竹宮惠子のレビュー一覧
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ネタバレ竹宮惠子・萩尾望都のエッセイが立て続けに出版され、「おお、今年は当たり年だなあ」と何の予備知識もなく買い求めた。読んでみたら、ファンには衝撃の内容。本著を読んだ人は、萩尾望都『一度きりの大泉の話』にも手を伸ばさずにはいられないだろう。
2冊とも買ってしばらく積んでいたのだが、知人たちがSNSでこれらについて話題にしており、核心的なネタバレに触れる前に慌てて読んだ。どのような点が論争?になっているかはうっすら目にしていたので、どちらを先に読むか悩んだ。こちらの方がいささか薄かった&大泉時代に限らず広義の話かと思ったので、こちらから。
結果として正解だったのでは?と思う。
まず、大泉問題とは? -
購入済み
地球へ
地球を守るために作られたシステムで弾けれたミュウとシステムに支配された人間社会の戦い。ソルジャーの哀しみが切ないです。共存を模索するこの作品の素晴らしさは色あせません。心に響きます。
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表紙のジルベールが半端なく美しい。単行本で出たときは、購入するのを躊躇ったくらいだった(苦笑)。文庫本は意を決して購入した。サンキュータツオ氏のあとがきの最初の一文は、「これほどシビれる読後感を抱くことはなかなかない」。思わず膝をたたいていまった。全くそのとおりだった。
この本は主に竹宮先生のデビュー間もない頃から、代表作(問題作?衝撃作?)「風と木の詩」の連載時あたりまでの自叙伝。萩尾望都先生の才能へ嫉妬したり、「風と木の詩」の掲載を熱望し画策する自分を赤裸々に書いている。これを読んでいて竹宮先生は、マンガに対する「情熱」と「冷静」を併せ持ち、マンガ学部の教員に向いているなと感じた。
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今や少女漫画は、60代80代になった大人をも満足させられる芸術の一部門になっているが、竹宮さんがデビューした頃はまだ、“女子供のモノ”と少年漫画に比べて少し下に見られる分野だった。
かく言う私も、中学生になると、お決まりハッピーエンドの少女漫画に興味を失い、少年漫画を主に読むようになった。
それゆえ、竹宮さんをはじめとする人たちによって、少女漫画界に革命が起きていることも知らず、『風と木の詩』は後から人に勧められて読んだのだった。
今、市民権を得ているBLは、『風と木の詩』で竹宮さんが描きたかったものとは少し違うような気もするが、『風と木の詩』無くしてはあり得なかった、というのは確かだと思う -
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竹宮さんが大学の学長になって学校で漫画を教えているとは知りませんでした。
しゃべりすぎる内田さんとの対談は刺激がたっぷり。
内田さんによる「ボーイズラブ漫画は少女漫画家のアンチアメリカ(仮)説」は
頭でっかちというか、きれいにつじつま合わせてる分だけ鼻息荒過ぎというか。
でも竹宮さんの話で、実際はわりと単純な理由だったのが読んでておかしかった。
以前読んだ内田さんの著作の中に
「いかに労力(勉強)をかけず資格を取るかが、教育におけるコスパの良いこと」な
ミもフタもないことが書いてあったけど、
同じように大学にお金を出して漫画を教わりに学生は
あまり能動的に動いていくということがないみたいだ。
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相変わらずの内田節と、少女漫画大家の対談。オープンソースであることの重要性を始め、なるほどと思わされる内容でした。確かに漫画の界隈だと、カリパクがどうこうとかいう話、聞かないですもんね。だからこそというか、そこに参入する敷居も低くて、若手がどんどん台頭できる、ってのもこの世界の素敵なところですよね。それでふと思い浮かんだのが、日本と欧米の政治家の年齢層の違い。漫画の世界とは逆転してますよね~。もっと若手が参入していけるようになれば、低迷し続ける国家運営も上向くのでは、と思うんですがね。それはともかく、漫画がもっともっと読みたくなりました。
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竹宮惠子と内田樹が「マンガ」をテーマに大いに語る、という夢のような対談本。タイトルはもちろん「風と木の詩」のオマージュ。竹宮先生が自分の主要作品について、裏話も含めてここまで整理して語るのを見たのは初めてで、それだけでもとても衝撃的な内容。また、若き日の竹宮惠子・山岸凉子・萩尾望都が、一緒にヨーロッパ1周旅行をしていた事実が明らかに。(ヨーロッパ旅行の件、内田樹は「少女マンガ史上の決定的事件」と評した。まさに「その時、歴史が動いた」のかもしれない)
本書の後半は、竹宮先生が15年ほど前から精力的に取り組んでいる「マンガ教育」の重要性と難しさの議論に費やされている。漫画家は本質的に「職人」なので -
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私が小学生の頃二つ上の兄が読んでいた漫画は余り興味が無かったが、萩尾望都は凄い綺麗な絵で他の漫画家とは違うと自分の中で勝手に思っていた。漫画は余り読まなかったが、兄のお陰で買わなくても読める環境にはいたようだ。そうこう言っているうちに自分で本屋に行くような年になると、私は竹宮恵子に出会う。萩尾望都に似たような絵柄と他の漫画家と違うBL的な絵が私を刺激する。こんな世界があったんだ。私は竹宮恵子の漫画を買い集め1人で悦に入っては何が凄いのかもわからないまま同じ本を何回も読んでは兄に萩尾望都と竹宮恵子を語っていた。ある日兄は高校を卒業すると、働きながら東京デザイナー学園に入学することを両親に許して貰
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序章
鈴木敏夫 スタジオジプリプロデューサー
鈴木敏夫は「風の谷のナウシカ」の制作背景やそのテーマについて語っている。彼は、作品が発表された当時の社会的・環境的状況がどのように影響を与えたのかを考察し、ナウシカというキャラクターが持つ強い意志や優しさが、現代においても重要なメッセージを持っていることを強調している。
風の谷のナウシカの題材は『新諸国物語』(NHK ドラマ1952年)。
ナウシカが旅をして、見聞きしたものによって、読者が世界の秘密を知っていく。宮崎駿は「勧善懲悪」が好きで、それが「自然を守る人がいいひとで、自然を破壊するのは悪人」と言う物語にした。
赤坂憲雄の『ナウシカ -
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『一度きりの大泉の話』を読んだので、こちらも読まなければフェアじゃないと思い、読む。
やっぱり竹宮さんは賢くて情熱的な人だなと思う。
萩尾さんの本でもアシスタントに対する注文が非常に的確だったとあったが、この本を読んで納得した。漫画だけでなくあらゆる芸術作品をきちんと研究・分析し、それをどう漫画の表現に活かすかを考え抜いてきた人だと思う。だから大学で教えるというのも向いていた。
徳島大学に行っていたというのも、当時の世間の常識(女の子は学歴は必要ない、親元から通える学校に行くのが当然)を考えると、相当頭が良かったのだと思う。
この本はスランプに陥りながらも『ファラオの墓』を経て、代表作『風と木 -
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一度だけの大泉の話の後に読んだけれど、この本の連載も出版もそれより前の話。一年後に連載して出版していたら、どんな本になっていたのだろうかと妄想してしまう。
語りおろしとなのだけれど、己の弱点に触れると言うより「この人にこんな風に言われた」という形が多い。一見三人称だけど、一人称のような。萩尾望都さんが一人称なのにすごく客観的なのとは別のベクトル。
社会性と人脈と自己プロデュース能力が高い人なのだろうな。格好いい。先生になって教えて欲しいし、学長になって道を示されたい。
精華大学を退職して、これから何を書くのだろうと楽しみになる。腕の力が衰えるからとデジタルを身に付け、どんなものを描 -
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伝説の漫画家の
竹宮惠子のSF!子どものころその世界観に圧倒されながら読んだ「地球へ…」。管理社会の恐怖をリアルに紙面から感じていたけれど現代社会はますますそれに似て…そっちのほうが怖いかも。
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萩尾望都先生の大泉の話を読んだので、もうお一方の側面からと思いこちらも。
デビューから「風と木の詩」で地位を確立されるまでの竹宮惠子先生のお気持ち、葛藤が綴られている。もちろん、萩尾望都さんとの日々や彼女に他強いて感じていた感情も。
望都先生の本にも書かれているエピソードともつながり、こんな私的なお話を御二方から聞いていいのかしら…という気持ちになった。
望都先生の世界の感じ方は少し独特なのかも、と大泉の話を読んで感じたので、竹宮先生の葛藤やお気持ちがうまく伝わらなかった故の決別となったように感じた。
気持ちが分かり合えず決別することは若かりし頃には多かれ少なかれ皆経験するところで、き -
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ネタバレ漫画家、竹宮惠子さんが、ご自身を振り返ってかかれた話。
主に、故郷徳島から上京してきて、東京で漫画家としてのスタートを切ってから、同じ頃デビューした漫画家萩尾望都さんと大泉で暮らした「大泉サロン」でのことを書かれています。
後々、プロデューサー的な働きをされる増山法恵さんとの関係。
少女漫画版「トキワ荘」のように、「大泉サロン」に竹宮さん、萩尾さんを慕って集まってきます。漫画家仲間や、若手漫画家、デビュー前だけど才能の片鱗のある人々。
竹宮さん自身は、その環境に多大な影響を受けたし、増山さんなどの文学や芸術の教えもあり、充実した日々だったように見えます。
当時はタブーとされていた