年04月20日
  • 朗読者(新潮文庫)

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    ネタバレ

    第二章からグンっと重いテーマになった。

    2人だけの物語であれば、もっと違う結果になった気がするけど、ハンナの過去を考えると本の結末が妥当な気がする。主人公は手紙を書かなかったけど、きっと、書いたところでこの結末は変わらなくて、
    やっぱり重い。

    重いし、もっと違う結末を望むけど、読んで良かったと思える作品。

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    2025年04月04日
  • モモ(絵本版)

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    小学生の頃エンデが書いた物語ばかり読んでいた。これはモモという少女ついてのお話で、時間泥棒は出てこないけど、モモ読んでみたいなと思わせる空気感がいい。対象年齢が高いからまだ一歳の息子には早いけどいつか絶対読んでもらう

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    2025年03月01日
  • モモ(絵本版)

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    4.5年から。原作モモの主役、この女の子が表した生きた時間とは、どんなことなのか、どうしたら生きた時間になるのかをモモから教えてもらえる大人な絵本。あくまでモモについてで、時間泥棒は出てこないので注意。

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    2025年02月19日
  • 文庫で読む100年の文学

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    気になるところだけ読むつもりが結局全編読んでしまった。
    読んでない本がこんなにあること、知ってるけど読んでない本がたくさんあること、そして読んだはずなのにあまり覚えていない、理解していなかった本が結構あることを再確認。
    過去に読んだ本は当時の衝撃や感想を思い出したりした。読んでみたい本も見つかったし、こういう本も面白い。

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    2025年02月07日
  • 車輪の下で

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    ネタバレ

    思いやりのない少年ハイルナーに出会ったことが、ハンスの不幸の始まりだった。ハンスの取り柄は優等生であることだ。それは周りから褒められる美点であり、自尊心と成長心を持たせて、ハンスの思春期の芯となる大事なものだった。しかし、それをハイルナーはずかずかとハンスの心に入り込み、思わせぶりな態度でハンスに友達として依存させる。そして、勉強の邪魔までしてくる。人を見下し、迷惑をかけるハイルナーは友達ではない。もし友達であれば、当然、持つべき友達への興味や思いやりを持っているはずだ。だが、ハイルナーにはそれがない。周りの大人たちも、優等生であるハンスが優等生でなくなったことに対して辛辣だ。機械工としての仕事もできそうだったのに、新しい物事に触れる喜びをわかる、良い子だったのに。周りの無理解と過剰な期待によって、少年の人生は終わってしまった。「どんな生命にも若さにも価値があり、それを再び取り戻すことはできない」という文を思い出す。

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    2025年01月21日
  • モモ(絵本版)

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    モモの世界観をギュッと寄せ集めたような本。とても美しい絵が添えられていて、原作と共に配置したい。原作読み返したいな〜

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    2025年01月15日
  • その子どもはなぜ、おかゆのなかで煮えているのか

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    どこまでが自伝で、どこまで妄想なのか創作なのか、よくわからない不思議な世界に連れ込まれる。
    元靴職人と揶揄されるチャウシェスク政権下のルーマニアでの悲惨な生活は繰り返し語られ、豊かな生活を求めて西側に脱出しても旅回りサーカスの一員であるロマでは難民の暮らししかできない。
    にもかかわらずルーマニアに残った親戚縁者からは西側で富裕な生活をしていると信じ込まれて繰り返し支援を求められる。
    父母は離婚し、映画スターになる夢も実現しない。
    という陰々滅々な世界が延々と続いて、後半では少々うんざりする。

    この本の訳者あとがきで驚いたのは、韓国文学の紹介で八面六臂の活躍をされている斉藤真理子さんが翻訳されたペ・スア「遠きにありて、ウルは遅れるだろう」のあとがきで、ペ・スアがこの本の著者ヴェテラニーに触れていたことが、今回翻訳される契機になったということ。
    この本の不思議な世界と「遠きにありて、ウルは遅れるだろう」を読んで感じた世界との共通する何かを、ここでやっと気づいた。
    しかし、韓国文学がこの本を見つけ出し、早々と韓国語で翻訳出版している目配りに感心するし、底力の強さに驚かされる。

    なお原題「Warum das Kind in der Polenta kocht」のPolenta というのは、とうもろこしの粉で作る粗末な粥のことらしい。

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    2025年01月09日
  • アルプスの少女ハイジ

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    ネタバレ

    アルプスの住むおじいさんと暮らす事になったハイジ。山での暮らしは、ペーター一家との出会いや大自然の風景など、感動がいっぱいで楽しい日々だった。ところが、ある日突然、都会のお屋敷に連れていかれてしまって…。
    かわいいハイジの物語が読めて嬉しいです!ただ、アニメのイメージが強いため、アニメの方がしっくりきました。前半はだいたい原作に忠実にアニメ化されていますが、後半はアニメならではのオリジナルストーリーがあったり、原作の内容が変更されていたり…。特に、クララの車椅子を壊した人物が、原作ではペーターだったのがショックでした。ヤキモチが原因で壊したようですが…。アニメでは、クララが車椅子を取りに行こうとしたら、誤って壊してしまうという内容に変更されていました。これが原作通りにアニメ化されていたら、トラウマになっていたかもしれません。原作では残酷なシーンを変更してくれてよかったと思いました。
    ハイジの物語は忘れられないものとなりました。私もハイジのように明るく生きていきたいと思いました。

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    2024年11月17日
  • その子どもはなぜ、おかゆのなかで煮えているのか

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    ひと目見ていま読むべき作品だと手に取って読んだものの、衝撃すぎてなかなか感想がまとまらなかった。

    抽象画を言葉にしたらこうなるのではないかという、散文詩のような形式でつづられていくのは、時代と、場所と、家族に翻弄された一人の少女の内側からの視点。
    読んでいる方が、おかゆの中で煮られているような感覚を覚えていく。

    どこからどこまでが作者の投影なのかはわからないものの、まだ若くして亡くなられたということにどこか納得してしまった。
    キャンバスに叩きつけるような言葉を吐き出す感性の持ち主が、このような世界で生きていかざるをえなかった人生の激しさを思わずにいられなかった。

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    2024年11月03日
  • その子どもはなぜ、おかゆのなかで煮えているのか

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    社会主義国ルーマニアから亡命してきた一家。
    ロクデナシでピエロの父。曲芸師の母。父に溺愛され、その関係は家族を超えている姉。そして踊り子の私の一家が、放浪生活をしながらサーカスで何とかお金を稼いでいく。

    作者のアグラヤ・ヴァテラニーは39歳で亡くなっており、本作は37歳のときに出版された作品。
    作者自身がルーマニア生まれで5歳のときに亡命して、77年にスイスのチューリッヒに定住するまでサーカスの興行をしながら生活していたらしい。

    余白が多く、作品自体とても短い。だが、読むのは結構苦しかった。
    タイトルからすでに何だこれ、となるのだが常に不穏な気配がずっと張りついている作品で、ときには禍々しささえ感じるほど。
    どこまでが実体験で、どこまでが創作かわからないが、暗黒寓話のようにも見えた。
    この作品も含めて、作者がその一点に向かって収束していくような暗さを感じてしまった。

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    2024年10月25日
  • 朗読者(新潮文庫)

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    僕からみた市電の乗務員、過去ナチの女看守をしていたハンナ。裁判を通してハンナの過去を知る。僕はあの頃の楽しかった時のハンナを追っていただけ、何年も経って少しずつ裏切ってしまう。心がしんとする考えてしまう。

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    2024年07月31日
  • 車輪の下で

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    繊細すぎる主人公に寄せる共感は、残念ながら持ち合わせないが、俗物の大人たちには自分を含め思い当たる節だらけだ。自然世界を描く描写力の見事さと、俗物を淡々と理解して言葉にする能力の高さに圧倒された。

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    2024年05月17日
  • 朗読者(新潮文庫)

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    ナチ強制収容所の看守であり、同じドイツ人から有罪の判決を受ける。文盲であることが結果的に重罪となったが、育った環境、好んで看守になったわけではないことは想像できる。頑なにそれを弁明にしなかったことは、恥辱を受けることを避けること、表面的にわかっても深くは理解してもらえないであろう諦めも交じったものに感じる。主人公は、付き合っているうちにそうした彼女に気づく。主人公の苦悩は、戦犯者を身内に持ったとしたらどう考えるかと読者は投げかけられる。戦争はなぜ起こるのか、過去の歴史をどう活かすのか、の問いでもある。2024.5.12

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    2024年05月12日