竹宮惠子のレビュー一覧
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読売新聞『時代の証言者』に語り下ろした連載をまとめた本。
竹宮惠子さんのこれまでの漫画人生をまとめられています。
子ども時代から上京までの話。
上京してから、漫画家の萩尾望都さんと会って意気投合し、その後増山法恵さんを仲立ちにして、大泉の長屋で同居するようになったこと。
その長屋が「大泉サロン」と呼ばれるようになり、若い漫画家やアシスタントなどが集まるようになっていたこと。
若い漫画家のなかには『アラベスク』などを代表作とする山岸凉子さんなどもいて、漫画家を志す人たちの文字通りサロンであったこと。
そのなかから既存の少女漫画の枠を越えてたくさんの作品が生み出されてきたのだと感じ -
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たぶん、同じ人がいっぱいいると思いますが、萩尾望都「一度きりの大泉の話」を読んでの本書です。「一度きり…」が竹宮恵子「少年の名はジルベール」の出版によって生まれた悲痛な叫びなので、ここは「少年の名は…」を読まなくてはならないのですが(そして、もちろん読みます!)、個人的には去年、コロナとの遭遇に日常がたじろいでいた5月6月に讀賣新聞に連載されていた「時代の証言者・マンガで革命を」を楽しみに読んでいて、その中で、いわゆる「大泉サロン」での萩尾望都への言及になんか不思議さを感じて、「一度きり…」を手にした、といういきさつもあり、先ずは新聞連載をまとめた「扉はひらくいくたびも」に立ち戻った次第です。
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ネタバレ「扉はひらくいくたびも」のほうが近作だからそれを読んで済ませようと思ったが、念のため大泉騒動の火付け役になった本書も読んでみることにした。
近作は子供時代や親のことまで書かれているのに対し大泉時代前後のことがメインに書かれている。
下井草で萩尾さんに実質別れを言い渡した件は竹宮さん側はわりとあっさりと述べられている。その前後の葛藤は結構克明に描かれてはいるが。
萩尾さんへのお礼のことばも書かれているのでやはり書き表すことによって和解したい気持ちがあったのだろう。個人的には「空が好き!」は当時好きな作品だったが、「ファラオの墓」より前あたりまでは作家としての自分の個性がだせなくて悶々とされていた -
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ネタバレ萩尾さんの「一度きりの大泉の話」を読んだだけでは片手落ちかと思い、読んでみた。なぜ「少年の名はジルベール」のほうを選ばなかったからというとこちらのほうが最新刊だから。インタビューからおこした文章ではあるが、理路整然として聡明な竹宮さんらしい。自分で自分を分析する能力や社会の動きを感じ取る能力も高く、大学の先生をやってもちゃんと勤まる人だなあと改めて器用さに感動した。また漫画文化をどう継承してゆくのかについても真剣に考えていらっしゃる。まだ読んでいない竹宮作品もいろいろあるので読んでみたく思った。天才も悩みながら作家人生を歩んでいたことがわかった。その道の第一人者になるって血のにじむ努力が必要な
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大泉サロン関連本 一方の当事者
竹宮惠子さん読売新聞連載。1970年秋、萩尾望都さんとオンボロ長屋に同居、石ノ森章太郎さんに憧れる今まで負けたことがないケーコタン竹宮惠子はピアノ音大受験より少女マンガプロデュースに興味がある物知り
ノンたん増山法恵とまだまだ男社会で社会的地位が低かった少女マンガ界を少年愛ストーリーで改革を夢見るも
天才モーさま萩尾望都に劣等感を抱きストレス過多によるスランプに陥る。山岸涼子さんを含む4人での欧州旅行後1973年長屋の契約更新時に大泉サロン解散を申し出。その後距離を置きたいとモーさまに伝え絶縁状態になり現在に至る。その後スランプを脱し「風と木の詩」「地球へ」発表 -
ネタバレ 購入済み
風の行方
ジルベ-ルの為に、男色家の建築士の元でセルジュは一緒に暮らすべきでしたね。そして、音楽の支援を彼から受けて、一人前になり、ジルベ-ルを養うべきでした。
ただ、そういうストーリーでは、こんなに長く語り継がれる事はなかったでしょう。
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レジェンド少女漫画家と、それを読んで育った武道家・哲学者の対談。
僕自身が少女漫画読者でなく、かつ時代が違うので、なかなかグッと話に入っていけなかったけど、その時代を想像して楽しめるだけの話の濃さとリアリティとユーモアでした。
内田「音楽についてトリビアルな知識を持っている人間が『これはこれとこれのパクリだ』と言うと、その知識自体が何か批評性を持っているかのように見なされる。でも、マンガの場合は、そういう話はしませんよね。この人のこの絵柄とかコマ割りは誰それのパクリだと言っても、誰も反応しないでしょ(笑)。」
竹宮「誰が何をやっても構わない。ただただ、マンガはオープンソースなだけです。」
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少女漫画の大家、竹宮惠子自らが、デビュー当時を振り返ってエッセイとしてしたためた本書。60-70年代、可愛らしい少女しか出てこなかった当時の少女漫画界に、少年を主人公にして精神性をフィーチャーしたり、元祖BL系に踏み込んだり、新たな時代を革命的に作ってきた世代の方。
自分が生まれるよりずっと前の時代だが、萩尾望都作品が好きなので、このあたりの時代の作品にも親しんでいる。その中でも、竹宮惠子と萩尾望都はデビュー前後で同居をしながら描いていた仲間ということで、一括りにされることが多い。しかし、彼女たちは実は仲がよくないようだ…ということをつい最近初めて知り、俄然、竹宮惠子側の話を知りたくなり手に