高山羽根子のレビュー一覧
-
Posted by ブクログ
ネタバレ久々に全部好きな話が詰まったアンソロジーだった。
何よりインパクトがあったのはラストの町田その子さんの「六年目の弔い」。最後にとんでもない爆弾をぶっ込んできたな…。
設定の時点で結構突っ込んだ内容になりそうだったけど、その中で珠美と志乃がいい関係性になれてほっこり終わるのかと思ったら最後に胸がざわつく展開に。
冠婚葬祭の中で、一番無難そうで難しいテーマの「婚」がSFだったのも面白かった。普段SF読まない人間でも読みやすくて好きな話だった。雪舟えまさん、他の作品も読んでみたいな。
寺地はるなさんも安定して好みの作品。40代の幼馴染たちがバタバタする話って微笑ましい。 -
Posted by ブクログ
ネタバレ理解しきれていないところもある気がするし、最後まで読んでも「どういうこと?」って思う作品も多い。でも文章やモチーフが面白くてどんどん読めてしまう。
私は特に『おやすみラジオ』が好きだった。ふとしたことから違う世界と繋がる奇妙な感じがゾクゾクわくわく、続きが気になった。今の世界で起こっているどんな出来事も、大小に関わらず誰かの意思や行動が積み重なって関係しあって起こってるんだろうなあと思った。
読み心地は前に読んだ『オブジェクタム』っぽい。
奇妙な話も好きなんだけど、洗濯をしたり仕事をしたり、今日は疲れたからお弁当買って帰ろうとか、そういう日常生活の部分の描写もとても好き。
好きな作家さんのデ -
Posted by ブクログ
ネタバレ嶋津輝「漂泊の道」
葬式の時にしか会わない遠い親戚との話。自分の母親の兄の奥さんの妹の娘、遠すぎてものすごく考えた…その親戚、カナさんと4回顔を合わせ、その後、父親の後妻になっていた、そんな複雑でもあり得そうな話。何度登場してもカナさんはステキで、自分に対してもハッキリ物申す人で憧れていたのに、いつか違う感情を抱くようになっていた。薄く長いスパンの付き合いの親戚ならではの動きのあるストーリーだと思った。
町田そのこ「六年目の弔い」
哀しみを共有してくれる人がいて必要と思えば手を差し出し触れ合える、それがありがたかった
というところ、が身にしみる。
亡くなった人は、思い出の中でしか生きられない -
Posted by ブクログ
「いい科学者は、いい問いができる人のこと」ー
昔こんな言葉を聞いたことがある。よい研究者になりたいと思うなら、ぼんやりと思い浮かんだ疑問を本質の近くまで鋭くしていき、水辺に石を投げ入れるがごとく、人や考えを動かしながら、本質を映し出せる人、というのが今のところの解釈だ。そんな問いを出せる人世の中に何人いるかもわからないし、それがどれだけ人に共感されるか孤独なのかわからないけれど。
本作品は、その問いを答えるべく、あるいは答えるつもりもなく、導かれた言葉や事象を裏打ちした数多の人の歩みを集めた資料館ではじまり、終わる。
禅問答より古くから、それは神との対話や自然との交信といったような形で、問い -
-
Posted by ブクログ
ネタバレ飛鳥井千砂さんの作品が読める!ということでご本を見つけて即買いしました。
飛鳥井千砂さんのお話もちろんサイコーだった!そしてほかの作家さんのお話も面白かった。
飛鳥井千砂さんの書く主人公の女性がとっても好きで、今回のもうすぐ十八歳も夢中になりながら読んだ。
後半の展開に、主人公の気持ちになってえ!?え!?となった。主人公に起こったことを知っているから、締め方に納得した。ぜひ読んでほしい!
お話が進むにつれてページを捲る手が止まらなくなったのは雪舟えまさんの二人という旅。
最初は設定の読み込みに苦戦したんだけれど、読み込めた後には、どうなるんだろう??どこにお話しが着くのだろう??と興味津々 -
Posted by ブクログ
ネタバレ飛鳥井千砂さんのもうすぐ十八歳【冠】
18歳で子供を持つという事
寺地はるなさんのありふれた特別【冠】
幼馴染のこどもと自らの成人式。予想外。
雪舟えまさんの二人という旅【婚】
宇宙ものはそもそも苦手なので、読み始めは理解できなかったが、途中から、どうなるのかなに変わった。読まず嫌いはいけない。
二人とはシガとナガノの『旅』についてだと思っていたが、シガの発した一言で『二人』が別のものだと気付いた。
「結婚生活も、人生そのものもー向き合うべきものを直視せずに時間だけ過ぎていくんじゃ、本質的には何も始まらないまま終わるってことさえ、あるのかもしれないね」
嶋津輝さんの漂泊の道【葬】
希和子 -
Posted by ブクログ
主人公である未名子が自分の住む場所のとある資料館を通して、不思議な職業「間読者(といよみ)」を通して、宮古馬を通して、意味が一見ないと思われるような行為(記録)が世界と繋がっていくための一部なのかもしれないという感じで読みました。
心があたたまる場面も所々あるし、ストーリー的にも面白いし、いい小説だなと思った。
途中で出会う宮古馬に対し『この茶色の大きな生き物は、そのときいる場所がどんなふうでも、一匹だけで受け止めているような、ずうっとそういう態度だった』という描写は未名子自身の生き方そのもののような気がした。
加えて冒頭の方で中学生のころから資料集めについて『ずっと先に生きる新しい人たちの -
Posted by ブクログ
あなたは、こんな『クイズ』に答えることができるでしょうか?
『小さな男の子、太った男。ー そしてイワンは何に?』
(*˙ᵕ˙*)え?
『かつてラジオやテレビの放送が多くの人に楽しまれるようになった初めのころから、クイズという遊びのシステムはとても人気があ』りました。これは事実だと思います。視聴者参加型の『クイズ』番組がテレビを席巻していたとされる時代を経て、『クイズ』番組はこの国で隆盛を極めました。
このレビューを読んでくださっている方の年齢はマチマチです。『クイズ』と言って頭に思い浮かぶ光景は人それぞれでしょう。そんな中でも未だに伝説として語られる番組があります。