松永美穂のレビュー一覧
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個人の葛藤と世代的トラウマが折り重なる。
苦痛と困難の時代。
世界大戦、戦間期、再びの大戦、戦後。
近代から現代へ急速な変貌、それはオルガにとっても、彼女の世代にとっても苦痛と喪失を伴うものだった。
この物語に言うべき言葉はあまり見つからない。
喪失を乗り越えるために必死に生き、届くはずのない手紙を送るオルガ。
歴史は語られるものであって、読み解かれるものになる。
翻訳あとがき(松永美穂氏)の引用『「シュリンクは不愉快な問いを投げかけることを忘れない」』
まさしく、葛藤とは直面化したくないものだ。
しかし、その葛藤から洞察を得たいと思うのも健全な人間の文化だとも思う。
物語の -
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ネタバレみずうみ
エリーザベトとラインハルトの物語。
ラインハルトの鳥が、カナリアに変わったことが悲しかった。在学中、彼は思いを持ちながら、自分の世界に入ってしまった。時は巻き戻せなかった。
3色スミレ
希望がたくさんで、読み終えてホッとした。若い新妻は前妻と一緒で肖像画になるのかとやきもきした。新妻の成長に感謝。同じ名前はつけないとした夫に尊敬を。
人形使いのポーレ
婦人のお父様は残念だった。だが夫人は幸せで、これからも幸せを紡いでいくのだと考えると、お父様の無念も晴れると思った。ドイツ中部の工房を離れるときの決心は見事だった。工房のおかみさんにも賛辞を。
繊細な描写が多く、勢いで読む本ではな -
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ネタバレヘッセが若い頃に書いたようだけど教育機関、細い一本道の進路の閉塞感に反発しまくり。批判的な自伝的小説。ロックンロール。
生真面目に頑張ったけど落ちぶれて川に落ちて死んだハンスと、詩人で自由人で周囲から疎まれ退学してそれなりにいい人生を送ったらしいハイルナー、親友同士のこの二人が、実はヘッセ自身の分身的存在であると解説で知り、面白い。
レールに敷かれた人生を真面目に生きても周囲の重圧に揉まれ運もよくなくて病んで落ちぶれダメになったハンス、これは割と「あるある」なのだろうけど、そういう人たちへの哀れみ、鎮魂歌、或いは祈りのように感じる。そうさせた社会への怒りも。十代で読むか大人の側に立って読むかで -
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小学生の時、母親から、読むようにと無理やり押し付けられた本の中に「車輪の下」があった。たしかポプラ社から出てた小学生用に易しく翻訳された「車輪の下」である。当時、どうしてもその本を読む気になれず、そのまま年月は過ぎてたんだが、今回、新訳という事で「車輪の下」に初挑戦してみた。
読んでみる気になったのは、あるラジオ番組で、新訳で出された本書のことを褒めていたからだ。非常に読みやすい訳って聞いて、読んでみようと思ったわけだ。もっとも本書を購入してから半年近く積読状態だったんだが・・・。
ヘッセの自伝的小説とも言われる本書。おおまかな流れは、ドイツのある田舎町。町で一番の優等生ハンスは、神学校に入 -
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いい本だった。
読むと分かるけど、この本には確実に伝えたい事がある。でもそれをオブラートに包むどころか、殆ど匂わないように封じ込めて、年の差カップルの恋愛としてお話が始まる。
第一部は、恋愛の行く末。私は女性だけど、主人公と一緒にハンナに恋をする。
第二部は、法学部教授である作者の本領発揮どころ。法学を学ぶ人が読むと、感じることが違うのではないだろうかとい思わせる内容。黒と白の狭間で揺れる主人公。
第三部は、ハンナとの穏やかな関係と意外な終焉。
ドイツというと、、、という話を想像したが、逆の立場からの話で私にはその方が共感できる。人は弱い生き物で、よく考えもせずマスコミに煽られ、現在の -
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親子ほどの歳が離れた二人の情愛と突然の別れ、そして戦争の影を伴う再会のお話
以下、公式のあらすじ
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過去に犯した罪をどのように裁き、どのように受け入れるか――。
数々の賛辞に迎えられて、ドイツでの刊行後5年間に25カ国で翻訳され、
アメリカでは200万部を超えるベストセラーに。
15歳のぼくは、母親といってもおかしくないほど年上の女性と恋に落ちた。「なにか朗読してよ、坊や!」──ハンナは、なぜかいつも本を朗読して聞かせて欲しいと求める。人知れず逢瀬を重ねる二人。だが、ハンナは突然失踪してしまう。彼女の隠していた秘密とは何か。二人の愛に、終わ -
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ネタバレ高校の時に、「俺本読むわ、でも何から始めていいかわからんし」って言った時に母が買ってきてくれた本がこれ。積み本にしてそのまま捨てて、買ってくれた母は今は亡き。
思い出して大いに猛省し、再度読む機会を得た。
これはヘルマンヘッセの自伝でもあるという事だったけど、ええ!?主人公最後....オイ
これは今でいう鬱になっちゃった時期があったんだろうか、神学校から戻ってきてからの話がぶっとぎ過ぎて学生時代こんなむつかしい本理解できんやろうって思いながらも、でもやっぱりこれは学生時代に読んでおきたかったなぁとつくづく思った。
タイトルの車輪の下って意味が文中に登場し、ああ、そういうことなんだぁって納得した