高山羽根子のレビュー一覧
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SF作家3名がそれぞれの旅行先で見聞きしたことを報告しあうという設定で書かれた、書簡体のリレー小説。世界のどこかにあるかもしれない不思議な土地をめぐる空想旅行記。
東アジアを思わせる日常的な風景が徐々におかしな方向へズレていく高山さん、旅行先の土地にとって旅人は常に"異分子"であることをホラー的に演出する酉島さん、一番純粋に観念的な幻想の国を組み立てる倉田さん、三者三様の作風の違いが楽しい。そんな三人の旅を、カニ頭の謎の人物と郵便局員シュヴァルが繋いでいく。
酉島さんはどれも不条理小説のようでゾクッとする面白さがあったけど、特に"外国人がイメージするニッポン"をイジり倒した「ッポンの国」は、独自の言語センスも光りまくる独壇場。倉田さんの「雨とカーフューの国」も旧社会主義国みたいな嫌さがあるが、一番好きなのはショーン・タンの絵本にでてきそうな「飛行機の街」。高山さんの連作が一番エッセイとフィクションのはざまを行き来する旅行記らしさがあると思う。
てっきりコロナ禍を受けて生まれた遊びかと思っていたら、三人が売れっ子になる前の2014年からだしていた同人誌だというのもSF的なオチ。 -
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常にあたまのなかで、謎が浮かぶ、不思議な作品
でした。芥川賞を受賞した、著者の初期の作品の
「オブジェクタム」「如何様」を、合本して、エッセイを加えた本作は、まさに高山羽根子を知る上で、是非読んで欲しい作品です。「オブジェクタム」は、ある広場の壁にかけられている壁新聞の謎に迫るお話で、壁新聞の内容がとてもシュールでして、「スーパー山室と八百永青果店、ナスと柿に於ける傷みの率の比較」など、とてもユニークです。
この新聞を描いたのは誰なのか、そして、クライマックスの謎をぜひ読んで欲しいです。
「首里の馬」のイメージと違う、どちらかと言えば
SF色の濃い作品集だと思います。
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おもしろいシリーズだから愉しみ
最初に大好きな堀晃作品を読んだ。土地勘あるからスラスラ読める。堀さんの近況報告みたいなものかな。
最も楽しみにしていた久永作品を最後におき、順番に読む。高山羽根子作品は最初から乗り切れずパス。宮内悠介作品はミステリー感覚て肩透かし。秋永麻琴作品がとても楽しかったぞ。これ別作品も読みたいってことで発見のワクワク感で持ち直す。松崎有理さくひんは少しトーンダウンて、次の生首って作品はさっぱり乗り切れずに少しコーヒータイム。
リフレッシュ後の宮澤伊織作品は、これまた秋永作品同様にアクションつぽくてとても良かった。これも発見だ。アンソロジーはこれが醍醐味。
満を持して久永実木彦作品を!と思ったら既読だったよ。ちゃんちゃん。 -
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東京創元社の日本SFアンソロジーシリーズ「Genesis」、毎年刊行されるこのシリーズもこれで4冊目となる。いつもこの本が出るのを本当に心待ちにしてきており、申し分なく期待どおりの作品集となっている。このアンソロジーには有名なSF作家、新人SF作家が執筆しているのでいつも時間をかけて読んでいる。
短編が多い中、一番スペースを割いていたのが小田雅久仁の「ラムディアンズ・キューブ」で、私はこれが一番面白かった。この方のお名前はあまり覚えていなかったが、今回の作品でとても興味を持った、読み終えて直ぐに先々月出版された「残月記」を購入した。刊行されて間もないのに重版が出ていたということは、やはり人気がある作家なのだろう。もしかしたら、私にとって注目すべき作家となるかもしれない。それは「残月記」にかかっているので慎重に読み進めていきたいと考えている。
このアンソロジーには、毎年行われる創元SF大賞の受賞作(正賞・優秀賞各1作品)が掲載される。今回は残念ながら私の琴線に触れるものはなかった。また、今年の年末に期待したい。 -
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「うどん キツネつきの」☆☆
ある日女子高生が拾ってきた不思議な犬が狐につかれていて宇宙人とも関係があって?
何を読まされているのか全く分からなかった。
読書を始めたばかりのころはそういうこともあったが、久ぶりに何の話なのか理解できない作品に出会った。
「シキ零レイ零 ミドリ荘」☆☆
1作品目でわけのわからない作品を書く作家だということはわかったので身構えながら取り掛かったところ、わずかながら理解が及んだように思う。それでも奇想天外すぎて感想を書くまでに至らない。
在日外国人とか低所得者向けのオンボロアパートの住人たちの間で起こる奇怪な非日常的日常。
「母のいる島」☆☆
母から特別な訓練を受けている十五人姉妹のお話。
だから何?という感想しかわかない。
「おやすみラジオ」☆☆☆
主人公は、不思議なラジオを拾った小学生が書いているブログを読んでいる。ある日、ブログに書かれている町とそこでの出来事は、主人公が住む町と同じであることに気づく。主人公は小学生たちとラジオの正体を追っていくが、そこには同じように彼らを追ってきた人たちが集まり始める。実はラジオについて記述されているのは主人公が読んだブログだけではなく、他のブログや媒体でも発信されているものだった。
ここで、これはテロ行為なのではないか?という考えに至る。インターネット上で攻撃を予告したり、テロ行為を煽動するような内容を発信することはアウトだが、ほんの少しだけ民衆を動かす内容を媒体や形を変えて発信した場合はどうだろうか。小さな一つ一つの行動が全体として大きなテロ行為になるのだとしたら。
やっと私にも理解できる作品が出てきてよかった。社会や集団の大きさというか不確定さというか、そういう怖さがあった。
「巨きなものの還る場所」☆☆☆
登場人物も時代も違うシーンが次々に入れ替わるのでまた話についていけなくなりそうだったが、共通するのは巨大なものが登場するという点。いわく、巨大なものには一つに戻ろうとする力がある。
物語に登場する巨大なものと同様に、それぞれの物語が構成要素として一つの大きな物語につながっていくのが面白かった。 -
Posted by ブクログ
高山羽根子は変な生き物を書くのが上手くて、表題作でもタッタという、犬や猫と同じ位の大きさの愛玩動物(田舎の人は食べたりもする)が出てくる。なんとなく、ショーン・タンの『アライバル』に出てくる生き物を想像した。毛が生えているらしいからちょっと違うけど、奇妙で不気味でしかも愛らしいイメージ。
表題作は家業を手伝ってくれた研修生の外国人女性と結婚した男が、彼女の希望で、彼女がかつて住んでいた町を二人で訪ねる話なのだが、その家業が何なのか、彼女はどこの国の人なのか(中国人みたいだけど)、その町はどこなのか、全ては曖昧にしてある。はっきり書いて、きちんとオチをつけたら、ホラーかSFミステリになりそうな話なのだが、それがないので、多分大抵の読者は置いてきぼりをくらったような気持ちになるのではないか。
高山羽根子はこういう書き方をする作家であり、私はその書き方も含めて好きだが、今回はそれでもちょっと置いてかれた感があった。
小翠(シャオツイ)という女性が子供の頃に住んでいた島で体験した出来事が、また、地図から消された町がどう全体に繋がって行くのか、たとえきっちりわけが分からなくとも、何らかの意味が感じられれば良かったのだが、よく分からなかった。私の読みが浅いからかもしれない。
表題作が中編くらいのボリュームで、あと二つ「蝦蟇雨」「リアリティ・ショウ」という短編が入っている。「リアリティ・ショウ」は現代を風刺したディストピアものという感じで、以前他の作品を読んで感じた諸星大二郎っぽさが強い。「商社の赤い花」的な。
全体に嫌いではないが、次の作品に期待したい、と思ってしまった。