松永美穂のレビュー一覧

  • 車輪の下で

    Posted by ブクログ

    そうなのよ
    なんで『車輪の下で』ってタイトルにしたの?って気になるよね

    はい、ヘルマン・ヘッセの代表作『車輪の下で』です
    みなさんご存知の通り、これまでの翻訳本のタイトルは圧倒的に『車輪の下』なのよ
    なんで「で」をくっつけたのか?って気になるよね

    ならいない?いや、わいはなるの!

    でね、そもそも『車輪の下』ってなんなのよ?って話ですよ

    「車輪」って言われるとさ、なんかものすごいでかいのが思い浮かぶのはわいだけ?馬車に付いてるやつ
    馬車にひかれてんのよ
    しかも「下」にいるってことはひかれた状態キープですからね
    腹の上に馬車乗った状態で小一時間です
    でもって馬車にひかれたってことはその前に

    0
    2025年04月19日
  • 朗読者(新潮文庫)

    Posted by ブクログ

    前半の青年の妄想小説のような展開はなかなかインパクトがあるが、中盤以降、ムードは打って変わり、過去の隠された事実、ハンナを取り巻く悍ましい事実が明らかになる。前半が濃密な生の時間だとすれば、裁判以降の章は死の時間のような。時間は前に進んでいるはずなのに、主人公の意識は後ろへ後ろへと遡り続けている。ハンナを愛することは、先代の大きな過ちを肯定することになるのか?次代の子は過去にどのように対峙すればよいのか?もはや歳の差恋愛の物語にはとうに収まらず、加害の歴史をその直接の経験がない世代はいかに受け止めることができるかという、歴史認識のあり方を読者に問う物語だった。この問いは、日本人にも投げかけ考え

    0
    2025年03月31日
  • モモ(絵本版)

    Posted by ブクログ

    ミヒャエル・エンデの「モモ」の絵本版ということで読んでみたい。
    とにかく絵が綺麗、絵に引き込まれる。
    ペツボの
    「一度にその道路全部のことを考えちゃいけないんだ。ただ、次の一歩、次の息、次にほうきではくことだけを、考える。それをくりかえすんだ。そうすれば楽しくなってくるし、仕事もうまくいくんだよ」
    この言葉が心にぐっときた。
    長い目で見通すことも大事だが、今、目の前のことを一つ一つ、丁寧に片付けていくことの大切さに共感。
    手が出せていない原作の「モモ」も読んでみよ。

    0
    2025年01月26日
  • その子どもはなぜ、おかゆのなかで煮えているのか

    Posted by ブクログ

    “悲しいと、年をとる。
    わたしは外国の子どもたちより年上だ。
    ルーマニアでは、子どもたちは生まれたときから年をとっていた。母さんのお腹にいるときから貧乏で、両親の心配ごとを聞かされていたから。
    ここの生活は天国みたい。でも、だからといってわたしが若くなるわけではない。”(p.35)

    0
    2025年01月25日
  • モモ(絵本版)

    Posted by ブクログ

    全部の内容が描かれていないのを知らず
    本を読まずに絵本だけ読み終えたら
    「...ん?」となった

    「モモ」の物語の本への入り口、
    という位置付けなのだろうか

    0
    2025年01月09日
  • みずうみ/三色すみれ/人形使いのポーレ

    Posted by ブクログ

     全編を通して、人間讃歌的だった。苦しいことやどうにもならないことはあるけれども、乗り越えた後の幸福や晴々とした再出発が印象的だった。

     特に気に入ったのは、『三色すみれ』。「三色すみれ」とはドイツ語で「継母」だそう。そうしたくないのに意地悪くなってしまう新しい妻に共感を覚えた。

     『みずうみ』はとかく、情景描写が巧くて、印象的な色がありありと目の前に立ち現れるかのようだった。湖のシーンと冒頭の壁に掛けてある少女の肖像画に白い月光が射すシーンがお気に入り。

    0
    2024年12月31日
  • 車輪の下で

    Posted by ブクログ

    ネタバレ

    タイトルから内容が想像できない本だったが、
    読み進めてみるのと読後の解説と合わせて意味を考えてみると
    神学校という神(天)に近しい存在へ向かう場所から様々なズレによりエスケープせざるを得なくなり、
    最後は死という車輪の下敷きにたどり着いてしまった、という解釈なのかな

    ちょっとしたイベントの積み重ねで人生は動いていくという事は、自分の年齢になると身に沁みて感じる

    0
    2024年12月17日
  • モモ(絵本版)

    Posted by ブクログ

    原作を読んでいたので自分が想像していた絵とは違い新鮮さもあり、ちょっと惜しい気持ちもありでした。大切なところが丁寧に描かれていてよかったです。また読み直すきっかけになって嬉しかったです。

    0
    2024年11月25日
  • 別れの色彩

    Posted by ブクログ

    赦しと別れ
    癒しと別れ
    目覚めと別れ
    裏切りと別れ

    若い時に絡まった糸は、歳をとってからでも解すことはできる。それはまるで、深いところにしまってあったものをもう一度表に出すように、別れ、離れていく。

    死は別れのプロセスの終着点
    その時点で別れられなかった事は、もうずっと離れない。

    作者の淡麗でどこか妖艶な文章が彩る九つの物語は、確かに男目線である事は否定できないし、歳を取っても男性なんだなぁ。

    自分が歳を取ってしまうと、老齢期を描いた物語は、古い日記を覗き見されたような妙な生々しさが伴ってしまう。
    なんともいえず恥ずかしい。

    でも、「老いたるがゆえのシミ」……現実では、こんな結末は滅

    0
    2024年11月11日
  • アルプスの少女ハイジ

    Posted by ブクログ

    ネタバレ

    終盤の、ハイジの後見人が2人もできたとか、わたしにもハイジへの権利を与えていただければ、わたしの晩年にはあの子が面倒を見てくれて、そばにいれくれるかもしれませんとかですごく冷めた

    0
    2024年05月22日
  • 別れの色彩

    Posted by ブクログ

    ネタバレ

    淡い印象の短編集。一人称でこそないが、各話とも多少読み進めないと主人公の年齢層がわからないのが気になった。映像でいえば、冒頭からしばらく主役の顔だけが映らない感じ。狙ってのことかもしれないが効果は薄い気もする。
    作品としては、兄夫婦に死なれた弟の話が一番じわりと浸みた。自分も一人の兄として、弟にどう思われているのか気になってくる。

    (追記)二年(一年十か月)経って久しぶりに読んでみたが、やはりもう少し歳を取ってみないと染みてこない気もする大人の文学。

    0
    2023年08月24日
  • 別れの色彩

    Posted by ブクログ

    ネタバレ

    主人公はほぼ全員男性だったが、読み進めるにつれて、それを意識させられる本だなと思った。もし女性目線の「別れの色彩」だったら、これほど昔の恋人や妻を振り返り、そこに湿っぽさを感じることはないように思ったけれど、どうなのだろう。

    短編にも関わらず、どれも人生がきゅっと凝縮されているところはすごいと思った。

    お気に入りは、自分のせいで障害者となった弟を持つ姉とその姉に恋をしていた主人公が再会する「姉弟の音楽」、夫婦で自殺した兄と兄ともてなかった繋がりに折り合いをつけようとする弟の心境を描いた「ダニエル・マイブラザー」。
    (幼少期、病弱だったゆえに親戚の家に預けられていた兄。「クリスは別れを告げな

    0
    2023年07月24日
  • 文庫で読む100年の文学

    Posted by ブクログ

    ネタバレ

    帯「ポケットに世界文学全集を!」の通り、手に入る文庫本をセレクト。
    このコンセプトはいいのに、セレクションが微妙で、そして文章も短く不足。
    なんともいたしかゆしなブック・ガイド・ブック。

    0
    2023年07月10日
  • 文庫で読む100年の文学

    Posted by ブクログ

    まだまだ読めてない本があるなぁとペラペラと眺める。
    巻末の文庫化して欲しい本、が興味深く、こちらを見ていても、読みたい本がまた積み上がっていく…。

    0
    2023年06月18日
  • 別れの色彩

    Posted by ブクログ

    年を重ねたことでわかってきた若い頃の気持ち、過ちだったり思い上がりだったり…。様々なシチュエーションの短編だが、それぞれが思い返して初めて気づいた事を語っている。
    シュリンクは、良い文章を書く人だなぁ。

    0
    2023年04月12日
  • 車輪の下で

    Posted by ブクログ

    おとなは、子どもに過度の期待をすることでつぶしてしまうこともある。
    教育とはかならずしも人間を幸せにはしない、という感じの小説。
    名作と呼ばれるだけあって、説得力がある。

    0
    2022年08月30日
  • 車輪の下で

    Posted by ブクログ

    有名な本なので読んでみた

    事前に他の方のレビューを見ないで良かった
    (読んでいたら、多分最後までたどり着けなかった)

    秀才タイプならではの悩み?
    教える側(教育体制)への問題提起でしょうか

    文章としては主人公の悩みをひたすら追いかけていくので
    読んでる方がノイローゼになりそう
    ただドイツ?の地方風景の描写が素晴らしいので、
    なにげない釣りや収穫したリンゴをジュースにするシーンは目に浮かぶよう

    0
    2022年07月13日
  • 車輪の下で

    Posted by ブクログ

    ネタバレ

    ハンスがもう少し生きて大人になっていたら気持ちの整理ができたり、現実と折り合いをつけて生きられたのかなとも思ったりする。
    少年愛とも思われるシーンもあり、少女漫画界に影響を与えたらしい。

    学生時代に別の訳で既読だが、この訳はとても読みやすかったです。

    0
    2022年03月27日
  • 朗読者(新潮文庫)

    Posted by ブクログ

    【読み終わって感じたこと】
    悲しく切ない物語だと思った。私にはハンナのプライドも、ミヒャエルの行動も全て理解できるわけではない。それでも、ハンナの生涯を思うと辛い気持ちになった。歴史について、教育について、愛について考えさせられる本だった。

    【印象に残ったシーン】
    ホテルでハンナが激怒したシーン。全てが明らかになってから考えると、本当に悲しいなと思った。どうして自分の秘密を打ち明けられなかったのだろう? それさえできていれば、結末は変わっていたかもしれないのに。

    【好きなセリフ】
    「苦しい結末を迎えてしまうと、思い出もその幸福を忠実には伝えないのか? 幸せというのは、それが永久に続く場合に

    0
    2022年03月07日
  • 車輪の下で

    Posted by ブクログ

    どこまでも美しい言葉のリズム
    美しい中に痛みを感じる表現
    1905年に書かれた作品を今わたしは読んでいる…
    100年以上前の言葉に 今の私の心が震えている…

    “車輪”という言葉に 絶望と希望が込められているのだろうか…

    少年の心の成長の繊細な描写が描き出されている
    時に車輪を追い抜き 追い越され 下敷きになりながらも
    ヘッセ自身の人生を体現させてくれる


    ラストはまるで映画を観終わったかのように
    すーっと私の前から物語が消えていく…
    心に残る映画を観たあとの
    少しずつこちら側の世界に戻ってくるような感じがした…

    もしも この作品を読みなおす機会があるならば…
    間接照明がほんのり灯る

    0
    2021年12月23日