高山羽根子のレビュー一覧

  • 首里の馬(新潮文庫)

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    ちょっと不穏な雰囲気で、面白そうな気配の序盤、、、がずっとつづいたような小説だった。
    謎の資料館、謎の仕事、謎の回答者、謎の馬、、、と、これからどう面白く料理するの!?ってワクワクしながら読み進めたら、そのまま BBQ にするだけでした、、。みたいな結末。

    期待感が高まりすぎちゃったから、読後感はちょっと残念ではあった。

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    2024年01月16日
  • 私たちの特別な一日 冠婚葬祭アンソロジー

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    冠婚葬祭に際する人々の生活を描いたアンソロジー。個人的にあまり刺さった作品はなかったけど、町田そのこの『六年目の弔い』、飛鳥井千紗『もうすぐ18歳』、寺地はるな『ありふれた特別』はよかったな。子供を産むということをテーマにしているのかな?とも思ったラインナップだった。

    p.82 幼さは、他人への興味の浅さと紙一重だ。ちょっとでも自分と違うと「仲良くなれない」と決めつけ、それ以上のことを知ろうとしない。

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    2023年12月24日
  • うどん キツネつきの

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    ネタバレ

    短編5作
    目に見えるものだけじゃない、その辺に転がってるいろんなものにも宿る世界や宇宙
    果てしないな
    そして短編だった?の重量感
    「母のいる島」のレッスン要素は必要だなと妙に納得

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    2023年11月24日
  • 私たちの特別な一日 冠婚葬祭アンソロジー

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    ネタバレ

    感想
    昨日と変わらず太陽が昇っている。心臓の動きもいつもと同じ。でも今日は特別な日。生を、死を、まざまざと感じさせる。自分は社会の一員。

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    2023年11月10日
  • カム・ギャザー・ラウンド・ピープル

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    タイトルの「カム・ギャザー・ラウンド・ピープル」は、和訳すると、あらゆる場所でさまよう人々よ、ここに集まれ。ボブディランの「時代は変わる」という曲に描かれている歌詞の一部だそうです。時代にそぐわない人々が、新たな時代になっても、なかなか適応できない難しい日々を描いていると思います。シバちゃんが公園で出会ったのが高校の時の同級生のニシダだった。姿を変えてデモの中心に女装した姿で現れた。自分が変わってないのか、周りが変わりすぎたのか、日々錯綜する迷いが沸々と感じることができる。

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    2023年10月07日
  • パレードのシステム

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    祖父が自死して、私はかつて祖父が幼い頃に住んでいたという台湾に興味を持った。

    興味といっても、生前の祖父にたいする強い思いがあったわけということでもなく、自分の為でもあったのかもしれない。

    昔のバイト先で台湾出身の人と一緒に飛行機で渡った台湾という地で、お葬式を通じて見てきたこと。
    かつて一緒に美術を学んだ、死んだ友達のこと、祖父のこと。

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    2023年09月22日
  • うどん キツネつきの

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    ★意味、完全に解ってる言葉しか使っちゃいけねえなんて、誰が決めたんだよ(p.86)
    よく把握できないままになんとなく魅力的な作品群/わかろうとせず気分で適当に読んでしまうのが吉かも/「シキ零レイ零 ミドリ荘」かなり好きです/SFとかカテゴライズする必要もないかも。

    【一行目】「今、あのゴリラ啼かなかった?」

    【うどん キツネつきの】ヘンな犬を拾った三姉妹は「うどん」と名づけた。《長生きして死ぬならそれが幸せだと・・・・・・少なくとも私はそう思うよ》p.32

    【シキ零レイ零 ミドリ荘】ミドリ荘のミドリと住人たち/キイ坊/自称元宇宙飛行士のおっちゃん/背の高いベトナム人のグェンさん/自分の中

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    2023年09月05日
  • Genesis 一万年の午後

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    ■個人的なメモ

    [△]久永実木彦「一万年の午後」/ヒト絶滅後、一律なマ・フたち、聖典、宇宙の地図づくり、変化しないこと。
    [▽]高山羽根子「ビースト・ストランディング」/ビースト挙げ競技、旧野球場。
    [○]宮内悠介「ホテル・アースポート」/宇宙エレベーター、ホテル、殺人事件。
    [△]加藤直之「SFと絵」/ゲーム「ディガンの魔石」以来ファンです。
    [○]秋永真琴「ブラッド・ナイト・ノワール」/旧吸血鬼の「夜種」、人間は王族、ローマの休日、好みのキャラ、好みの設定、好みの会話。
    [△]松崎有理「イヴの末裔たちの明日」/技術的失業、AI、ロボット、ベーシックインカム、治験、星新一さんっぽいオチ。

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    2023年06月11日
  • 首里の馬(新潮文庫)

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    未名子の仕事は『孤独な業務従事者への定期的な通信による精神的ケアと知性の共有』、通称問読者(トイヨミ)。⁡
    冒頭から沖縄の歴史や文化についての記述があり、最初、何を読んでいるのか分からなくなりそうだった。⁡

    淡々と粛々と進んでいた物語が、宮古馬の登場をきっかけに少しずつ変化する。それまでの未名子では想像できないような大胆な行動を起こす。⁡
    未名子は自分は孤独だと感じているようだけれど、人の心が分かる、人と心を通わせられる人だと思う。⁡
    そこがトイヨミの仕事に向いているところだと思うし、資料の価値をちゃんと見いだせたのだと思う。⁡

    どんなに孤独だと感じていても、人は必ずどこかで誰かと繋が

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    2023年04月30日
  • 旅書簡集 ゆきあってしあさって

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     高山羽根子、酉島伝法、倉田タカシの三人の作家が、架空の国を旅しながら(どうやってかはともかく)手紙を送り合うという設定の「旅書簡集」。そして巻末エッセイ(あとがきのようなもの)は宮内悠介。お、東京創元社のSFアンソロジーシリーズ『GENESIS』で見かけるような作家たちだぞ、と思って手に取った。
     読んでみると、GENESISを読むときに似た幻想浮遊感に見舞われる。そして、時折り「わかる」地平に降り立つのだが、そこもどこかしらなにかしらずれている。私が「わかる」と思っていることなんて世界の中のほんの一部なのだなあなどと思っていると、突然、人生哲学とか人間の本質みたいなことを考えさせるようなフ

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    2023年04月07日
  • 旅書簡集 ゆきあってしあさって

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    よく知った世界から枝分かれて進化の袋小路に辿り着いたかのような、何故にどうしてこうなった?と言わずにはいられない強烈な風習、建築、祝祭(と呪い)をくぐり抜けて旅は続く。
    土地のパワーに負けそうなところを、好奇心と一種の鈍感力で三者三様にサバイブしていく訳だが、何より敬服するのは食に対する許容値の広さ。現地の食べ物を探すのは旅の醍醐味だけれども、さすがにこれを食べますか…。
    旅行に行きたいが、まずは己れの胃袋を鍛え直さねば。

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    2023年03月25日
  • パレードのシステム

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    主人公である芸術家が、祖父の死をきっかけに故郷に戻る。そこで祖父が台湾で生まれ日本に帰った“湾生”であることを知る。そのことから以前アルバイトで知り合った台湾出身の梅さんと繋がり、彼女の祖父の葬儀に招待される。
    本書には3人の死と葬儀が描かれているが、主人公は台湾で行われた知人の祖父の葬儀にしか参列できない。なかなかに難解で手こずったが、決して読みにくくはない。
    ……タイトルの意味はそういうことなのかなあ?

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    2023年03月05日
  • パレードのシステム

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    ネタバレ

    台湾と日本 

    かつて、日本が統治していた歴史がある。
    その中で、湾生と呼ばれる統治時代に台湾に生まれ、第二次世界大戦後に日本に引き揚げられた日本人たちがいる。本作の主人公の祖父もその湾生の一人だった。
    祖父の葬式のために、久しぶりに故郷に帰った主人公だったが、どこか雰囲気の違う葬式に戸惑った。参列者が母と叔母だけで、執り行われていたから、その原因は、祖父の自死にあったから。
    祖父のルーツを辿るべく、台湾に向かう主人公は
    そこで、何を感じ取るのか、何故自死に向かったのか、死生観を考えさせる、生と死、両方の側面から見た作品でした。

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    2023年02月06日
  • 首里の馬(新潮文庫)

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    ネタバレ

    不思議なお話。

    沖縄に住み未名子は、小学生の頃から登校拒否なのかな。
    それで、近くにある私設の郷土資料館?の整理を手伝っていた。館主は、順(より)さんという女性。順さんの娘の途(みち)さんも、順さんと暮らすようになる。

    未名子の仕事は、不思議。一日に、2~3回、ネット通信で外国人に25問ほどクイズを出して答えてもらう。少し雑談も。後は、資料館の整理を手伝う。
    自宅は、何年か前の父が亡くなり、一人暮らし。

    ある双子台風の時に、自宅に馬が迷い込んできた。
    警察に届けたが、ネット通信している外国人に話すと、馬との接し方などを教わる。

    順さんの死期が近いことを感じて、未名子は、資料館の資料を画

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    2023年02月02日
  • パレードのシステム

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    過去の台湾の歴史にもふれ台湾での日本との風習の違いなど知らないことばかりあなたも読んで深く感じて下さい。

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    2023年01月23日
  • オブジェクタム/如何様

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    正直読む期間が途中で空いてしまい、表題作の「オブジェクタム」の印象はない。
    私が好きだなと思ったのは、
    「太陽の側の島」
    「如何様」
    どちらもハッとさせられる内容で、楽しく読めた。

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    2023年01月10日
  • うどん キツネつきの

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    SF。ファンタジー。幻想譚。短編集。
    著者に対する、勝手なイメージの通り、奇妙な物語たち。
    緩くてノスタルジックな雰囲気もいつも通り。
    「シキ零レイ零ミドリ荘」の平和さが一番好み。

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    2022年08月31日
  • 旅書簡集 ゆきあってしあさって

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    SF作家3名がそれぞれの旅行先で見聞きしたことを報告しあうという設定で書かれた、書簡体のリレー小説。世界のどこかにあるかもしれない不思議な土地をめぐる空想旅行記。


    東アジアを思わせる日常的な風景が徐々におかしな方向へズレていく高山さん、旅行先の土地にとって旅人は常に"異分子"であることをホラー的に演出する酉島さん、一番純粋に観念的な幻想の国を組み立てる倉田さん、三者三様の作風の違いが楽しい。そんな三人の旅を、カニ頭の謎の人物と郵便局員シュヴァルが繋いでいく。
    酉島さんはどれも不条理小説のようでゾクッとする面白さがあったけど、特に"外国人がイメージするニッポン&

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    2022年08月30日
  • オブジェクタム/如何様

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    常にあたまのなかで、謎が浮かぶ、不思議な作品
    でした。芥川賞を受賞した、著者の初期の作品の
    「オブジェクタム」「如何様」を、合本して、エッセイを加えた本作は、まさに高山羽根子を知る上で、是非読んで欲しい作品です。「オブジェクタム」は、ある広場の壁にかけられている壁新聞の謎に迫るお話で、壁新聞の内容がとてもシュールでして、「スーパー山室と八百永青果店、ナスと柿に於ける傷みの率の比較」など、とてもユニークです。
    この新聞を描いたのは誰なのか、そして、クライマックスの謎をぜひ読んで欲しいです。
    「首里の馬」のイメージと違う、どちらかと言えば
    SF色の濃い作品集だと思います。

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    2022年07月20日
  • オブジェクタム/如何様

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    日常から少し浮かんだところに、曖昧な謎が産まれて、いつまでも解かれずに、物語は終る。この感覚は心地よい。ただ、提示されるだけで解かれない謎というのは、純文学界隈では一般的、というか、もはやクリシェだからね。そうしなければいけないという強迫観念さえ感じる。だから、きちんと伏線をはった上で、落とすことに、案外作者さんがこだわってるところを評価したい。そういう意味でも「オブジェクタム」や、オチがきれいな「太陽の側の島」あたりが愉しい。

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    2022年07月10日