高山羽根子のレビュー一覧
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主人公である未名子が自分の住む場所のとある資料館を通して、不思議な職業「間読者(といよみ)」を通して、宮古馬を通して、意味が一見ないと思われるような行為(記録)が世界と繋がっていくための一部なのかもしれないという感じで読みました。
心があたたまる場面も所々あるし、ストーリー的にも面白いし、いい小説だなと思った。
途中で出会う宮古馬に対し『この茶色の大きな生き物は、そのときいる場所がどんなふうでも、一匹だけで受け止めているような、ずうっとそういう態度だった』という描写は未名子自身の生き方そのもののような気がした。
加えて冒頭の方で中学生のころから資料集めについて『ずっと先に生きる新しい人たちの -
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ネタバレ例えば電車の窓から流れていく住宅街を眺めるとき、あるいは巨大な集合住宅を横目にとぼとぼと歩いている時に、この幾多もの住宅の中に様々な家族であったり独り者であったりが暮らしていて、よくよく聞けば面白いかもしれない話を秘めていて、もしかしたら見ただけで興味を引かれるような人間がいるかも知れず、といった空想をすることがある。
この話は多分、普段は通りすぎるだけの、意識しなければ顔のない存在にすら、無限に詰まっているかもしれない情報たちについてのお話だ。
そうしてまた、つい最近、お話をする鳥たちがリモートで交流するというニュースを見たが、まるでおとぎ話のような不思議な交流から芽生える新しい感情に期待す -
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東京創元社が、社名の「創元=GENESIS」を冠して二〇一八年に刊行したSF書き下ろしアンソロジー第一集。各作品の前に編者による洒脱な紹介コメントも寄せられていて、「日本の現代SF小説界、作家も出版社も一丸となってこんなメンツで盛り立てていきますぜ」という顔見世興行的な気合いの入りようが感じられる。今のところ二〇二一年の第四集まで毎年刊行が続いているようだ。
SFに限らず同時代の作家の好きと思える小説に出会えることには、古典名作を楽しむのとはまた違う喜びがある。創元さんの四年前のお薦め、彩り豊かで「ぜんぶ好き」とはいかないが、これだけいろいろ並べて出してくれたことにありがとうという気持ち。
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Posted by ブクログ
2018年末に刊行された新しめの日本SFアンソロジー。短編8編+エッセイ2編が収録されています。
アンソロジーを読むこと自体、ちょっと良い(と見込んだ)食事処にぷらっと入って「おまかせコース」を頼むようなもので、満足したい気持ちと、意外なものを味わいたい気持ちが同居していると思います。
個人的には両ポイントともにちょうど良い感じの1冊でした。編集者の匙加減の素晴らしさもあるんでしょうが、SFというジャンルの中での振れ幅もなかなか心地良かったと感じました。
(正統派SFもありつつ、一見ファンタジーでは?日記では?となる作品や、突き抜けたシュールさの作品があって、色彩豊かでした)
1編挙げると