野崎歓のレビュー一覧
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おとななので、長い夏休みもないけど、夏に何かしっかりした物語を読みたいと思って選んだ1冊。けっこう読み終わるまで時間がかかった。なんとか夏が終わる前に読み終われてよかった。
はじめ現実離れした表現が目立ち、ヴィアンの本がはじめましてだから、そういうものかとなんとか受け入れることができた。そして、読み進めるほど、ファンタジー感は薄れて、気づけばけっこう暗い結末に向かっていくという。。
でも不思議なことに、読後に重さや悲しみのような負の感情はそこまで残らないさっぱり感?。ある意味、物語として最後まで楽しめたので、傑作なんだと思う。
本編終了後に丁寧に、解説と作者の年表と訳者のあとがき付きでありが -
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ネタバレ"第一の書"と銘打たれた冒頭ブロックのみ取り出しても既に一つの物語として充分に完成しており、もしかしてオムニバス様の構成なのか? と勘違いしかけたほど。
以降、構築されてゆく世界は非常に重厚かつダイナミックであり、その舞台がアフリカ、ヨーロッパ、ラテンアメリカに渡っていることを含め、生半可な読者の覚悟では抱えきるのが困難と思われるぐらいのスケールを感じさせる。
地の語りの他に、ロードムーヴィー然とした描写や作中作に回想録、重要人物へのインタヴューに加え、そのインタヴュアーに対するインタヴュー等々、様々な形態のパーツが見事に組み上げられている全体はまるで大伽藍のようであり、作 -
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ネタバレ滅ぼすとはそういうことだったのかと、読み進めるにつれて、悲しい気持ちになった。オーレリアンは自殺し、ポールが末期の癌になるとは。喉頭や口腔癌になると、舌を切除しなければならないこともあるとは、知らなかった。
プリュダンスと仲良しに戻っていて、本当に良かったと思った。死期を悟った後も冷静で、手術を拒み、点滴の際は読書をして過ごしたポール。自分だったらどうしていただろうか。
所々に散りばめられたウエルベックのユーモアにはクスッとさせられた。デュボンとデュポンは特にお気に入りだ(笑)。
政治や歴史、文学に恋愛、扱う内容をフランスらしいと言って良いかは定かではないけれどそのように感じ、読み応えの -
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1冊の小説というのが人生を変える、というのは極めてドラマティックなストーリーであるが、作品に魅せられるが如くその作品から逃れられないのだとしたら、それはドラマティックであるにしても一種の呪縛となる。本書は1冊の小説に魅入られた人間のストーリーである。
セネガル生まれの作家が書いた1冊の小説がパリで話題になるも、剽窃の疑いを受けて作品は絶版となり、当の作家自体も行方をくらます。数十年後にその作品と出会って魅せられてしまった同じセネガル生まれの若手作家は、当の作家の行方を追って世界各地を移動し、最後にはセネガルの村へと辿り着いていく。
その過程で小説を書くこと・小説を読むことについての思弁がそ -
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セネガル出身の若い作家で、ゴンクール賞受賞ということで読んでみた。
とにかく饒舌。はじめはアフリカの作家がいかに白人世界で型に嵌め込まれて扱われているかという文学論もあり、物語は進むのかと不安になったが、シガ・Dの父の語りから面白くなった。
セネガルの伝統・文化・宗教、現在の政治運動、ヨーロッパに住むアフリカ人文学者は何を書くべきかといった思想的な要素だけでなく、場所もパリ、セネガル、アムステルダム、南米と移動するし、時代は第一次世界大戦前から現在までで、複雑で広範である。語りも、語り手(現代のセネガル人若手作家ジェガーヌ)、ジェガーヌが尊敬する女性作家シガ・D、シガ・Dの口を通した父ウセイヌ -
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もはや一種の黙示録とも呼べる文学作品を作り続けているフランスの鬼才、ミシェル・ウエルベックによる新著であり、過去の作品と比べても単行本上下巻という大著。
個人的に新著が出たら、迷わずに買うことを決めている現代作家の一人がウエルベックなのだが、迷わずに買ったことを全く後悔しないほど完成度高く魅惑的な作品であった。
ウエルベックの作品は登場するテーマや意匠に強い共通性がある。デビュー当初は、カルト宗教やセックス/性の問題に始まり、ここ10年ほどは極めてアクチュアルな移民問題やテロリズム、資本主義の限界など政治・経済学的な側面が強まっている。本書はまさにウエルベックを構成するであろう様々なテーマ -
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もはや一種の黙示録とも呼べる文学作品を作り続けているフランスの鬼才、ミシェル・ウエルベックによる新著であり、過去の作品と比べても単行本上下巻という大著。
個人的に新著が出たら、迷わずに買うことを決めている現代作家の一人がウエルベックなのだが、迷わずに買ったことを全く後悔しないほど完成度高く魅惑的な作品であった。
ウエルベックの作品は登場するテーマや意匠に強い共通性がある。デビュー当初は、カルト宗教やセックス/性の問題に始まり、ここ10年ほどは極めてアクチュアルな移民問題やテロリズム、資本主義の限界など政治・経済学的な側面が強まっている。本書はまさにウエルベックを構成するであろう様々なテーマ -
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下巻の後半は凄かった。
読んでいて思わず「えーっ!?なんで?嘘やん」って声が出る事、数回。あまりに劇的な展開の為、読む速度が加速した。エンタメ小説では?と思うぐらいだ。
ジュリヤンが、レナール夫人と別れた後、出会ったのが侯爵令嬢マチルダ。サロンの男達を従え、革新的な考えの持ち主。
ジュリヤンとマチルダ、
自尊心の高い者同士の駆け引きが、理解不能である。
うーん、恋なのか…?
ジュリヤンはレナール夫人の時と同じく、マチルダを落とす事に意義を感じていそう。マチルダも初めての恋に混乱し、言動が支離滅裂。でも、ラストに彼女が取った驚くべき行動により、ジュリヤンを本当に愛していたのでは?と感じさせられ -
Posted by ブクログ
ネタバレ他の本を読むのも間に挟みながら、ようやく、ようやっと読み終わった…。読み切った自分を褒めたい笑。
子どもの時に「漫画で読む名作文学」的な本で読んだことあったが、その時は、ジュリアンの恋愛と出世の物語…というものだと思っていた。
それは物語の軸ではあるものの、小説で読んでみると、風刺画的な当時のフランスの情勢や貴族、市民の文化風俗がリアルに書かれていて、そっちが主題かなと思うほどだった。
上巻でもそうだったけど、そのせいで、ストーリーとして大事なところは簡単に書かれて、それ以外の時代の説明文やジュリアンの内心が長々と…。
この小説の価値は、表面的なストーリー(野心深く出世を目指したジュリアンが -
Posted by ブクログ
この小説は天才的な科学者と典型的な文系人間の兄弟を両輪として展開する。1960年代より文化面で進行した個人主義と性の解放によって訪れたのは、人間の分離と欲望の無制限な増大だった。その社会を間近で観察し続けたミシェルは個人性を排除した新人類を生み出した。それは人類の緩やかな絶滅をも意味していた。
行きすぎた個人主義の他から逸脱したいという欲求から生まれたセックス至上主義、エロチック=広告社会に対するアンチテーゼであり、現代社会への諦めを感じる。そこでは歴史上類を見ない規模で不均衡がばら撒かれる。エヴァの人類補完計画にも通ずる部分がある。みんな一個になっちゃえばいいじゃん。
ミシェルとブリュノの -
Posted by ブクログ
幻想的な表現も助長し、
前半は兎にも角にも甘ったるい場面や描写が多く、カロリー高めであったが、
後半の落ち方に容赦がなく、ひたすら悲しい気持ちに。
とはいえ、思い返せば前半から容赦なく人が死んでゆく世界だった。
その世界に入り込むことへの準備さえできれば、
マジックリアリズムの面白さは跳ね上がる。
ハツカネズミの自殺で締めるのが印象的。
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大切なことは二つだけ。きれいな女の子相手の恋愛。そしてデュ-ク・エリントンの音楽。他のものは消えていい。なぜなら醜いから。
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あらかじめ失われた恋人たち
コランの日々には魔法がかけられます。
それは同時に、甘い罠でもあります。