野崎歓のレビュー一覧
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Posted by ブクログ
邦題「素粒子」。フランスで最も物議を醸す作家、ミシェル・ウェルベック。初めて読んだ。入り込むまでに時間がかかるのは、その作家の世界観を知らないせい。入り込んでからはのめり込むように読み耽った。これほど悲しい物語を読んだのは久しぶりかもしれない。ガツンとくる物言いと悲しきストーリー展開。読んでいて、こんなに悲しい最後が待ち受けているとは思わなかった。最後だけが悲しいわけではない。後半は常に悲しい。怠惰。頽廃。擦り減っていく感触。現代性をここまで確実に捉えている作品て、そうないと思う。この人はすごい。。。なんといってもアナベルに心捉えられてしょうがなかった。(07/8/20)
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Posted by ブクログ
結構頑張って読み切った。
理解できなかったのでいつか読み返したい。
病的に異性を追い求めるブリュノと性的なことに関心が無いミシェル。
正反対な2人。
セックスに関する描写は多いが、いつどこでセックスをした。という事実しか読み取れず、セックスに伴う感情の変化や快楽などは読み取れなかった、温度の無い愛。
セックスを求めるブリュノとそれを求めないミシェルどちらの人生の描写も淡々としたもので、だからこそ行為の意味や愛の意味、異性を追い求めるということ自体について考えさせられた。
もう少しヒッピー文化などに関係する知識があったら楽しめたのかな〜
最後SFっぽくなる??
すごい作品なんだろうなとは思 -
Posted by ブクログ
奇天烈。奇想天外。
そして やり切れない感情
イメージしながら読むも
イメージが追いつかない 笑
ハチャメチャな中にも 秩序らしきものはあって
生き物の生死に重きを置いていない世界にあって
愛は確かにあって。。。
何とも不思議な読みものだった
少々 読書欲が減退しつつも
後半は 彼らの行く末を苦しく思いつつ
一気に読み切った
ラストの猫とハツカネズミのやり取りは
胸につまる思い
リアルな あるべき現状を とっぱらって
素直に読むべき本
私は この世界の住人にはなりたくない
あまりにも…あんまりだ…
思っていたイメージと違った語りだったけど
何度か読むと 染みるのかもしれない
そういう気 -
Posted by ブクログ
ネタバレ部分的には面白いのだが、総合的には正直面白くない
たぶん大衆的な面白さを獲得するのをわざと拒んでいることが原因なのだろう
展覧会に関わるキャッチーな運営メンバー、アクの強いキャラクター、急に始まるサスペンスパートなど
高水準なエンタメの片鱗を一瞬覗かせるが、すべてあっけなく収束してしまう
なんといっても一番の見所は、著者自身の分身キャラのウェルベックである
自分を批評し俯瞰からキャラクター化していながら、更にそれに憑依し内から外からと相当に難易度が高いことをしているように思われる
この珍妙な人物像が物凄くいい味を出している
自身を演出してこれほど面白く仕上げられる作家もいないだろうし、間違いな