松永美穂のレビュー一覧
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感想。ベルンハルト・シュリンクは「朗読者」の著者。そんな事忘れていたけれど。9つの短編集なんだけれどどの話も年老いた人々が何かしらの「別れ」に遭遇した時の話。亡くなった人に対するもの、随分昔に別れた恋人にまた出会うもの、ご近所の幼い頃から見守り続けていた少女の死にで会うもの。そんな別れの時に脳裏に浮かぶのは思い出で、その思い出も明るさがあるだけではなく、後ろめたさや自己欺瞞、焦燥、そんな向き合いたくないものをちょっぴり混ぜ合わせながらつらつらと脳は過去を浮かび上がらせる。そんな別れの一つ一つが身に染みるのは私もそんな歳に近づいていっているのがわかっているからなのだろう。
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Posted by ブクログ
ネタバレ感想がまとまらない…
ドイツに、ドイツ国内で戦争犯罪を犯した人たちを裁いた時代があることを初めて知った。
戦争は経験していないけど、二度と繰り返してはならない罪の歴史として教育された、親や愛した人が戦争の当事者でありえた世代の人たちは、身近な人が犯罪者であることに、どれだけたくさんのことを考えたんだろう…
ヨーロッパの真ん中にあるドイツが負の歴史を抱えていることが、ヨーロッパの人たちにとって、どんなに身近な出来事で、記憶や文化として残っているのか、ナチズムを扱った本を読むたびに考える。
日本も決して蚊帳の外の話ではなく、かつて戦争の時代を生きた人がいて、その子どもの世代があって、今がある…戦争の時代を歴史として学んで、当時の状況を一生懸命想像するよりも、この本はいろんなことを考えさせてくれた。
訳者あとがきに、この本は二度読むと登場人物たちの繊細な心情がわかると書いてあったので、いつか再読したい。たしかに一回目はストーリーの中の大きな出来事が印象に残った。 -
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ネタバレ「男たちの名声の陰で」の副題通り、豊かな才能や野心を抱きながら、その仕事すべてが有名な夫または愛人のものになってしまった女性たちの生きようを記した一冊。読んでいて何度も腹が立ち、やるせなくなり、家父長制くたばれと悪態をついた。いっそグウィンの短篇小説ーー男は城に閉じ込めて身体ゲームに興じさせ、優位に立っているかに思わせ、受精の時だけ女に買われる。そのじつ研究などの分野はなべて女のものであるーーのごとくになってしまえと呪いそうにもなった。これは現在もいちぶを除いて女性に降り掛かりつづけているできごとなのだから! ……けれどまちがいなく「女性」である我が身を振り返って、たれかの助けが必要なのは自分も変わらない、加害者になりうることもあるのだとため息をついた。男も女もなく、互いが互いの共生相手として、認め尊重しあって高め合える、そんなモデルはないのだろうか?
しかしもう一度言ってしまうが、家父長制くたばれ案件ではある。それを許しながら女性に「輝け」という政府の罪も重いだろう。 -
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ネタバレオルガの愛情深さに尊敬。自立心に共感。
愛する幸福を愛される幸福より上におくゲーテに対しての、愛されている保証のうちに生きている人はそんな詩が書けるというオルガの感想が好き。
死んだ人は貴族も農民も関係なく平等だから墓地を歩くのが好きなオルガが好き。
中盤から散りばめられた謎が気になって、深夜まで一気読みしてしまった。
後半の手紙はただただ切ない。
オルガの揺れ動く心情がものすごく伝わってきて涙が止まらない。
元の文章自体読めないけれど、翻訳者の人が上手な気がする。するする読める。
そして改めてつくづく戦争は滑稽だと思う。
これまでの歴史がすべてを物語っている。
戦争反対。 -
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第一次大戦前のドイツ、祖母に引き取られたオルガは、農園主の息子ヘルベルトと仲良くなるが、農園主に反対される。ヘルベルトは英雄を夢見て北極圏の冒険に出かけるが、音信不通になってしまう。オルガは、祖母の反対を押し切り師範学校へ行き教師になる。行方のわからないヘルベルトに局留めの手紙を書きながら、オルガは第二次世界大戦を迎える。
第一部は、オルガとヘルベルトの若い日々と、ヘルベルトがいなくなったあとのオルガの日々をオルガが語る。
第二部は、大戦後オルガが親しくし家で裁縫をしていた家庭の息子フェルディナンドが、年老いたオルガを語る。
第三部は、オルガの死後フェルディナンドが手に入れたオルガのヘルベルトへの手紙により、オルガだけが知る真実が明かされる。
苦難の時代を果敢に生き抜いたオルガ。ドイツという国がたどった時代の中でのオルガの決断にあ然としてしまう。 -
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"墓地を歩くのが好きな理由は、ここではすべての人が対等だから、とのことだった。強者も弱者も、貧者も富者も、愛された者も心にかけてもらえなかった者も、成功した者も、破滅した者も。霊廟や天使の像や大きな墓石も関係ない。みんな同じように死んでいて、もはや偉大であることもできないし、偉大すぎることなんてぜんぜんない。"(p.102)
"沈黙は学べるのだ――沈黙に含まれる、待機の姿勢によって。"(p.119)
"要求は出さず、期待もせず、一番いいのは、言葉では何も言わないことです。"(p.170)
"雪や氷、武器や戦争――あなたたち男は、そういったものなら扱えると思っているけれど、一人の女の質問には耐えられないのです。"(p.213) -
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ネタバレ3つの短編ドイツの自然ってこんなにも美しいんだって。鳥がそれぞれの物語に出てくるところもすてき。
みずうみ
自然の描写が美しい。
結ばれなかったふたりだから美しい物語になるのかなぁ。それにしても、彼女の夫は鈍感なの。優しいの。人生についてパンになぞらえる部分など鋭い教訓だなぁ。なんで?なんで?って思ってしまいました。
エリザーベトのもとにラインハルトがいなくなってから、ラインハルトの幼馴染のエーリヒさんが通ってきてたけど、ラインハルトはその人のこと、自分の着ている茶色のオーバーにそっくりだって言ってて。悪口にきこえるけど、エリサーベトは、それをそんなふうに思ってないみたいで、手紙に描いたりして。素直なんだか。ラインハルトがお話を送ってくれなかったことに『あなたは約束を守らなかったわね』って。直接的だなぁ。こんな表現になるのは子供だからかドイツ人だからか?
ムネアカヒワが死にカナリアがきて、エリサーベトの母親は、ラインハルトを遠ざける。大人が子供によかれと思ってすることはよくでもないなぁと思った。して、エリサーベトの気持ちはどうだったのかな。3度目のプロポーズで受けた。親のいいなりになるって諦めてた?して、2年も手紙のやりとりを何故ふたりはしなかった?
単純な造作のエーリヒの顔 。
ぼくが静かに計画をねる男だと知っているだろう?って。こわい。
そして、ふたりで出かけさせたりして、何の意図もないとしたらますますこわい。
幼馴染ならふたりの仲の良さは知っていると思うのに、何故だろう?
三色すみれ
まま母と女の葛藤。荒れ果てた庭園。
人形使いのポーレ
ただひとつハッピーエンド。すれ違いは悲しい -
Posted by ブクログ
読後はドッシリずっしりとした重苦しい気持ちになる。
1人の女性について20ページ程度にまとめられており、読みやすい。
結婚や、結婚でなくとも男性との繋がりによって才能や時間、人生を搾取され、そして男性の見方によって歴史からも排除されてきた、才能豊かで努力家でもあった、稀有な女性の先輩方。
過去の話だけど、今の日本でも個人差はあれど続いているのではないか。
結婚という契約により、女性は男性の帰属下になり、女性の人生をコントロールできる、より口出しできると無意識下に思っているのは現代にも繋がっていないか。
事実婚を選ぶ一因は、こういうこともあるのだと思う。
シャルロッテ・ベーレント=コリントの章の最後、コーリントの回想録からの一節
「いまの男性はそこまで成熟していません!本当に必要なのは女性の解放ではなくて、男性が成長してくれることを望むしかないのです。」