越谷オサムのレビュー一覧
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本厄年の41歳単身赴任の藤沢副店長の家の窓ガラスを割ってやってきたのは魔法使い見習いのアリスと中年の男の声で話す謎の小動物。奇怪な出会いから始まる共同生活。困って、笑って、苦しくなって、驚いて、喜んで、ちょっと切ないとあるひと月のお話。
副店長で色々と辛い立場、その辛さは家族で癒されるため早く単身赴任を辞めたいと考えているどこにでもいそうな中年男性が主人公。そんな主人公がまさかのファンタジー世界の住人代表みたいな見習い魔法使いと共同生活、もう読みはじめから面白い!
初めから面白いのに読み進めていくと登場人物たち一人一人のことを深く知っていくたびにどの人も好きになる。だからこそ後半へ行けば行 -
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全くの偶然ですが、先日読み終えた伊坂幸太郎さんの「砂漠」でもラモーンズが所々に登場して「ガバガバヘイ」のフレーズがまだ頭にこびりついています。
ラモーンズは、70年代にアメリカで結成されたパンクロックバンドで、この本でも登場します。ラモーンズの他にもグリーン・デイやオフスプリング、クイーン、KISSも出てきて懐かしいあの頃を思い出しながら楽しく読めました。70年代の中高生の男子なら半数は「バンドやってみたい!」と考えたことがあるのではないでしょうか?
やはり青春小説はいいですね。汗臭い内容でも読んだ後は清々しい気持ちにさせてくれますし、彼らを応援したくもなります。そしてあの頃に無性に戻り -
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ネタバレまたしても越谷オサムにやられた!
中規模スーパーマーケットの副店長の家に現れた見習い魔女と相方の小動物が起こすドタバタ劇。なんだか「魔女の宅急便」の劣化コピーを読まされているような前半中盤。
どうした、越谷オサム?こんな小説書いてていいのか?こんなのをあと半分も読むのはツラいぞ。と思っていた矢先、270ページあたりから急激にギアをあげていく。退屈版「魔女の宅急便」のようにみせかてていた伏線を怒涛の勢いで回収していく中後半からクライマックスの見事さ。そう、俺はこういうの読みたかったんだ、これを読むための我慢ならあの前半中盤は許せるよ。
この前に読んでいた本が本(感応グラン=ギニョル)だった -
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ネタバレ中学校将棋部の中学校将棋部の男子3人組、修学旅行先の京都から抜け出し、大阪に引っ越していった同級生の元部員に会いに行く冒険譚。
1980年代の大阪や中学生の風情が懐かしく、越谷オサムお得意の読みやすくリズムを刻んだ文章でスイスイグイグイ読ませる。こりゃいいジュブナイルだなぁ、最近流行りの「エモい」ってヤツやなぁ…と思っていたら。
最終章で、一クセ入れるところがさすが。このクセでジュブナイルどころか、中年、それも50代泣かせの青春小説に仕立て上げている。一つだけ哀しい出来事があり、読み方によっては、余計と思えるのだが、この余計が「オールOKハッピーエンド」だけじゃない苦みと深さを付け加え -
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ネタバレ短編集。「金曜のバカ」はなんとも不思議な話であったがまあまあだった。「星とミルクティー」は昔の天体観測で出会った星の痣がある女の子との話と、現代の自分の赤ちゃんの話の繋がりがよかった。「この町」は松山市が舞台であり、旅行したこともあり身近に感じられ、さらには同じく地方出身として共感できるところが多かった。「僕の愉しみ 彼女のたしなみ」は僕が恐竜オタクであることを隠したがっていることをそんなに気にすることでもないと思ったが、自分だって大学生になってその人独自の世界や趣味を持っていることは素敵と感じたのだから高校生の僕には仕方ないか。また彼女にも野球の趣味があるというのも良かった。「ゴンとナナ」は
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この人の書く小説は、読んでいる間中ずっと温かい光に包まれているような感じがする(^ ^ 「金曜のバカ」みたいにどたばたした作品でも、である。きっと作者が優しくて、温かい心の持ち主なのだろうことが、行間から滲み出ている印象(^ ^
本作も、そんな「ほっこりする」作品ばかりを集めた短編集である。いつもながら、「天下国家に関わるような大事件」などとは無縁で。手の届く範囲内での、裏切らないハッピーエンド(^ ^ 心穏やかに読める一冊です。
内容的には、舞台も時代も登場人物もバラエティに富んでいる。子供は子供の、疲れた大人は疲れた大人の、それぞれの視線と感じ方で素直に描かれているが、共通してい -
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2022/07/22
電車が話の主軸に絡む中編くらいの5つの話。どの話にも電車が絡んでくるのですが、それぞれのジャンルの話しで、電車から見える風景だったり、電車そのものの姿だったり電車の音だったり、それらを通じて人々の想いが色々と変化していく様子がとても読んでいて面白いなと思いました。
この本の中にある話の中で特に印象的だったのは「名島橋貨物列車クラブ」というもので、主人公が小学生たちなのですが、電車の姿や走る風景だけでここまで色々なことを考えられる小学生ってすごいなーと思いながらそれぞれの登場人物の気持ちに自然と感情移入することができます。
自分なりの懐かしい光景や、そういえば…!と思い当た