げみのレビュー一覧
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Posted by ブクログ
最終巻を読み終わったあと、しばらく余韻に浸っていました。
もっともっとこの2人の、そしてほかのみんなの物語を読みたいと思うほど、登場人物や世界観が大好きでした。優しくて、ほんわかした文章と雰囲気に、いつの間にか夢中になっていました。登場人物みんなが魅力的で、愛おしくなりました。早く先が読みたいと思うと同時に、物語の終盤に近づくにつれて終わってほしくないと思う矛盾した気持ちも芽生えてきました。本は完結してしまったけれど、もう少し、その先もずっと続く彼らの物語に思いを馳せようと思います。
表紙に描かれている二人の距離も内容とあっていて、それに気づいた時はもうずっと見つめていました。少しずつ近づい -
Posted by ブクログ
『蜜柑』
この短編は学生時代にも授業で取り上げられていたし、大人になってからも何度か読み直す機会があったのですが、歳を重ねるにつれ、娘が投げた蜜柑の色鮮やかさに切ないものがこみ上げてきます。
疲労と倦怠、退屈な人生に辟易している「私」の目に飛び込んできた、心が踊るような暖かな色。走り去る汽車で起きた一瞬の出来事。娘の優しく美しい心に、忘れてしまった歓びがよみがえる。しかしそれも汽車が走り去るように、すぐに消えてしまうのでしょうけど…
さすが芥川。文章だけなのに、蜜柑が落ちる様子から汽車の速度まで情景が浮かび、読後、一枚の写真のように心に残ります。
ところで、こんな画集があるとは知りませんで