【感想・ネタバレ】アルプスの少女ハイジのレビュー

あらすじ

両親を失いながらも、太陽のように明るく人々の心を照らす少女ハイジ。アルプスの山小屋で孤独に暮らすおじいさんとの絆、ヤギ飼いのペーターやその家族とのふれあい、足の不自由な少女クララとの出会いと友情――。雄大な自然を背景に、深い喪失感を抱く人々が、ひとりの少女によって人間性を回復し再生していく、愛と感動の物語。
1880~81年に発表された『ハイジ』は、当初から大評判となり、いまも世界中で翻訳・劇化・映像化されている。日本でもアニメが大ヒットし、児童文学として多くの絵本や抄訳が出版されているが、原作は、家族の絆や地域社会との共生、エコロジーな暮らしへの回帰など現代的なテーマにあふれ、大人にこそ考えさせられることが多い本格的な文学作品である。
本書は、シュリンク『朗読者』の翻訳で数々の賞を受賞した、ドイツ文学者・松永美穂氏による渾身の完訳。

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Posted by ブクログ

19世紀に書かれた小説。アニメのオープニング、断片的なシーンは覚えているが全体のストーリーは全く記憶していなかったのだが、原作の面白さを聞いて読んでみた。病弱なクララが山の生活で健康を取り戻していくというハイライトだけでなく、偏屈なお爺さんが再びコミュニティの一員となっていくなど、大人になっても人は変わることができるというストーリー。一貫して勤勉を美徳とするプロテスタント的な価値観が書かれている。篤い信仰は金銭的にも報われるというオチもあり。ハッピーエンドになるとわかっていて読めるので良い娯楽だった。

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19世紀のスイスは既に中立国となっていたが、お爺さんは若い頃には傭兵として出稼ぎに行き、その息子も死因はわからないが他国で亡くなっている。羊飼いのペーターはおそらく6年生ぐらい、ハイジは3年生くらいだが、2人とも小学校に行かずに文盲。ペーターのお父さんはおそらく出稼ぎで不在、おばあちゃんとお母さんの現金収入はペーターが世話する羊のミルク程度かと思われる。

一方で、フランクフルトのゼーゼマン家(クララの家)は複数の使用人が暮らし、主人のゼーゼマンの職場はパリ。職種は不明だが汎欧州のスパンの事業を行っている。

ハイジは天真爛漫で良い子だけど、それ以上に羊飼いのペーターの無学ぶりとことばを知らないが故か、もともと境界知能児なのかが心配になる。ハイジのおかげでペーターがやっとアルファベットが読めるようになることは救いだ。

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2025年01月22日

Posted by ブクログ

NHKでアルプスの少女ハイジの作者、ヨハンナ・シュピリの特集番組があり、それを見て本書を手に取りました。私自身子供時代にアニメで見たことはありましたが、本書でやっと本当の原作に触れたことになります。本書は大人が手にとっても全然問題ない水準だと思います。ぜひ大人も本書を読んでほしいと思いました。

ニメでは、ハイジ、ペーター、クララという子供たちの交流が中心になっている印象を受けますが、本書を読んで改めて実感したのは、クララという少女が周りの大人たちを幸せにしていく存在だということです。おじいさんを改心させるだけでなく、羊飼いのペーターのおばあさんや、クララのお父さん、おばあさん、さらにフランクフルトに住むお医者さんの心さえも癒すのです。

スイスの美しい自然と神様への祈り、その中心にはハイジという存在がいます。大都市フランクフルトに連れていかれたハイジは活力を失います。しかしアルムの大自然に戻ったハイジは、まるでアルムの小屋の裏にある巨大なもみの木のように、まわりを元気にするマザーツリーのような存在になるのです。さらにいえば、ハイジは読者の心すらもきれいにしてくれると言ってもよいでしょう。本を読んでこんなにすがすがしい気持ちになったのは久しぶりでした。

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2025年01月01日

Posted by ブクログ

「100分de名著」で取り上げられていたこと、WOWOWでアニメを久しぶりに全部見たことで新発見があり、原作も読みたくなった。
昔の訳で読んだ覚えが在るが、何となく古い言い回しで挫折した気がするので、躊躇していた。忘れた頃、この文庫を見つけたら、「100分de名著」に出ていた方の訳だった。
訳が素晴らしい。すんなり読めました。
アニメではいろいろストーリーが付け足され、変更してるところもあったんですね。
いくつになっても、人は変われる!と希望が持てました。大人こそ読んで欲しい。

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2021年10月02日

Posted by ブクログ

ネタバレ

終盤の、ハイジの後見人が2人もできたとか、わたしにもハイジへの権利を与えていただければ、わたしの晩年にはあの子が面倒を見てくれて、そばにいれくれるかもしれませんとかですごく冷めた

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2024年05月22日

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