紫式部のレビュー一覧
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購入済み
あの名作を読めました
タイトルは有名ながらも、なかなか読んでなかった作品です。配信されていると知り、読んでみました。昔の文体は若干読みにくいながらも、今なお語り継がれるだけあって面白いです。
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荻原規子の現代語訳、後編。
薫の大将と匂宮の二人の青年の恋愛の成り行きを中心に構成したもの。
当代の人気を集める二人ですが、光源氏ほどの人物ではないと最初にバッサリ書かれていたのが、紫式部の光源氏至上主義?に思えて何だか楽しい。
こう断言されると人物が小さいようにも思えてしまうけど。
女性は、宇治に住んで育った姉妹の大君、中君と、田舎から上京した異母妹の浮舟。
ややっこしい経緯を大分忘れていたので、なるほど、こういうことだったのねと思うわかりやすさはありました。
浮舟は見た目は異母姉二人に似ていて、田舎育ちの割には教養もある。
でも若いし世間知らずだし、いきなりこんな状況に放り込まれて、混乱するのも無理ないですね。
紫式部自身、後には出家したらしいし、書いている頃にはかなり厭世的になっていたのでは、とも思われ、自らのキャラ光源氏を悼む気持ちもあったのかも。
それと‥
男ってこんなもの、魅力的だからってね、まったく!と世の女性に知らしめようとしていたのかもしれない?
滅多にないような関係を描きつつも、所々に教訓めいたものは垣間見えるので。
恋愛心理を延々と掘り下げるというのは、この時代にあっては進んでいるというか、薫の君は19世紀に書かれた小説の憂愁の貴公子というタイプにも見えます。
現代でもそういう小説はありえますよね。
イライラするけど、つい読んじゃうみたいな(笑)
誠実だけど優柔不断だった薫も、経験を積んで少し変わっていく。
それぞれの性格、こうなった必然性がきっちり描き分けられていて、それがまた光源氏の一生と響き合いもする。
そのあたりが凄いと思いましたよ。 -
Posted by ブクログ
紫の結び完結。
この後、中の品の姫君の話も、宇治十帖も書きたいと作者があとがきで書いているので、ちょっと期待しておこう。
でも、末摘花の話と夕霧と女二の宮の話は、この中には、はいってこなさそうですね。
末摘花の姫君のお話は、この「紫の結び」の中で書かれるべき物語だったのだと思ったのだけど……。
いやいや、この2編は、どの「結び」とも違う、また別の物語として特別に書かれるかもしれないということを期待しておこう。
「千年の黙」は、源氏物語の「雲隠」の巻に、仏事の秘伝みたいなことが書かれていて、藤原道長がそれをもとめるという話で、わたしは、それをどんだときは、なんのこっちゃと思っていました。でも、今回、この「紫の結び」の「若菜下」の後半あたりから、「雲隠」までを読んで、たしかに、狂った藤原道長が、この物語にそういうことを求めてもおかしくないのかもと感じました。
今まで読んでいた「源氏物語」って*1、紫の上が亡くなった後って、けっこう省略されているんだなぁということが良くわかりました。
たしかに、光源氏が、匂宮や薫と遊んで寂しさをまぎらわしている場面というのは見たことがあるけど、仏事のこまごまとしたことは、絵にならないし、話としてもそんなに興味が出るところでもないから。
でも、今回、その部分がゆっくりと描写されていることによって、なんか、新しい発見でした。
まあ、原作の古典を読めということなんですけどね。
この物語全体にながれている不思議なのおっとりとした雰囲気も、よかっです。
現代とは、リズムが全然ちがっている。
それをここまで、表現している現代語版の源氏物語は、わたしにとっては初めてです。
多分、これが原作の雰囲気なのではないかなぁと感じました。
瀬戸内 寂聴さんの源氏物語は、けっこう気性が激しい感じがするし、「愛する源氏物語」は大好きですが、これよりも、色彩が明確で現代的な感じがします。ちょっとしか読んだことないのだけれど、どちらかといういうと谷崎 潤一郎訳の源氏物語を思い出しました。
どれぐらいの年齢の子が、この本を読んだらおもしろいのかというのは謎なのですが、「源氏物語」に出会う本としては、ものすごく適した1冊であると思います。 -
Posted by ブクログ
脇筋を省略した荻原規子版・源氏物語。
光源氏が女三の宮を正妻として迎え入れていて、波乱の生涯も終盤です。
光源氏の娘の明石の姫君は、春宮(皇太子)の妃となっていますが、めでたく懐妊して里帰りしてきます。
紫の上にとっては育ててきた娘。
姫君と対面するついでに、女三の宮(先帝・朱雀院の三女)とも会うことに。
まだ幼さの残る女三の宮は、実質的な正妻である紫の上が若々しいので、親しみを覚えるのでした。
身分の高い女三の宮の降嫁で正妻の座を奪われた紫の上は、内心の失望を表には見せません。ただ、何度も出家したいと源氏に訴えます。
源氏はとんでもないと却下し、その気持ちもわかりますが、二度目三度目ともなったら、紫の上の心をもっと深く思いやるべきでしたね。
さらに美しくなってきた紫の上に対する源氏の愛情は、かえって増すばかりだったにもかかわらず‥
その辺の成り行きを描ききる紫式部って、なんて頭がよくて意地悪なんだ!と千年も昔の女性作家の観察力と筆力に脱帽です。
紫の上が倒れた後は、そちらにかかりきりとなり、女三の宮は放置状態。
少女だった三の宮も、この頃は20歳ほどになっています。
そして、前々から三の宮に憧れていた柏木が、一目だけでも会いたいと思いを募らせ‥
三の宮に仕えている女房たちは若く華やかだがあまり賢いとはいえない。そんな環境で起きてしまったこと‥
源氏は驚愕しますが、若き日に藤壺の宮を愛したことで父の帝を裏切った自分の因果応報を思うのでした。
紫の上を亡くした後は、かくも光り輝き続けた源氏の命運もついに衰えを見せます。
やはり最愛の女性であったのでしょう。
荻原さんは、このあたりが一番書きたかったのかと思える力の入り方で、読み応えがありました。
紫の上の辛さがよくわかるため、ちょっと読んでいて気持ちが落ち込みますが。
この部分、確かに話のポイントではあるのですが、他のバージョンだと他の色んなことに紛れて、そんなに突きつけられる印象はなかったんですよ。
あとがきで、さらに念押しされます(苦笑)
源氏物語をあまり好きじゃない人の一番の理由は、あまりにも大勢の女性を相手にした話っていうことじゃないでしょうか。
いけいけのプレイボーイの話的な。いや、そうなるには理由があるし、いい思いばかりはしてないですよって。
二番目は、嘆き憂う部分が多いしんねりむっつりした印象?
どっちも一面ですが、当時の結婚形態や身分社会の様相、読まれた背景などがわかってくると、あまりに的確な描写に恐れ入る感じなんですよね。物憂げなようで、こんなにビシバシ怜悧に描かれた話だったとは。
宮中というのは、それだけ女性の感性が研ぎ澄まされる環境だったってことかな。 -
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帚木と若紫
「若紫」高校時代の古文で読んだせいもあるが、与謝野晶子の訳文も冴えているのか、とても分かりやすく、読みやすかった。それに比べて、「帚木」はひどく読みにくい。
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くっきりはっきり立体的な與謝野源氏。谷崎源氏が春の木漏れ日のようにおだやかで繊細な綾があるとしたら、與謝野源氏は夏の晴れた日のようでカラリとしていていい意味で影がない。まるで明治の小説を読んでいるかのようです。「これから何かが始まる」というワクワク感があります。その明け透けさに「王朝の雰囲気がない」と思われる方もいらっしゃるかもしれません。原文に忠実で完璧なのは谷崎源氏だと思いますが、ワイルドな與謝野訳が私はとてもいとおしい。「梅が枝」での薫香あわせのエピソードが大好きです。あとそれまであまり思い入れのなかった若菜が與謝野晶子の筆で読むととてもおもしろく感じます。紫の上が源氏にため口(?)聞いてる訳(若菜下)がひとつあって驚きましたが…。最終巻まで読んだらまた一巻から読み返したくなる気がします。
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ネタバレ源氏物語の原作者紫式部が彰子中宮の元で宮仕えをしていた3年程の記録及び体験記とも言える「紫式部日記」の解説本です。
原典と口語訳とを併記されておりまずはとてもわかりやすいです。
タイトルにビギナーズ・クラッシックスと銘打ってあるだけのことはありますw
残念ながら原典の全てが掲載されているわけではなく、日記の内容や式部が家庭の主婦から職業女房へと成長・変化してゆくさまにあわせ、3部構成になっています。
「鬼と女は表に見えないのが良い」とされていた平安の時代、職業としての女官や女房は多くの男性に顔を晒さねばならず総じて「はしたない」「言い寄り易い」と軽視されている側面がありました。
式部もその世論の中で生まれ育ってきたため、再三再四の宮仕えの要請にもなかなか首を立てには振らず、中宮彰子の熱烈な要望に根負けして出仕したものの、立ち居並ぶ先輩女房たちに気圧され、また冷たくあしらわれ凹み翌日から5ヶ月も家に引きこもりますw
更に結婚して3年と言う短さで夫が亡くなりいよいよ華やかな宮中へ戻る気にもなれません。
が、ここで式部の意識は主婦から女主人へと上昇します。
残された我が子賢子や家司・女房たちを養うのは自分しか無い。
それに彰子の出産日記を書くことが第一の勤めとされ決まった出仕話。中宮彰子の出産も押し迫りそうそう引きこもってもおられず宮中へ戻ります。
式部の住む堤邸を担う大黒柱は自分しかいない、ここで働きお産日記を完成させ先輩女房にも気に入ってもらえるように立ち回らなければ!と一念発起します。
すると女房たちからは「式部さんって思ってたのと違って本当は優しいのね」「式部さんは学がおありだから私なんかきっと叱られるんじゃないかと思ってたのよ」と意外な言葉が。
冷たくあしらわれ逃げ帰った式部ですが、実は皆式部の学識の深さに恐れうかつなことは言うまいと警戒していただけなのです。
中宮彰子のお産は男御子誕生と言う上々の結果、産後も母子ともに健やかで宮中は和やかな日々が続きます。
宮中女房としての処し方も身に付き、徐々に宮中での生活にも慣れてきた式部は手紙形式の日記を書き始めます。
これは「こんなこと内々の手紙ででも無ければ書けない話なんだけど」と前置きをし女房評・公達評を繰り広げるといったものです。
式部の文章もくだけた表現が増え、本当に他人の手紙を垣間見してるかのように感じます。
紫式部日記には、彰子のお産記録、お祝いの儀式の様子の記録だけではなく、中宮女房としての式部の成長日記の要素もあります。
このビギナーズ・クラッシックのシリーズは本当に初心者に優しくわかりやすいので入門篇としては最適に思いました。
でも出来れば田辺聖子さんに口語訳+読み物としての紫式部日記を出して欲しいところですw
今、森谷明子さんがシリーズとして刊行している「千年の黙」「白の祝宴」「望月のあと」は紫式部を主人公としたミステリですが、これらよりも先にこの本を読んでおけば良かったなぁ、と後悔してます。
「源氏物語」だけではなく「枕草子」の書かれた背景「むかし・あけぼの」を読んだ後だからこそ「千年の黙」が面白かったのですが、更に「紫式部日記」も読んでおけばなおよし!ですw