野崎歓のレビュー一覧

  • 赤と黒(上)

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    ネタバレ

    フランスの歴史が少し分からないとつらいけれども
    ナポレオンが主人公に多大な影響を
    与えてた、と言う事実を知れば
    問題なくは読めると思います。

    その気質ゆえに家では散々疎んじられていた
    ジュリヤン。
    一見おとなしげに見える彼は
    実は心のうちには「大きな野望」を抱いていたのです。

    そして計算高い彼は
    一人の夫人を誘惑し、
    ついぞは彼女をものにさえしてしまいます。
    そして彼はその計算高さ、狡猾さを武器に
    地位までも手に入れようとしています。

    だけれども脆さも見えるという不思議。
    それが下巻では
    どうなっていくのでしょうか。

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    2013年10月30日
  • うたかたの日々

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    面白かった・・・。

    以前に別訳で「日々の泡」のタイトルの文庫本を買ったことがありました。もう10年以上前だったか。そのときは申し訳ありませんが、何が何だか訳のせいかのめりこめず、早々に脱落。
    今回は、ほぼ盲目的に信じている光文社の新訳であることと、野崎歓氏の訳ということで再購入。読破。
    いやあ、これはすごい小説ですね。

    以下、ネタバレ。ただこの本は、ネタバレがどうこうという本じゃないですけど。
    よほどの好みを持った人以外は、むしろ情報を色々仕入れてから読んだ方が良いと思います。

    主人公はまあ、コランという青年ですね。この人はお金持ちで働く必要がない。ニコラという料理人を雇っています

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    2013年10月30日
  • 素粒子

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    相対性理論と量子力学による現代科学のパラダイム・シフトは20世紀を物質主義的価値観に塗り替えた。それは宗教的抑圧からの解放に繋がることでサド侯爵的性の快楽と同調し、しかしながらも性の自由は競争原理を呼び寄せる事で逆説的に性の抑圧へと結び付く。性への強迫観念に囚われたブリュノと禁欲的な生物学者ミシェルという異父兄弟の生涯を濃厚な性描写と情報量で描きながら、人生に対するやり切れない諦観を滲み出させている。ニューエイジの怨霊を駆逐し、ハックスリーの亡霊を21世紀に呼び寄せる本書は、打ちひしがれる様な凄い本。

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    2013年07月02日
  • うたかたの日々

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    キッチュ!これに尽きる。読みやすくてサクサク読みすすめられる。
    ガジェット満載の楽しいB級文学といったところ。
    そんなジャンル存在するのかどうか分からないけど、大好きだ。

    例えば映画『唇からナイフ』を観たときの感覚。ワクワクする。
    いや待て、そういやこれの映画版観にいったわ。いまはなきシネセゾン渋谷かどっかでやってたような……?
    映画もとことんキッチュだった、それだけ憶えている(笑)。
    1968年製作だから30年近く経っての日本公開。そしてさらに20年が経過しようとしている今、新訳で原作を楽しむ——なかなか感慨深い。

    この物語を完全視覚化するのは難しい。チャレンジングだったろうなー。
    アニ

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    2013年06月15日
  • 素粒子

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    相反する貞淑と自由恋愛の概念、オクシデントへの僕らの眼差しは依然として、性に対しては十分に自由な選択を彼らは行っているに違いないというものだといえるが、本書を通してみると、月並みな表現であるがなにもかもいいことづくめではないようだ。
    「恋愛先進国」(こういってよければ、そして現代において恋愛とはすなわち性行為と結婚を後に控えた個人の一大スペクタクルである)フランス作家界の旗手ウェルベックの最高傑作と謳われる今作、一般的には個人的な問題として片付けられて来たセクシュアリティを、遺伝子と先端科学というフィルターを通して、社会変革プログラムの超えるべき壁として呈示する。

    日本においても、高度経済成

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    2013年01月26日
  • 赤と黒(下)

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    主人公のジュリアン・ソレルは、あらすじを読む限り、自らの出世のために女を利用した冷徹で計算高い男というイメージがあったが、確かにそういう部分はあるものの、非常に人間味があり印象的で魅力的なキャラクターであると感じた。
    筋書きは実際に起きた事件からスタンダールが着想して書いたもので、当時の宗教・階級対立などの時代背景も面白いと思う。

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    2012年10月16日
  • 素粒子

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    一度読んでそのままだったが、最近思い出し再読。
     著者の主観が非常に強く偏見に満ちた書き方をしているので、感情移入しないで見世物として読むことを推薦します。
    母親の愛を知らずに惨めな人生をおくる兄と、遺伝子物理学の天才である異父兄弟の弟のそれぞれの生き様が描かれている。
    性に振り回され滑稽な悲劇ばかりで彼らの相方も皆不幸せな生き様ばかり。こっけいな行動は身にしみる箇所があって苦みばしった笑いしかでてこない。
    そんな描写が延々と続くのですが、哀愁ただよう表現とポエジー溢れる文章が心地良い。
    くだくだしい部分が多々ありますが好きな人にはたまらないところがある作品です。

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    2012年08月24日
  • うたかたの日々

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    僕たちの生きる世界とはちょっと違い、まるで夢の中での出来事のような非現実的な世界設定に最初はちょっと戸惑うが、物語全体に漂う、青春とその喪失感を描くのにはこれしかないという世界が素晴らしくも悲しい。物語は(お金とか仕事とか)どんどん現実の重みに潰されていくのだが、それでも非現実感は最後の最後まで強調される。そしてそれはあまりにリアルな現実の僕たちみたいだ。

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    2012年08月10日
  • うたかたの日々

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    「さあ行こう、猫ちゃん」
    「これ、猫の毛皮じゃないわよ、オオヤマネコよ」
    「オオヤマネコちゃんっていいにくいな」

    ひたすらにハッピーで太陽の真下にいるような前半から物語が終わりに近づくにつれて状況がどんどん悪くなっていくのは読んでいて辛かった。儚い。ところどころに散りばめられているファンタジーも魅力的。

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    2013年02月25日
  • ちいさな王子

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    愛読書は?と聞かれて自信を持って答えられるほど読んではいないが、確実に私の中で特別だと言い切れる作品だ。何度も何度も、小さな王子の言葉にはっとする。

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    2012年06月02日
  • 赤と黒(下)

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    順調に、山を登るように少しずつ、成功に向かって前進するジュリアンだが、後半のあの2ページの急展開で全てが切り落とされる。作者の鮮やかな技を見た。そのあとの穏やかな空気も、それまでとはうって変って、静かに心にしみるようだった。
    さすが名作…恐れ入りました。

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    2012年01月31日
  • ちいさな王子

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    KiKi の子供時代、とあるコマーシャルで「大きなことはいいことだ」というフレーズが使われたことがありました。  でもその後の価値観の変動の中で「大きけりゃいいってもんじゃない」という風潮が生まれてきて、今はその延長線上にあるように感じます。  でも、一度は大きい方に舵をとったこの社会はこの「大きい」と「小さい」のひずみの中で喘いでいる・・・・・そんな気もしないじゃないんですよね~。    

    でね、今回、この「小さな」「大きな」という対比の中に、KiKi は「大きな組織で動く効率的・合理的社会」というものを感じ取りました。  もちろんそれが「悪いこと」とは言い切れないんだけど(特に落ちこぼれ

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    2012年01月25日
  • 赤と黒(上)

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    恋愛小説の傑作でしょう。
    現代日本では見られないような野心満々・肉食男子のジュリアンもその恋人たちも、なぜか芝居がかって冷静に考えるとおかしいのですが、やっぱり読んでいて引き込まれてしまう駆け引きの様子とドキドキの心理状態。
    少女マンガのようなフランス文学です。

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    2010年05月08日
  • 素粒子

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    (記憶では)兄弟がいて、兄は不細工で性欲ありありで、機会に恵まれない人。弟は天才科学者で性欲無い人。この兄弟の性的遍歴と、一族の歴史に20世紀思想史の偉人たちが絡んで、加えて量子力学の発展史も絡んで・・・・・ポストモダン全否定して・・・・・ニューエイジ称揚して・・・・・みたいな。端折りすぎですが(笑
    なにせ凄い小説です。やばい文学です。
    なんせ、ひたすら性的描写と思想史エピソードがくんずほぐれつです!!頭悪い紹介ですみません(´_`ヽ)
    最近ちくま文庫に入ったみたいなんで、よろしければどうぞ。
    作者は、ラヴクラフト論でデビューしたという変人じゃなくてユニークな方。残念ながら、ラヴクラフト論翻訳

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    2009年10月04日
  • 滅ぼす 下

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    ミシェル・ウエルベックの二巻本の最新長編小説、ということでずいぶんと期待をもって読んだ。以下、おおいにネタバレがあるのでまだ読んでいない人は注意してほしい。

    小説の途中までは、経済・財務大臣の腹心の高級官僚である主人公ポールを中心に、フランス大統領選を控えた選挙戦略、政府へのサイバー攻撃、父親の脳卒中とケアの問題、妹弟とくに弟夫婦との関係とそれを発端としたスキャンダルと実弟の自死、妹のキリスト教と妻の新興宗教、年を経た夫婦の関係、と何本もの糸を張って物語を紡いでいった。小説の終盤にかけてこれらの仕掛けをどうやって回収していくのか、と楽しみにしていた矢先に、ポールの悪性の口腔癌が発覚する。その

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    2026年01月03日
  • 赤と黒(上)

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    ネタバレ

    展開が早くてメロドラマ的な筋立てなのでスルスル読み進めた。ジュリヤンが人妻の手を握ること一つについても「今日中き手を握れなければ僕の負けだ」とか、
    欲望でも恋でもない階級闘争としての不倫をしていて、もうちょっと色恋を楽しめよ、と思うなど。

    清純で箱入り娘なレナール夫人が、いざ危機となるとびっくりするほど気転がきいて勇気のある女性に変貌するあたり、ああだこうだと天秤にかけているジュリヤンと対比すると人間的に清々しい。

    19世紀初頭のフランスでの、王党派復権が盛んだったこと、ナポレオンの著作や肖像画を読むだけでも立場が危うくなるほど反ナポレオン志向が高まっていたこともこの作品を読むまで意識して

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    2025年12月30日
  • 人類の深奥に秘められた記憶

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    フランスの四大文学賞の一つ、ゴンクール賞を受賞した作品。史上二番目の若さで、セネガル出身者では初の快挙とのこと。
    1930年代に突如現れた謎の黒人作家、T.C.エリマンの痕跡を辿る物語。舞台も時間軸も様々入れ替わり、主要な人物もすこぶる多い。手に取った時から覚悟はしていたが、かなりの超大作だった。フランス文壇からアフリカの呪術師、二度の世界大戦から現代アフリカの政治情勢まで幅広く網羅して話は進んでいく。特に、第一、二次世界大戦中のパリの様子や、植民地支配と黒人社会について詳しく描かれていて、大変興味深かった。
    歴史物でもあり、ミステリーでもあり、ちょっとホラーでもある、盛りだくさんな作品。全て

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    2025年12月29日
  • 赤と黒(下)

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    ネタバレ

    スタンダールの容貌はよろしくないらしいが、年譜ほどの恋愛をしていれば、赤と黒も容易く書けただろうと思う。恋愛経験の浅い男の妄想話かと思っていたが、実際は自身の恋愛経験と時事、新聞を織り交ぜた著者本人の姿が透けて見える作品だった。主人公ジュリヤンは容貌と記憶力こそ良いが、地頭はそれほどよろしくない片田舎の息子だ。彼なりに努力し神学校に入り、家庭教師など仕事をしていたが、やることなすこと悲劇の主人公気取りで他人に与える迷惑などまるで考えない。むしろ、迷惑をかけている自分に陶酔していた。彼は家庭内暴力の中で育ち、ナポレオンを生きるよすがにしたことで、英雄ナポレオンを崇拝するしか脳のない男に育つ。戦争

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    2025年10月10日
  • 夜間飛行・人間の大地

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    星の王子さまの作者 サンテグジュペリが飛行機乗りであった事は何となく知っていたがこの本を読んで 生死の境を行ったり来たりしながら人間とは何かを身をもって感じた人だったということに衝撃を受けた 戦争の最中でも淡々と自分のやる事をする兵士達 今でも繰り返される戦争 星の王子さまを再読しようと思う

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    2025年08月03日
  • 夜間飛行・人間の大地

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    『人間の大地』はやはり「「精神」だけが、その息吹が粘土の土の上に通うならば「人間」を創造することができる。」という最後の一文がすごく肝になっていると思う。
    定期路線を飛行しているとき農夫を見て感じたこと、リビア砂漠で彷徨ったときのこと、戦時中フランスからパリに移送されるユダヤ人の人やその子供を見て感じたこと。どのエピソードも飛行機を通じて作者が体験し考えたものばかりで、大地に根付いた人間たちの物語なんだなと感じることができた。心に刺さる名言も多いし自分は『人間の大地』が好きだなあと改めて思いました。
    ちなみに表紙の写真は長年の夢だった新品飛行機を買ったときの写真で、この直後にリビア砂漠に墜落し

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    2025年07月20日