野崎歓のレビュー一覧

  • マノン・レスコー

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    バレエの演目として名前は知っていたけど、ほとんどストーリーを知らなかったので、新訳シリーズででたからこの機会に、と読みました。
    星はつけたけど、ほとんど評価不能です。
    マノン・レスコーのキャラクター(性格)の見えなさ。
    放蕩をつくす悪女にはなりきれず、かといって性格の良い女とは全く思えず。
    デ・クリュの恋に盲目な(愚かな)男っぷりも、いささか常軌を逸してる。(頭が良く、論理的てあるから余計に)

    この本の書かれた時代背景。当時の文学のことも知らないと読みきれないのかもしれない。
    椿姫がこの本のだいぶ後の時代に、この本の影響を受けて書かれたということにもただ驚く。

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    2019年03月03日
  • 地図と領土

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    初ウェルベック。
    主人公の芸術家についての詳細な描写が多いので興味を持って調べたら、架空の人物、作品の題名もモチーフも全部架空だったのね。
    位置付けを知らないまま読み始め、どういう方向性になるのか戸惑っていたら、第3章で急展開を見せるし…

    現代のフランス社会と芸術に詳しければ、この本に出てくる人物やメディアの意味とニュアンスについて、作者の感覚と同じものを持てたのかもしれない。

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    2018年05月20日
  • ちいさな王子

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    有名な「星の王子さま」の新訳。
    この作品ははじめて読んだ。

    けれども、あまりピンとくるところがなかった。
    少年少女はこの作品を読んでどう感じるのだろうか。
    そういう部分がとっくに鈍麻してしまっている自分にはわからない。

    私にとっては、サン=テグジュベリといえば、やはり「夜間飛行」や「人間の土地」のサン=テグジュベリだ。

    たとえばこういう文章。

    「リヴィエールには、自分が、長いあいだ、重い物体を差上げ続けてきたような気がする。いわば、休む間もなければ、果てる希望とてもないこれは努力なのだ。「僕は老いてきた……」行動自体のうちにかれが自分の糧を見いださないということは老いた証拠のように思わ

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    2017年12月02日
  • 赤と黒(上)

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    ネタバレ

    印象に残った文章
    結婚のせいで恋愛に走らずにすむのは、女の中でも干からびた女だけである。
     レナール婦人との恋のなりゆきは面白かった。途中教会?関係の流れはうまく入り込めなかったが、レナール夫人が最後に登場し、盛り上がった。下巻もレナール婦人がキーマンになるんだろうか?
     今から下巻が楽しみ。

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    2017年09月30日
  • 素粒子

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    「服従」が面白かったので、著者の代表作を読もうと思って購入。性格もキャリアも全く異なる異父兄弟の半生を中心に、家族や夫婦、親子、友人との関係を生々しく描いている。美貌、健康、学歴、財産、政治信条、友情、愛情、幸せなど、どれ一つ確固たるものはなく、得たと思えば去っていくし、またやってくる。外から来るものにしがみつくのではなく、中から信念を持って信じられ続けるものを持つことが重要だと再認識。これが難しいのだけれど。

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    2017年03月23日
  • ちいさな王子

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    もちろん、映画『リトルプリンス 星の王子さまと私』を観たために再読しようと思って買い求めた本です。

    王子の語るエピソードの1つひとつが何かの象徴のように感じられるし、また読者にとっては気付きを得るような内容になっています。

    ただ、これがあまりにも、明示的で不条理だという印象を受けました。つまり、メッセージは直接的で分かりやすいのだけれど、ストーリーとして釈然としない。
    そういう読み方は、あるいは王子に言わせると、忌むべきなにかに分類されてしまうのかもしれませんが。

    決して、好きでない、ということはありません。挿絵も含めて、とても優しくて素敵な小説世界だと思います。けれども、この本で強調さ

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    2015年12月06日
  • 地図と領土

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    資本主義社会の消費にまつわるポスト・モダニズムとその周辺。消費に関して、ウィリアム・モリスについて言及している箇所があり、消費のサイクルのその後にまで批評の射程があるのは鋭いなと思いました。
    本文中で主人公の作品を解説している箇所については、芸術を言葉で語る空虚なのか、文章ゆえに作品として凄さが見えてこないため、高値で取引されたと言われてもそんな大したものじゃ無さそうだがと思いながら読むのですが、それにインスパイアされた系として具現化したのが文庫本の表紙の写真だそうです。これに関しては沈黙せざるを得えない。

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    2015年10月25日
  • うたかたの日々

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    『きれいな女の子との恋愛、それとニューオーリンズかデューク・エリントンの音楽。その他のものはみんな消えちまえばいい。なぜって、その他のものはみんな醜いからだ。』そんな著者のパンクな言葉から始まる本作。
    青年コランは音楽と料理を楽しむ裕福な暮らしを愛し、労働とは無縁の生活をしていた。コランは恋人クロエと結婚するが、ある日彼女の身に異変が起きる。

    コランの他にも恋人を持つ青年たちの恋模様も織り交ぜ、時に美しく、時に非現実的で、そしてそこそこグロテスクでカオスな描写もあり、ちょっと理解に苦しむところも。労働を嫌い、娯楽と恋に生きるコランの顛末とは。幻想的で残酷で、癖の強い作品です。
    個人的には“肺

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    2014年08月28日
  • 素粒子

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    静と動、性と死が激しい物語。
    対局的に位置する二人の兄弟の虚しさが上手く描かれている。取り分け、時間の流れ(若さ)への恐怖は読者をも病む。

    あからさまな性の表現が多く、それ自体はいいが、もう少しミシェル側のストーリーが欲しかった。

    なにかしら残ってしまった自分のしこりが、上手く解決できず、戸惑っている。

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    2014年06月25日
  • ちいさな王子

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    難しい。色々な読み方があるんじゃないかな。楽しいとき、幸せなときに読むのと、悲しいとき、つらいときに読むのと違うと思う。

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    2013年12月12日
  • 赤と黒(下)

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    物語はいいけれども、この本
    残念ながら誤訳が多いのです。
    (しかも残念なことにこのレーベル
    やたら誤訳が頻出します)

    なので、読み直す本になっています。

    野望に燃えた男、ジュリヤンの
    栄光と挫折、そして死。

    たといどんなに燃えるような情熱「赤」があったとしても、
    やはり彼が抱く闇「黒」は消えはしなく
    結局、死ぬまで彼を苦しめ続けました。

    彼は確かに、自己中心的
    人嫌い、何もいいところはないでしょう。
    ただし、情熱だけは
    取り柄だったでしょう。

    しかし身分が卑しいゆえに
    それがあらぬ方向に向ってしまったのです。
    悲しむべくこと。

    深いお話でした。

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    2013年11月23日
  • うたかたの日々

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    ネタバレ

    マスターピースにはマスターピースとして語り継がれる理由があるとあると思うのですが、解説を読んで納得しました。きちんと時代背景とヴィアンの生涯を作品に昇華させていますね。

    解説ではこのポップで独特な筆致を「言葉遊び」と「記号表現の遊び」と文学的な論理で詳しく解説していますが、要はファンタジックで絵本のような世界観を受け入れられるかどうかだと思います。僕も読み始めはどうかと思ったけど、意外と面白かった。

    古典作品は難しい翻訳がつきものですが、これは訳者が頑張ったのか、結構サクサクと読めますね。一度目は予備知識なしで読んで、二度目は時代背景やヴィアンの生涯を理解した上で読みたくなります。

    読む

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    2013年11月03日
  • うたかたの日々

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    読む際、頭の切り替えに失敗したせいで幻惑と翻弄されてばかり。なかなか癖のある物語で私にはシュールな具合とアイロニカルな感じがややきつ過ぎた作品でした。イメージが弾ける世界にはドラッグでも軽くキメたか、とことん寝不足の頭で書いたのかな? という印象を持ち、奇妙な感触が残ります。結局、最初から最後までつかみきれないまま読み終えてしまったのですが、今はそれでよかったと思っています。だってこのお話、écume(泡ぶく)なのですから、つかめたところで消えるだけですもの。好き嫌いがはっきりと分かれる内容だと思います。

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    2013年03月18日
  • ちいさな王子

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    どんなおとなだって、最初はこどもだった(それを覚えているおとなは、ほとんどいないけれど)

    なにしろおとなには、いつだって説明が必要なんだから。

    「まっすぐに歩いても、そんなに遠くまでは行けないんだよ……」

    でも残念ながら、ぼくには箱のなかのヒツジを見てとる力はない。きっと、少しばかりおとなたちに似てきたのかもしれない。ぼくも年をとったんだ。

    こどもたち!みんな、バオバブには気をつけるんだよ!

    「あのころ、ぼく、なんにもわかっていなかったんだなあ!お花が何をしてくれたかで判断するべきで、何をいったかなんてどうでもよかったのに。お花はぼくをいい香りでつつんでくれたし、明るくしてくれた。ぼ

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    2013年02月09日
  • うたかたの日々

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    絶妙なバランス。現実と虚構の渦が生み出す夢のような世界。

    肺に睡蓮が咲く奇病に取り付かれたクロエとコランの儚く繊細な日々。

    ピアノカクテル、小鳥のソーセージ、心臓抜き、、、、

    愛をこめて現実を破壊するヴィアンの魅力が凝縮された一冊。


    自分の選んだ職業のために、クロエの運命を知るコラン。そのシーンはとても印象的で好き。

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    2013年01月05日
  • ちいさな王子

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    恥ずかしながら、この年になって初めて読みました。
    洋書はもともと日本語で書かれているものと違って、伝えたいことのニュアンスを読み取りづらいなと感じました。
    もっといろいろ読んでみたいと思います。
    次はグレートギャッツビーに挑戦してみようかな。。

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    2012年08月17日
  • 赤と黒(下)

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    節目に読み返したくなる本。

    早熟な知性。マイノリティゆえの孤独。冷笑的な思考。

    自分の経験から考えると普通こうゆう人間は人との関わりを極力避け腐る一途。

    ジュリアンのすごいところは社会性を保ったこと。出世の志を捨てなかったこと。

    腐り続けてダラダラ過ごすより、情熱的に生きてすぐ死んだ方がまし。レナール夫人がジュリアンに告訴を提案した時、ジュリアンは自ら死刑を選んだ。この選択ほど彼の人生にとっていきいきとしたものは他にあったのだろうか。

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    2012年03月16日
  • 赤と黒(上)

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    語訳の話もあったので、最新の4版を購入。
    が、93ページから123ページまで紙がしわくちゃだったので3版に交換。

    この本とは、相性悪いというか縁がない。。。

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    2012年03月19日