野崎歓のレビュー一覧
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面白かった・・・。
以前に別訳で「日々の泡」のタイトルの文庫本を買ったことがありました。もう10年以上前だったか。そのときは申し訳ありませんが、何が何だか訳のせいかのめりこめず、早々に脱落。
今回は、ほぼ盲目的に信じている光文社の新訳であることと、野崎歓氏の訳ということで再購入。読破。
いやあ、これはすごい小説ですね。
以下、ネタバレ。ただこの本は、ネタバレがどうこうという本じゃないですけど。
よほどの好みを持った人以外は、むしろ情報を色々仕入れてから読んだ方が良いと思います。
主人公はまあ、コランという青年ですね。この人はお金持ちで働く必要がない。ニコラという料理人を雇っています -
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キッチュ!これに尽きる。読みやすくてサクサク読みすすめられる。
ガジェット満載の楽しいB級文学といったところ。
そんなジャンル存在するのかどうか分からないけど、大好きだ。
例えば映画『唇からナイフ』を観たときの感覚。ワクワクする。
いや待て、そういやこれの映画版観にいったわ。いまはなきシネセゾン渋谷かどっかでやってたような……?
映画もとことんキッチュだった、それだけ憶えている(笑)。
1968年製作だから30年近く経っての日本公開。そしてさらに20年が経過しようとしている今、新訳で原作を楽しむ——なかなか感慨深い。
この物語を完全視覚化するのは難しい。チャレンジングだったろうなー。
アニ -
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相反する貞淑と自由恋愛の概念、オクシデントへの僕らの眼差しは依然として、性に対しては十分に自由な選択を彼らは行っているに違いないというものだといえるが、本書を通してみると、月並みな表現であるがなにもかもいいことづくめではないようだ。
「恋愛先進国」(こういってよければ、そして現代において恋愛とはすなわち性行為と結婚を後に控えた個人の一大スペクタクルである)フランス作家界の旗手ウェルベックの最高傑作と謳われる今作、一般的には個人的な問題として片付けられて来たセクシュアリティを、遺伝子と先端科学というフィルターを通して、社会変革プログラムの超えるべき壁として呈示する。
日本においても、高度経済成 -
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一度読んでそのままだったが、最近思い出し再読。
著者の主観が非常に強く偏見に満ちた書き方をしているので、感情移入しないで見世物として読むことを推薦します。
母親の愛を知らずに惨めな人生をおくる兄と、遺伝子物理学の天才である異父兄弟の弟のそれぞれの生き様が描かれている。
性に振り回され滑稽な悲劇ばかりで彼らの相方も皆不幸せな生き様ばかり。こっけいな行動は身にしみる箇所があって苦みばしった笑いしかでてこない。
そんな描写が延々と続くのですが、哀愁ただよう表現とポエジー溢れる文章が心地良い。
くだくだしい部分が多々ありますが好きな人にはたまらないところがある作品です。 -
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KiKi の子供時代、とあるコマーシャルで「大きなことはいいことだ」というフレーズが使われたことがありました。 でもその後の価値観の変動の中で「大きけりゃいいってもんじゃない」という風潮が生まれてきて、今はその延長線上にあるように感じます。 でも、一度は大きい方に舵をとったこの社会はこの「大きい」と「小さい」のひずみの中で喘いでいる・・・・・そんな気もしないじゃないんですよね~。
でね、今回、この「小さな」「大きな」という対比の中に、KiKi は「大きな組織で動く効率的・合理的社会」というものを感じ取りました。 もちろんそれが「悪いこと」とは言い切れないんだけど(特に落ちこぼれ -
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(記憶では)兄弟がいて、兄は不細工で性欲ありありで、機会に恵まれない人。弟は天才科学者で性欲無い人。この兄弟の性的遍歴と、一族の歴史に20世紀思想史の偉人たちが絡んで、加えて量子力学の発展史も絡んで・・・・・ポストモダン全否定して・・・・・ニューエイジ称揚して・・・・・みたいな。端折りすぎですが(笑
なにせ凄い小説です。やばい文学です。
なんせ、ひたすら性的描写と思想史エピソードがくんずほぐれつです!!頭悪い紹介ですみません(´_`ヽ)
最近ちくま文庫に入ったみたいなんで、よろしければどうぞ。
作者は、ラヴクラフト論でデビューしたという変人じゃなくてユニークな方。残念ながら、ラヴクラフト論翻訳 -
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ネタバレスタンダールの容貌はよろしくないらしいが、年譜ほどの恋愛をしていれば、赤と黒も容易く書けただろうと思う。恋愛経験の浅い男の妄想話かと思っていたが、実際は自身の恋愛経験と時事、新聞を織り交ぜた著者本人の姿が透けて見える作品だった。主人公ジュリヤンは容貌と記憶力こそ良いが、地頭はそれほどよろしくない片田舎の息子だ。彼なりに努力し神学校に入り、家庭教師など仕事をしていたが、やることなすこと悲劇の主人公気取りで他人に与える迷惑などまるで考えない。むしろ、迷惑をかけている自分に陶酔していた。彼は家庭内暴力の中で育ち、ナポレオンを生きるよすがにしたことで、英雄ナポレオンを崇拝するしか脳のない男に育つ。戦争
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『人間の大地』はやはり「「精神」だけが、その息吹が粘土の土の上に通うならば「人間」を創造することができる。」という最後の一文がすごく肝になっていると思う。
定期路線を飛行しているとき農夫を見て感じたこと、リビア砂漠で彷徨ったときのこと、戦時中フランスからパリに移送されるユダヤ人の人やその子供を見て感じたこと。どのエピソードも飛行機を通じて作者が体験し考えたものばかりで、大地に根付いた人間たちの物語なんだなと感じることができた。心に刺さる名言も多いし自分は『人間の大地』が好きだなあと改めて思いました。
ちなみに表紙の写真は長年の夢だった新品飛行機を買ったときの写真で、この直後にリビア砂漠に墜落し -
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楽しみにしてたよ〜〜〜〜
堀口大學訳で読んでから何年経ったかわからないけど
この2作を新訳で読めることに喜びを感じる!
当たり前だけど本当に読みやすくて、星の王子さましか読んだことがない方でも読めると思う。
ただ星の王子さまと同じ感覚で読むとびっくりするかも!ハードボイルドじゃない!?と個人的には思います。
郵便物を空路で運ぶよ〜な話。
空から見える景色が逐一美しくて好きだ〜。あと夜間飛行は空と大地それぞれで戦う者たちの精神に根拠があって全てのことがすんなりと頭に入ってくる。自由とはとか。
人間の大地もまぁ良かったんだけど、やっぱりなんか最初に読んだ堀口訳よりも魅力が減っている気がする〜〜 -
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モーム選の世界十大小説のひとつ。(読むのは、カラマーゾフの兄弟、戦争と平和、ゴリオ爺さん、に続いて四作品目)
発表は、1830年七月革命直後、執筆は七月革命前の王政復古(シャルル十世)の時代。
製材屋の息子(19歳)ジュリヤンが、町長宅の住み込み家庭教師からキャリアをスタートし、神学校勤務を経て、侯爵の秘書に内定するまで、が上巻。
叙述の多くを占めるのが、ジュリヤンとレナール町長夫人(30歳くらい)との間の禁断の恋愛関係。
巻末の「読書ガイド」によれば、史上初のサラリーマンを主人公とする小説、という説もあるらしく、すごろくものを読んでいるような独特の面白さだ。あらすじを全く知らずに読み -
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「大切なものは、目には見えないんだよ」
いや、わいには見える(やめとけ)
はい、世界的名作『星の王子さま』じゃなくて『小さな王子』を光文社古典新訳文庫で読みました
あー、こんな話だったっけ?
いやしかし翻訳超良かったんじゃね?
この訳でなんか色々気付いたことがあったな
そもそもさ、このお話ってサンテグジュペリは大人向けに書いてるのよ
だからこれまでのおとぎ話調の訳って作者の意図と離れたところにあるんよな
子どものこころを忘れてしまった大人たちの、だけどこころの奥の方に眠っている純真さに向けて書かれている本なのよ
なので訳者の野崎歓さんのあとがきに納得
そして、なぜ『星の王子さま