松永美穂のレビュー一覧
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ネタバレ思いやりのない少年ハイルナーに出会ったことが、ハンスの不幸の始まりだった。ハンスの取り柄は優等生であることだ。それは周りから褒められる美点であり、自尊心と成長心を持たせて、ハンスの思春期の芯となる大事なものだった。しかし、それをハイルナーはずかずかとハンスの心に入り込み、思わせぶりな態度でハンスに友達として依存させる。そして、勉強の邪魔までしてくる。人を見下し、迷惑をかけるハイルナーは友達ではない。もし友達であれば、当然、持つべき友達への興味や思いやりを持っているはずだ。だが、ハイルナーにはそれがない。周りの大人たちも、優等生であるハンスが優等生でなくなったことに対して辛辣だ。機械工としての仕
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どこまでが自伝で、どこまで妄想なのか創作なのか、よくわからない不思議な世界に連れ込まれる。
元靴職人と揶揄されるチャウシェスク政権下のルーマニアでの悲惨な生活は繰り返し語られ、豊かな生活を求めて西側に脱出しても旅回りサーカスの一員であるロマでは難民の暮らししかできない。
にもかかわらずルーマニアに残った親戚縁者からは西側で富裕な生活をしていると信じ込まれて繰り返し支援を求められる。
父母は離婚し、映画スターになる夢も実現しない。
という陰々滅々な世界が延々と続いて、後半では少々うんざりする。
この本の訳者あとがきで驚いたのは、韓国文学の紹介で八面六臂の活躍をされている斉藤真理子さんが翻訳され -
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ネタバレアルプスの住むおじいさんと暮らす事になったハイジ。山での暮らしは、ペーター一家との出会いや大自然の風景など、感動がいっぱいで楽しい日々だった。ところが、ある日突然、都会のお屋敷に連れていかれてしまって…。
かわいいハイジの物語が読めて嬉しいです!ただ、アニメのイメージが強いため、アニメの方がしっくりきました。前半はだいたい原作に忠実にアニメ化されていますが、後半はアニメならではのオリジナルストーリーがあったり、原作の内容が変更されていたり…。特に、クララの車椅子を壊した人物が、原作ではペーターだったのがショックでした。ヤキモチが原因で壊したようですが…。アニメでは、クララが車椅子を取りに行こう -
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ひと目見ていま読むべき作品だと手に取って読んだものの、衝撃すぎてなかなか感想がまとまらなかった。
抽象画を言葉にしたらこうなるのではないかという、散文詩のような形式でつづられていくのは、時代と、場所と、家族に翻弄された一人の少女の内側からの視点。
読んでいる方が、おかゆの中で煮られているような感覚を覚えていく。
どこからどこまでが作者の投影なのかはわからないものの、まだ若くして亡くなられたということにどこか納得してしまった。
キャンバスに叩きつけるような言葉を吐き出す感性の持ち主が、このような世界で生きていかざるをえなかった人生の激しさを思わずにいられなかった。 -
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社会主義国ルーマニアから亡命してきた一家。
ロクデナシでピエロの父。曲芸師の母。父に溺愛され、その関係は家族を超えている姉。そして踊り子の私の一家が、放浪生活をしながらサーカスで何とかお金を稼いでいく。
作者のアグラヤ・ヴァテラニーは39歳で亡くなっており、本作は37歳のときに出版された作品。
作者自身がルーマニア生まれで5歳のときに亡命して、77年にスイスのチューリッヒに定住するまでサーカスの興行をしながら生活していたらしい。
余白が多く、作品自体とても短い。だが、読むのは結構苦しかった。
タイトルからすでに何だこれ、となるのだが常に不穏な気配がずっと張りついている作品で、ときには禍々し -
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感想。ベルンハルト・シュリンクは「朗読者」の著者。そんな事忘れていたけれど。9つの短編集なんだけれどどの話も年老いた人々が何かしらの「別れ」に遭遇した時の話。亡くなった人に対するもの、随分昔に別れた恋人にまた出会うもの、ご近所の幼い頃から見守り続けていた少女の死にで会うもの。そんな別れの時に脳裏に浮かぶのは思い出で、その思い出も明るさがあるだけではなく、後ろめたさや自己欺瞞、焦燥、そんな向き合いたくないものをちょっぴり混ぜ合わせながらつらつらと脳は過去を浮かび上がらせる。そんな別れの一つ一つが身に染みるのは私もそんな歳に近づいていっているのがわかっているからなのだろう。
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ネタバレ感想がまとまらない…
ドイツに、ドイツ国内で戦争犯罪を犯した人たちを裁いた時代があることを初めて知った。
戦争は経験していないけど、二度と繰り返してはならない罪の歴史として教育された、親や愛した人が戦争の当事者でありえた世代の人たちは、身近な人が犯罪者であることに、どれだけたくさんのことを考えたんだろう…
ヨーロッパの真ん中にあるドイツが負の歴史を抱えていることが、ヨーロッパの人たちにとって、どんなに身近な出来事で、記憶や文化として残っているのか、ナチズムを扱った本を読むたびに考える。
日本も決して蚊帳の外の話ではなく、かつて戦争の時代を生きた人がいて、その子どもの世代があって、今がある…戦争 -
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わぁ、こういう本だったのか。
第一章を読んでいるときには、まさかこんな展開になるとは思ってもいなかった。
めちゃくちゃに重いテーマ。
・時代や状況が違ったあとで、過去の事柄を裁くことができるのか。
・大切な人を守るために、その大切な人の守りたい秘密をつまびらかにしてしまう権利はあるのか。
そして第三章、ハンナの選んだ選択肢
ドイツ文学を読んだことが今までなかったけれど、これはドイツ人であるが故に書けるテーマ。
戦時を生き抜いてきた親世代を子世代が軽蔑する権利はあるのか。口先だけで生きてはいけない。
もちろん、命が無意味に奪われていいわけがない。
人類は色々な経験をしているのに、後に活