松永美穂のレビュー一覧
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19世紀に書かれた小説。アニメのオープニング、断片的なシーンは覚えているが全体のストーリーは全く記憶していなかったのだが、原作の面白さを聞いて読んでみた。病弱なクララが山の生活で健康を取り戻していくというハイライトだけでなく、偏屈なお爺さんが再びコミュニティの一員となっていくなど、大人になっても人は変わることができるというストーリー。一貫して勤勉を美徳とするプロテスタント的な価値観が書かれている。篤い信仰は金銭的にも報われるというオチもあり。ハッピーエンドになるとわかっていて読めるので良い娯楽だった。
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19世紀のスイスは既に中立国となっていたが、お爺さんは若い頃には傭兵として出稼ぎに行き、その息子も死因はわからないが他国で亡くなっている。羊飼いのペーターはおそらく6年生ぐらい、ハイジは3年生くらいだが、2人とも小学校に行かずに文盲。ペーターのお父さんはおそらく出稼ぎで不在、おばあちゃんとお母さんの現金収入はペーターが世話する羊のミルク程度かと思われる。
一方で、フランクフルトのゼーゼマン家(クララの家)は複数の使用人が暮らし、主人のゼーゼマンの職場はパリ。職種は不明だが汎欧州のスパンの事業を行っている。
ハイジは天真爛漫で良い子だけど、それ以上に羊飼いのペーターの無学ぶりとことばを知らないが故か、もともと境界知能児なのかが心配になる。ハイジのおかげでペーターがやっとアルファベットが読めるようになることは救いだ。 -
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独裁者によって生活ができなくなった主人公の家族が、国外へ脱出しサーカスの団員として生活をする半生を書いたもの。
社会的な弾圧と家族の中での個々との共存、サーカスという世界、信仰によって造らせた精神がとても危ういと感じる。
子どもという狭い世界での知識による外と内との折り合いの付け方がアンバランスすぎて、環境のせいではあるものの崩れることをこんなにも予感させることはない。
家族をものとして扱う父親や、恐怖で支配し自分で作った世界に押し込める母親、対になる姉、存在することで自分の価値だと思い込むペット、今でいう毒親に育てられ大きく育った主人公の、願いなどなくやっぱりねとなる終わりに向けて読むことを止められない。 -
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NHKでアルプスの少女ハイジの作者、ヨハンナ・シュピリの特集番組があり、それを見て本書を手に取りました。私自身子供時代にアニメで見たことはありましたが、本書でやっと本当の原作に触れたことになります。本書は大人が手にとっても全然問題ない水準だと思います。ぜひ大人も本書を読んでほしいと思いました。
アニメでは、ハイジ、ペーター、クララという子供たちの交流が中心になっている印象を受けますが、本書を読んで改めて実感したのは、クララという少女が周りの大人たちを幸せにしていく存在だということです。おじいさんを改心させるだけでなく、羊飼いのペーターのおばあさんや、クララのお父さん、おばあさん、さらにフランクフルトに住むお医者さんの心さえも癒すのです。
スイスの美しい自然と神様への祈り、その中心にはハイジという存在がいます。大都市フランクフルトに連れていかれたハイジは活力を失います。しかしアルムの大自然に戻ったハイジは、まるでアルムの小屋の裏にある巨大なもみの木のように、まわりを元気にするマザーツリーのような存在になるのです。さらにいえば、ハイジは読者の心すらもきれいにしてくれると言ってもよいでしょう。本を読んでこんなにすがすがしい気持ちになったのは久しぶりでした。 -
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ミヒャエル・エンデ『モモ』絵本版。
ある町のはずれにいつの間にか住み始めた風変わりな小さな女の子、モモ。最初は町の皆は怪しいと思い用心していたが、その内にたくさんの人たちがモモに会いに来るようになった。小さなモモがだれよりも得意だったのは、ほかの人の話を聞くこと。そんな聞き上手なモモには、たくさんの友達の中で、特に親しい友達が二人いた。
「聞くこと」に特化して描かれている。
モモのお話が全て描かれているわけではなく、一部分に焦点を当てた絵本でした。
お話を全く知らない低学年児の導入としては難しく思えましたが、一通り読み聞かせをきちんと聞いていたように思います。いつか原作を知った時に思い出す一冊になるのかなあと思いました。
学校で習った高学年児には、絵が描かれていて良かったようです。
モモのお話をなんとなく知っているだけの私には、あれ?時間泥棒の話は?と拍子抜けてしまい、ちゃんと原作を読んでみようという気になって逆に良かったように思えます。
全く作品を知らない子よりは、多少内容を知っている子向けであり、文字が多く描写が難しいので高学年以上向けかと思います。 -
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朗読者を読んだ、泣いた。ハンナの心は永遠に分からない、私たちは戦争を経験したことがない。他人の命を無関心に見たことがない、ホロコーストに賛成したことがない、時代を感じていない。でも愛することは間違いだったんだろうか?どうしたらよかったのか?あなただったらどうした?
ハンナが裁判で、「私はジーメンスに転職を申し出ないほうがよかったの?」と自問する
彼女の文盲を隠すための逃避が恐ろしい、直面しなくていい地獄まで通じているなんて誰もわからなかったでしょう
主人公も手紙を書いてあげればよかった。
でも書けなかった。愛する人が戦争犯罪者だと、自分は断罪者であり受刑者になるから
もう一度読みたい -
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少年の繊細な心は、まるで剥き出しの心臓を見ているかのようでした。受験、宗教、学校教育に対する批判や、後半に描かれる労働や初々しい恋といった要素も含め、心理描写が非常に細やかで、ハンスの葛藤や孤独が強烈に伝わってきます。彼のプライドや挫折、苦悩にも大いに共感しました。結末は悲しいですが、それ故に深く考えさせられる作品だと思います。高校生の頃に読んだ際はハンスと同じく学校への批判的な視点を持ちましたが、30代の今、再読してみると、もう少し器用に生きられなかったのか、不合理や葛藤とうまく付き合えたのではないかと、異なる視点が得られました。読み直して本当に良かったと思います。
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歳の離れた恋愛とアウシュビッツと 第一章を読んで、青年と歳のいった女性との文学的な恋愛話かと思いきや、第二章でアウシュビッツが出て来て驚いた。恋愛云々の話ではなく、それを踏まえてのアウシュビッツに関わる戦後の話だった。
戦争のグロい話ではなく、アウシュビッツにおける少しの知識をもってして、あなてはどう捉えるか、どう考えますか?と問いているストーリーだった。
ドイツで教材になっているのもかなり頷ける。
いろんな視点で考えられるとても優れたストーリー。かつ第二章以降は、自然の描写が美しい。訳者も素晴らしいが、ドイツ作家はやはり素晴らしいものなのかも。この作者の他の作品も読みたくなった。 -
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ネタバレバッドエンド、暗い話ウェルカムなので、最高なラストではあった。まぁ、夢オチ、とは言わないけど、ああいうラストはズルい感じもする。けど、わたしは、ああいう風に投げ出して解釈任せて想像させてくれるのも好きだから、良かった。
うーん、でも、ハンスは何一つ間違っていないからこそ、彼を死なせてしまうことにより、やっぱ変わらない世間の肯定になってしまう、彼が車輪の下に轢かれてしまったことを証明してしまうことになるので、それは悔しい。やっぱ絶対生きててほしかった。ハンスは死んではいけなかった。
全体も、試験前・試験後・神学校・地元に戻った後(過去の思い出・現在)、とにかくテンポが良くて、スラスラ読めた。
そのテンポで主人公の心持ちもコロコロ移り変わっていくけど、その様子もちゃんと一つずつ理解できて、1ページたりとも飽きることなく読み切れた感じでした。(学校に馴染めなかった時点で、この劣等感でずっと話続いていくのかな?と思いきや、ファルケン、女の子の話とハンスの気持ちもテーマも進行し続けてくれたおかげかな?あと読みやすさは翻訳の力もあるのかな?)
あの最後のお酒のシーンも、今まで友達とかのコミュニティーが自分の一番渇望していたものだからこそ、それに飲み込まれていってクラクラする感じ、自分にも共通する感覚で、本当に引き込まれた。
やっぱりわたしはハイルナーが大好きでした。
彼は元気にやっているだろうか…
名著と呼ばれる理由は理解できた、けど本当に名著かどうか、そして、ヘルマンヘッセが好きかどうかは、ちょっとまだ分からない。 -
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是非オススメしたい本です。(私の1番大好きな本)
◆ホロコースト時代の「ドイツ人」と「ユダヤ人」の禁断の悲劇の恋愛物語
【あらすじ】
15歳のドイツ人少年のミハイルが帰宅途中嘔吐してしまい、そこに現れたユダヤ人ハンナが助けたことで、2人が出会った。最初は、お礼の挨拶をするためにお家に行くが、訪問回数を重ねるごとに恋愛へ発展する。ハンナには誰にも言えない『秘密』があり、その『秘密』が2人の関係、人生を大きく動かすことになる。
【ポイント】
1.なぜ、ハンナはミハイルに『本を読んでほしかったのか』
2.なぜ『秘密』を打ち明かすことが出来なかったのか
3.もしあなたがハンナなら/ミハイルなら、どのようなアクションを起こすか。
(是非考えて頂きたいポイントです)
【映画】
「愛を読むひと」の題名で映画化されています。
本の内容を忠実に再現されており、映画を最初に見てこの本を読むのもありです。
【問】
・もしあなたが社会的弱者(ホロコースト時代のユダヤ人)だとしたら、どのような行動ができますか?
・もし愛する人が社会的弱者(他人の批判の的)だとしたら、助けることができますか?
悲劇の恋愛物語です。是非一読を。
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金のある家に生まれて父親に愛され才能にも恵まれたとしても、女、というただそれだけのことで尊厳は奪われ男の肥やしにされたり心身を潰されたりしてしまうのだ、という救いのない話。そのような女の影を無視して男どもは男を讃え続ける。厭世が増す。しかし教育機会や選挙権の歴史を考えれば女の人権の歴史はやっと始まったばかりだ。ただ私は女はこれからだと期待をするよりは、人類はさっさと滅びるべきではないかと思ってしまう。人類はこれまでの犠牲を考えればあまりにも学習ができない動物だからである。
私は、私は恵まれない家庭で育ったけれども努力して仕事を持ち家庭を持つのだとずっと頑張ってきたけれど、結局は金も家族も得られずに死ぬことになりそうである。私なんかが納得できる仕事をして愛する家族を持ちたいなんて到底無理な話だったのだなあ…とうんざりする気持ちが深まる。
「自分自身の役割を内省し、男性たちとの関係のなかで自分自身のアイデンティティの獲得のために闘い、自己表現の方法を求め、男性優位のヒエラルキーに基づいた関係を拒否し、パートナーとの「対等」な人生をめざした」当然のことのようだがこれを達成できるのはいまだ奇跡の女である。 -
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ネタバレ薦められて読んだ本ですが、本当に読んで良かったと思える1冊でした。
「あなたならどうしましたか?」という言葉が本全体にかかってくるようで重い。
この言葉が苦しいのは、ハンナは裁判長をせめるつもりもなく、本当に分からなかったから何でも知ってそうな人に教えてほしかっただけで... という...
裁判長が作中でこの問いに答えられないのも、著者自身が答えをだせなかったからなのか、読者に答えを委ねたからなのか
簡単に答えがほしいと願う読者に対して、そうそう容易く答えなんか得ようとするなと言われているようで。
「僕たち後にくる世代が恥と知と罪のなかで押し黙る ─それが求めていた結果だったのだろうか」
覚えておきたい言葉です。 -
Posted by ブクログ
19世紀ドイツの作家シュトルムが、青春や家族の心理を詩情豊かに描いた3篇を収録。切なさと愛しさと心強さと。
みずうみ、この作品は新海誠の『秒速5センチメートル』を彷彿とさせる。なぜ、連絡をとらなくなったのか、なぜ、こうなってしまったのか。長い時間における心理の描写がすっぽり抜けていて、こちらが想像するしかない部分が多く、唐突な結果にあぜんとする。それだけに切なさが強烈で、読後に独特の余韻を残す。この感じも、まだ尖っていた頃の新海誠作品に似ていて、自分はこちらの方が好みなんだよねぇ。
三色すみれ、この作品は継母を迎えた父娘の葛藤を描いた、現代でもドラマとかでよくみるパターン。衝突を繰り返しながらも、とある決定的な出来事で新しい家族の絆が紡がれていく。あふれる愛しさが半端なくて、自分も家族を大事にしたくなる。いないけど。
人形使いのポーレ、この作品は、とある旅芸人一座との出会いと別れが描かれる。ノスタルジーと青春と家族愛と、すべてがある集大成的な感じで、中篇程度の長さであるにもかかわらず、情緒ある光景と、繊細な心理描写も相まって、どっぷりと読み応えがあった。また、ところどころで意外な事件が起こるので飽きさせない。ラストは愛する人の心強さに感動する。本書で一番のお気に入り。
この作家の作品をもっともっと読みたいのだけど、そんなに数は残していないようなので、いずれ他訳にも挑戦してみたい。名作保証☆ -
Posted by ブクログ
【この世の終わりのような悲観的な気分が一方にあり、さあ、これからだ、という覚醒の雰囲気が他方に存在しているのだ】(文中より引用)
ヒトラーが自死してからドイツの降伏に至る8日間を描いたドキュメント。戦争にひた走った独裁者を失った後の歴史的な1週間余りを、数多くの証言と共に振り返っていきます。著者は、ドイツの歴史家として名高い評価を得ているフォルカー・ウルリヒ。訳者は、ハンブルク大学に留学経験を持つ松永美穂。原題は、『Eight Days in May: The Final Collapse of the Third Reich』。
本書の着眼点がまず素晴らしいというのが一点。そしてその着眼点を活かす膨大な情報量と構成力がこれまた素晴らしい。運命の8日間を扱ったノンフィクションとしての興味深さはもちろんのこと、ドイツ国民がこの8日間でどのように戦争と折り合いをつけようとしたのかも非常に考えさせられるものがありました。
本書の帯のキャッチコピーも☆5つ