野崎歓のレビュー一覧
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Posted by ブクログ
邦題「素粒子」。フランスで最も物議を醸す作家、ミシェル・ウェルベック。初めて読んだ。入り込むまでに時間がかかるのは、その作家の世界観を知らないせい。入り込んでからはのめり込むように読み耽った。これほど悲しい物語を読んだのは久しぶりかもしれない。ガツンとくる物言いと悲しきストーリー展開。読んでいて、こんなに悲しい最後が待ち受けているとは思わなかった。最後だけが悲しいわけではない。後半は常に悲しい。怠惰。頽廃。擦り減っていく感触。現代性をここまで確実に捉えている作品て、そうないと思う。この人はすごい。。。なんといってもアナベルに心捉えられてしょうがなかった。(07/8/20)
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Posted by ブクログ
ネタバレイフ兄弟のミシェルとブリュノ
ブリュノは寮で同級生に虐められ冴えない学生生活を送る
祖母だけはブリュノに優しく、大学を卒業する迄は昔したように唯一の友人のように架空の祖母にその日の話をした
昔デブで性的魅力がなかったブリュノは弾けて万年セックスのことを考え続ける
学生時代にも同じく冴えない女性とセックスし、後年再会したが、その女性は死んだ
もう若くないブリュノはそうした日常の絶望に接しながら徐々に衰弱していく
そんな中自由主義者のヒッピー集う裸村でセックス中毒の教職者と出会った
初めて愛情を育み互いを思い合い、2人でいろんな種類のセックスをするも、突然彼女は病気になってしまった
車椅子生活になった彼女はブリュノに遠慮して、シングルマザーをしていた家庭に赴く
そして息子に惨殺された
ブリュノは精神病院に入ったり出たりしながらたまにミシェルと会い、母親の臨終に立ち会った
そして二度とミシェルと出会うことはなかった
ミシェルは科学に人生をささげて俗世をただ目の前で通り過ぎていた
祖母が死んだ時には涙を流した
幼少期からブリュノと共に仲の良かった美少女の幼馴染が死んだ時にも涙を流した
幼馴染との再会後愛を知ったミシェルは遺伝子科学を発展させて人類を万年発情期にしたり改造した新人類を生み出すことになった、おしまい
ストーリーは薄いが、村上春樹やユイスマンスの様に文章そのものが味わい深いので一度ハマると定期的に読みたくなってしまう
絶望的な気持ちになってる時には同じニヒリズムに寄り添ってくれる -
Posted by ブクログ
事実、現実をただ見つめ、そこにある無機物を装飾したり解釈したりすることなく表すのが好みなのか
エピソードやテーマが伝わるような形でストーリー性を帯びさせたいのか、両方を目指してるのか、アーティストとしての視点はよくわからなかったけど、商業や生産で価値を規定されるのではなく真実性に触れたかったジェドの熱さは一貫するものとしてあった
対極的に対外的には謙虚な無頓着さを保っているところ、社会との接点が薄く変化や出来事に過度に意味を持たせないながらも父やオルガ、ウェルベクといった限られた人にはそれなりに執着や情をもち諦観と現実味のバランスがとれているところも好きだった
人間の作り出したものや人物が時間と共に崩壊していく
産業の流れも変化を帯び、支持されるものがかわっていく
どんどんと繁茂していく自然により視覚的に表される時間経過の中で、移り変わりゆくものの流れを愛惜と憂愁を感じさせながらも真実としてとらえた最後のビデオ作品が1番好きだなあと思った
すごく面白いわけではないかなあ -
Posted by ブクログ
ネタバレ貴族令嬢マチルダが、ジュリヤンに夢中になって「あなたはわたしのご主人様」とか言って髪を切ったかと思えば、翌日には軽蔑しきったり、またすぐ夢中になって私を罰してほしいとか、とにかく気が変わりすぎる!
フランス人でこうなの??
ジュリヤンも、階級闘争の一環で貴族令嬢をイケメンな裕福貴族から奪ってやれ的動機でマチルダの気をひいたかと思うと、いつの間にか彼女無しでは死んだ方がましくらいに夢中になったり冷たくされて何も手につかなくなるほど落ち込んだり。
ツンデレシーソーゲームが長すぎる。
フランス人て………。
後半、レナール夫人をいくら何でも銃撃するのは
損得勘定で生きてるジュリヤンにしては突飛な行動。
そこから投獄されて
出世欲が枯れてなぜかレナール夫人我が愛みたいになる展開が、正直理解できなかった。
マチルダは英雄的物語とドラマチックなヒロインとなる自分に恋していただけで、
本当にジュリヤンを愛していたわけではないなと。
デキ婚してもお父さんにたっぷり年金ねだるあたり、しっかりものなんだろうな。 -
Posted by ブクログ
結構頑張って読み切った。
理解できなかったのでいつか読み返したい。
病的に異性を追い求めるブリュノと性的なことに関心が無いミシェル。
正反対な2人。
セックスに関する描写は多いが、いつどこでセックスをした。という事実しか読み取れず、セックスに伴う感情の変化や快楽などは読み取れなかった、温度の無い愛。
セックスを求めるブリュノとそれを求めないミシェルどちらの人生の描写も淡々としたもので、だからこそ行為の意味や愛の意味、異性を追い求めるということ自体について考えさせられた。
もう少しヒッピー文化などに関係する知識があったら楽しめたのかな〜
最後SFっぽくなる??
すごい作品なんだろうなとは思うけど今の私には手が余る作品だった、残念。 -
Posted by ブクログ
奇天烈。奇想天外。
そして やり切れない感情
イメージしながら読むも
イメージが追いつかない 笑
ハチャメチャな中にも 秩序らしきものはあって
生き物の生死に重きを置いていない世界にあって
愛は確かにあって。。。
何とも不思議な読みものだった
少々 読書欲が減退しつつも
後半は 彼らの行く末を苦しく思いつつ
一気に読み切った
ラストの猫とハツカネズミのやり取りは
胸につまる思い
リアルな あるべき現状を とっぱらって
素直に読むべき本
私は この世界の住人にはなりたくない
あまりにも…あんまりだ…
思っていたイメージと違った語りだったけど
何度か読むと 染みるのかもしれない
そういう気持ちに 2冊続けて
なってしまった 笑
この次は 少しハッピーなものを読みたい。。。 -
Posted by ブクログ
ネタバレ部分的には面白いのだが、総合的には正直面白くない
たぶん大衆的な面白さを獲得するのをわざと拒んでいることが原因なのだろう
展覧会に関わるキャッチーな運営メンバー、アクの強いキャラクター、急に始まるサスペンスパートなど
高水準なエンタメの片鱗を一瞬覗かせるが、すべてあっけなく収束してしまう
なんといっても一番の見所は、著者自身の分身キャラのウェルベックである
自分を批評し俯瞰からキャラクター化していながら、更にそれに憑依し内から外からと相当に難易度が高いことをしているように思われる
この珍妙な人物像が物凄くいい味を出している
自身を演出してこれほど面白く仕上げられる作家は希少な才能で、大衆ウケを狙ってできる実力があることは間違いない
漂白された肖像画家、ロシア人美女、細かいディテール、これは村上春樹じゃないのかと一瞬思ったが違う
もっと直截的で社会への批評、総括、予測を含んでいる
数々の細かいネタは自分がフランス人だったら、フランスに精通していたら傑作だったかもしれないが
地理も物も知らないので、ちょっと感覚がわからない
フランスの文化的な風潮を皮肉った、笑えない微妙なさじ加減のユーモアセンスは好きな方だが、そもそもネタ自体について行けなかった
その文化とは世論形成を生業としている業界的なある種の見せかけの文化ではなく、もっと本質的な実態を伴う文化なので共有できる部分もあるにはある
いやこれは皮肉ではなく実際の投影なのではないか
例えばパリ五輪の開会式が酷いなどと一部で騒々しかったが、この本を読んでいれば普通のことだと感じるだろう
本を読む意義はこういう部分にあると思う
タイトルから感じた先入観は精神的縄張り意識であったが、その逆で縄張り意識にあまり興味のない男の話であった
地図は社会、領土は個人なのだろうか
そう捉えた場合の勝手な解釈による概要は次のようなものだ
主人公は生来の芸術家気質で、育った環境もあって、あまり人への興味がない
それには母親を失ったことも起因している
母の死について父を責めることも出来ず、似たようなタイプである主人公には、最初から他人や人生に対してある種の諦観がある
そうして、当初は高い視点から世の中を無機的に見つめていたのだが
徐々に社会から人へと興味の対象が移り、幸福とはなんであるかを探求し始める
しかし恋人も親も失い、最後には芸術への期待も無くしてしまう
残った希望は、温めなおしたポトフと妙な真面目さのある珍妙な会話であった
意味の無い世界において、数少ない意味のあること、それが他人との真面目な会話と非製品的な食事だったのだ
しかし最終的にその機会すらも永久に失い、世捨て人のようになってしまう
資産はたんまりあるので、築いた自分の領土に長年引きこもるが、ある日ふいに地域社会の脈動を見て――領土から地図への回帰が起きて――再び創作意欲が活性化し最後の作品に取り掛かる
その作品は自然の中で自然と格闘するしかない、つまり人工的であるしかない人間の生産活動は無意味であるというものだった……。
社会の本質とは客観的にならないと掴めないのだろうか
地図は客観で集団的、反対に領土は主観、個人的である
しかし地図の内には、道路、鉄道、飛行機、標識、各種ランドマークなど人間の文化活動の痕跡があり、更に領土も内包する
本質を掴むにはこの相反する概念が必要だろうが、地図にはそれがある
地図だけに注目する観光者は盲目、領土しかない個人は監獄で、地図から領土を読む観光者の認識も中途半端であり
領土から地図を見て領土を地図に焼き付けた時に、ようやく隠されたものが認識できる
しかし個人の内面で煮えたぎる熱情はそれらの文化活動とは無関係であり、見えないからこそ見ようとする動機が創作の源泉であって、領土と地図が融合して完全となった時、見えざる本質の表象を形にしようとするタイプの芸術家であれば目的意識を失い世の中に冷めてしまう可能性が高い
一見曖昧なタイトルは著者が言いたかったことそのものを示していると思う
著者は直感的な洞察力から普遍的な真実を引き出すのが非常に得意であると感じる
例えばこんな調子である
・ ビルゲイツについての考察からわかる市場の本質 → 市場にとっての善は、世の中の善と一致する
・ 不妊に悩む刑事夫婦から導かれる少子化の要因 → 子供が全く好きではないから(子供の生来のエゴイズム、ルールへの根本的な無理解、反道徳性が好きではない)
・ どうして日本製品は存在感を失ったのか → 沈黙を美徳だとする日本人が実は尊大だから
・ パーカーを通してみる商品流通市場の欠陥 → 価値の高い既存製品は新製品によって駆逐される運命にある(こうして世の中に無駄なゴミが増える)
このように政治家や専門家が何十年も議論して見当外れな方針を打ち出す諸問題の核心をいとも容易く書いている
やはりなぜ読書をするのか?という問いに対しての一つの答えはこういう部分にあると思うが
全くフィードバックがないとなると(日本ではマイナーな作家だが)、こういった作風の作品がなにか高尚で難解になってしまうのもやむを得ないのだろう