松永美穂のレビュー一覧

  • 朗読者(新潮文庫)

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    まず、題名がこれはなんだろうと思わせる。
    それはあっと驚くこと、ミステリーではないけどここでは言えない。

    15歳の少年ミヒャエルと36歳の女性ハンナとの恋愛。
    なんだか新聞沙汰のようでしっくりしないんだけど、そんなこともあるかと読み進むほどに嫌な気はしない。

    不思議なことに、彼女の家で逢うごとに「オデュセイア」や「戦争と平和」などを読んでとせがまれ、読みつづける。

    そうして逢瀬を重ね、落第しそうな彼に「勉強しなさい!しないなら来ないで!」という。
    『バカだって?バカってのがどういうことだかわかってないのね』という彼女の悲痛な叫び。

    彼は勉強も頑張り、落第はしないが別れは来る。

    7年後

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    2021年09月16日
  • マルテの手記

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    ネタバレ

    イメージ的に兼好法師の徒然草って感じの作品。
    随所に「お、いいな」と思う文章があったりするんだけど、とりとめなさすぎなので私の記憶には残りずらい作品だった。

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    2021年08月18日
  • みずうみ/三色すみれ/人形使いのポーレ

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    「三色すみれ」後妻、継子、アホ旦那。継子は多分5歳位。母親がいなくなって、寄りかかっていたものがなくなり、後妻は懸命に支えようとする。しかし喪失感はそのまま、新しい人間が増えただけであり、アホ旦那は二人の焦燥感を理解できないという。水、油、金粉をビーカーで懸命に回しても、全然混ざりません。奇跡の乳化剤的な物カモーン。
    しかし、現実をきっちり見据える二人と理想だけを押し付けて終わりな男。女がロマンチックって、誰よりも現実的だから、逃げどころが欲しいんじゃ!世の中の男性、わかっておろうな?

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    2021年08月07日
  • 才女の運命

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    才能のある女性ほど生きにくかった時代の話。


    女性を差別する社会制度の上で成り立つ道徳や倫理があり、色んな夫婦がいるとはいえ、夫婦間の関係もそれに大なり小なり影響される。


    日本語版前書きにあるウィレム・デ・クーニングの妻、エレイン・デ・クーニングの「私は彼の影にいるのではなく、彼の光の中に立っているのです。」という言葉が印象的。

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    2021年05月31日
  • 才女の運命

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    偉人や天才と呼ばれた男性たちの傍らで様々な形でstruggleした女性の生涯が各20頁程で綴られ、読みやすい。
    タイトルから想像される通り、「女性として」の困難だけでなく、ユダヤ系の生まれであったことによる難しさを背負わされた人物も多く、重たい。
    丁度正月に放送された某人気ドラマのSPでざっくり夫婦間の子育てにおける分担や福利厚生に関するネタを取り上げているところ反発意見も少なくないことなど受け、現代においても本著で多くの女性たちが虐げられる「固定観念」は根深く残っているなと。シャルロッテ・ベーレント=コリントの章ラストで付される苦言にはスカッとするが、成長を求められているのはあるいちカテゴリ

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    2021年01月03日
  • オルガ

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    オルガというポーランド系ドイツ人女性の人生を、第一部では主人公にして物語られ、次に彼女と親しくなった「ぼく」がその後のオルガとのかかわりを描き、第三部で、オルガ自身の書簡によって彼女の心の声を聴くことができます。戻ってはこない恋人にあてた手紙を、オルガの本当の人生を垣間見るよう気持ちで、主人公と共に次々と封を切って読みました。貧しい農村の生まれでありながら、誰にも頼らず一人で生き、第二次世界大戦を得ても自分の信念を曲げずに強く生きた女性。なんて強い人なんでしょう。最後の書簡ですべての謎が解ける仕組みに引き込まれて、飽きることなく読めました。心に残る作品です。

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    2020年09月08日
  • マルテの手記

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    ↓皆さんの感想がざわついているのでちょっと気になり調べてみる。

    いわゆる詩人の書いたまとまりない文章。物語を繋げるのではなく、その時に感じたことを写真のように描写している。

    これだけならよくある古典の1つだが、傑作とか書かれてるのがね、どうなのよ?ってことなんだと思う。

    でもやっぱり描写は素晴らしい。病気なのかと案ずるほどに、繊細神経質。

    あとがきにデヴィッド・リンチのインタビューで表現してたものが、この作品の世界で表現された物と一致するとか書いてあって、そっち系なんだよ。読む価値はあるはず。

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    2019年03月14日
  • 朗読者(新潮文庫)

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    親子ほど年の離れた相手との恋愛。
    強制収容所で働くということの罪。
    文盲を隠したいプライド。

    過去を秘密にしていたことが裏切りなのか、その秘密を知った時に救いの手を差し伸べなかったことがことが裏切りなのか。

    ただの恋愛小説ではない、重~いお話。

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    2022年12月07日
  • マルテの手記

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    ドイツ文学の傑作?だそう。手記と訳されているように短い断片を積み重ねて描き出される詩人の苦悩と再生の物語。読後になぜか、感想が思ひ浮かばない。パラパラめくってその日の気分で流し読みくらいがちょうどいいかと。マルテはパリで物を見る訓練を自分に課している。路地の匂い、区別できるかぎりでは、ヨードホルム、フライドポテト、不安の匂い。感覚が鋭いんだろうと思う。なかなかまた1から読む気になれない。けど嫌いではない。

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    2019年01月11日
  • 車輪の下で

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    中学生の頃に母親がこの本を買い与えてくれ(訳者が異なりヘッセ翻訳者として高名な高橋氏であったが)、読んだのが初めての記憶。しかし読んでいる途中は主人公のハンスがかわいそうでならなかった。その感想は今も変わっていない。
    好き嫌い関係なく、そしてなんの疑問も持たない(持てない)子供に勉強をさせるのが本当に正しい教育の姿なのだろうか…
    私自身も親からの期待を裏切れずに過ごした塾漬けの毎日に嫌気がさし、勉強嫌いになってしまった人間だからそう思うのかもしれない。
    やはり今でも読んでいて辛い物語で、結果的にヘルマン・ヘッセという素晴らしい作家を10年以上も遠ざけてしまうことになったのは残念でならない。少な

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    2018年04月24日
  • 車輪の下で

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    ネタバレ

    ‹内密紹介より›
    周囲の期待を一身に背負い猛勉強の末、神学校に合格したハンス。しかし厳しい学校生活になじめず、学業からも落ちこぼれ、故郷で機械工として新たな人生を始める……。地方出身の一人の優等生が、思春期の孤独と苦しみの果てに破滅へと至る姿を描いたヘッセの自伝的物語。

    ーーーー
    受験に耐え抜き、エリート学校に進学したハンス。
    そして神学校での勉強についていくために必死で勉強をつづけましたが、次第に無理がたたって精神的な不調をきたすようになります。
    現在で言えば「学校不適応」ということになるのでしょうか。
    時代が時代であったためか、学校側の支援も保護者の理解も得られず、追い込まれてゆくハンス

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    2017年10月24日
  • マルテの手記

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    ぷつぷつと思いつくままに話しがかわっていき、目の前にあることと子どもの頃の記憶の境目が曖昧になっていく…
    とっつきにくいイメージの本だったけど、断片的な記憶をたどるのは存外に楽しいことでした。

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    2015年10月02日
  • 車輪の下で

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    いたって普通、という感想しか持てなかった。
    緩慢に人が壊れていく話。
    人といっても、10代の真ん中位の少年だけれど。
    共感も何もなかったのは、年を取りすぎたからか、元々心がないからか。
    150717

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    2015年07月17日
  • 車輪の下で

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    教育業界はいつの世も問題を抱えている。教育を受ける子供たちが苦しむのは不条理である。
    大人はかつて子供だったのに、自分が子供だった頃を覚えている人は少ない。

    子供に寄り添える、子供が手放しで心を見せてくれる、そんな大人になりたい。

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    2015年01月01日
  • 誤解でございます

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    朗読者の翻訳者。
    現代ドイツ文学の大学教授。
    ドイツ留学したり書評書いたり。
    同時期にひとり百物語の立原透耶(中国語専攻の大学の先生)を
    平行して読んだためどっちが誰だか
    分からなくなった。

    著者近影を見れば可愛らしい人なのに
    結構運動されるのだそう。
    大学生のときバレーに打ち込み
    バレー部のコーチと学生結婚(!?無計画……)

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    2011年04月19日
  • 誤解でございます

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    タイトル買い。
    帯に、

    「あるときからエレベーターに乗るたびに、「5階」が「誤解」と聞こえるようになってしまった。同僚に打ち明けると、その人は心配そうにわたしの顔を見つめ、「それは病気です。翻訳者がかかる病気ですね」と言って降りていった……。」

    とあって、わたしは翻訳家でもなんでもないけど、
    会社のエレベーターが「5階です」というのが
    いつも「誤解です」にきこえて笑いそうになってしまうので
    あ、おんなじこと思ってる人がいる、と思って買ったのでした。


    ただ、うしろ帯に「留学」のことが書かれていたので、そのときの話を中心にしたエッセイかと思ったら、そうでもなく、そこはちょっと期待と違った点

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    2011年02月14日
  • 誤解でございます

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    エッセイ集なんですけど、なんだか「知的」な雰囲気が漂っています。気持ちよく読めます。そして、著者に対して勝手に親しみを感じてしまいました。この本を通して、新しい音楽や本など、さらに自分に広がりを与えてもらいました。たとえば、CD「エウミール デオダートのツァラトゥストラはかく語りき」をさっそく聞きたくなり手配しています。数冊の書評ものっているので、その本も今度読んでみようかと思っています。

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    2011年07月16日
  • 誤解でございます

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    翻訳者がいてくれるから、外国語の小説が読める。いつもありがたく思っております。
    その有難い人がエッセイをお書きになりました。
    翻訳者でありドイツ文学の研究者でありW大学の教育者であり、八面六臂の活躍ながら、奔走し時に学務に翻弄されているさまが、親近感のわくところで(笑)

    学生が連れて行ってくれるから、普通の中高年女性にはしづらい経験もできたり、翻訳者としての覚えがめでたかったから著者本人とコンタクトが取れたりと、研究一本やりでないから広がったり深まったりする人生の味もある。そんなエピソードのあれこれに、禍福はあざなえる縄であり、人間万事塞翁が馬だなあと思います。

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    2010年09月01日