野崎歓のレビュー一覧

  • 赤と黒(下)

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    登場人物が極端な人が多すぎるけど、人間の社会と感情をえぐり出した小説としてとても面白く読んだ。ジュリアンの中身のない暗さ、マチルドの狂気、レナール夫人の優しさ、それぞれがしかるべき道を通って破滅に導かれる。ジュリアンの恋愛の駆け引きは陰険だけどそれなりに今でも通用するだろう。
    To the happy few

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    2013年04月28日
  • 赤と黒(下)

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    上巻であれだけ読むのに苦労したので、下巻はその分厚さに、読む前から尻込みしていた。

    ところがである。面白い。下巻に入った途端、私のこの本への評価が一変してしまった。
    舞台は、地方都市から大都会・パリの社交界へ。すると、それまでまどろっこしかったスタンダールの筆が、人が変わったように生き生きと感じられた。躍動感に溢れ、個性的で、したたか。フランスの歴史や当時の時代背景は全くわからないけれど、人間模様の面白さで惹きつけられる。

    そして、侯爵令嬢マチルドとの、あまりに熾烈で、同時に凍りつくような恋。
    主人公・ジュリヤンのあまりにも「感じやすい」激情と、マチルドの「高慢すぎる」退屈が、とんとん拍子

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    2013年04月09日
  • 赤と黒(上)

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    当時のフランスの状況を理解したうえで読んだらもっと楽しめたと思う。でも十分面白かった。ジュリヤンは幸せだったのかな?所々ジュリヤンが私と被っててなんかぞっとした。下巻も期待。

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    2012年11月18日
  • 赤と黒(上)

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    ずっと手を出したいと思っていた名著にやっと手を出せた。
    当時のフランスの状況のことはよくわからないが、それでも内容的に楽しめるだけの作品だと思う。

    当時の時代背景のメモ
    この作品が書かれた時代はナポレオンの時勢が終焉後の王政復古期である。
    当時の勢力抗争として考えられるのは、「王党派」(貴族、上層階級)と「自由主義勢力」(それ以外の庶民)である。「王党派」は復古した王政の権力維持を唱える保守勢力。「自由主義勢力」は革命的な勢力である。
    主人公は「自由主義勢力」の立場である一方、彼が仕えたレノール町長、恋仲になったレノール夫人は「王党派」である。

    上巻では、主人公の貴族的な「王党派」に対する

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    2012年10月17日
  • うたかたの日々

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    ヴィアンはルイス・キャロルを読んでいたのだろうか。
    ふつうのラブストーリーを想像すると出鼻をくじかれる。
    原語も流行ったころのフランスの世相もわからないから理解できない。という考え方もあるけど。夢のように突拍子なく展開する物語を楽しんでしまえばいいとも思う。子どもの時に不思議の国のアリスを読んでいるような心持ちで。

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    2012年06月17日
  • 赤と黒(下)

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    ジュリアンがついにパリへ。
    ジュリアンはもはや、線の細い男の子ではなく、パリに出してもおかしくない、深い考えとか世渡り術とか恋愛経験を吸収した美青年になっている。

    私は古典とか歴史とか、趣味とするほど好きなわけじゃないので、心理とか恋愛テクニック方面の視点から読んでました。フランスの革命期の政治の所とかはすっとばし気味笑

    ラ・モール嬢の感じた、「私は本当はあの人に恋などしていなかったのかしら?」という当惑が本当によくわかってしまった、21の秋!
    その過去形の文体も。
    ラ・モール嬢はその美貌と高貴な身分のせいか、自尊心が高まりすぎて、感情やら、イベントやらをまるで義務のようにこなす

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    2012年04月21日
  • 赤と黒(上)

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    たぶん初めて、乗り物の中で読むことができた本です。
    今まで、乗り物で本読むと気持ち悪くなってたから。

    それだけ集中して読めた面白い作品だったってこと

    主人公のジュリアン、はじめはそこまで「美少年」じゃないんだと思ってた
    作者もそうだったのかな。書いてたら付け足したくなっていったみたいな。
    金がほしい、という強すぎる思いから、僧職につくため、乗り気じゃなかったのにかかわった貴族たち。
    いつぞや自分は貴族的な生まれながら泣く泣く神学校に入る、みたいな感じになっていくジュリアン。
    目的と手段と自分の心とを分けていたはずなのに
    もういっかあ、って

    古典新訳は、内容には親しみたい

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    2012年04月21日
  • 赤と黒(下)

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    誤訳と騒がれた本書だが、ジュリヤン・ソレルの未熟な面が「僕」というおとなしめの語り口とものすごく調和している。新潮文庫の「おれ」だとすごく違和感がある。野崎訳を読んだ後に他の翻訳を読むのは、今のところ抵抗がある。

    上巻の疾走感に比べ、下巻のなかばは、なかなか話が進まず中だるみしているように思えた。
    けど、ラストに向けての展開は秀逸。
    マチルドの異常さも際立っていて物語に引き込まれた。
    七月革命前のフランスの雰囲気は、きっとこんなんだったろうと味わい深く楽しめた。
    この時期のフランス小説は面白い。

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    2012年03月20日
  • うたかたの日々

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    幻想的でありながらも淡々の物語が進んでいく。
    お伽話のような感覚でありながら、音楽描写も表現豊かに描かれており、
    すごく切ない大人の童話。

    肺の中に睡蓮が育つ病気に侵されてしまうヒロイン。
    それを献身的に見守る主人公。

    にしても、悲しい物語であり、純愛。

    そして、最初のまえがきから、印象的。

    「大切なことは2つだけ。どんな流儀であれ、きれいな女の子相手の恋愛。そしてニューオーリンズの音楽、つまり、デューク・エリントンの音楽。ほかのものは消えていい。なぜなら醜いから。」

    本当にそんなストーリー。こんな物語も憎いほど好きです。僕は。

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    2012年02月20日
  • 赤と黒(上)

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    上巻は読むのに苦労した。19世紀初頭のフランスの慣習や文化について知識がないからか。天気のように様々な面を見せるジュリアンの不安や憤りに共感することは多かった。冷静さと激しさなど、多くの正反対の性質を合わせ持つ彼だからこそ、多くの人の心に入り込めるのだろう。

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    2012年01月31日
  • 赤と黒(下)

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    ジュリアンとラ・モール嬢との恋の駆け引きは、まるで小学生同士の小競り合いのように滑稽でおもしろかった。身分の違いは人の心に思いがけない光を宿らせる。

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    2012年03月11日
  • 赤と黒(上)

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    ネタバレ

     『赤と黒』はナポレオン失脚後のフランスで片田舎の職人の息子ジュリアンが、立身出世を目論み上流階級の間隙を渡り歩くサクセス(?)ストーリーです。
     この時代で出世をするに当たってなによりも必要なものはお金、高い身分、そして縁故でした。その中でジュリアンに備わっていたものは縁故のみ。それも司祭様の教え子であった程度。彼はその一本の蜘蛛の糸から己の才能と美貌で、新たな糸に繋いで登っていくのです。
     上巻においてジュリアンを導いてくれた新たな糸はレナール夫人。
     司祭様つてでジュリアンの優秀さを知った町長に子供たちの家庭教師にと雇われて、出向いた家の奥様です。金や身分のことしか頭にない夫と対称的に、

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    2012年03月11日
  • ちいさな王子

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    「『...もしきみがぼくをなつかせてくれるなら、ぼくらはお互いが必要になる。きみはぼくにとって、この世でたった一人のひとになるし、きみにとってぼくは、この世でたった一匹のキツネになるんだよ……』」 「『さよなら。じゃあ、秘密を教えてあげよう。とてもかんたんだよ。心で見なくちゃ、ものはよく見えない。大切なものは、目には見えないんだよ』」

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    2011年12月29日
  • 赤と黒(上)

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    なんかもうダメだこいつら…
    他にすることなかったんかねフランスの貴族というものは?
    1830年頃のフランスの時勢をよく反映しているのはとっても面白かったです。各都市がいったいどのような印象を持たれていたのかや、教会内部の対立などについてが生き生きと描かれていると思います。

    誤訳がひどいということで大変叩かれていますが、すごく読みやすいのは確か。古典であるにもかかわらず(というとアレですが)、取っつきづらさはないと思います。
    別に私は仏文学者ではないので、あらすじが大体わかればいーやと思ってしまうのです。

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    2011年12月14日
  • 素粒子

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    難解な内容。終始ストーリーの方向性が見えない。全体的に叙事的かつ客観的描写が多い。感情論に頼らない文体は孤独な、あるいはシニカルなニュアンスを強めると同時に人類の本来の姿・性質(動物性)を想起させる。観念論や唯物論、更にはヒューマニズムの歴史に関する言及が多く、「今後人類の思想はどう展開してゆくか」といった壮大なテーマを含んでいるよう感じた。

    その答えは十人十色。

    いろんな読み方があります。とにかく近代西洋史や思想史に興味がある方はきっとインスパイアされるだろう問題作だと思います。物語として読むより思想本として読むことをおすすめします。

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    2011年12月13日
  • 赤と黒(上)

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    周りから見れば、ジュリヤンは翻弄する人。読者から見れば、翻弄しているようで、実はそれ以上に翻弄されている人。斜めに鋭く見るジュリヤンは、本音と建て前をうまく使い分ける。そこに大きなギャップがある。もしも()書きで心理描写が記されていなかったならば、ジュリヤンは恐ろしいほどミステリアスに見えただろうし、読者からしても「どうしてそうなったのか」と突っ込まずにはいられなかっただろう。

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    2011年11月07日
  • 赤と黒(上)

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    上下巻で1000ページというページ数だけで泣きそうですが、軽快なペースでサクサク読めます。ラストにびっくり。

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    2011年12月08日
  • うたかたの日々

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    日々の泡を高校生のときに読んで、いつかまた読み直したいと思っていた時にたまたま新訳を見つけて衝動買い。私の理解力が上がったこともあるかもしれないけど、日々の泡よりも読みやすかったし楽しかった。そしてやっぱりすごかった。ボリス・ヴィアンの才能を感じた。こんなに切なくて辛い話だったかと、読み直してみて驚きました。解説も訳者あとがきみたいなのも良かった。

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    2011年10月26日
  • うたかたの日々

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    ネタバレ

    表題どおり、この小説はなによりも美しく、なによりも儚いもの、つまり「きれいな女の子との恋愛」と「デューク・エリントンの音楽」に捧げられている。

    ひさしぶりに読み直して感じたのは、精緻に描かれたコントラストの妙。物語は、街から色彩の消える冬に始まり生命が躍動する新緑の季節に終わるのだが、登場人物たちの世界はそれとは反対に、徐々に色を、そして音楽を失ってゆく。彼らはいってみれば、彼らの住む世界との「同期」に失敗したのだ。その残酷さと不条理さ……。

    破天荒なファンタジーのような顔をもつこの小説をはたして「読める」かどうかは、ボリス・ヴィアンの「感性」にどこまで肉薄できるかにかかっているような気も

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    2011年10月19日
  • うたかたの日々

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    ネタバレ

    愛に全てを注ぎ込む二人の男のその行く末。
    一人は一人の女を愛した。女が元気な時には彼女を楽しませる為に、病気を得てからは治療の為に持てるものを全てを注ぎ込んだ。
    もう一人は思想を愛した。そしてその思想を生み出す思想家を絶対視するあまり、彼に関するもの全てを蒐集せずにいられなくなり、自分を愛してくれる女も捨て、破滅へと向かって一直線に進んでいく。
    淡々と進行していく物語。美しい黄昏のような小説。

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    2012年03月16日